10月31日 Push day5
5日目。the Blockにてレスト。
日向になるとたまらなく暑いので、ポータレッジを日除けがわりにして後ろに逃げ込んだ。
朝イチ
日陰が無くなっていく
そして荷物と混然一体になる
15時ころまでのんびりと過ごし、後から上がってきたエイドパーティを見送る。
さらのその後で来たFreeRider組はここに泊まるそうなので、ポータレッジを張る位置などを相談した。
El Capで会う人たちは皆譲り合いの精神があり、且つ人当たりのいいクライマーなので助かる。
夕方17時を過ぎてから、Sous le toitまでのピッチをリードしてフィックス。
これも去年はコミネムが担当したピッチだったので、リードするのは初めて。
薄いフレークが連続するフェースで、瑞牆にあれば好物だが、ここでは恐ろしくて仕方なかった。グレードの割に結構吠えた。
岩に慣れてきたのかレストの効果か、体の動きはまともになっていた。
11月1日 Push day6
6日目。朝イチでthe BlockからSous le toitまでユマールして荷上げ。
明るくなるのを少し待って、後半の最初の核心Enduro Corner。
P1(5.11c)は数回のテンションとムーヴづくりで抜けた。グレードよりも登りにくい。
Enduro Corner P1
P2(5.12b)はやはり難しい、というよりもムーヴが悪い箇所のプロテクションが微妙な残置なので恐ろしい。
あさこさんの提案で、エイドに切り替えてまずは抜けきり、日陰がなくなる前にトップロープ状態でワークすることにした。
そうやってムーヴに集中してみると、なるほどたしかに5.12bくらい。
中間部以降はところどころで良いスタンスがあり、最後のランナウトするレイバックで終わり。
ここはこの日にムーヴを固めないといけなかったので、スタティックを巻き上げてフィックス。
あさこさんが上がってきて荷上げしてくれている間に、再度TRソロでワーク。曖昧だった前半の核心をおおよそ固めた。
Enduro Corner P2
続くthe Roof(5.12a)は暑さと怖さで、ルーフの終わりでテンション。去年はよくOSしたなと思う。
ラストの這い上がりはやはりスパイシーだった。
荷上げして、あさこさんがユマールで厄介な回収を終えて、やっとHeadWall。
昨年はここで一泊したが、今年は全エイドでとにかく抜けることに専念した。
P1はほどほどで終わったものの、P2はやはりかなり時間がかかった。1時間半とか、2時間弱だろうか。
ゆっくりしたペースで進み続け、アンカーに着いたときには日が沈んだ。
荷上げと回収が済み、P3はヘッドランプで登った。
昨年ワイヤーが千切れて飛び出していたナッツはなくなり、かわりにハーケンが2本打たれていた。
最後はあさこさんのブラスナッツに祈りながら体重を預け、Long Ledgeに抜けた。
すでに20時を回り、荷物を上げきって運び、ポータレッジを組んで夕飯を作り出した頃には22時。就寝は23時前だった。
さすがに長い1日になった。ともあれ昨年のことを思えば、この区間を1日で抜けたことは大きい。安堵。
11月2日 Push day7
7日目。HeadWallのワークに費やす。
5時に起きて朝食、トイレなど済ませて準備。
この日からサマータイムが終わって冬時間になり、時計が1時間戻った。
それもあって、初めてのワーク準備に時間がかかっていると、P1に降り着いたときには壁のあちこちに日が差し始めていた。
P1(5.13a)は1時間ほどでムーヴを解決したものの、鋭いエッジを握り続けて左の人差し指に穴があいた。
すでに暑くなってきていたが、休む間もなくP2(5.13a)のワークへ。
前半からすでに体感は悪く、テンションをかけながら何度かやって分かってくるという感じ。
プロテクションのことを吟味する余裕はなく、とにかくムーヴづくりに専念した。
それでもかなり時間がかかり、11時が近づいたくらいにやっとこさ最後の核心手前までバレた。
ここまででも既に苦手なサイズのジャムのオンパレードで、ヌメりと疲れも手伝って疲労困憊。
どこでもちょっとしたミスで落ちられそうだった。
暑すぎるので一度Long Ledgeに戻って、日中の日差しをやり過ごす。
この数時間で、あさこさんといろいろな話をした。
弱音も吐いたし、それでも消えない憧れの話もした。壁を抜けたら伝えようと思っていた感謝の言葉も、フライングして伝えた。
El Capの上部、誰もいないレッジでふたり、これだけでも得難い時間だった。
夕方、気力を振り絞ってもう一度HeadWallへ降りていき、P2の最終核心とP3をワーク。
P2の最後は初めまるでできる気がしなかったが、どうやら繋がりそうなムーヴを組み立てた。
P3(5.13b)はまた細切れでムーヴを作り、ムーヴだけなら8割くらいの形にしてLong Ledgeに戻った。
登った時間は長くないが、ここまでの蓄積とHead Wallの強度で心身ともボロ雑巾。
これをこそやりに来ているのでいくらか晴れやかなところもあるが、目指してきたもののあまりの大きさを突きつけられて気が遠くなるようだった。
毎日恐ろしいほど夕日がきれい
11月3日 Push day8
8日目。トップアウト&下山日。
5時に起き出し、朝食からのパッキング。
14時に歩き出せそうなら、頂上では泊まらず今日中に下山しようということでスタート。
朝イチの5.11dは最後の核心でテンション。昨年はオンサイトしたが、今年はこんなところだ。
続く5.10cのクラックは落ちそうになりながら必死で登ったものの、次の10dのハングからのワイドはムーヴが分からずエイドで抜けた。
ハング部分のボルダームーヴも、その後のワイドも、力が出なかった。ここにはこだわらず、抜ける方を優先した。
最終ピッチもリードして、ここだけやたら重い荷上げを終わらせ、トップアウトは正午過ぎだった。
「セルフビレイなしでいられるって楽!」の図(通称:マイセルフ)
折角持ち上げてきた食料と水を持ち帰るのも嫌なので、頂上泊用に残しておいた食料は食べ、水は下山用だけ残して撒いた。
どうにかパック2つ分に荷物をまとめ、ずしりと重い歩荷に耐えて谷底を目指す。
しりとりで気を紛らわせながらヨタヨタと下り、おっかなびっくりラペル(5ピッチ)をこなし、ここで日が暮れた。
暗いアプローチを気力で下り、やっと車に着いたのは18時半前だった。
月明かりに照らされたEl Capには明かりが点々と灯っていた。
Village Storeに寄って野菜と安いハムを買い、下山した駐車場にデポした荷物を回収して車に押し込んだ。
あとはキャンプへと帰って遅い夕食。野菜たっぷりの食事が染みた。
夜のエルキャプに灯るヘッドランプたち(カメラの性能の限界)
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