2021年10月25日月曜日

突然来るシーズン

先週は雨が降るのと同時にいきなり寒くなった。
南アルプスの稜線も白くなっていたし、下界に近いところにも着々と冬の足音が。
ついこの前まで夏みたいな暑さだったのに。年々秋が短くなっていく。

土曜日は今週も瑞牆でボルダー。天気はいいけれど風が吹いて寒かった。
体感としてはもう12月のそれ。急すぎやしませんか。

混みあう駐車場にギリギリ停めて、アップがてら皇帝岩下エリアに行ってみた。
花畑とかラフレシアを登ったことはあるけれど、その周りの課題はよく知らず。
一通り見て回って、スプリットエッジ(3級)の辺りで登った。
スプリットエッジを登って、エッジオブトゥモロー(1級)も登って、
すぐ近くの葛の葉(初段)も冷え冷えのコンディションに助けられて登れた。
エッジオブトゥモローというのは、オールユーニードイズキルという映画の原題だった気がする。
紅葉と緑が混じる

皇帝岩に移動して、本題の高き御座。
前回できなかったスタンドへの合流の一手は、これもコンディションのおかげで案外すぐにできた。
「こ、これは!」と気を良くしてスタンドをやっていくも、昔のムーヴでは当然できず、
今主流になっているらしいムーヴにするとヒールがちょっとシビアになった。
これは股関節の柔軟性が相当にものを言いそう。
太ももの裏がバキッといいそうになりながら頑張ったら、なんとかムーヴの目処は立った。
これにSDからの数手を足すとなると、出来るイメージはまだ湧かない。
そもそもスタンドもまだ登り直せていないわけだし。
ムーヴは8割がた出来たので、あとはコンディションが良い時にどれだけ通えるか、というところか。

ほどほどに疲れを感じたところで、ほうとうに移動。
皇帝岩は寒かったけれど、こっちは沢沿いに風が抜けてさらに寒かった。
前回細切れにしかできなかったムーヴをそれぞれやっていく。
恐らく単体での強度が一番高い2手目は高速タッチが限界。
足の使い方は何通りかあるものの、どれも十分に飛距離が出せず。
これを解決しないことには可能性が見えてこないな...
ヒールがぶっ壊れた中間の数手は別のシークエンスを見つけてなんとか解決。
なんだかブローのBig Islandが思い出される(トライしてないけど)。
リップを取るところまでバラしたところで日が暮れてきたので撤収した。

最後に山形県エリアにちょっと寄り道して、トラツグミ(3級)と鳥馬(5級)を登った。
どちらもグレードはあまり変わらない気がした。

日曜日はあさこさんに付き合って小川山で屋根岩5峰に行った。
この日は前日と違って日差しが強く、日向はちょっと汗ばむくらい。
それなのに日陰には最近降った初雪が残っていて、なんだか感覚がマヒする。
ビレイの合間にこんにちはおっぱい(5.12c)をやったら見事に落とされた。
コンディションはいいので、これは単純に難しいということじゃないか...?


五段クラスのムーヴが少しずつできるようになってきたこと自体は嬉しいし、収穫だった。
でも問題はここからだよな、きっと。

2021年10月18日月曜日

しとしとした秋のつづき

やっと寒気が流れ込んできて、数日でいきなり秋めいてきた。
秋めいたというか、冬の気配すら感じる寒さ。
つい先週まで日中30度の中で仕事をしていたのに。

土曜日、久しぶりに瑞牆でボルダー。
駐車場で前泊して起きたら、山はガスの中。十一面も見えない。
千日の瑠璃に行く某ペアに出会ったけれど、そちらも行くかどうか迷っていた。
ガスの中ではコンディションが整わないとのこと。
周りが真っ白でもそれなりに登れた弁天のハングは、一体なんだったのだろう。

最初に皇帝岩。なんだか、空気がやっぱりしっとりしている。
アップで数本登って、個人的に最強候補のSD初段もちょっとやった(リピートできず)。
で、状態は良くないけれど高き御座(五段)にちょっとトライ。
スタンドはかなり昔に登ったけれど、SDをやるのは初めて。
昔あった右手のエッジが今は欠けて、気持ち悪いガチャガチャになっている。
ここは今大分違うムーヴになっているらしいので、それを試す。
左手のカンテピンチがヌメりまくって、かなり苦労したものの目処は立った。
SDパートからスタンドへの合流点のランジは、カンテが持てず全く跳べなかった。

