2017年3月1日水曜日

Stingrayのこと

2月25日の夕方、僕はStingrayを登りました。
通算で12日目、この日2回目のトライでした。


昨年のツアーで7日間トライした末に敗退した僕は、
それからの1年をこのルートに戻ってくるために使おうと決めました。
今年度は就職試験と大学院での研究の2本立てで、
クライミングに充てられる時間がこれまでの半分以下になることは分かっていました。
事実その通りで、夏に試験が終わったと思ったら、
それと入れ替わるように研究の方が忙しくなり、
2か月ほどクライミングを完全に休止していました。
ただしその間も、部屋に作ったフィンガーボードで、
少しずつトレーニングをしていました。
クラックのためのトレーニングなんかほとんど知らず、
手探りであれこれとやってみて、トレーニングメニューを作っていました。
研究がひと段落着いた1月下旬にクライミングを再開し、
久しぶりにジムに行ってみたときは、それはもう酷い状態でした。
指皮は弱くなり、力も出なくなり、すぐにパンプして、身体はうまく動いてくれない。
それでも可能な限り体に刺激を与えて、せめて休止前の状態に戻ればと、
ツアーまでの数週間をがむしゃらに使っていました。
有り難いことに、大ザルが日曜大工と称してジャミング用のホールドを作ってくれ、
それをエッジに持って行ってStingrayの核心のレプリカを設定して、
何度も何度も登りました。
ツアー直前にはレプリカを大分安定して登れるようになったものの、
一方で単純なパワーや持久力はなかなか戻らず、
少なからず不安要素を残したまま出発の日を迎えました。


Stingrayへのアプローチの途中には、立派なケルンが立っています。
昨年のトライ最終日、敗退が決まった後、
僕は石を7つ拾って、そのケルンの隣に積みました。
自分がそのツアーでトライした日数分の、7つの石。
そんなことをしなくてもこの敗退を忘れることはないけれど、
Stingrayを登れた時に、自分の作ったちっぽけなケルンを蹴飛ばしてやろう。
そう考えて石を積んで帰りました。
今年のツアー2日目、1年ぶりに足を運ぶと、
例のちっぽけなケルンはもう崩れてなくなっていました。
そりゃあそうか、雨でも降れば崩れるよな、と思ったものの、ちょっと拍子抜け。

1年ぶりにトップロープを張りに行ったとき、
Stingrayの終了点からロワーダウンしていくとき、本当に緊張しました。
1年経って、このクラックをどう感じるようになっているんだろうか。
易しく感じるのだろうか、難しく感じるのだろうか。
そもそもムーヴが出来なくなっていたりしないだろうか。
蓋を開けてみれば、実際あまり大きな変化は感じませんでした。
核心の一連のムーヴは依然として苦しいし、その後のセクションも楽ではないし、
これはこれで拍子抜けするくらいに1年前の通り。
がっかりする気持ちと、安堵する気持ちの両方がありました。
その日はトップロープでムーヴとプロテクションを確認し、深追いせずに終わりました。

久しぶりにやってみると、本物はエッジに作ったレプリカよりも難しく、
これには「あー、やっちまったな」と少し後悔を覚えました。
しかし、自分の記憶よりは難しかったものの、こなせないほどではなく、
その点については曲がりなりにもトレーニングの成果があったのかなと思いました。

トライ2日目からはリードでのトライを始め、少しずつ勝負に持ち込んでいきました。
が、その後の勝負は予想していたものとかなり違ったものになっていきました。

驚いたのは、自分の指の変化でした。
手探りでやってきたジャミングのトレーニングのおかげか、
リードのトライはテーピングなしでできるくらいになっていました。
1年前はトップロープでもリードでも、トライするたびに流血していたのに、
今年はそこまで酷く皮を取られることはなく、トライの頻度も増やすことができました。

しかし、ジャミングの痛みというクラックとしての難しさの他に、
Stingrayのルートとしての難しさが次の問題になりました。
核心のセクションをこなしても、そこはまだルートの半ば。
その上には5.12の後半部分が待っています。
この部分は足元が悪く、ちょっとしたことですぐにスリップします。
加えて前半のパートをこなした後のヨレ、そしてパンプ。
そこだけやればなんてことないムーヴでも、
そこまでのミスやダメージの蓄積で全く別物のようになり、
繋げたらどこで落ちてもおかしくないくらいに感じるようになりました。
核心をこなせたからといって、それだけで登れてしまうほど甘くはないわけです。
1年前の最後のトライでやっと核心を越えてぶち当たったその事実に、
今年もまた行く手を阻まれることになりました。

