2015年10月11日日曜日

終りの見えない

昨日は、大ザルと海谷渓谷に行ってきた。
残雪や川の水量、気温のことを考えると、ここのシーズンは秋。
駐車場から海が見えるほどの場所なのに、目の前に数百メートルの大岩壁があるし、
その下の谷底には7月ですら氷山みたいな残雪が残っている。
日本人の自分ですら驚くほどの特異な環境のこの渓谷は、
なんだか他とは違う、むせかえるほどずっしり重い空気が漂っている。

・・・なんて物々しいことを書きましたが、まあ、とにかく面白いんです。

岩が大小さまざまで、高いヤツは本当に高いので、
マットは多いに越したことはない、と大きめのを複数枚持参。
が、駐車場からの道がしばらく来ないうちに荒れていて、えらく歩きにくかった。
まあそもそもマットを背負っていると歩きにくいのだけど。
かもしかがお出迎え

谷底に下りて、水が少ないので「ペコ」(初段)周辺へ。
予想通り、冬を跨ぐと岩が物凄く汚くなっている。土、埃、木や草の屑・・・
結局ここの岩は、前のシーズンに登ったものであっても、
毎シーズンごとに掃除しなおさないと登れないみたいだった。
大ザルは目当ての「にきび」を一撃。グレードは、どうやら5級くらいらしい。
にきび

「海の幸」「山の幸」の横の壁も掃除して、5級と6級2本を初登。
ここは壁よりもその上の棚ガバに乗っている土をどかすのが大変だった。
一番左の6級

それから、「にきび」の右面もトライ。
これは川のすぐ横だからか、かなり綺麗で掃除はほとんどしなくてよかった。
かなり要保持力な課題で、数回やったらできた。
「えくぼ」(2級)かな。下地が狭くてちょっと怖かった。
えくぼ

それなりに良さそうなところは登ったので、「ペコ」の横の岩に移動。
岩の下部が波打った形をしていて面白そう。
大きいので、懸垂下降して掃除したけど、この岩も比較的汚れが少なかった。
ある程度流心近い岩の方が、磨かれていて堅いし、掃除も楽みたい。
ラインが2本できそうだったので、まず右から。
右手縦スローパーから左上のガバスローパーに地ジャン気味に取り付いて直上。
「斑(はん)」、グレードは4級か3級くらい。

つづいて、そのSDにトライ。
そんなに難しくないかなーと思っていたら、離陸からいきなり悪かった。
スタートの辺りが低空ルーフなので、足の位置が悪くて狭い。
左手アンダー、右手つるつるのカチで強引に離陸して、
1手目で何度か落ちたけど、そこから2手目を止めたらそのまま登れた。
これは初段くらい。スタンドの合流まで意外に手数があった。
斑SD

その左の左上クラックからスタートするラインも登った。
グレードは「斑」と同じくらいだけど、こっちは掛りのいいスローパーを繋ぐ気持ちいい課題だった。
名前は「紋」で。
そのSDも出来そうだったけど、明らかなスタートホールドがパカパカ浮いているので次回に回す。
大ザルはその左にある岩にも一本ラインをひいて初登していた。

この頃にはガスが降りてきて、天気が怪しくなってきたので、
入り口の方に戻って「渇望」のケイブなんかを見学。
「渇望」もいましさんPも悪そうだったけど、その対面の「サブカルおじさん」が一番悪そうに見えた。
なんだか疲れてきたので「渇望」は次回やるということで、
初めて来たときに登った「ベムラー」の下地が下がっていたのでそれを登りなおす。
前にやった時は完全にスタンスだった棚がちょうどいいスタートホールドになっていた。
激しいヌメりと、掃除や河原の歩きで溜まった変な疲れで、えらくしんどかった。
ベムラー

初登時は2級か1級っていうことにしていたけど、これでしっかり1級という感じ。
スタートがはっきりしたし、上部の緊張感が増して、課題としては良くなったかも。
大ザルはその左の方の高いスラブを登っていた。

