今年も、毎年恒例のYosemite詣でに行ってきました。
結果から言うと、今年もSalatheをオールフリーで登ることはできませんでした。
とはいえ、その「できませんでした」に至るまでの過程にはいろいろなものが詰まっているはずなので、
迫りくる年の瀬の空気に呑まれないうちに書き残しておきます。
(今回も、ツアー中の日記から転記・加筆)
10月20日 移動日
出発日。5時に起きて7時に家を出た。今年は瑞牆の麓から一気に成田へ。
休憩を入れながら5時間ほどのドライブで空港に着いて、30kg×4つの荷物も無事に預け入れた。
今年はとにかく、持てるだけの食料を持っていくことにした。白米は全部で10キロ近く入れた気がする。
ここまでは良かったが、肝心の飛行機が機体整備のため遅延。さらには機体を交換したしたためさらに遅延。
16:25発の予定が、21:30発になってしまった。
レンタカーの予約を変更するために連絡をしようにも、予約サイトから送られてきたメールは送信専用で連絡先の記載もなし。
おまけに予約の詳細を確認しようとリンクを開けばエラー。おい、大丈夫か。
隣であさこさんが「まあ、なんとかなるよ」と落ち着いているので、
とりあえず航空会社から配られたミールチケットで夕飯を食べに行って、お腹を満たしたら冷静になった。
空腹で事態に対処しようとしてはいけない。
遅れて飛び立った飛行機の中では、ひたすらに寝てあっという間にサンノゼ。フライトが夜になったのがよかったらしい。
旅行客のおじさんに「すごい荷物だね」と写真を撮られながら、特大のホールバッグを運び出し、
到着したターミナルAからレンタカーの窓口があるターミナルBへ移動。
カートが基本有料(しかも高い)なので、その辺で使い捨てられた野良カートを拾えて助かった。
カートで暴走するあさこさん
心配だったレンタカーも、窓口に行ってみたら問題なく借りられて一安心。
あとは買い出しを済ませながらYosemiteを目指し、22時過ぎにお馴染みのキャンプ場に着いた。
10月21日 装備回収、デポ上げ
起きると、9時を回っていた。2人とも若干の時差ボケ。
まずはYosemite Westへ毎年使っているポータレッジとガスコンロを回収に行く。
Yosemite国立公園は、アメリカ政府のシャットダウンの影響か、入園ゲートに職員がおらず入り放題。
キャンプ4は旧サイトのみ開いていて、Curry Villageはいつもどおり。
Village Storeも普通に営業していたけれど、スタッフの数は明らかに少なかった。
国内有数の観光地ということで閉園はしないが、さすがに混乱は小さくないらしい。
さて、Yosemite WestのHans Florine邸に行ってノックすると、なんとHansご本人が出てきた。
「ごめんね、シャワーを浴びてたんだ」とバキバキの上裸で笑う。還暦過ぎとは思えなかった。
物置に置かせてもらっているデポ品をあれこれ回収してValleyに戻り、
El Cap Baseのパブリックフィックス下までポータレッジと水32リットルを担ぎ上げた。
これで、Heart Ledgeまでの荷上げ当日にダブル歩荷しなくて済む。
この荷物だけでも、1人あたり30kgくらいあった。
10月22日 レスト
時差ボケが抜けないのか、未明に目が覚めた。眠りも浅め。
雨予報なので、終日レスト。テントの上にブルーシートでタープを張ったおかげで、降っても快適。
丸一日キャンプから動かず、読書なりなんなりで時間を潰す。
午前中、雨が降り出す前に、荷上げする物の用意とパッキングを済ませた。
午後からは雨でテントに引きこもった。昼寝を繰り返したら日が暮れた。
10月23日 Chapel Wall
予報を見ると2日間晴天のち2日間雨、ということでゴーアップを予定よりもずらして27日に決め、この日はChapel Wallにでかけた。
あさこさんがCosmic Debris(5.13b)に挨拶。僕も指慣らしにトライ。
雨上がりの森の中はしっとり。岩は意外に乾いているものの、クラックの中は若干湿気があった。