2日目のトライは核心で落ちたものの、
3日目のトライで核心を越え、その次のセクションでスリップ。
4日目には更にそのセクションを抜け、
残り3手のところでまた足が滑って落ちました。
気が付けば、僕にとってこのルートの核心はもはや中間のボルダーセクションではなく、
後半に怒涛の如くやってくるミスの許されない繊細なレイバックになっていました。
事実、今年のトライで核心が越えられなかったのは、最初の1回だけでした。
2週間は短いです。1日おきにトライしていても、あっという間に残りは数日。
どんどんと追い込まれていき、そこにきて4日目のトライでのフォール。
足が滑って落ちたとはいっても、その瞬間は完全に疲れ切っていて、
腕はパンパン、肩はヨレヨレ、体は持ちあがらず、そのせいで滑ったようなもの。
滑らなかったとしても、そのまま押し切れたかどうかは分からない。
そのシビアな状況をルートとの駆け引きとして楽しむ余裕は既になく、
ただムーヴを思い返して気持ちを落ち着けるしかありませんでした。
「気持ちで負けたら何も残らない」とか「諦めたらそこで試合終了デスヨ」とか云々、
頭の中でぐちゃぐちゃと考えてはみても、それで現実が変わるとも思えませんでした。

そうして迎えた2月25日。帰国まで残り2日で、恐らくStingrayへのトライは最後。
朝から快晴で、風も弱く、前回よりもかなりいいコンディションでした。
しかしその条件下で臨んだトライは、またしても残り3手でフォール。
レストポイントでしっかり休んだにも関わらず、
続く数手で一気にパンプが戻ってきて、捨て身で出した左手はクラックに入らず、
更にはまた足が滑っているし、もうなす術なし、という具合でした。
ロープにぶら下がってひとしきり叫び散らした後、
ほんの少しだけ冷静になった頭で次のトライのことを考えました。
今日やるか、明日に延ばすか。

もしかしたら自分は、多少ジャミングに慣れただけで、
その他のものはまるで足りていないのではないか。
持久力、フットワークの繊細さ、集中力・・・
というかそもそも持久力が足りないのは明らかでした。
たしかにジャミングの練習は懸命にしたけれど、
今これが登れなければ、なんにもならないじゃないか。
このルートがジャミングするだけでは登れないルートだということは、
1年前に敗退した時から分かっていたはずなのに、なぜそれを放っておいたのか。
この1年間に限らず、これまでずっとリードをあまりやらず、
真剣に持久力のトレーニングに励んでこなかった自分を恨みました。

それでも、指の皮はまだ耐えてくれそうだったし、
明日突然天気が崩れるかもしれないし、トラブルがあるかもしれない。
そもそも、今日は2回トライするつもりでいただろう。
そう考えて、1時間ほどのレストを挟んで2回目のトライをすることに決めました。

何も持たず、ただぼんやりと近くを散歩していると、
不意に5メートルくらい先にウサギが出てきて止まりました。
咄嗟にこちらも立ち止まって、じっと見つめていました。
逃げる様子がないので、そっと写真を撮って、ウサギが去っていくのを見送りました。
Joshua Treeでウサギを見かけるのは珍しいことではなかったけれど、
最後のトライを前に揺れている僕には、それがなんだか特別な出来事に思えました。
取り付きに戻り、一段上のテラスに上がって準備をする間も、
肩周りに残っている疲労感が気になっていました。
もしかしたら、中間部すら越えられないかもしれない。
それでも、このトライできっと最後なのだから、もう守るものは何もない。
もしこのトライでも登れなかったら、その時は、岩の上で思い切り泣けばいい。
捨て鉢になることなく、かといって気負うわけでもなく、
何度も深呼吸をして、この日2回目のトライに臨みました。