このスラブは5級くらいかな。見た目よりも悪くてビビった。

そんな感じで4時を回ったので、終了。
本当は泊まりで開拓を進める予定だったけど、予報が完全に雨なので帰った。

人数が少ないし、今は日が短いのでなかなか進まないけれど、
今回は何とか簡単なのものも含めて7本初登できた。
それで、よく言われていることだけど、初登と再登では全く違うな、ということを感じた。
初登は完全にゼロの状態からラインもムーヴも考えていかなければいけないわけで、
再登には少なくとも、「そこにラインがある」という情報があるし、
「ここはこんな感じのムーヴで登れる」という既成事実がある。
そうやって前もって手にしているものがあるか否かで、感じ方は全く別のものになる。
勿論、大抵の場合、初登は掃除というある意味一番大変なプロセスを含んでいるのだけど、
ここの岩の場合は毎度毎度掃除をし直さないといけないことが多いので、
だから余計にラインやムーヴのことが際立っている気がした。
初登という行為にグレード以上の価値があるとみなされるのは、それによるところもあるのだろう。

駐車場に戻った時の疲労感はかなりのものがあったのに、
考えてみると、僕らが登ったのはまだ入り口近くの岩のみ。
シーズンの短さも手伝って、全く持って果ても終わりも見えやしない。

2015年10月7日水曜日

岩塔ハンター

瑞牆の開拓者の一人である某氏は、一部でこう呼ばれているのだとか。

今日は大学の授業がないので、紅葉が盛ってきた瑞牆へ。
天気は最高だったけど、とにかく朝から風が冷たかった。
駐車場で、もはやこっちに住んでるんじゃないかというくらい居るもとえさんと合流して、
今回は行ったことのない骨肉の岩塔に探検を兼ねて出かけた。

そもそも骨肉の岩塔がどこにあるのかというと、
富士岩のすぐ上、というか横にひょっこり立っている。
植樹祭会場からだと、富士岩のかたまりの直ぐ右にぎりぎり見えている。
ちなみに、富士岩と七面岩の間に見えている目立つ岩は、堡塁岩というらしい。
トポを見ていたら名前だけ書いてあった。

十一面方面に行く道から分かれて、行く先が見えにくい樹林の中をしばらく歩く。
この辺がどうにもはっきりしなくて分かりにくかった。
一応微妙に残っている踏み跡を追っていったら、
ちょっと急な坂を上ってすぐに尾根が見えてきた。
ここの尾根はこんなに低かったっけか。
道はそのまま富士岩と骨肉の岩塔の間のコルへと伸びているようで、
適当なところから目星をつけて右の方へトラバース。
藪が深いわけではないので、この辺りはどこを歩いても大体問題なかった。
結局、ほぼ迷わずに岩の基部に到着。
「からだあらい」の取り付き

ここには恐らく、友達くらぶとかが昔そのまた昔に来ている可能性があるけど、
現在認知されている(トポに載っている)のは「からだあらい」(5.11c 3P)だけらしい。
このルートがなかなかいいルートらしいので、今回はそれを登る。

1P目(5.11b)はかなり寝て見える細いスラブを登っていくピッチで、
ボルトがそれなりに遠くて緊張感があるものの、
何か所かカムが入る部分があるし、ムーヴが一区切りつくとボルトがあるので、
見た目ほどランナウトが気になることはなかった。
中間のテラスから先はずっと微妙な難しさが続いたけれど、
ルート名の由来になっている洗面器大の穴に立った後が一番の核心で、ちょっともじもじ。
結局、見た目より傾斜がないので思い切って足に立ったら問題なくできた。
35メートルで結構登りごたえのあるピッチだった。
日当たりがよくあまり風が当たらないのでぽかぽかで快適。

スラブ上の立ち木をつないで登る2P目(5.8)はもとえさんがリードして、
トポでは岩の肩に一度乗越して立ち木でビレイということになっていたのだけど、
肩に上がってしまうと冷たい風がもろに当たって極寒だったし、
3P目(5.11c)のビレイもしにくそうだったので、
フォローで上がった僕が3P目のラインの真下にある水平クラックにカムでビレイ点を作り直した。
多少ハンギング気味になるけど、こっちの方がいろいろ楽だろう。

で、最後の3P目。一応、このルートの最難ピッチということになる。
これまで登ってきた岩の上に、四角い岩がちょこんと乗ったような形になっていて、
その真ん中をかなり明瞭なホールドで登る短いピッチ。ボルト3本。
出だしと中間部(と言ってもかなり短いけど)でリーチの必要なムーヴが出てきて、
フォローのもとえさんはしんどいだろうな、とか思って登ったけど、
落ちずに抜けてきたので、ちびっこムーヴがあるものと思われる。
核心を抜けた後の、ものすごい出っ張ったダイクのハンドトラバースが楽しかった。
如何せん短いのが残念だけど。