そこそこ皮を減らして、次にほうとう(五段)へ移動。
プロジェクトだったころに見たことはあったけれど、これもトライは初めて。
「一手ずつならできるかも」と思ったらそれほど甘くはなく、1手目から悪い。
川原のすぐ上で磨かれたホールドが、ヌメりも相まってより悪い感じに。
ホールド自体はかかるので、1手目はギリギリできて、2手目はできず。
3手目以降はキーとなるヒールのソールがべろんべろん剥がれてこれもできず。
手数で言えば半分くらいバラして、これも今日じゃないなということで昼前に撤退。
五段クラスをトライするコンディションではない、というのは言い訳か。

どこに行くか悩んで、サル左衛門が最近開拓しているエリアを見に行くことにした。
駐車場からそう遠くないのに、どれも登られていなかったらしい。
で、看板課題のあかあかや(三段)のアプローチのチムニーを登ったら、
抜けた出した先にサル左衛門がいてびっくり。
お互いに素っ頓狂な声が出た。後々冷静に考えると、なんだこの兄弟。

新ラインを掃除して登るサル左衛門を横目に、あかあかやにトライ。
ナイスな強傾斜にナイスなエッジとナイスなスタンスが繋がる、ナイスな課題。
手の掛かりはそれなりでも、足が切れると耐えられないタイプ。
見た目はシンプルなものの、繊細なムーヴが詰まっていてかなり難しい。
ここでもまたヌメりに泣かされて、大核心のムーヴができず。
これはちゃんと登りに来たい。
この顔である

新ラインを登るサル左衛門。これもカッコよかった。

最後にすぐ下の穴ぼこフェース(2級くらい)と小さい初段をやって、
穴ぼこフェースのホールドの痛さに半泣きになり(でもいい課題)、
初段はヨレと湿気りにやられて登れず、ぼろぼろで退散した。

先シーズンがリード中心で結局ほとんどボルダーをせずに終わってしまったので、
今シーズンはボルダーでちゃんとした成果を、と思って初めて五段に触った。
最近「五段を登る人たちは普段から五段をトライしているから強いんだ」と、
当たり前のようなそうでもないようなことに思い至ったので、
初日の今回がダメダメでも腐らずやっていきます。

2021年10月11日月曜日

しとしとした秋

ご無沙汰です。
もう9月が過ぎ、もう10月も半ばになろうかというのに、一向に涼しくならない。
それだけならまだしも、天気もあまりよくならない。
思う外でのクライミングができず、フラストレーション溜まり気味です。

9月も一応小川山や瑞牆に行きはしたものの、ほとんど雨かシケシケで、
以前登ったルートのリピートか、そもそも登りに行けずかという有様。
屋根岩5峰でデリウス(5.13a)を登ったりしたけれど、あまり思い出深くはないので割愛。

この週末は、N社長の呼びかけで小川山トポの撮影合宿に参加した。
合宿とは言っても、瑞牆のときと違って基本は現地集合現地解散。
キャンプ場に大きなテントが張ってあって、そこにいろいろなクライマーが出入りしている、
あの頃の合宿スタイルも山岳会出身者としては好きだったのだけど。
この情勢では難しいよな。
当時から今まで続いている縁も少なからずあるだけに、なんだか寂しい。

土曜日は雀卓スラブに行った。さて、雀卓スラブとはどこでしょうか?
場所で言うと、屋根岩2峰の東面(南東面?)。おむすび山スラブの真上あたりにある。
駐車場からの距離のわりにアプローチが少々分かりにくいので、あまり話題にも上らないらしい。
僕もこれまで行ったことがなかった。
初めに行ったおむすび山の下にある短いルート群(おにぎり岩とか言ったような)は、
どれもトポのグレードから2つくらいは上に感じた。
「グレードが辛いこともそれはそれで魅力のひとつ」とか考えていたけれど、
11cとあるルートの出だしに1級くらいのボルダームーヴが出てきたときには、
さすがに考えを改めようかと思ってしまった。
エリアの中でのグレードの整合性は必要、というところでしょうか。

