2025年2月19日水曜日

Dawn Wall 2025 - Process and Story introduction

Sebastein Bertheというクライマーをご存じだろうか。

Sebastienはベルギーの若手クライマー(といっても30代)で、
ヨセミテでのビッグウォールやスポートでの8c+のフラッシュ、
James Pearson初登のVon Voyage(E12)の再登などで有名なクライマーだ。

2月7日、そのSebastienがヨセミテでDawn Wallを登ったというニュースが飛び込んできた。
2年前に彼が同じくベルギーのSiebe Vanheeとトライしたことは知っていたので、
「ついに登ったのか!」という気持ちで彼のInstagramを見ていた。
彼はプロクライマーとして活躍する一方、環境問題や社会問題にもアンテナが高く、
海外への渡航に飛行機を使わず、船で何週間もかけて海を渡るなど、積極的な活動を続ける人物でもある。
その彼がDawn Wallの完登を報告する2月7日の投稿には、クライミングとはまた異なる強いメッセージが書かれていた。

以前、El Capitanに中腹にあるテラスから、パレスチナ人道危機に抗議する横断幕を掲げたクライマーがいた、という話題を目にしたことがある。
それもまたInstagramに流れていた投稿のひとつだった。
その投稿に対して、「クライミングに政治を持ち込むな」という批判的なコメントが寄せられていたことが、今も記憶に残っている。

僕自身も、クライミング中に突然政治的な話題を投げかけられたら、面食らうかもしれないと思う。
「楽しく登っているのに、どうしてここでシリアスな話を」と感じてしまうかもしれない。
さらには、自ら積極的にそうした話ができるほど知識や情報を持っているわけでもないし、
そこに切り込んでいく聡明さや勇気も、残念ながら持ち合わせてこなかった。
つまりは、そういう人間だったということだろう。

しかしこのSebastienの投稿を読んだとき、「これはもっと多くの人が読むべきものだ」と直感した。
これは、「〇月×日、Sebastien BertheがDawn Wallを第3登した」という単純すぎるニュースとして処理されるべきものではない。
プロとしての立場も顧みず、むしろその立場すら利用して、世界に訴えかけようとしている彼の熱意が、
ただの数字の羅列に矮小化されてしまうのはあまりにも悲しいことだ。
そこでSebastienに直接連絡をし、「この投稿を翻訳してシェアしてもいいか」と頼んでみた。
すると彼は、面識もなにもない日本人の申し出を快く受け入れてくれた。
それどころか、10ページの記事まで送ってくれた。「これも使ってくれていいよ」という。

これはもう、やるしかない。


ということで、Sebastienが送ってくれた記事を翻訳してみました。
そもそもこんな個人のブログに載せたところで、どれだけの人の目に留まるのかは分からない。
それでも、何かひとつでもポジティブなものが残れば、と願っている。

《注意》
・全文、僕の拙訳のため、誤訳や読みにくい個所があるかもしれませんが、ご了承ください。
・文中のグレードはすべてデシマルのみに統一しています。
・個人名とルート名、ピッチの名前については、カタカナで表記するのが困難なものもあるため、アルファベット表記のみとしました。
・写真はないので、Part 1、Part 2それぞれの冒頭にあるリンクからUKClimbingに掲載されている記事(英文)をご覧ください。

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