頂上は言わずもがな風がびゅーびゅーで寒いので、さっさと懸垂下降。
1P目上のビレイ点まで、60のロープ一本でちょうど降りられるくらい。そこからは歩き。
ルート自体が短いので、下降もすぐだった。
取り付きに戻って時計を見たら、12:40。半日仕事でした。当然か。

その後は隣の堡塁岩を探検。
なんと、駐車場からあれだけぴょっこりそそり立っているように見えるのに、
コルの方から歩いて頂上まで抜けられてしまった。
ちょっと拍子抜け。
まあ、岩塔ハントとしては案外お手軽でいいか。
ちなみにこの石は押すとぐらぐらします

不動沢がこんな風に見える

手前のスラブフェースからピークに抜けるのが「からだあらい」

思ったほど大きな岩ではなかったけど、あっちこっち登って降りてしてみたら、
狙いどおり、良さそうな場所を発見できた。
そんなにハードではなさそうだけど、新しいラインが引けそう。
一番下部のブッシュがうるさい壁から何ピッチかで繋いできたら楽しそう。
そんな感じで、シーズンの終わりにも関わらず、開拓熱がまた上がってきてしまった。

キノコを探しつつ歩いていたけど、こっちは成果なし。さすがにもう終わりか。
不動沢に行っているカワバタさんらを迎えに行って、
待っている間にまたキノコを探してみたけど、結果は変わらず。
まあそれが目当てで来たわけじゃないからいいだけどね。

「からだあらい」は短いけれど、それなりにいいルートだった。
ただし、トポの表記にはいくつか間違いがある模様。
1P目の大穴にC4が入るとあったけど、実際は入らなかった。
2P目の出だしもポケットにC1が入るとあったけど、実際はC0.75もほとんど効かなかった。
ここはもっと小さいエイリアンとかで誤魔化すか、
落ちない前提まで立ち木まで伸ばしてしまった方がいいかも。

驚いたことに、骨肉の岩塔はかなり近かった。
迷わなければ、十一面岩の正面壁に行くよりよっぽど近い。
大物ではないけれど、そもそも残されたものが決して多くない僕らの世代は、
こうした前世代の忘れ物みたいなものを拾っていくことになるのだろう。
それに、小粒であっても、美味いものは美味いのだ。

2015年10月6日火曜日

会う

この週末は、ちょっとミーハーになってみました。

土曜日、かなり早めに出て小川山へ。
何故か夜明け前にやってきていた寝不足のイケダくんと合流して、
金峰山荘の前で待つこと1時間ほど。
ジャンボさんらと一緒に、背の高いカナダ人がやってきた。
スコーミッシュでCobra Crackを初登したソニー・トロッター。
DVD「First Ascent」を当時夢中になった僕としては、
この人が来日するからには見に来ずにはいられないわけで、
そりゃあ柄にもなくミーハーにもなります。
息子のティタムくんを抱いていたので、パッと見たら観光客に見えたけど。

イベントの説明があって、短い挨拶があって、
ジャンボさんが「こいつがガイドだから」と紹介してくれたので、
Ambrosiaがどうだったとか、最近どんなルートを登ったのとか、ちょいちょい話しながら林の中へ。
折角ソニーが来ているし、イベントで人数も多いので、
普段あまり登られていない高さのある課題をやろうということで、
クジラ岩の裏面(人気のない面)の課題をメインにセッション。
ソニーに「これ、シュテファン・グロヴァッツが初登した課題だよ」と教えたら、
「おー、スゲーな」と感心して、10台のスラブでも登るみたいに登って見せていた。
ソニー on グロヴァッツスラブ

同じくイケダくん

懐かしいなーとか思いながら周辺の課題を数年ぶりにリピートして、
マットが積まれはじめた「ピノキオ」(3級)をやってみたら、
上部のクラックがえらく汚くて、あんまり恐ろしいので一度クライムダウン。
チョークバッグをつけて2回目でひーひー言いながら登った。
クラックの中までコケが生えていたら、そりゃ誰だってビビりますよ。
その後、完全に人気課題となったピノキオ