雀卓スラブは全体的に黒々としていて、それなりに長さのあるフェース~スラブの壁だった。
初めに左端の宝さがし(5.11a)をやったら結構悪かった。体感は11b。
上部はチムニーに入って少し登るラインのようで、
カムを持っていかなかったせいで、下のボルトから延々ランナウトして登った。
ゆかりさんが国士夢想(5.11c)を気迫のオンサイトで登り、
「負けてられんぞ」ということで右のほうの子忍者(5.12b)もやりことに。
これはその昔、ユージさんがハマったとか、ハマっていないとか。
他のルートのグレードの辛さから恐る恐る取り付いたらやっぱり悪く、
ボルト2本目のすぐ上で呆気なく落ちてオンサイトはできず。
そのあたりがまず核心でかなりフィンガリーだった。
更にその上もデリケートなスラブが続き、もう1度落とされた。
微妙に湿気を感じるコンディションだったことを抜きにしても、12dくらいありそうだった。
個人的にはマラ岩のブラックホール(5.12c)よりも悪いと思う。
岩は硬く見た目も結構きれいなので、こういうタイプが好きな人にはオススメできるかも。

日曜日は裏烏帽子での撮影になった。
事前に見ていた予報では土曜よりも日曜の方が天気が良さそうだったのに、
直前に変わったのか、この日の方が天気も状態も悪かった。
まず初めに社長とふたりでむささびルート(5.10b 6P)を、調査を兼ねて登った。
以前ロクスノの「たまにはマルチ」でも取り上げられていたらしい。見逃してましたすみません。
ルートの内容はちょうどフリーとアルパインの中間という感じで、
フェースありスラブありクラックあり、藪っぽい歩きもありと、瑞牆のようだった。
5P目の「いたちクラック」(5.10a)は短いもののそれなりに存在感もあってよかった。
昼くらいからガスが下りてきて霧雨が吹き付けるような天気になってしまったが、
そのおかげでルートの頂上からした方にものすごく濃い虹が見えた。
なんだか珍しいものをみて、社長とふたり「ご褒美だ」と喜んだ。

取り付きに戻って、僕のこの日の担当はもうひとつ、軸(5.13a)。
天気が悪く、辺りが薄暗くなってしまったのと、あまりいいアングルがなかったため撮影はナシに。
それでもルートの内容の検証、ということで10年ぶりくらいに触ってみたら、見事にやられた。
100°くらいの前傾クラックに、なかなかカムもジャムも決まらず、
ボルトにクリップしてから始まる最上部のムーヴもこなすのでやっとだった。
アップ不足とかしけしけのコンディションとか悪い要素はいろいろあったけれど、
そもそもこのルート自体が難しいということが分かった。
パリパリに乾いたときにやれば印象も違うのかな?
このトライでの体感は13bだった。
そんな感じで天気がますます怪しくなってきたので、早めに撤収となった。

撮影なりなんなりで普段いかないところに行くのは実際楽しいのだけど、
そろそろ目標を定めて打ち込むクライミングを再開したい。
結構真面目にそう思う。なんだか物足りなくなってきた。
早く天気が安定しないものか...今年何度目だ?

2021年8月30日月曜日

長雨のあと

今年の夏はほぼ全滅だったと言ってもいい。
7月の初めにあおろら徘徊記を登った次の週から毎週雨で、登れたとしても半日が限界。
岩探しに行ってみても駐車場から一番遠いところで雷雨に遭った(成果も特になし)。
というわけでジム通いが加速したわけだが、先日深いヒールフックで足首がバキッとなった。
あまり大事にはならなかったけれど、なんだかいやな感じ。

先週はやっと、やーっとまともな天気になったので、マルチを登りに出かけた。
奥秩父の山の中にいても暑いので、シビアなクライミングはそもそもできんのです。

まずは先週の木曜日に平日切符で、大ザルと鷹見岩南山稜(5.10b 9P)へ。
これは大ザルのリクエストで初めて知った。ロクスノに発表されていたのに見逃していた。
そもそも鷹見岩はどこにあるのか、というと、瑞牆山と金峰山のちょうど間くらい。
瑞牆山荘から入山して富士見平小屋から大日方面に向かうと、展望台のようにある。
岩の上までは道がついていて、ご丁寧に看板もある。
瑞牆山荘から1時間ちょっとで鷹見岩の分岐に着き、そこからアプローチの踏み跡に分かれる。
この踏み跡が岩を北側から南側まで大きく回り込んでいて、なかなか長かった。
道ができるまで時間がかかっただろうな。
1P目のチムニーの出口