回数を重ねるごとに感触がよくなっていった中間部では、
声が出たもののまた少しばかり易しくなったように感じました。
3日目にスリップしたところも一切のミスなくこなし、レストポイントへ。
身体を倒し、出来るだけゆっくりと呼吸をしながら、
前のトライとなんら変わらず、体のあちこちがヨレているのを感じ、
「本当にこれで押し切れるんだろうか」と、また考えてしまいました。
あと3手。あとたった3手延ばすことが出来れば、全部終わるのに。


レストポイントを離れて、一度左のスラブに身体を乗り出して、
左手でがちゃがちゃしたカチを全力で握り、右手を次のフィンガージャムへ。
ここまで出るともう戻れない。もう突っ込んでいくしかない。
祈るような気持ちで右足のスタンスを拾い、更に2手送り、
スメアで足を送って左手をクロス気味にクラックへ。
前のトライはこの1手で落ちた。
今度こそ捕らえたと思った左手は、いつもより少し下に入ってしまって、
急いで掛け直した。足はギリギリ滑らなかった。
もう腕に力が入っているのかどうかもよく分からず、引き剥がされそうになる。
それでも更に2歩足を送って、右手のアンダーを差し、強引に最後のガバを取った。
その瞬間に足がまた滑ったものの、左手はもう完全にガバを捕らえていた。

アンカーにクリップして、僕は自分でも驚くくらい大きな声で泣きました。
どうしてこんなに涙も叫び声も止まらないのか、分かりませんでした。
登れなかったら泣こうと思っていたのに、なぜ登れたのに泣いているのか。
それも全く分からずに、泣きに泣いて、鼻水を垂れ、酷い有様でした。
近くのテラスでカメラを回していたサル左衛門が岩の上に回ってきたので、
僕も岩の上まで行って、サル左衛門と抱き合って、また少し泣きました。
弟の腹に顔をうずめて泣くなんて、恰好悪い兄ですね。ごめんなサル左衛門。

少し落ち着いてから、クラックを掃除して下り、
福ちゃんともアラカワくんとも抱き合っている間も、
自分がこのルートを登ることができたことが信じられませんでした。
レストしているときは、前のトライと変わらないと感じていたのに。
きっと、何かが違っていたのでしょう。

Stingrayの取り付きには、誰が置いたのか、
コインが何枚か賽銭のように置いてあります。
片づけを終えて、僕もやっと、25セント硬貨を一枚、お供えすることが出来ました。

それなりにトレーニングもしていた一年前の自分が出来なかったことを、
あまりトレーニングできていない今年の自分が出来るはずがないと、
そう考えたことは何度もありました。
それでもなんとかかんとか、僕は歩みを進め、
カタツムリのようにゆっくりでも、ここに辿り着くことが出来ました。

自分がした選択と、そうしてやってきたことを、疑い続けた一年間でした。
そして今、僕は一年前の自分をついに追い越して、
これまでの自分に漸く胸を張ることが出来ます。
もう疑わなくていい。
これでまた少し、自分自身を信じることが出来ます。

クライミングを真剣にやるようになって、15年が経ちました。
これが15年経った今の自分にあるすべてだったのだと感じています。
あれやこれやと彷徨って、雑食というか悪食というか、
あれもこれもとやってみて、その先にあったのがStingrayだったのかもしれません。
次の5年、10年、15年で自分がどうなるのか、
それは今ここで分かるはずもないことですが、
今よりももう少しだけ先を歩いていたいなと、そう思います。

Bishopから駆けつけてくれたいましさんとサル左衛門、
他にルートのないこのエリアにもずっと付き合ってくれたアラカワくん、
2度のツアーに同行して、最後までビレイをしてくれた福ちゃん、
その他大勢の皆さんに心から感謝です。
ありがとうございました。

Joshua Tree 2017 その5

2月25日 「最終ラウンド」
最後の最後で、やっとの思いで笑うことが出来た。

今日は暖かく、風も弱く、いい日和だった。
考えた末に、Barchar Toprope Wallに行ってアップ。
易しいルートと11aの短いレイバックをソロで何度も登り、
福ちゃんが張ったトップロープでBaby Apesも登って、体を起こした。
福ちゃんはBaby Apesを一発で仕留めて、またグレード更新。お見事でした。
Baby Apes