さらに、その右の「穴フェース」(初段)も抜けのカンテ周辺を掃除してからトライ。
最初のトライで「ヘヴンズゲート」(二段)の方にちょっと突っ込んでみたら、
ホールドが全く見えない上に探っても触るのはコケばかりなので、飛び降りた。
ソニーが先陣を切って「穴フェース」の方に抜けていったけど、上部はさすがに結構迷っていた。
降りてきて「掃除ありがとう」と言われた。
そのまま僕も、ソニーのムーヴをマネして突っ込んだら登れた。
カンテを乗り越すまでずっと気が抜けなくて緊張した。
「シークエンスありがとう」とお礼を言ったら、「Team effortだ」とのこと。
あまり登られていなくて上部は自然に還りかけていたけど、いい課題だった。
ジャンボさん on 穴フェース


その後は「ミダラ」(二段)を登って、「真夜中まで」(三段)をバラして、
繋げてみたけど「ミダラ」の核心をヨレてこなせず。
スパイアーの右の4級も久しぶりにやったけど、相変わらずやたら悪かった。
過去に登ったかどうか覚えていない「田嶋ハング」(初段)を登って、
イベントスタッフとソニーたちは夜の部のために、早めに引き上げていった。
こちらはまだ時間がありそうだったので、水晶スラブ下に移動。
これも相変わらず進展しない「頭痛」をやっていたら、
女の子が周りの大人を寄せ付けない強さで「静かの海」を登るところを目撃して、しばし唖然。
まだ小6だと聞いてさらに仰天。
「これからが楽しみ」とか偉そうに言える立場じゃないので、
とりあえず静かに燃えていようかな。

夜はナナーズの駐車場でアンバサダー2人のスライドショー。

ジャンボさんの奥秩父サーキットの話と、ソニーのこれまでのクライミングライフの話。
特に近年日本ではあまりニュースを聞かなかったソニーのクライミングのことを聞けてよかった。
スライドショーが盛況に終わった後も、たき火を囲んでジャミングのコツなんかを教えてもらった。

その日のうちに瑞牆に移動して、数年ぶりにコビッキーと再会。
時間が過ぎるのを忘れて話していたら半分くらいの月が十一面の左から昇ってきた。
気づいたら体が冷え切ってしまっていて、もうぶるぶる。
冬用のシュラフを持って行ってよかった。


日曜日は10時にゆっくり瑞牆の駐車場に集合して、末端壁に行った。
クラックマスターソニーとクラックを登ろうということらしかった。
そういえば駐車場を出る前に未来にも会った。
なんだかD-16メンバーの同窓会みたいだったな。

ソニーが水のしたたる「ワイルドカントリー」のコーナーから「T&T」(5.10d)を登って、
続いて「トワイライト」(5.11c)も余裕でオンサイトして、周りを沸かせていた。
「トワイライト」中間部のワイドで「おー、なんだこりゃ」とおどけていたけど、まあ余裕だった模様。
それまでビレイヤーに徹していた僕もなんだか登れそうな気になって、
アップのつもりで「アストロドーム」(5.11a)をやったら落ちかけた。
混んでるからとか文句言わずに、ここにも通わなきゃダメかな。

スタートがゆっくりだったのであまり時間がなかったし、日がガンガン当たって暑かったけど、
折角来たのだからということで「フリーダム」(5.13a)もやってみた。
下部のボルト3本分が核心で、ここでやられてあっけなくオンサイトは逃した。
幸いその核心は割と得意系らしく、ムーヴはすぐに解決して中間部の長いコーナーへ。
ここは精々11台なのだけど、持ってきたプロテクションが少なかったのでランナウト。
既に疲れてしまっていたので、コーナーの中で一度テンションして、
コーナーの終わりの怖いセクションを必死でこなして、
最後のちょっと悪いセクションも読み間違えて一回落ちてから抜けた。
ソニーは時間がなくてトライしないということなので、そのまま降りたら、70mのロープでぴったり。
充実感も緊張感もあって、なによりラインが綺麗で素晴らしいルートだった。
出来るだけ間をあけずに、今度はRP狙いで来よう。

下山して、その後は川上のお店でイベントの打ち上げ。
ウーロン茶が気に入ったらしいティタム

ジャンボJr.と遊ぶソニー父さん

運よくソニーの隣に座ったので、クライミング以外のことも含めていろいろ話した。
カナダ人は晩婚な人が多いんだ、とか、
クライミングがオリンピック種目になったよね、とか。
そうやってソニー一家と話をしたり、ジャンボJr.と戯れたりしていたら、
楽しい時間はあっという間に過ぎて、お開きになった。
別れ際、ソニーに「じゃあ、勉強頑張れよ」と言われた。はい、頑張りマス。


