2021年5月10日月曜日

Throwback 3(2021.1~4)

 〔年末年始西日本ツアー つづき〕

・宮崎、大崩と行縢

大隅最終日を早めに切り上げて、眠い目をこすりながら宮崎の山奥へ移動。

祝子川上流にある大崩山周辺の岩場と延岡近郊の行縢でその後数日登った。


大崩山ではやかん落としのルートを黒ひげさんら開拓チームに紹介してもらった。

看板ルートのBeautiful Mind(5.13+)はさすがに厳しそうなので、

初日はCrossroad(5.11d 5P)、二日目はイザナギ(5.12a 4P)を登った。

どちらも長い核心ピッチが印象的な花崗岩のマルチ。

こういうのには慣れている、とはいえ、どちらもかなり真剣なオンサイトだった。

(実はイザナギは途中でトイレが我慢できなくなって一度降りたのだけど)

特に印象的だったのはイザナギの核心となる2P目と3P目。

40メートルほどのスケールと、変化に富んだ内容。

しかもオールNPなのにジャムの技術だけでは登らせてくれない。

開拓チームの皆様は毎日凄まじく植生の強いブッシュと格闘していたけれど、

やかん落としだけでもまだまだ新しいルートを拓く余地(文字通り、余地)があるし、

谷の対岸にある小積ダキはもっと凄そうだった。

やかん落とし遠景


今年の年始は異例の寒波が来たこともあって例年より寒かったそうで、

正直やかん落としでは寒くてこれ以上登れそうになかったので、標高の低い行縢にも行った。

ここもすごいところだ。延岡の町から見えるところにこんな存在感の壁があるとは。

Googleマップで見るとこんな感じ(中央の谷間)


麓にあるひでじビールの工場もよかった

ここではこみねっちらが初登した空飛ぶたまねぎルート(5.11+ 6P)を登った。
天気も日当たりもよかったけれど、風が強く寒い日で、防寒着を多めに持って登った。
核心の5.11+でスリップ落ちしてしまったけれど、かなりワイルドな魅力あるルートだった。
なんだか穂高や錫杖のルートを思い出した。

空飛ぶ玉ねぎを登った日、同じ壁の左の方では小峰・大木ペアが椿(5.14b 4P)を初登。
後日、ぶら下がりで写真を撮らせてもらったけれど、2人のパフォーマンスに圧倒された。
なにか、大きな衝撃と希望を一度に与えられた気分だった。




この他に宮崎では比叡にも1日だけ出かけたけれど、雪に振られてほとんど登れずに撤退。
なんだか九州なのか本州なのか分からなくなる、寒い毎日だった。

宮崎を出て大分からフェリーで瀬戸内海を渡り、関西に戻った。

・桐生辻、雄鹿が鳴くと雨ずらよ
最終日、帰りがけに滋賀の桐生辻に半日寄り道。
あさこさんが毎年行っているという「雄鹿参り」をして帰ろうということになった。
雄鹿が鳴くと...はかなり前に岩雪のクロニクルで写真を見たことがあり、その後も各所で噂は聞いていた。
5.12aのショートハード系、しかも被っている、というのは実は初めて。
で、気合を入れて取り付いて、離陸からいきなりの核心は越えたものの、手の悴みに負けてテンション。
うーん、決定力不足。
2回目はスタンスが欠けてポロ落ち、3回目でRPした。
あさこさんはこれも逆転サヨナラで登ってしまった。ハートが強いぜ。

ざっとこんなところで、西日本の旅は終わり。
ツアーに出かけてるたびに思うことだけれど、日本はまだ広いし、様々な余地がある。
四国も九州もなかなか行けるところではないのが残念。また行けるだろうか。
それと、どこに行っても食べ物がことごとく美味しいのはいけない。
クライミングツアーなのか喰らいミングツアーなのか分からなくなり、見事に太った。

〔2021.1月~〕
・デイドリーム
年末年始の旅から帰ってからは、3月くらいまでデイドリームに通った。
ルートの存在はかなり前から知っていたものの、実際に見に行ったのは前年の12月が初。
恐ろしく細く、被っていて、綺麗だった。
実際にロープを張ってムーヴをやっていくと、見事にできなかった。
本題はクラックに入ってからリップを取るまでの10手ちょっと。
その中で前半と後半にちゃんと内容の違いがあり、どちらも相当に難しかった。
個人的は前半の繊細なフィンガージャムがつづくセクションが鬼門で、
ここは結局シーズンの終わりまでほとんどつながらなかった。
Stingrayでフィンガージャムの経験はかなり積んだ気でいたけれど、これはその更に上を求められる。甘かった。
春先の寒い時期は案外短く、中途半端な状態でシーズンが終わってしまって残念。
来シーズンはもっと腰を据えてトライしたいところ。

〔2021.2~3月〕
デイドリームと並行、というか合間の楽しみという感じで、恵那にも久しぶりに通った。
恵那はどういうわけか過去にあまり通ったことがなく、勝手に苦手意識ができていたというのが正直なところ。
実際通ってみると、岩質への慣れというのもあるのか、3月にはそれなりに成果もあった。
登った主な課題は、
突沸(二段) FL
ユビサキキ(三段?)
イルガ(三段)
マリモ(三段)
ヤタノカガミ(四段)
本音をいえばあまり好きになれなかった恵那のシャープなカチがそれなりに持てたり、
久しぶりに三段以上のボルダーの成果があったりと、身体の調子がしっかりと戻ってきた実感が持てた。
ヤタノカガミは一日で登れてしまい、かなり驚いた。そしていい課題だった。

〔2021.4月〕
・NINJA
DKに誘われ、小川山でNINJAにトライした。
このルートにトライするのはこれが初めてで、「やっとトライしたか」と自分でも思う。
それだけ、昨年までよほど自分は趣向の偏りに振り回されていたんだな、というところかもしれない。
DKはさすがの登りでさっさとRPしてしまい、僕はさらに1日延長戦もしたが、結果登れず。
これだけ諸々が繊細なルートというのも経験がない。特にフットワーク。
グロヴァッツがトライごとに新品のメガを下した、という逸話も、あながち誇張ではないのかもと思える。
これもデイドリームと並んで来シーズンの宿題になってしまった。
次の秋を待つ楽しみができた、といえば聞こえはいいのだけれど...

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