それからStingrayへ移動。
トップロープで確認して、最上部のスタンスも吟味してみたが、
結局は同じところに落ち着いた。
「これで決める」と臨んだトライで核心を越え、レストポイントに入った。
が、またすぐにパンプが戻ってきて、前回と同じところで同じ落ち方をした。
ここにきて、ミスではなく純粋にヨレ落ちしたことに絶望して、
もう無理だ、限界だ、と思ってしまった。
それでももう一回はトライすることに決めていたので、
1時間くらいレストして、2回目に臨んだ。

不思議なものだ。
一度疲れ果てて力尽きて落ちて、疲労も少しは残っているはずなのに、
これまでで一番安定した登りでレストポイントにたどり着き、
引き剥がされそうになりながら、ギリギリで押し切った。
サル左衛門の声援が、足りなかったもう少しの力をくれた気がする。
あとは、終了点でただ泣いた。

皆と抱き合って、暗い中を獣の鳴き声を聞きながら帰り、
買い物に行って、やっとこさビールを買って飲むことが出来た。



2月26日 「the day after」
夕べは3時間くらい寝てから何故か眠りが浅くなり、
あまりよく眠れないまま朝になった。
今朝は一時雨が降り、次第に雪に変わって、止んで日が差したら、
笑ってしまうくらい呆気なく乾いた。
朝食を作り、食べていても、起きているのか寝ているのか、
イマイチ判然としないくらいぼんやりとしていた。
なんとなくの実感があるだけで、いい夢見たなあくらいの穏やかな朝だった。

今日は福ちゃんが手早く宿題リストを潰しにかかった。
Barchar Toprope Wall(3日連続)でアップして、
Rusty WallでWanger Bangerを回収。
アラカワくんはトップロープでやって跳ね返されていた。
Wanger Bangerに挟まる福ちゃん

昼に一度キャンプ場に引き上げてテントを撤収。
そのままSplit Rockに行って、二人がRubicon(5.10c)をやって、
ツアーのクライミングは終了となった。
Rubicon

自分はと言えば、コンタクトすら入れず、ただ同伴している保護者みたいに、
やいのやいの言って写真を撮っているだけだった。
しぼりカスはしぼりカスらしく、大人しくしていたかった。

夕方、街に下って、モーテルでBishop組と合流。
最後にタイ料理を食べにいった。
全員満足してモーテルに戻り、洗濯と洗車を済ませて、今に至る。
使い果たして力の入らない身体は、疲れているというよりも、
スイッチが切れているようだ。
それならまた、どこかでスイッチを入れてやればいい。
まずは無事に帰りましょう。


2月27日 「少しちがう」
帰国日。
数時間寝て、4時に起きて、手早くパッキングしてモーテルを出発。
雨が降る中、ロサンゼルスに向けて走っていった。
夜が明けて、雨は止んで、多少の渋滞に巻き込まれつつロスまで3時間半くらい。
ハイウェイの下り口を間違えて、迷ったり給油したりしていたら、
ちょうどレンタカー屋が開く時間に到着。
空港まで送ってもらい、出国もスムーズだった。
手荷物にガチャ類を全部突っ込んだら、中身を検められたりしたけど。

そうして搭乗、フライト。
跳んで直ぐは眠気があったのですぐ寝たものの、
1時間くらいですぐ起きてしまい、結局映画を4本観て過ごした。
成田は晴れていて、ロスよりも大分肌寒かった。

今年も帰り道は至ってスムーズで、その点は去年と一緒だったけれど、
頭の中で考えていたことは少し違った。
疲れていたのでそもそもあまり考えていないのだけれど、
ぼんやりとした喜びがあった。
去年は感じなかったことだ。

空港からのタクシーでは半分以上寝て、長野に着いて一人でラーメンを食べに行った。
腹が減っては片付けすらできません。
自転車を漕ぐ足は軽かった。

Joshua Tree 2017 その4

昨日、日本に帰ってきました。

2月23日 「4ラウンド目」
今日はひどく寒い日だった。
テントに霜が降りていて、置いてあった水が少し凍っていた。

9時にHidden Valleyの駐車場に集合して、Real Hidden Valleyでアップ。
Loose Lady(5.10a)のあたりで数本登って、少し移動して、
Sports Challenge Rockでまた数本登った。
Sphincter Quits(5.9)はなかなかよかった。
仕上げの一本でLeave it to Beaverを去年よりも気持ちよく登れたところで、移動。