楽しい二日間でした。こんなにただただ楽しんだのも久しぶり。
言わずもがな、ソニーと一緒に登って、話をする機会を持てて本当に良かった。
自分にとってのヒーローだった人が、ある時突然目の前に現れたりする。
いつ、どこで、どうつながるか、分からないものです。
ソニーは聞いていた通り、非常に気さくで、ひょうきんで、そして強かった。
それに加えて印象的だったのは、夫となり、父となった後も精力的にルートを拓いていること。
北米にはDaddy Strengthという言葉があるらしい。
冗談めかして使われるこの言葉を、ソニーは信じているのだそうだ。
父親になって改めて得た強さもあるのだとか。
「子どもが生れると確かに時間は限られてしまうけど、その分集中力は上がってるし、
いずれ息子とクライミングで僕が得られた喜びを共有出来たら嬉しいね」
彼は近年Family Manという14bのクラックを初登したそうで、
その名前が彼の考えをそのまま表しているようだった。

ソニーに限らず、イベントではいろいろなコネクションが出来た。
それも含めて、本当にいい週末でした。

2015年9月24日木曜日

ふたつめ

シルバーウィークは天気が良くて、本当によかった。
実家の畑で草むしりをして腰が痛くなったりしたけど。

昨日は、いましさんと我が家ふたりで瑞牆へ。もはやいつものメンバー。
おそらく今シーズン最後の不動沢最奥部ということで、お互いに気合が入っていた。
家を出たときはここ数週間で一番いいんじゃないかというくらいの天気だったのに、
瑞牆に着いたらいまいちどんよりした空模様に。
まあ雨が降りそうな様子ではないので、そのまま岩場へ。

今回は矢立岩から。
手ごたえを感じた前回からかなり間が空いてしまったので、
ホールドを今一度掃除してムーヴをしっかり組み直すところからやった。
やっぱりこういうルートは、一時期に集中してやらないとダメ。
インターバルがありすぎると、ムーヴを覚えていてもホールドが見えなくなる。
結果、リハーサルにかなり時間がかかってしまった。
「我にかえるとき」と分かれてからレッジでのノーハンドレストを挟んで二つに分けられるのだけど、
前回一番難しく感じた最初のパートより、二つ目の傾斜のあるパートの方が嫌に感じた。
プロテクションのセットも含めて念入りに確認して、取りつきに戻る。

辺りは完全にガスの中。晴れるんじゃなかったのか。
こういう状況って、なんだか妙に緊張してイヤなのだけど、どうせ晴れていたって緊張はする。
ギアを準備して、メットを被って、短いレストの後、いましさんがスタンバイしてからスタート。
中間部までのフェースはやっぱりランナウト。
ここは巨漢が落ちても抜けないだろうというくらいよく効くカムを固め取りしているので、
結構なランナウトでもあまり怖く感じない。
巨大な水晶穴の上のダイクにマントルを返して、ノーハンドレスト。
ここからがオリジナルパート。
前半のフィンガリーなスラブをイメージ通りにこなして、
レッジ手前のいちばんランナウトしている所でポケットにナッツを入れる。
見えないポケットに入れて回転させてきめるので、ちょっと面倒くさい。
なにより、ランナウトした状況で一度完全に止まらなければいけないのが辛かった。
それから左にトラバースしてレッジへ。

レッジで頭上に釣り用のおもりより小さいナッツを突っ込んで、ひたすらにレスト。
この傾斜なのでパンプはしないけれど、この先では落ちられないので、
気持ちを入れるのに時間がかかった。
長々とレストして、心が決まってから最終パートに突入。

2,3手登ったところの岩角にスリングをセット。
これもちょっとしたことでぽろっと外れてしまいそうだった。
万が一落ちた時に、少しでも下のナッツにかかる衝撃を軽減してくれたら、という気休め。
そこからは鋭いホールドを繋いでリップまで5手。
4級くらいだけど、ここが一番ムーヴ的にも精神的にもしんどかった。
レッジでレスト中に何度もイメージしたムーヴの通り流れて、テラスに這い上がった。

