2014年6月29日日曜日

発掘作業

金曜日、小DKと例の谷に行ってきた。
前回と違う道を通っていったのだけど、そこここに「熊出没」の看板。
怖かったので今回は熊スズをカランカラン言わせながら行きました。

谷に下りていくと、前回あった残雪は半分以下になっていて、
下から泥まみれの岩が顔を出していた。
が、泥まみれ過ぎてちょっとやそっとでは登れなさそう。
大ザルが「あばた面のオオカミ少女のよう」とか言っていたけど、本当にその通り。
高圧洗浄機がほしいくらい。

とりあえず前回登った岩から下流を見て回る。
減水している(というか前回が多すぎた)ので渡渉はほいほいできるけど、
立ちふさがってる岩がどれもでかいので越えるのも巻くのも結構大変。
もうほとんど沢のぼり状態。荒々しいわぁ。
思いのほか天気がよくて、日向が暑くなってきたし、
小DKが「歩くのはいいんで早く登りましょ」という空気を出し始めたので、登ることに。

手始めに、このエリアには珍しい手ごろな大きさの岩。
コケもブッシュも皆無だけど、わら屑みたいなのが付着していて結構磨いた。
多分雪渓が運んできたゴミだな。
ポケットだらけで易しそうに見えたけど、意外に悪かった。
「にきび」(4級)かな。
この右のカンテラインもやって、小DKが初登。こっちの方が難しくて、3級くらい。
礫が良い具合に出っ張っているくせにすべすべで、今までにない感じ。面白い。

対面にある横に広い岩も良さそうだったので、こっちも磨く。
リップに乗った土やら泥やら石やら木やら雑草やらぐしゃぐしゃ落とすのが大変。
いっそ移植ごてとかあった方が楽か?
フェースの部分は殆ど磨かなくても登れそうだったので、すぐにトライ。
こっちはちょっと高くてそれなりに緊張する。
「海の幸」(5級)と「山の幸」(4級)かな。
海の幸

山の幸

この岩は他にもラインが沢山引けそうだけど、とりあえず放置して下流を偵察。



ずっとこんな感じ
谷がこの辺で急になっているせいか、岩はあっても下地がなかったり滝だったりする。
暑すぎて上裸なので藪に突っ込むわけにもいかず、結構本気で飛び石して歩いた。
良さそうなところはだいたい見て回って、「まだまだあるネ」ということで上に戻る。
二人して結構お疲れ。

もとのあたりに戻って、一番高さのある岩を二つ掃除。
頼りないブッシュをまとめて伸ばしてロープを張って、ごしごし。
スリングを大量に持って行ってよかったー。
スラブの方は良かったけど、ハング方は上部がブッシュでしかも脆くて厄介。
落とせるところはとりあえず落として、あとはなんとかしようということで作業終了。

初めにスラブの方から。一番高いところに抜けるライン。
トップまでで10メートルはあるか。
幸い下部の落ちても大丈夫な辺りが核心だったので、そこを慎重にこなして上へ。
礫がところどころいい感じのホールドになっていて、怖いけど動き自体は簡単で快適。
落ちそうなところは特にないけど、この高さはビショップ以来だった気がする。
久しぶりに易しい課題で本気になりました。
「moonscape」(3級)で。いいラインだった。
小DKもひーひー言いながら登る

次に、小DKがやたらと燃えているハングの方。
スタートが人工ホールドみたいな巨大ガバで、根元から引っこ抜けそう。
でも、僕がぶら下がっても抜けなかったので多分大丈夫。多分。
3手くらいこなしてからが核心で、ホールドもムーヴもいろいろありそうだけど、
結局小DKが一番シンプルなムーヴでゴリ押して突破。
後半の高くて脆いパートで行きつ戻りつ。数分かけて抜けていった。

初段くらいですが、かなり気合が必要。
今まで登った初段のなかでは間違いなく5本の指に入るラインだった。
やったね小DK。

雨が降って来そうだったのでこの辺で引きあげた。

今日サル左衛門とDKが改めて偵察に行って、えらく感心して帰ってきた。
良いのを見つけたらしい。
今後がますます楽しみです。
チョークをこぼす小DK

あちゃー

2014年6月15日日曜日

県大会

今年の県大会は、なんと城端でした。
遠いところにもかかわらず、結構人が集まった。
今年も毎度のごとく、ほとんど身内のお祭り気分で楽しんできました。
セッターの御二方、スタッフ(アートモリ軍団)の皆さん、ありがとうございました。

結果は
リード 3位
ボルダー 4位
で総合3位でフィニッシュ。
リードはノーマルとプラスの差でダンゴから一つ抜け出て3位。
ボルダーは5位の小DKとともに1完登で、アテンプト差での4位。
数字だけ見るとそれなりですが、クライミングの内容は正直ぐだぐだ。
リードはまだしもボルダーは納得のいかない登りだった。
第3課題はボーナスすら取れてないし。
今年はそもそも国体には出場できないので代表選考にはほぼ関係なかったし、
自分の登りがどうであれ皆で比べて順位をつけるのが競技なのだけど、
それは別に問題ではなくて、ただ今このときにいい登りが出来なかったことが残念。
リードもボルダーも自分の悪い癖が出ていた。特にボルダー。
上位の3人はきっちり全完なので、今年はかなり差がありました。
シーズンオフだからこそしっかりトレーニングに努めなくては!