空模様は快晴だが、気温は今までになく低く、風も強く、とにかく寒い。
Stingrayも高いところは風にさらされていた。
トップロープでムーヴを確認したり、撮影用のフィックスを張ったりしていたら、
体が冷えてしまった。
とりあえず日向に逃げ、ぐるぐる散歩して温めて、リードでトライ。
核心のその上で足が滑ったものの、なんとか堪えてレストポイントに入った。
ここである程度回復したと思ったのも束の間、数手で一気にパンプが戻ってきた。
そして残り3手のところでフォール。
後でビデオを見直したら足が滑っていたが、詰めの甘さは即ちヨレからくるもの。
限界だったのかもしれない。
そして今日はちょっと寒すぎた。
カメラを構えていたいましさんもサル左衛門も死にそうだったので、
今夜はモーテルに行って温かいものを拵えて皆で食べた。


今後の予報は悪くないが、気になるのは風。
最後の勝負を前に、もう疲れて何が何やら分からなくなっている。
気持ちの整理は、明日することにする。


2月24日 「逡巡」
今朝は全員寝坊した。いつもよりもゆっくりした朝。
今日もテントに霜が降りていた。
気持ちはまだ整理できておらず、ぐずぐずと胸の内をかき乱していた。

Barchar Toprope Wall

今日はまずEcho Rock近くのBarchar Toprope Wallに行って、
福ちゃんが気になっていたBaby Apes(5.12c)を探った。
瑞牆の「果てしなき荒野」を思い出すような前傾トラッドフェース。
ムーヴはなかなか悪そうだった。
こちらは何もすることがないので、昼寝をしたり音楽を聴いたりして、
登れずに帰るときの言い訳を考え始める自分を、誤魔化そうとしていた。
が、埒が明かないのでStingrayのムーヴをまた頭の中で復習していったら、落ち着いた。
1回、また1回と繰り返して、どうにか整理がついた。



その後はRusty Wallに行って福ちゃんがWanger Bangerをやったものの、
核心で落ちて、こちらはこちらで残り数日にして宿題回収に追われている。
Wanger Banger

福ちゃんのトライは1回で終わり、夕方にHeart of Darknessに移動。
アラカワくんがトップロープでムーヴとプロテクションを確認して、リードでトライ。
1回目はいろいろととっ散らかった登りで、最後のパートでポロ落ちしたものの、
2回目で仕切り直し、夕闇迫る中気合の完登。
初の11がこのツアーで、それもクラックとは。
これからも頑張ってくれ。
Heart of Darkness



明日が恐らくは最終ラウンド。
長い一日になるが、長いだけでなく、いい一日にしたい。

2017年2月24日金曜日

Joshua Tree 2017 その3

ツアーも残り数日になり、いよいよ切迫してきました。

2月20日 「4回」
今日はレスト日。2人に付き合う。
福ちゃんがHot Rocksをやりたいと言うので今日もOutback。
それにしてもStingrayの負担は大きい。今朝は起きるのが一番最後だった。

さて、まずアップでアラカワくん希望のThe Flake(5.8)を登りにIntersection Rockへ。
The Flake

それからHot Rocksに移動。
福ちゃんは、今日こそは一発で仕留めた。お見事。
ほいほいと最高グレードを更新していって羨ましい。
Hot Rocks

続いて、アラカワくんがHobit Roof(5.10d)をやりに行き、
「OSしたら飯奢ったる」と言ったら本当にOSしてしまった。
うぬぬ、やられた。抜けるときに「どうよーぉぉぉ!」とか言ってたし。
Hobit Roof

その後Real Hidden Valleyに移動して、福ちゃんがLeave it to Beaver(5.12a)を探り、
アラカワくんが気持ちよさそうにSail Away (5.8)を登って早めに撤収。
Sail Away

今日はシャワーを浴びたかったが、洗濯をしたり、
福ちゃんの忘れ物を取りにキャンプ場に戻ったりしていたら、閉まってしまった。不覚。
Crossroads Cafeで夕飯を食べ、スタバに行って通信。
ここでやっと、サル左衛門がLucid Dreamingを登ったという報告を受けた。
やるだろうと思っていた。というよりも、そう祈って待っていた。
そうなるという気がしていた。
さて今度はこちらの番。