2P目は長いクラック~スラブの10b

4P目を登ると現れるヘッドウォール

後半のハイライトとなる5P目10aの大ザル

ヘッドウォールのあとは岩稜歩き

石塔岩方面がよく見える

最後のビレイはこんな感じ

長さも内容もあり、グレードに対してかなり充実感のあるルートだった。
ボルトがしっかり打たれたルートだが、ラインをしっかり読む必要があって、
グレードは10台でも必要な実力は11台、という感じ。
そういうルートこそ素晴らしいと思う。
今年登ったマルチピッチで五本の指に入りそうな名作だった。

大ザルが口にした「全然知らない山に来たなあ」という言葉に、
この日したクライミングの魅力のすべてが詰まっていた気がする。


この週末は長野が生んだタンクトッパーことヲカモトくんと登った。
「と登った」というよりも「を引きずりまわした」という方が正しいか。
土曜日は僕がリクエストしていい日だったので、久しぶりに不動沢クラシック。
今回は〇友ルート(5.10b 3P)→コズミックサーフィン(5.10d 2P)→果てありの岩稜(5.7)の順に継続した。
〇友のスクイズは今回もそれなりに苦しく、それなりに頑張って登った。
コズミックサーフィンは5年以上ぶりで、また自然に還っていた。
どう見てもボルトは生きていないけれどホールドは埃と砂まみれ。
リピートなのに相当ピリピリした。
こういう見直されるべきクラシックをリボルトしたい気もする。
最後に果てありの岩稜をヲカモトくんにリードしてもらって終了。

日に焼かれたスラブはほとんど鉄板のようで、シューズが融けるかと思った。

日曜日はヲカモトくんのリクエストで、十一面周辺へ。
初めにJoyful Moment(4P 5.10a)で、それから蒼天攀路(3P 12a)を2P目まで登って、
テラスを歩いて回り込んで花唄小道(5.8)を登るという継続。
Joyful Momentはツルベで、小ヤスリでは僕がリードで登った。
昨年弁天岩で思いがけずマルチの世界に引きずり込まれてえらい目に遭ったヲカモトくんも、
今回ついにマルチのリードデビューを果たし、勉強になったとのこと。
しかし前日の不動沢スラブの洗礼が効いたのか、気の毒なくらい疲れた顔をしていた。
どうもタンクトッパーは肩を出さないと力も出ないらしい。


ほとんど外で登れないうちにもう9月になってしまうことに、ちょっと焦る。

2021年7月19日月曜日

梅雨明け

梅雨が明けました。ありがたいですね。
しかしその分、「殺す気か」というくらいの暑さ。ありがたくないですね。

梅雨明けを跨ぐような形で、相も変わらず奥秩父に逃げ込んでいる。
先週も今週も、やっと天気が安定して、久しぶりに土日とも外で登れた。

先週土曜は小川山で、乾きのいいゴジラ岩へ。
前日まで雨だったけれど、ここの乾きはさすが小川山イチ。パリパリだった。
火星人のスラブやゴジラのマーチ(5.11b)を快適に登って、
この日の目標にしていたちゃびんば(5.13a)はOSを逃して2回目でゲット。
分かってしまうとムーヴは明瞭だったけれど、さすがにこの岩質でチョーク跡なしはきつい。
ともかく、この短さのわりにパンピーで、満遍なく難しいいいルートだった。

翌日曜日は、「マルチに行きたいね」ということで不動沢の前烏帽子岩へ。
何度目かの新緑荒野(5.11c)を、例によって1P目を脇からショートカットして登った。
メインになるピッチはこのルートが初のあさこさんがリードして、こちらはその合間だけリード。
すっかり気を抜いていたら、上段の10aのワイドで落ちかけた。
こういうクラックは特に、しばらくやらないと一気に分からなくなる。やばいな。
最終ピッチ、頂上にマントルしようとしたらデカい蛇が日光浴していて、目が合った。
数年ぶりに大きな蛇を見た驚きで、1オクターブ高い声が出た、かも。