今回は久しぶりにグレード以上のものを求められるクライミングだった。
「Landmark」「我にかえるとき」はどちらもボルト交じりのルートなので、
こういう登った後のどうしようもない高揚感は「二十億光年の孤独」以来だった気がする。
そう考えると、その類のクライミングの経験はまだまだ浅いのかもしれないな。
イギリスで登ったルートはどれも短く、ハイボルダ―を登っている感覚だったので、
今回のこうしたロープもプロテクションも使ったボールドなルートとはちょっと異なる。
個々のムーヴだけでなくプロテクションのセットにも集中しなければならないわけで、
登るごとに追い詰められていくようなあの緊張感は、やはり独特のものだった。

ルート名は「胎動」、グレードは5.12b R/Xといったところ。
ムーヴの難しさでいえば、「Landmark」と似たくらいでした。

その後は弁天岩に移動したものの、思いのほかこちらで時間を食ってしまったので、
大ザルは今回もトップロープでのリハーサルのみ。
1P目の最上部はこんな感じらしい

一日にトラッドルート2本はちょっと時間がかかりすぎる模様。
来シーズンはお互いに1日ずつ付き合うようにした方がいいかな。
大ザルのプロジェクトは、これで4シーズン目を迎えることになる。

うす暗い森の中、恐る恐る歩いて帰った。日が短くなったなあ。


雨が続いた今シーズン、結局ここまでで初登出来たのは2本だけ。
もう1回くらいは行く機会があるかもしれないけど、1回で掃除から初登までやるのは到底無理。
でも、自分が開拓に求めているのは量よりも質なのであって、
そう考えると、短いながらも決して悪いシーズンではなかったなと思う。

易きに流れ、妥協に妥協を重ねて拓いたようなものに価値はないだろう。

「胎動」の使用ギア


2015年9月21日月曜日

しっとり

シルバーウィークが始まっていますな。
やっといい天気の巡りになったようで、よかった。
先週金曜日にエッジのマンスリーウォールに連休用課題をつくったりして、
この週末は鳳来で合宿でした。
尾崎家、丹羽家に小DKとうち。参加者多めで前回より賑やか。

前回雨で行けなかったので、今回は両日とも鬼岩で登った。
当然のように下の駐車場から歩いたわけだけど、まー暑い。
そういえばこの季節の鳳来はジャングルのようだったな。2年ぶりで忘れてた。
前日に雨が降ったみたいで、壁の上の方から水が垂れてるし、
いつもはないところに水溜りがあるし、
なんだかコンディション悪そうだったけど、とにかく登る。

毎度よく登る「かみなり」と何度登っても気持ち悪い「あんこ」を登って、
「アクシデントウルフ」がやりたかったけど8人待ちに恐れをなした小DKとがっかりエリアへ。
小DKは「ジェットシューター」、僕は「アラバスタ―」(5.14a/b)にトライ。
何年か前の合宿でサル左衛門が瞬殺した(らしい)この「アラバスタ―」、
10メートルの水平ルーフという、なんというか、最も今の自分らしくない感じのルート。
~らしさなんてものはほとんど気にしないんですけどね。
何はともあれやってみたら、案の定前半のボルダ―パートでどハマり。
いまいち収まりの悪いエッジを繋いで、ランジがあって、足がぶらんぶらんする。
手順があれこれありそうだったけど、どれも上手くいかないので、
結局フルスパンに近いランジで一応解決。
その後のパートもバラしたけど、「どこいったんやー」(5.11a)に入るまで悪かった。

小DKがいい動きで「ジェットシューター」を2撃して、もう一度「アラバスタ―」をやって、
ランジの辺りのムーヴのイメージが良くなってきたところでこちらは終了。
りんたろーとユーキの二人は「大洪水」にやられまくっていた。
慣れない岩質のせいなのか、それとも単に外のリードが怖いのか、
えらく動きが悪かった気がする。

夜はとうえい温泉と久しぶりの大崎屋旅館でゆったり。
若干寝不足気味だったので、早めに就寝。


日曜日、鬼岩の河原に行ったら、すごいサイズのミミズを発見。
長い

興奮して触ったりしたら、体液を噴射されて手がべたべたに。
手を洗いに流れのあるところまで行ったら、滑って転んで片足が水没。
ミミズの祟りじゃ。恐ろしや。

前日と同じように「かみなり」を登って、「どこいったんやー」も登って、この日も「アラバスタ―」。
試しにつなげてみたら、ランジに出るまではなんとか繋がった。
止まらなかったけど、なんとなくイメージは出来てきた。
それにしても指皮がないので、長くやらずに降りる。
小DKの「アクシデントウルフ」のビレイをして、
次のトライはランジの後ゾウの鼻みたいなガバに入るまでの部分をやった。
そうしたら、ここもやっぱり悪いことが判明。
スタンスがどれもあまり良くないし、フックもいまいち効かないので、強引になる。
この部分がいまのところ一番グレーです。
ガバから「どこいったんやー」に入るまでの部分もやって、
ここはいい感じのムーヴが見つかったので大分楽になった。