それにしても相変わらず城端は暑かった。
今よりもっと暑い真夏にあそこでJOCに出ていたんかと思うと驚き。
ぬめり手なのによく頑張ってたな、とちょっと関心。
いや、あくまでちょっとだけど。

2014年6月7日土曜日

海が見える

梅雨入りして天気が悪いので、今日は大ザルが以前から目をつけていた某所に行ってきた。
どことはまだ言えませんが、新潟県の某所。
駐車場の近くからは海が見えます。
道が工事中だったり街中で一歩通行に阻まれたりして迷いながら到着。

植生が強すぎて、もはやジャングル。
樹林の中にも岩はあるけど、ちょっと登る気になりません。
駐車場から30分くらい歩いて、それらしい河原に到着。
その先は雪解けの増水とまだ残っている雪渓に阻まれて進めず。
その辺で登ることに。
でも、海が近いのに未だに雪渓があるって、どれだけ降るんだよ・・・

アルプスにいるみたい

ぼろそうだけど意外に硬い

礫が大量に入っている

コンクリみたいですが、岩です

とりあえず一番良さそうなところから。
岩によって礫の大きさや質がちがうのだけど、この岩は小さめでつるつるの礫。
小さく見えますが、意外に大きい

左のカンテは掃除して何度かやってすぐに登れた。
2級か1級くらい。名前は「ベムラー」。

次に右側のフェースのSDをやってみる。
あまーい礫ピンチで浮いて、1手目からいきなり悪い。
ホールドは結構あるけどどれも悪いのでしばらく高速タッチ祭り。
すっぽぬけ

ムーヴをバラすのに結構時間がかかったけど、なんとかできそう。
で、繋げてみると1手目を止めてからの2手目が大核心。
低いところでもぞもぞしてるので如何せん地味だけど、悪い。
1時間くらい打って、やっと2手目が止まり、
「できたー」と思ったら足がすっぽ抜けて着地。がーん。
これでスイッチが切れたらしく、その後は1手目が止まらない症候群にかかる。
何度か止まったけどぎりぎりなので2手目は止められず。
乱打気味になってたかなぁ。
これしかやっていないのにダレダレになって終了。
くそー、思いがけず宿題だ・・・

簡単な課題も何本か登った


梅雨入りのころは雪解けで水が多いことが判明したし、
夏は暑さと虫の多さでダメそうなので、シーズンは秋なのかな。
次に来るのはいつだろう。
でも結構可能性がありそうだし、そんなに遠くないのでまた行こう。

2014年6月4日水曜日

再訪

ここ数日やたらと暑くて、これからの季節が恐ろしいです。

先週、天鳥岩の「ホシガラス」(5.12c 5P)へ行ってきました。開拓した時以来だから、4年ぶり。
木曜日の深夜に瑞牆入りして、翌朝早くに出発。
メンバーは社長、足場さん、福田さん、大西さん、ゆかりさん、それと僕の6人。
結構な所帯ですが、全員健脚なのでアプローチはサクサクだった。

パノラマコースから大ヤスリに行くのは初めてで、まだまだ岩があるのを確認。
どこも1時間以上かかるけど、大ヤスリとか矢立とか、天鳥のことを思えば近い。
実際のところ、瑞牆の山全体で見たら登られている岩は半分に満たないんだろうな。

大ヤスリから先が問題。
既におぼろげな記憶を頼りに登山道から分かれて藪に入って行くと、
急に記憶がはっきりしてきてただの藪ですら見覚えがある景色に思えた。
「そうそうこんな感じだわ」とぶつぶつ言いながら進んでいく。
踏み跡も所によっては微妙に残っていて、完全に自然に還ってはいない様子。
思いの外スムーズに行って、駐車場から3時間かからずに天鳥岩に着いた。
速い。速すぎる。全員びっくり。

足場さんを撮影スポットに案内してから、準備してクライミング部隊が出発。
僕がひたすらリードして、あとの4人がフォローしてくる数珠つなぎ作戦。
1P目(5.10c)は社長曰く「運動靴でも登れそう」な観た目なのにやっぱり10cだった。
2P目は台座の上を歩いてトラバースし、3P目はながーいクラック。
当然凄まじい岩タケの海だったけど、快適に登れた。35mくらいあるかな。