誰かが張りっぱなしにしているフィックスを登ってトップロープを張り、テンションをかけながら1回だけ触る。
ジャムの負荷の高さで時差ボケが吹き飛びそう。良い刺激になったかな。
あさこさんもトップロープで2トライして、ムーヴは7割解決という感じ。
翌日の朝が早いので、早めに降りて買い出し。
Village Storeで半額のシールが貼られた手羽元を発見。6本入ってなんと3.9ドル。
欲望に身を任せて、煮たり焼いたりしてガツガツ食べた。
10月24日 荷上げ(Hollow Flake Ledgeまで)
荷上げDay。現地のクライマーはPre-Haulingと言う。
3:45に起きて、El Cap Meadowへ。公園外のキャンプ場から、だいたい1時間くらい。
車からEl Cap Baseのフィックスの下まで1回の歩荷で上がり、デポ品も回収して最後のパッキングをしていたら、
日帰りでMonster Offwidthのワークに行くペアが上がってきたので先頭を譲る。
僕らがフィックスを登り始めたのは7時過ぎだった。
2:1システム(Zシステム)とスペースホーリングの使い分けで上げていき、Heart Ledgeには正午前に着いた。
余裕をかましてランチタイム。昨日料理しておいたチキンが美味い。
先行パーティや上からラペルしてくる人々をやり過ごしつつ、ここからもう3ピッチ荷上げを続けるも、トラバースが多くペースダウン。
Hollow Flakeは振り子トラバースでショートカットして、怖いスクイズチムニーを抜ける。
ここのピッチの荷上げが、ルート全体でも一番厄介で、荷上げが終わったのは18時前だった。
Hollow Flake Ledgeの奥に荷物を押し込んで一休みし、さて降りようかとラペルを始めたところでトラブル発生。
1ピッチ降りて抜こうとしたロープが完全にスタック。どうしても抜けない。
泣く泣く、逆の末端を結んでHollow Flakeを登り直した。足が痛くてめげそうだった。
暗闇の中、アンカーまで登って見てみると、抜こうとしたロープの末端は見事に結び目になっていた。
ロープを無事に回収して、再度ラペルを開始。
Heart Ledgeからボロボロで怖い極太パブリックフィックスを降りきって、車に戻ったのは21時すぎ。
さすがにもうVillage Storeは閉まっていたので、自分たちへのごほうびは明日にまわし、ベーグルだけ食べて寝た。
いろいろな波乱もあったけれど、地面に戻ってからもお互いにまだ一応元気があって少し安心した。
10月25日 レスト
アラームもかけず、ゆっくり起き出した。体はそこそこ痛かった。
自分たちへのごほうびを買いに、Sonoraへ出かけた。
途中で道を間違え、知らない街に寄り道。アンティークショップに寄ってみたりした。
その後はSonoraでDollar TreeとWalmart。
「欲望の買い物リスト」と名付けたメモをもとに買いだしたのは、
ヨーグルト、オレンジジュース、アボカド、トマト、リンゴ、バナナ、プラム、牛乳、そしてやたらと安かった砂肝とハツのパック。
なんだかタイトルの割に健康的でよろしい。
キャンプに帰り、ゆったりと夕食。荷上げDayに若干脱水気味だったので、その分はしっかり飲んで取り返した。
10月26日 レスト
日に日によく眠れるようになってきた。
週末ということで、キャンプ場も一晩だけ賑やかくなったものの、昼前にはまた静かになった。
曇りときどき小雨という天気なので、キャンプ場でゴーアップ用の荷物をパッキングして、それからValleyにでかけて最後のシャワー。
Curry Villageのギアショップにも寄った。2025年版のトポ(店内用)があったので、しばらく読みふけった。
Village Storeに行ってみると、また半額チキンがあったので即購入。
少し移動して、Meadow近くのPicknick Areaで豪快に焼いて贅沢ランチとした。
明日が早いので、16時前にはキャンプに戻ってきた。
明日からいよいよ、今年のトライが始まる。4年目、やれるだけのことをやろう。
そしてあさこさんと2人でビッグウォールができることに感謝しつつ、勝負を楽しみたい。