この週末は、土日とも十一面岩で登った。とにかく二日ともよく晴れ、ひたすら暑かった。
土曜日は「どこに行こうか」と話していて、偶然思いついた、あおろら徘徊記(5.11d 5P)へ。
瑞牆本には載っておらず、関東周辺の岩場(通称、ガメラ本)にちょろっとだけ書いていあったルートで、
自分でもどうしてこのタイミングで思い出したか分からないのだけど、行ってみたくなった。
ルートの所在は十一面岩奥壁、ということになるが、厳密にはその隣に立つ通称ヒメヤスリ岩だ。
十一面正面壁と奥壁の間に立つ小さめのタワー、といえば分かりやすいだろうか。
情報は少ないけれど、なかなかにいいルートだったので、少し詳しく書く。

ルートの取り付きはシロクマのコルの対面。ルンゼ状で、意外と分かりやすかった。
1P目:すごく短いオフウィズス(5.8)。カムは小さいものだけで十分。
2P目:ルート全体の核心となる、スラブ~特徴的なグルーヴの長いピッチ(5.11d)。
ここはグルーヴに入る前がまず結構繊細で、その後のグルーヴもジャムがほぼ効かず悪かった。
初登者のブログには「袈裟固め無限ひざロック」と書かれていた。袈裟固めって、どんなだっけ?
かなりしんどかったけれど、なんとかOS。
3P目:スラブからダイクトラバースで、短いけれど高度感があって爽快(5.9)。
4P目:ボルト2本の、相当みじかしいスラブ(5.11b)。
出だしから2本目のボルトにクリップするまでがとにかく悪い。3級のボルダーくらいか。
しかもボルトの感覚はかなり近い。その後はランナウト。
それだけでもう、最初の数手数歩が悪いことが分かっていただけるでありましょう。
こういう出だしが悪いスラブ系って、他にも何本かあったような...
4.5P目:4P目終了点から5P目取り付きまでの歩き。ヒメヤスリのタワー部分を右へ回り込む。
5P目:ヒメヤスリ北面(北東面?)に切れ込んだ短いクラック(5.9)。
ジャムの効きもカムの効きも良く、傾斜はあるけれどスタンスもあるのでかなり快適。
先にリードしたあさこさん曰く、「ここまで来た人へのご褒美的なピッチ」。
ロワーダウンできるので、交代でパーティー全員リードするのがおすすめ。
地上にあったら人気ルートになりそう。

こんな感じで、知名度は低いものの、「こんなのがまだあったのか」と思わせるルートだった。
写真、ルート詳細は初登者のブログを参照のこと。

日曜日は、前日北アルプスに登ってきたらしいオカモチくんと。
最近下半身強化のためか、スポーツジムに通っているとか、いないとか。
しかし初めて歩く十一面までのアプローチは辛そうだった。がんばれ。
ベルジュエールでも登ろうかと思って行ったけれど、大渋滞が起きていたのでやめ。
なんやかんや予定を変更して、山賊79黄昏ルート(5.10d 4P)を登った。
宴会テラスよりも下の前半部分はあまり登られていないらしく、それも納得の渋さだった。
2P目のスラブ(5.10d)はまたも出だしがやたらと悪い系で、ラインを読み違えて落ちた。
宴会テラスからは快適だった。

十一面岩周辺の賑わい方は、5年前くらいには想像もしなかったくらいのもので、
登りながら辺りを見渡すと、視界に10人くらい入る。
なにやらCRACK CLIMBINGの売れ行きも好調のようだし、時代が変わったということなのだろうか。

2021年7月13日火曜日

CRACK CLIMBING by Pete Whittaker (訳者あとがきにかえて)

2020年春。療養中で、その後の身の振り方もなにも決めていなかった頃、僕は1冊の本を手にした。
ワイドボーイズのひとりであるピート・ウィタカーの『CRACK CLIMBING』。
いつこの本のことを知ったのかは思い出せないが、時間を持て余し気味だった僕は、とにかくこの本を読んでみたくなり、取り寄せた。
あらゆるサイズの最難クラスのクラックを登る世界最高のクラッククライマーであり、
かれこれ10年以上も僕の憧れの人であるピートが書いた本だ。
これが自分の糧にならないはずはない。
念願の本がやっと手もとに届き、ページを興奮気味に捲りながら、ふと思いついた。
「これを翻訳して、日本語版を書けないだろうか」
英国版と北米版があり、僕が買ったのは北米版だった