今日は2人のクライミングを眺めながら、頭の中で4回登った。
あと何回これを繰り返せば、現実になるのだろうか。
まずは明日、全力でぶつかるとしよう。


2月21日 「3ラウンド目」
昨日は遅い時間にスタバでコーヒーを飲んでしまったためか、いやに眠りが浅かった。
それよりなによりStingrayのトライのことが頭に浮かんでは消え、浮かんでは消え、
もはや消えてくれないまま眠りを妨げていた。
今朝はまた一番に起きて、ギアの整理をしていた。

今日は丸一日使えたので、アップのためにEcho Coveに行ってみた。
5.9から5.11cまでフェースを5本登って、丁度いいアップになった。
アラカワくんもちょびちょび登り、福ちゃんは明日に備えてレスト。
最後にアラカワくんの希望でEcho RockのTS Special(5.9)に行った。
キレイなスカイラインだが、どランナウト。
アラカワくんはJoshua Treeの厳しさに改めて慄いていた。

それから、Stingrayへ。
今日はトップロープを短めで切り上げ、長くレストしてからリードでトライ。
今日はじっくりジャムを決めていった。
核心の数手をほとんど無呼吸でねじ伏せ、最高到達点を更新。
が、その上の、いつも嫌なセクションで左足がスリップして呆気なく落ちた。
ここはいつも足下が悪い。嫌なイメージが現実になってしまった。
そもそもパンプした状態かであのまま押し切れたのだろうか。
とにかくワンテンで抜け、指はほぼ無事。
核心の感触は明らかに前よりもよくなった。
明日はフルレストで、明後日に勝負をかけたい。

トライできるのはあと2日。胃が痛くなりそうな日々はもう少し続く。


2月22日 「合流」
今日もまた、起きるのが遅かった。
起きるとテントの中でアラカワくんが玉ねぎを切っていた。
Stingrayをやった翌日は疲れが出るらしい。

今日はフルレストということで、二人に付いていった。
Real Hidden Valleyに行って、福ちゃんがLeave it to Beaverをやるので、
上からぶら下がって写真を撮ることにした。
2人がアップでSphincter Quits(5.9)を登っている間、
日向でゴロゴロとして、ギアを整理して、音楽を聴いてと、
レスト日を絵にかいたような状態だった。
おもむろに跪く人(ジャミング練習中)

福ちゃんはしつこくトップロープでリハーサルをして、
焦らずゆっくりと時間を使ってLeave it to BeaverをRP。
Leave it to Beaver

最後にアラカワくんがClean and Jerk(5.10c)に返り討ちにされ、本日は早めに撤収。
Coyote Cornerに行って、今日こそはシャワーを浴びてすっきり。
それからスタバでBishop組と合流。
今年のBishopは天候と道路状況が過酷だったらしい。
話ははずみ、明日の予定を立ててから2人のモーテルに行って、近くで外食。
これで毎晩シャワーが浴びられそう。
Bishopから来た御二方

明日は再トライの日。
今日もまた、頭の中で4回登った。
前よりも少しばかり現実に近づいているけれど、
それでも「登れなかったらどうしよう」という恐れが顔を出し続ける。
ここからが勝負、最終局面だ。

2017年2月21日火曜日

Joshua Tree 2017 その2

2月16日 「お腹が幸せな日」
レスト日。しかし丸々つぶしてしまうのは勿体ないので、
アラカワくんの希望でReal Hidden ValleyのThin Wallで半日登った。
Thin Wallは易しいルートが何本か並んでいて、手ごろな感じ。
とりあえず右端から順にソロで登っていって、7本くらいでやめた。
Thin Wall

昼過ぎに街へ出て行って、洗濯⇒シャワー⇒昼食という流れに。
お昼は去年何度も行ったタイ料理店に行った。
店員のおばちゃんが僕と福ちゃんの顔を覚えていてビックリ。日本人は珍しいのか?
料理はやはりおいしかった。セットで出てくるスープが美味いったらない。

