2025年12月21日日曜日

Yosemite 25 ②

10月27日 Push day1
ゴーアップ。Freeblast〜Hollow Flake Ledgeまで。
2時起きでキャンプ場から移動、El Cap Meadowに車を停めて、4時過ぎに取り付き。
1ピッチ目からなんだか動きが硬く、落ちはしないものの妙に苦しい。とりあえず朝イチだからということにした。

最初の3ピッチ、アンカーごとに腹が下り、スピードが上がらず。面倒な腹だ。
身体がなかなかほぐれないながらも、スラブの5.11×2ピッチまでは落ちずに抜けた。
Triangle Ledgeにて

が、7ピッチ目にあたるHalf Dollerの核心で吐き出されて一度落ち、2回目で抜ける。
さらにタグラインをつけ忘れたせいで、あさこさんが荷物を背負ってユマール。
しかも核心に入るところのオフセットナッツを回収し忘れて、一度上からラペルして取りに行くなど、このピッチはロスが増えた。
カンカン照りに焼かれながらMammoth Terraceを越えてHeart Ledgeへのダウンクライムもこなし、ここでしばらく休憩。

陽がいくらか傾くまで待って、ボルダームーヴが悪い5.11cもどうにか1回で登った。
最後は薄暗い中でHollow Flakeを気合で抜けて、初日は終了。19時過ぎだった。

とりあえず、事前にここまで荷上げしておいてよかった。
去年はHeart Ledgeまでしか上げなかったので、初日はLung Ledgeで泊まることになった。
それを思うと、1日でHollow Flakeを抜けられるのは大きい気がする。
しかし、随分と疲労も感じた。暑さに慣れていないのか。そもそも調子が上がっていないのか。



10月28日 Push day2
2日目。3時に起き、朝食、撤収とトイレを済ませていたら登り出しは5時半になった。
やはりポータレッジの撤収やパッキングは時間がかかる。

最初の1ピッチで荷上げに手間取り、1ピッチごと2時間ほどのペースで上がる。
それにしても、去年も一昨年もこの区間は上からも下からも人が来て大渋滞だったのに、今年はまるで人がいない。

The Earを登り、荷上げをしたところで、ユマールしてきたあさこさんがチムニーの中でスタックした。
ここはチムニーだからフォローで」とか「荷物はホールバッグにつけて極力身軽で」とか初めに言っておくべきだった。
上からロープを下ろしたり、荷物を手渡ししたりしてなんとか脱出。
2人ともすでにバテバテ。Monsterに突入する気持ちが出せず、フライで日陰を作って日が傾くのを待った。
ちょっと寝る

狭いレッジに腰掛けて食べて飲んで休んで、日も傾いて少し暑さがマシになったところでいざMonster。
ダウンクライムから中間のアンカーを過ぎるところまではほどほどのペースで登れた。
が、徐々にオフウィズスが細くなっていき、登りも不安定になっていった。
そして終盤のセクションで身体が入らず足も効かせられなくなり、手詰まりになってテンションしてしまった。
これで一度、心が折られてしまった。あまりにも呆気なかった。
叫び散らして涙も出ず、#5と#6でエイドしてどうにか抜けた。
残り5メートルほど、走りきれなかった。
荷上げしているところ日が沈んで暗くなり、次の10aは麻子さんがエイド混じりで抜け、Alcoveに入った。
翌日からのことは考えず、まずは食べ、飲んで、寝た。
壁が空いていて本当によかったと思う。



10月29日 Push day3
3日目。Alcoveで三度寝から目覚めると、9時頃だった。
体はボロボロ、気持ちも落ち込み気味だったが、とりあえず食べて飲んで、日差しを浴びる。
お楽しみに持ってきた、行きつけの珈琲店のドリップバッグでコーヒーも淹れて、半日は完全にレスト。


その間、これからどうするかを考えた。
Monster Offwidthが1回で登れなかった時点で、このトライは失敗だと思った。
戻ってMonsterだけ登り直すという気力はなかったし、後半の核心にかける時間を減らしたくはない。
寝起きの気分は最悪だったけれど、コーヒーでほぐれてきた頭でだんだん考えがまとまり、
ツアー中にもう1トライすることを前提に、今回はひとつでも多くの学びを得てトップアウトすることを優先しよう、と決めた。
日陰から足だけ出して日光消毒する人

昼を過ぎて、Salatheをワンデイで登るエイドのパーティが上がっていき、それからFreeRiderのパーティも1組来るようだったので、
先にEl Cap Spireまでキャンプを1ピッチ上げ、夕陽の中でMonsterへと降りて、トップロープで前日エイドしたパートをやり直した。
左足は奥に差し込んで右足は入り口、「ト」の字のような恰好で進むというのが正解らしい。
#6がちょうどのサイズは、入り口で足を揃えるよりもこのやり方が基本の形なのか。
そういえばPeteのクラック本にもそんな図があった気がする。
ワイドの経験の浅さを痛感するとともに、一応のムーヴは出来上がった。
あとはEl Cap Spireに戻ってビバーク。ポータレッジは出さずにそのまま寝た。
星空と景色は素晴らしいけれど、寝心地はイマイチ。



10月30日 Push day4
4日目。3時半起き。朝食とトイレを済ませていると、あっという間に5時。
あさこさんがあまり眠れなかったらしく、調子が悪そうにしていた。いつになく寝起きが辛そうだった。
こちらは気持ちがなかなか入らず、なんとか奮い立たせて11cのタイトハンドを登り始めたものの、中間でテンション。
身体が動かず力も出なかった。
3回ほどのテンションで抜け、荷上げをしたら少し体感はマシになり、次の10aはちゃんと10aに感じた。
小レッジに抜けたところでFreeRider組(WillとForest)が追いついてきたので、先に行ってもらう。
こちらはしばらく待機して彼らを見守った。

「がんばれー」

昼近くなり日が差し込んできて、暑くなりすぎる前に11c Rを登った。
かなり緊張したしヌメりも染み出しもあったが、ここは落ちずに抜けた。
続いてBoulder Problem。時間は昼を過ぎて、出だしの棚ホールドはすでに鉄板。
できる気はまるでしなかったが、蓋を開けてみると各ボルトで1テンションずつしただけで抜けられた。
去年ダブルダイノした核心で、今年はKarate Kickを試してみたら、これもできた。ダイノとどちらが楽かは分からない。
その後、11c Rの下に残した荷物を荷上げして、Boulder Problem上のアンカーでまたしばらくレスト。

あさこさんがかなり辛そうだった。寝不足と暑さで相当に体調が悪くなっていたようで、20分ほどしゃがみ込んでうつらうつら。
それで少しマシになったようなので、傾き始めた日差しの中でthe Sewerに取り付いた。
昨年はコミネムがリードしたところで、僕はTRソロだったピッチ。
リードしてみると、ロープドラッグが厄介。
最後の最後でカムも尽きかけて、気合の1手でthe Blockに這い上がった。危うく落ちるかと思った。

あとは荷上げをして、Will&Forestとスペースを譲り合って、どうにかポータレッジを組み立てて夕食。
それくらいになってあさこさんも元気を取り戻し、就寝。
ここまで4日、想定の日程としては折り返し。荷上げは軽くなってきたが、疲れは溜まっている。
明日はthe Blockに留まってレストしようということになった。
しかし、1日レストを挟んでも、朝イチのクライミングはやはり辛い。
翌日のスタートをどのピッチにするかという戦略も大事だということが、よく分かった。
むしろ11c Rや灼熱のBoulderが抜けられたのは、未明の11cで一度やられたからだとも言える。


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