初めは完全に個人の趣味だった。
いまし監督の映像作品の英語字幕を担当させてもらったときにはやりがいとある種の手ごたえを感じたし、
本職の翻訳家さんには遠く及ばないまでも、クラックの心得がある自分だからこそ、訳してみたい。
そんな妙な自負と自己満足で始めたものの、やはり人間、もう少し欲が出てくる。
「訳すからには、どうにか形にならないだろうか」
決して多いとはいえないツテを頼り、話を聞いてもらったところ、幸運にも山と渓谷社から出版のチャンスをいただくことができた。

ヤマケイ編集部とのつながりができ、一緒に本を作っていただくことが決まっても、世の中はコロナ禍真っ最中。
携わっている他の誰かに実際に会うことはなく、翻訳作業は常に実家の自室で孤独にしていた。
好きな映画のサウンドトラックを聴きながらやっていたので、
もはやそれを聞くと映画のシーンではなく特定のジャムの解説が思い浮かぶ、ような気もする。



この本について、ひとつきっぱりと断っておくことがある。
それは、この本はいわゆる「読み物」ではない、ということだ。
専門的な技術書であり、そのため内容は全体的に硬く、情報量も多い。
訳者としてこう書くべきではないかもしれないが、決して「すらすら読める本」ではないと思う。
しかしそれは、ジャミングというクライマーそれぞれの感覚頼みだった技術を、
理解可能なコトバに落とし込んで伝えるということに著者が真っ向から取り組んだ証だ。
その途方もない挑戦に妥協なしで挑んだ筆者の気持ちが滲む原文を、できるだけ忠実に日本語で伝えるということを、今回は優先したつもりだ。

本文中に書かれたこの本の使い方を、ここで掻い摘んで紹介しておく。
1.ガイドブックとして読む。(自分が必要な内容を探して読む)
2.書かれている内容を真似てみる。(動きの解説を、実際に順を追ってやってみる)
この二つが、ピートからの提案だ。僕としても同感だ。
内容的にすべてに通じる第1章をまず読んで、それから各章の自分が特に必要な部分を選んで読み込むことをオススメする。



ロクスノに掲載された書評のためのインタビューを機に、筆者であるピート本人とのつながりもできた。
まだ出版が決まっていなかった頃、「翻訳版をだせたらいいなと思ってる」とメールを送ると、
「それはいいね、こっちは問題ないから是非やってほしい」との答えが返ってきた。
その後も解説の更に突っ込んだ部分や、細かな言葉遣いなどについて質問をすると、すぐに丁寧な返事をくれた。
面識はなくても、彼の親切で几帳面な性格が伝わってきて、とても嬉しかったのを覚えている。

第一稿を編集部に送った後は、校正が待っていた。
ここではイギリス在住のSさんに非常に大きなお力添えをいただいた。
大小さまざまな誤訳の指摘から細かなニュアンスの調整、内容的な指摘まで、
とにかくビッシリと赤が入った原稿が返ってきて、自分の勉強不足と読み込みの甘さを痛感したものだ。
この本を翻訳して世に出すことにも、とても前向きな励ましの言葉をいただいた。

技術的な考証はある程度自分でやっていったものの、経験の少ないワイド、さらにはルーフクラックについてはお手上げだった。
ということで、これはYさんとM師匠にお願いした。
お二人とも快く引き受けてくださり、僕としては命拾いしたような気持ちだった。
実際、この2章は全体の1/5以上の文量があり、いちばん難しいところだった。
日本を代表する2人のワイドクライマーがここに携わっていることも、お忘れなく。

出版のチャンスをいただくところから今日まで、
山と渓谷社の編集部の方々にはお忙しい中、非常に長い時間をかけてご協力をいただいた。
特にこの企画の始まりからすべての橋渡しをしていただき、
さらに校正では言葉遣いに限らず細かな内容、読みやすさという点に至るまで、
粘り強くご尽力いただいたOさんには、感謝の言葉もない。
今後もこの本が必要とする人のもとに届くまで、引き続きよろしくお願いします。