その後はスタバでまったりして、買い出しをして帰った。
夜は福ちゃんが日本から持ってきたカレーを作った。安心の日本の味。
これでまた数日頑張れる。


2月17日 「風雨」
朝起きたときはいつも通り穏やかだった。
今日はOutbackに行って、まずは福ちゃんリクエストのSidewinder(5.10b)。
福ちゃんは去年フォローで登っただけだったので、今年はリード。
とくに危なげなく登っていったけれど、上部のトラバースは慎重だった。
Sidewinder


その後アラカワくんとDeflowered(5.7)を登って、Sidewinderも登っているうちに、
どんどん風が強くなってきて、岩の上に立つと飛ばされそうなくらいになった。
福ちゃんの希望でHot Rocks(5.11c)に行ったものの、弱まる気配なし。
折角なのでリードでリピートしようとしたら、核心手前でスリップして落ちた。
なんだか空模様も怪しい。それになにより寒すぎる。
登っていると風に煽られて落ちそうなくらいになった。
もうエリアにいるのも辛いくらいになってしまったので、午後のStingrayは諦めて撤退。
街に下りてスタバで時間をつぶした。

夜には雨粒が当たるようになり、予報では明日は雨。
まさかここにきて天気に阻まれるとは思っていなかった。
というかそもそも雨が降るんだな、この土地は。

2月18日 「沈殿」
まさかJoshua Treeでこの言葉を使うことになるとは。

朝から雨。湿った土のにおいに、日本の山を登っているような気分になる。
雨が降ってしまってはどうしようもないので、強制レスト。で、不貞寝。
朝食後にしばらく読書をしてから昼寝して、
あとからやってきたフランス人グループに起こされたりしたけれど、
ほとんど丸一日テントから出ないで過ごすことになった。
もう絵にかいたような沈殿っぷり。
今回のツアーそもそも時間がない。ここで2日のロスは痛い。

夜には雨が上がり、またいつものようにプラネタリウム。
しかしテントの入り口がなぜだか泥沼化してしまって、どうにも出入りが不快。


2月19日 「2ラウンド目」
朝から晴れ模様。カリフォルニアさんが機嫌を直してくれた。
地面はまだ湿っていたものの、丸一日登りに出かけた。

午前中は福ちゃんの希望でまたOutbackへ。
Hot Rocksの左の5.9をソロで登って、Hot Rocksはトップロープで登ってアップ。
それから、上からロープを垂らしてカメラを構えてみたものの、
福ちゃんは核心手前でスリップしてあえなく撃沈。
とりあえず写真はばしゃばしゃとそれなりに撮っておいた。
Hot Rocks

それからアラカワくん希望のHobit Roof(5.10d)に行ったものの先客がいたので、
Outhouse RockのStrawberry Jam(5.9)を登りに行った。これもソロで登った。
アラカワくんは核心でビビりまくっていたものの、手堅くゲット。
おっそろしいほどハンドジャムがよく効く快適なルートだった。
Strawberry Jam

週末ということで公園内は人で溢れ返っていて、
Wall Street Stamp Millの駐車場もいっぱいだったものの、
タイミングよく出る車がいたので、なんとか停められた。
時間は少し遅くなってしまったけれど、Stingray2日目。
今日は雨で流れてしまったチョークをつけなおし、ムーヴを少しやってから、
時間をおいてリードでトライした。
結果、核心の左手のジャムを取り損ねて落ちた。
まだ、いい勝負とは言えないトライだった。
その後核心はエイドアップで回避して、抜けるまでにもう2回落ちた。
とにかく、持久力が足りない。核心をこなしても、その後どこでも落ちそうだ。
ただし、ムーヴの修正点や上部でのレストの仕方などいくつか発見もあった。
幸いなことにテーピングなしでトライしたものの指はほぼ無傷。
これで今後も攻められるだろう。


ということで、収穫ありと言えばあり。むしろそう思わないとやってられん。

2017年2月17日金曜日

Joshua Tree 2017 その1

アメリカからこんにちは。
13日に日本を出て、今年もアメリカのJoshua Treeに来ています。
今回の目的は言わずもがな、Stingrayへの再戦です。
キャンプ生活なので、書いた日記を加筆修正して載せていきます。

