3月15日(土)
昼過ぎから下り坂、という予報だったけれど、野猿谷に行ってみた。
とにかくどんより、空気もしっとり。それでも雪が残る小川山とかよりはマシだったのかもしれない。
この日は04のエリアで、ハヌマーン(四段)を掃除してみた。
安間くんが登った以外にトライした話を聞かない。予想どおり、かなり苔が生えていた。
1時間くらいかけてせっせと掃除して、「さてどうかな」と温湿度計を見てみたら、なんと湿度は70%近くあった。
そんな状態でできるんかいなと思いつつ、近くの課題でアップ。
ずっと前に敗退した三猿(初段)を回収したり、猿ゴルファープロ(1級)を登ったりした。
ついでにCandy Crush(四段)も少しやってみて、スローパーがヌメりすぎるのでやめ。
それから本題のハヌマーン。既に空模様は怪しい。
離陸していきなり2手キャンパスでフリクションの乏しいスローパーを叩きにいく。
これは案外すぐに止まり、やたら悪いマッチもできるようになった。
が、当然というか、本題はここから。
リップにギリギリ足が上がるのに、そこからさっぱり腰を入れられない。
もう少し手で引けるか、足が踏めるかしたら進展する気がする。
あれこれ試行錯誤しているうちに雨が降り始め、半日での撤退となった。
3月23日(日)
気温が一気に上がり、完全に春の陽気になった。むしろ春を通り越して、甲府では夏日だった。
快適な春シーズンはどこへ行ってしまったのだろうか。
すこし遅めの時間にエリアへ行くと、地元の知り合いが大勢来ていた。なんだかエッジに帰った気分。
ワイワイとアップを済ませた一団が05エリア方面へ移動していくのを見送り、こちらはアップ後にまたハヌマーン。
湿度は前回よりも遥かに低く、岩の結晶を感じられる。が、暖かい。暖かすぎる。
リップに足は上がるものの、あれこれ使うフットホールドを変えても、どうにも腰が乗り切らず。
問題のスローパーの持ちどころが少し分かり、前回より10センチくらい上まで体が上がった以外に成果はなし。
それと、この課題でもまた胸を擦った。
何度目かの胸擦りで「アイタっ」と思ってシャツを捲ってみると、左胸から流血。
Cross Loveで半分もげてその後くっついていたホクロが、今度は完全になくなっていた。
ああ、長年の相棒との別れが突然やってきてしまった。
(今は傷口が塞がり、黒く平らなタイプのホクロになっています)
ハヌマーンのスローパーに日が当たり始めてしまったので今回は諦めて、
しばらく放置しているエリア51をダメもとでやったものの、やっぱり暖かすぎた。
リップを叩いても、スローパーがホカホカしている。こりゃ駄目だ。
さらにまだ登っていなかったファンキーモンキー(初段)もやってみた。
こちらはあまり暑さは関係ないかと思ったけれど、単純に難しくて腕がボロボロに。
チキンウィングとアームバーのやりすぎで二の腕をすり下ろされ、半泣きで敗退。
あまりにボロボロになってきたので、難しいのは諦めて、以前から少し気になっていたラインを掃除することにした。
05エリアの入り口近く、13の岩のすぐ上にある大岩の山側を向いているフェース。
比較的大きめの岩で下地も悪くないのに、トポには載ってすらいない。
見上げてみると、程よい高さに顕著なホールドがひとつあったので、ロープを張って掃除。
結果、当初想定したラインは中間部以降にほとんどホールドがなく、見た目にできる気がしなかった。
「どうにかならんかな」と左右に振ってみると、左のカンテを使うラインでホールドが繋がっているのを発見。
こちらでやってみることにして、掃除を終えた。
既に結構疲れていたけれど、どうにかムーヴはバラせた。
ただ、流石にこの日は暖かすぎて、繋げると核心がどうにもできず。
シーズン最後かなと思っていたので、少し後ろ髪をひかれる思いで終了した。
3月30日(日)
本当は別のところで登るつもりだったが、前日の雪が日差しで溶けてどこもびしょびしょ。
林道もぬかるんで車がスタックしそうだったので、諦めて野猿谷へ転戦した。
マウントピア黒平までの道にも雪が残っていたので、「これは誰もいないだろう」と思っていたら、
最近毎週のように行き会うKムロ夫妻だけはやっぱり来ていた。
ハヌマーンを見に行ったらどうしようもないくらいびしょびしょだったので、前回敗退した新ラインからやることにした。
アップで光と崖(3級)をやったら、やけに悪かった。どうもホールドが欠けたらしい。
その後に登った猿豆(1級)の方が簡単に感じた。
とはいえ光と崖のおかげで結構温まったので、本数少な目で新ラインにトライ。
左カンテに寄り添うように別の岩があり、これのせいで下地が悪いように思えるのだが、
実際やってみると意外にこの岩には接触しないし、むしろ上に立ってムーヴを練習できたり、なかなかありがたい。
核心を練習して、コンディションが前回より良いことを確認。
猫パンチで流血したりしつつ、繋げて数回のトライで登れた。
1手1手がかなり遠く、リーチや身長で体感がまるで変わってしまいそうだけれど、二段くらいだろうか。
隣にある岩にちなんで、バイスタンダーと命名しておいた。
バイスタンダー
一先ず目当ての課題は終わったので、09エリアに上がる。
インスタント猿(三段)とエレクトリック猿(三段)をやってみることにした。
インスタント猿は見た目には結構登りやすそうなのに、いざやると足下が繊細。
ムーヴが出来そうになったところで、大きく突き出ていたキーになる結晶がひとつ欠けてしまった。
別のフットホールドでなんとかできそうで、結局なんとかできず。
エレクトリック猿はスタートからの1手目が、こちらもなんとかできそうで、できず。
身近に登った人がいるのだが、「ムーヴが分かれば」と言っていたらしい。
ムーヴか...いろいろ試したんだけどな...
三段2本に敗退して、最後にまた包囲された城へ。
核心のシークエンスを確認すると、ヌメらないけれど感触もあまり良くない。疲れている気がする。
1手、2手くらいでひたすら落ちていても、案外疲労は溜まってくるものだな。
スタートから繋げて何度か核心のムーヴに入れたものの、アンダーがすっぽ抜けたり足が滑ったり、
最後にはバラしでもムーヴがこなせなくなり、ぼろぼろで終了した。
これも因縁の課題になりつつある。いや、優先順位を上げて一日の初めにやれという話なのだけど。
という感じで、いい加減今年の野猿谷通いは終了。
最後の失速感は否めなかったものの、これまでよりも成果の多いシーズンだった。
渋い課題の多いエリアなので、やることが明確な高難度課題が恋しくなったりもするが、
いろいろな意味で掴みどころのない課題たちからしか摂取できないものもある、と信じている。
花崗岩好きのクライマーとは、大なり小なりそういう生き物なのかもしれない。