初めは素人の独りよがりにすぎなかったものが、本当にたくさんの人の協力を得て、こうして形になった。
自分の憧れのクライマーと、本を書くという冒険の一端を共有できたことは本当に光栄だった。
そしてそれを支えていただいた方々には、心から感謝を。
本当にありがとうございました。


ピートは謝辞で「ケーキとドーナッツをご馳走する」と書いていた。
僕はなにをご馳走しようか。ゆっくり考えておくので、どうぞお声がけください。

2021年6月26日土曜日

奥多摩の梅雨

今年の関東地方の梅雨入りは、記録的な遅さなのだとか。
夏本番はまだ先だというのに、晴れれば地元の真夏に近い暑さ。
先が思いやられる。

先週、平日切符を切って、なんと御岳に行った。
前に来た時はたしか高校生だったから、十数年ぶり。
当然梅雨入り後なので前日は雨、当日の天気もそこそこ怪しい。
ということで昼くらいに出てゆっくりエリアへ。
あちこち見て回ったものの、日向⇒灼熱、日陰⇒ジメジメorビショビショ。
乾きが良いという忍者返しの岩にはそもそも行く気がなかったので、
近場でわりとマシだったロッキーボルダーで登ることにした。

高さの割には下地が微妙な課題が多いので、先行者がいたオプティミスト(初段)からやる。
ハングボードをニギニギしただけではアップが足りず、染み出して濡れているホールドもあって結構ハマった。
トップアウトまで行ってヌメりと湿りで挫けて後ろの木に掴まったりもした。
その次のトライでめちゃくちゃチョークアップしながら登った。

続いてエゴイスト(初段)。『in Tokyo!』で初登シーンを見て笑ったのが懐かしい。
最近導入した扇風機で多少周りの空気は動くものの、明らかに淀んでいる。
そこら中にでかいカタツムリも這っている。これが関東の梅雨なのか。
下部のムーヴは何通りかあるらしいけれど、ヌメって仕方ないのでランジで解決。
上部のダレたエッジにビビって何度か飛び降り、使うホールドを変えたらできた。
超エゴイスト(二段)はスタート辺りの湿気が尋常ではなかったのでパスして、次は遥(二段)。
これも中間のスローピーなホールドがこのコンディションでは持てないか、と思いきや、
ハイステップに入ってみるとこれが案外持てることが分かってさっさと登れた。
辛いとの噂があるエゴイストよりも、というかオプティミストよりも簡単に感じる。
そんなはずは・・・と思っていたのだけれど、どうも後半のラインが違ったらしい。
リップ下に明らかに左手で誘われる縦ホールドがあり、それに入っていたのだが、
それは使わず、もっと右のエゴイスト寄りに抜けていくのが正規(?)のラインのよう。
限定なのか別ラインということなのか、どうなんだろう。釈然としない。
グレードはさておきムーヴは面白かったので、まあよしとする。

スタートが遅かったのでだんだん暗くなってきたけれど、最後にin Tokyo!(三段)。
これもかなりの湿気を感じる。というか、ホールド以外はほぼ濡れているように見える。
扇風機の風を当てたりして気持ち程度に乾かしてみてからトライ。
初めのトライでいきなり核心らしい左手のエッジが止まった。が、その次で落ちた。あらー。
上のムーヴを少し確認して、繋げたらその後数回でまた左手のエッジが止まり、そのまま登れた。
もしかしたら経験した中でもワーストかもしれないこのコンディションで、
こういうカチ課題が少ないトライで登れたことにかなりびっくりした。
これは乾いた時期に真面目に一撃を狙うべきだったか。今更仕方ないけど。
短時間でも予想外にいろいろ登れたので結構満足して帰った。

今日も相変わらず、前日は雨⇒当日は曇りの空模様だったので、奥多摩方面のマニアックなエリアを見に行った。
奥日原とか鳩ノ巣とかを見て回ったものの、乾いている岩はなし。当然か。
外のボルダーで成果を期待できる時期はまだかなり先らしい。
やっぱり夏は山奥に引きこもるしかないのか。