社長が上がってきたところで核心のビレイ点までクライムダウンして、スタンバイ。
この先の4P目が4年前は登れなかった5.12c。
トップロープで結構試行錯誤したけど時間切れになって、泣く泣くユマールした。
もうその時のムーヴも一切覚えていないので、オンサイト気分で取りついた。
で、出だしのセクションでいきなり落とされる。おい、記憶と違うぞ。
ここはぴんぴんに背伸びすることで解決。リーチ万歳。
一段上のテラスに上がって、そこからちょっと右上して真っ白いスラブに突入。
最後のボルトにクリップした後が核心だけど、ずーっと悪い感じ。
4年前の掃除もあまり時間がない中でやったので、かなり岩タケが残っていて汚い。
立ちこみ→岩タケ剥がす→ホールド発見→立ちこみ、みたいなサイクルで登る。
核心で一度落ちたけど、割といい感触で抜けることが出来た。
が、後からフォローしてきた社長がキーホールドを粉砕してしまった。がびーん。

カムで作ったビレイ点がちょっと怖かったので、5P目(5.11a)を登り始める。
このピッチは俗に言うPDなので、結構緊張したけど、
久しぶりにやってみると案外簡単で大して怖くもなかった。麻痺してるな。
そのまま歩いて頂上まで行って、社長と福田さんが上がってきたらあとは昼寝。
日差しが結構キツイけど風が吹いて快適。
足場さんも隣の岩の上で仏のように眠っていた。


大西さんとゆかりさんも上がってきたので、社長と降りて4P目のRPトライ。
昼を過ぎて日陰になっていたので、もう涼しい。標高2000近くですし。
核心手前まではスムーズに行って、ちょっとストップ。
社長が粉砕したキーホールドがかなり悪くなってしまったので、ちょっとムーヴを修正。
キーホールドがそのままキースタンスにもなっていたので、核心に突入してからはほぼノンストップ。
このスラブは岩質的に結晶やマイクロポケットに点で立つタイプなので、とにかく親指が痛い。
核心の最後でスタンスをひとつ見落として、慌ててムーヴを変えて強引にねじ伏せた。
久しぶりに親指がもげそうになったけど、無事にRP。
四年越しの宿題(放置してたけど)がやっと片付いた。

帰りも実にスムーズで、明るいうちに駐車場に戻れた。
全員疲れて腹ペコだったので、風呂よりも何よりもまず夕飯を食べた。
カレーでお腹が膨れると、一気に動く気がなくなったので、
社長らが風呂に行っている間足場さんと留守番。すぐに二人とも寝落ちしてしまった。


土曜日はあちこちからクライマーが集まり10人以上の大所帯で摩天岩へ。
テントの撤収やらなにやらあったので、登り始めたのは昼前。
僕はゆかりさんと上段北面にある「北斗七星」(5.9)を登った。
撮影の都合で3回登った。でも、凄く良いルートですコレ。
で、その左にある綺麗なシンクラックにロープを張って偵察。
なにやら上部のグルーブは掃除されている様子。誰かやっているのかな?
上からラッペルしてちょっとだけ磨いて、
いかにも出来そうなのでグランドアップで狙ってみる。
下部のシンハンドから要所要所で開いたシンクラック。イムジン河みたい。
ここは快適に越えて、水平クラックに当たってトラバース。
ハンドサイズのカムを固め取りしてからのハング越えが核心。
かなり効きの甘いジャミングで引き上げて越える。カムは足下よりちょっとした。
結構怖かったけど無事に越えて、そこから続くグルーブもこなしてRP。
上部で結局日本っぽい普通のクラックになっちゃうのが惜しいけど、
内容が意外に多彩で良いルートでした。
でも、初登じゃない可能性が高いな。

黒ヒゲ先生、マルボーさんらは「摩天楼」(5.10d)で壮絶なセッションを繰り広げていた。
あっちむいたりこっちむいたりひっくり返ってみたり、サーカスみたい。
登ってる本人は必死だけど、見ているこっちは面白くてしかたなかった。




そんな感じで終了。
本当は他のワイドクラックも沢山登りたかったけど、まぁそれなりに充実したからいいか。


今年の五月も瑞牆にどっぷりでした。
去年よりもマニアックなところに行っていた気がする。
あちこち調査したり偵察したりで結構歩きまわった。
でも、隠れたルートの発掘はそれはそれで面白いし、
今後の可能性もざくざく出てくるし、探検してみるもんだなと思った。
開拓をする人たちはこうやって足で稼いで、手間を惜しまずどんどん通って、
今のスタンダードを築いていったんだなと実感して、
自分もそうありたい、そうでないといけないと思ったりもしました。

夏までに、まずは一本。矢立かな。
その前にまずアプローチを整えないと・・・