「アクシデントウルフ」をバラした小DKも、湿気と疲れで印象はあまり良くなかった様子。
「コンディションが良くなってきてからやるべ」ということで、また次回。

少年男子たちは「大洪水」を無事に片づけて、「卒業」に着手した様子。
こちらはだんだんと動きが良くなってきたらしい。
それだけでも、外で合宿をやる意味はあるのかな、と思う。

参加者の皆さん(特に尾崎ママとユーキ)お疲れさまでした。

2015年9月15日火曜日

掃除は疲れる

今日は単身瑞牆へ。
そろそろ涼しくなってきたし、今回はボルダ―。
いいシーズンに向けてあれこれ種蒔きしようと思ったのだけど・・・

まず「言葉と物」をやりたかったので、皇帝岩でアップ。
この時点で、「やっぱりヌメるわ」と実感。
台風が去った後、ここ数日久しぶりの天気が続いたけど、
森の中にはまだ湿気が籠ってしまっているらしい。
それでもそこそこ気持ちよく登れはするので、
フェースの三種の神器シリーズと、保持系のアップで「Vock」もリピート。
体が動いてきた気がしたので、言葉岩に移動。

先客がいたので、一緒にやらせてもらう。
とりあえずムーヴの確認、と思ったら、下に川が流れていて岩も湿気っぽい。
コンディションが明らかに悪いので、もうムーヴの練習に徹する。
で、核心のランジを久しぶりにやってみたら、これがもう止まらない。
そもそもどっちのホールドもコンディションが重要なタイプなのに、
ヌメってヌメって仕方ないので上手く飛び出せず。
痛いのを我慢してカチを握っていた右手はすぐに穴が開いた。
おいおいおい、スタート最悪じゃないか。
コンディションのせい、ということでまた次回。

一緒にやっていた人が大面下に行くということなので、案内を兼ねて便乗。
マット2枚とロープその他を担いで上がると、さすがに重くてしんどい。
こちらは案外乾いている岩もあった。やっぱり川から遠い方がいいな。
もう既に指から流血しているし、折角ロープを持ってきたので、
完全に自然に還りつつある「No Name」を再生すべく、大掃除を開始。
そういえば初めてトップアウトのホールドを上から見たけど、これは恐ろしい。
これだけ登ってきたんだから最後はご褒美でもいいでしょ、とか思わんでもないけど、
瑞牆のハイボールは辛く厳しいのであります。
ということで、上部から結構気合を入れて掃除。
緑のコケとイワタケと両方が生えているので、なかなか大変。
1時間以上ぶら下がっていたらしい。
掃除が終わるころには右手の指にマメができていた。結局また右手・・・
ともかく、これで前よりはまともに登れるようになっただろう。
狙っている皆さん(って、ほとんどいないか)今シーズンがチャンスですよー。

しばらく休憩して、坂を上って「不可視」(初段)をやりに行った。
見た目は綺麗なのに、エリアの一番奥、というか上にあって不遇な感じの課題。
一撃を狙ったものの、どうも右手で持ったカチがやたら痛くて萎えた。
どうもブラシをずっと握っていたせいか、指がすでに終わっているらしい。
コンディションが悪いので必要以上に力を入れないと持てないけど、
皮とかではなく指そのものが痛むのでどうしようもない。
核心のポッケ取りまで繋がったりしたけど、ヌメりと痛みに耐えかねて止め。
あー、敗退しちゃったな。
アプローチがちょっと面倒だから今回登りたかったけど、残念。
コンディションがいい時に楽しんで登れればいいか。

それから下に戻って「ハレ」の岩で「群晶」(二段)をやってみたけど、これもさっぱり。
あ、今日はそういう日なのか、という感じ。
あまりにダメダメなので、隣りの無名の二段もちょっとだけ触って、終了。