2月13日 「また旅のはじまり」
毎度のように前夜は眠らずに、書きものをしたり、
NalleのLappnor Projectを観たりして朝を迎えた。
9時前にタクシーが来て、学生としては最後の旅が始まった。
成田空港までのルートがいつもと違い、茨城を経由したので、
途中思いがけず牛久大仏を見ることになった。
ウルトラマンかというスケールで佇む後ろ姿だけ、車窓から見えた。

今回のメンバー

成田に着いて、福ちゃん、アラカワくんと合流。最後の飯として天丼を食べた。
今回も利用する、安さの代名詞アメリカン航空。
しかし今回は機材が一新されたようで、以前ブローに行ったときよりも快適だった。
眠ろうにもほとんど眠れず、映画を3本観ていたら、快晴のロスについた。
入国審査も非常にスムーズ。職員が気だるそうなのは相変わらずだった。
レンタカーを回収して、あとは一路Joshua Treeへ。
4時間くらいを見込んでいたものの、実際は3時間たらずで着いた。
おかげで買い出しと国立公園のパスの購入も今日中に済ませ、一気に入園できた。
機内でも勉強熱心なアラカワくん

風車の群れ

明日からいよいよ始まる。
不安と確信の両方があり、今はまだ不安が勝っている。
それを早く逆転させたい。

2月14日 「スローにスタート」
これでもかというくらい寝た。7時過ぎに福ちゃんに起こされる。
そういえば深夜に一度起きた時に、遠くで何かの遠吠えが聞こえていた。コヨーテか?
今日はReal Hidden Valleyへ。
二人がまず易しいクラックを登りたいようだったので、Locomotor Rockで数本登った。
合間に、2本ソロした。去年登ったののリピートだけど。
今回はゆっくり研ぎ澄ましていく時間はない。少し強引でも、勘を戻したかった。
5.6をリードするアラカワくん

その後Sentinelへ行って、福ちゃんがIllusion Dweller(5.10b)をリード。
去年一度トップロープで登っていたのだけど、特に問題なくリードしたようだった。

それから本日の本題、Heart of Darkness(5.11a)へ移動。
トップロープを張るためにリピートした。いいルートなんだけど、短いの残念。
二人がトップロープでトライして、プロテクションやらなにやら入念にやっている間に、
トップロープで登って下りてをやってみた。
クライムダウンは案外すんなりできた。
やっぱりしっかり割れたクラックの方が、こういうことはやりやすいみたいだ。
最後の福ちゃんがリードでトライして、最後で落ちかけたもののギリギリ耐えてRP。
早速目標ルートを1本落として幸せそう。
Heart of Darkness

今日は去年登ったルートのリピートしかしなかったものの、
ジャミングの感覚は前よりも良くなっているようなので、明日から一気に加速しよう。


2月15日 1ラウンド目(2nd シーズン)
今朝は早くに目が覚めた。
3時半くらいからひたすら浅い眠りを繰り返して、6時半には起きて散歩に出かけた。
日の出は6時半から7時の間といったところか。

今日は午前中にStingrayに行ってみた。
イグアナドームの北面は少し東を向いているらしく、取り付きに日が入っていた。
日向は暑く、日陰はひんやりといういつものパターンではあるが、
コンディションとしては午後にやった方が良さそうだった。
それにしても、アップなしでいきなりトップロープでやるのは、流石に甘かった。
指が痛いこと痛いこと。そしてジャミングがいちいち気持ち悪い。
エッジに作った核心のレプリカは、結構甘かったことが判明。本物のが悪いやん!
しかしトレーニングの効果は一応あるようで、
テーピングを替えてからのトライで核心だけは繋がった。
それでもカムのセットと後半のヨレを考えると、まだ時間はかかりそうな気がする。
今日は深追いせずにやめた。

その後は福ちゃんの希望でRusty Wallへ。どうもツアー2日目はここに来るらしい。
福ちゃんがO Kelly's Crack(5.10b)とWanger Banger(5.11c)をやって、O KellyはRP。
見てわかるくらいにビビっていたけど。

暇つぶしに登ったら5.6くらいだった

最後に暗くなる中Hidden Valleyに行ってDouble Cross(5.7)をソロで登った。
アラカワくんもヘッドランプを点けてリードして、終了。