ちなみに、以前「ハレ」の上に倒れ掛かっていた倒木が落っこちて、
「ハレ」の真下に転がっているので、どうにかしてどかさないとトライできそうにありません。
ノコギリを持っていくか、大勢で動かさないといけない模様。

まあそもそも本気で登るにはまだコンディションが悪すぎた。
最近ジムで登っていて調子が上がってきた気がしていたけど、これ如何に。
人工壁の調子は上がっているけど、岩はまだまだ、とか。
僕の場合、岩の調子が上がらないことにはどうしようもないんだけどな。
とにかく、次はもっといい時期になってから行こう。

唯一撮ったけど、どうして撮ったのかよく覚えていない写真

2015年9月14日月曜日

雨のち晴れのち

今年の天気は、やっぱりおかしい。
嫌がらせかというくらいの雨がやっと上がって、
久しぶりに晴れ間が見られそうだったので、
昨日は地元から現実に戻ってきたばかりのイケダくんを駆り出して瑞牆へ。
まだボルダ―には早そう、というか森の中はじっとりだろうし、
同じ理由で不動沢も濡れていそうなので、十一面でマルチということになった。

今回は出来るだけツルベで登りましょうということで、
選んだのは「錦秋カナトコ」と「山族79黄昏」をリンクしたルート。
正面壁までちょっとハイペースで歩くと、案の定音をあげ始めるイケダくん。
自覚はしていても、ペースを落とす気は全くない僕。

朝は雲の中だったけど、取りつきに着いたら晴れた。
ちょっと岩が悪そうな1P目(5.8)は僕がリードして、
続くちょっと悪そうな2P目(5.10a)はイケダくんがリード。
出だしにある核心のレイバックでぷるぷるしていたけど、落ちずに抜けた。
宴会テラスをちょっと歩いて、「山族79黄昏」に入って次の3P目(5.8)もイケダくん。
これも簡単なのにいまいちジャミングやカムが入りにくいランぺみたいなピッチでちょっとイヤ。
まあそれくらいのもの、この先いくらでもあるんだから我慢しておくれ。
4P目(5.8)と5P目(5.10b)は僕がリードしてトップに抜けた。
5P目の最初のオフウィズスは見た目よりずっと簡単で安心した。
盛大に顔をしかめながらフォローしてきたイケダくん、
頂上に着くと荷物からこんなものを取り出してよく分からんムードに浸り始めた。
飲酒・喫煙ではなく、ノンアル・じゃがりこ

曰く「ハードボイルドを目指す」のだそうです。
彼はその後帰るまでに「これ、ブログのネタに使えますよ」とあれこれ戯言を言いましたが、
残念ながらなにひとつ記憶に残りませんでした。

5ピッチだけでは物足りないので、本当なら「山河微笑」を登りたかったのだけど、
懸垂下降していたらロープがひっかかって抜けないという恥ずかしいハプニングがあり、
思いの外時間を食ってしまったので、ルートを変更。
奥壁に移動して「Joyful Moment」を登ることにした。

1P目(5.8)の左上クラック~腹這いトラバースは僕、
2P目(5.9)の長そうに見えて実はそうでもないクラックはイケダくんがリード。
2P目は岩があまり良くないようで、ぽろぽろして怖そうだった。
ちょっとぷるっとしたところもあったけど、概ね問題なしで抜けていった。よかった()。
3P目(5.8)は小ハング越えから短いワイド。さすがにこれは僕がリード。
トポにはリービテーションが云々と書いてあったのでビビったけど、
実際は奥の方にきちんとジャミングが効いたので簡単だった。
ワイド初体験が、まさかのマルチ3ピッチ目のハードボイルド(仮)くん

あとは最後のおまけ(5.7)をイケダくんに行ってもらって、トップアウト。
雲の中になってしまって、周りの景色がよく見えなくて残念。
グレードは低かったけど、初めてのルートを2本登ってそれなりに満足。
ということでササッと歩いて下降して、暗くなりかけた森の中を帰った。


今日は弁天・矢立で大ザルとお互いのプロジェクトをやる予定だったのだけど、
天気が怪しい中瑞牆まで行って、駐車場で「様子見だなー」とか言ってたら降ってきた。
アプローチを歩くこともなく敗退ということで、素直に帰ってエッジで登った。
天気に恵まれなさすぎて、やろうと思っていた開拓が進みません。
一気に涼しくなったし、次に行ったら何としても・・・