今年の梅雨はしっかり雨が降り、日常生活のリズムを整えるのに苦戦したこともあってほとんど外で登れなかった。
7月に入って一度、梅雨の晴れ間に瑞牆で今季初のサーキットをしてみた。
高原エリアから始めて三の谷へ下りてくるコースを回ってみたのだけれど、暑さとヌメりからかほとんど登れず。
指の痛さと疲労に挫けて、低調のまま51本で終了した。特筆することは特にない。
いよいよ瑞牆も夏場はろくに登れなくなってきたな、というところで、
社長から「北の大地へ行ってきなさい」と仕事が入ったので、3週間の長期出張に出掛けてきた。
7/30〜31 移動日
朝イチで自宅を出て、上越回りで新潟へ。いつも思うことだけれど、県境を越えてからが長い。
長野を過ぎたあたりであさこさんが一言、「貴重品を入れたカバン、忘れてきた!」。
取りに帰るのは間に合わないので、思いがけずデジタルデトックスだねーとか言いながら車を走らせた。
昼前に新潟港に着き、早めの昼ごはんを食べてフェリーに乗船したら、誘導のおじさんに「ギリギリでしたよ」と言われる。
30分前に着けば余裕だろうと思っていたら、もっと早く着いていないといけないらしい。フェリー初心者ぶりが露呈している。
フェリーではWiFiが有料(1500円)だったので、ひたすら読書か昼寝。船首の方に静かなサロンがあったけれど、冷房が強すぎて寒かった。
船が大きいおかげか揺れは気にならず、呑気に寝ていたら小樽に着いた。
そういえば以前、四国から九州へ国道九四フェリーというのに乗ったことがあったけれど、
あの時は寒波による荒れ模様で、小さめの船が揺れまくって寝るどころではなかったな。
小樽には早朝の4:30に着いて、セコマで朝食を買ったりしつつ旭川へ。
買い出し等々を済ませて、ご友人宅に泊まっているマルボー・もとえ夫妻と合流。
そのご友人ことポーちゃん宅に、その後ツアーの大半は泊めていただくことになる。
ちなみに、あさこさんのカバンは車の中から無事に発見された。
少しだけその後のスケジュールを打ち合わせして、石垣山の岩場を軽く偵察。
故・吉田さんの生涯の傑作(らしい)、頭ならびに腹(5.11d)とかがある岩場だけれど、
北海道の植生は凄まじく、割と登られているルート以外は存在が確認できないくらいに藪の中。
とりあえず、エリアの端から端までおおよその位置を同定したところで雨が降ってきたので撤収。
8/1 発電所エリア
この日から本格的にS峡通いが始まった。
また午後から雨らしいので、比較的アプローチが近い発電所エリアから行くことに。
そういえば4年前、ここのエリアを探しにきて迷った挙句、ヒグマに出くわして逃げ帰ったことがあったな。
今回はマルボーさんの案内でスムーズに岩場へ。あのとき分け入ろうとしていた道は大体合っていたらしかった。
雨が降る前にと多少急いで準備して、初めに麦の舞(5.10b)を登ったら、テーピングをしなかったおかげで早速手が擦りむけた。
花崗岩とか名張とかと違って、ここの岩は面のフリクションがある上に結晶や礫もシャープで、地肌にはちょっときつい。
ハンドならまだしもフィストの連続だと親指が根本からなくなりそうだった。
あさこさんが若干脆い猫の惑星(5.10c)を登り、僕はその隣の影(5.11b)をやる。
マルボーさんの初登ルートらしく、ボールナッツやらブラスナッツやら、プロテクションの癖が強い。
(主にサイズが)微妙なプロテクションで行きつ戻りつして、おっかなびっくり突っ込んでどうにかOS。
それからエリア右端にある無名の5.11bも登ったけれど、こちらは#0.5~0.75の苦手なサイズで、危なっかしくOS。
うーん、やはりクラックについては謙虚にならなくてはいかんな。
ここまで登ったら雨が降り出したので、一度ハングの下で雨宿りをして、雨が幾分弱まった隙にダッシュで逃げ帰った。
8/2 流星エリア
この日は流星エリアへ。社長から良いエリアだと聞いていたので楽しみだった。
薮に埋もれそうなアプローチを上っていくと、30分ほどでエリアに着いた。
柱状節理の岩場とは思えないほど形状が多彩で、なかなか良い感じ。
端から端までルートを見上げながら回り、手始めにミゲルピザ(2P 5.11-)をやることに。
1P目が5.11-で、出だしは多少脆いうえに前日の雨でしっとりしていた。
太いクラックに張った蜘蛛の巣を払いながら進み、いきなり細くなる核心はフェース系だったので問題なし。
核心直後にあるフレークに長いヘビの抜け殻が詰まっていた。
で、ピッチを登りきって木の生えたテラスに這い上がったら、今度はヘビそのものがいた。
あの抜け殻の主だったんだろうか。
あさこさんがフォローで登ってきて、2P目の5.10+はリードを交代。
危なげなくロープを伸ばしていったと思ったら、中間部を過ぎたところで雨が降り出した。終了点に着く頃には本降りに。
フォローすることは諦めて、あさこさんがロワーダウンで回収。
チョークバッグどころか全身びしょ濡れになりながらラペルして、荷物を畳み、申し訳程度にカッパを着込んで下山。
何もかも濡れてしまって悲しいので、3日目にして早速洗濯をしに出掛けた。
8/3 発電所エリア
この日からは午後の通り雨がなくなり、終日登れるようになった。ありがたいことに、一度濡れた装備も一晩で乾いた。
改めて、発電所エリアへ。2日前に雨で登りそこねたベスピュラ(5.11b)等々を登っておきたかった。
アップにファイティング・ママ(5.10b?)を登って、早速本題のベスピュラにトライ。
これはお互いに登りたかったので平等にじゃんけんして、あさこさんが先にトライする権利を獲得。
短いフィストを登ってレッジに立って、そこから離陸するのがいきなり悪そうだった。
そこを手順を入れ替えつつこなして、あとは安定してOSしていた。流石です。最後の最後もちょっと悪そうだったけど。
ベスピュラ
僕もすぐ後にトライして、痛いくらいによく効くフィンガージャムを堪能しつつFL。
たしかに、最後の最後もちょっと悪かった。
それから麦の舞に右下から合流する、白石ノコギリクラック(5.11a)も登った。
2日前の影に続いて、またしてもプロテクションが怪しいコーナー。幸い、出だしをこなせたらあとはそれほどでもなかった。
発電所エリアの目ぼしいルートは大体登れたので、その後は一度車に戻り、ほど近いところにある兜岩を見に行った。
兜岩は1峰から3峰まであり、この日は1峰下部にあるうぐいす谷と呼ばれているところだけを偵察。
こういう岩場が人知れず存在して、楽しそうなクラックの数々が埋もれているのかと、この土地のポテンシャルにちょっと昂ってきた。
しかし当然というべきか、それを遥かに上回るものを、この後いくつも見せつけられることになる。
8/4 流星エリア
再びの流星エリア。雨で逃げ帰った日の分を取り返しにいった。
西を向いているエリアなので、コンディションとしては午前中が勝負。
アップを兼ねてあさこさんと2人で月天心(2P 5.10)を登る。
1P目は恒例のじゃんけんで勝った僕がリードして、快適で長いコーナーを楽しませてもらった。
見た目には5.10の後半くらいありそうだけれど、登ってみると形状があれこれあるおかげで5.10aくらい。これは楽しい。
2P目の傾斜があるハンド〜フィストをあさこさんがリードして、取り付きへ下降。
2P目の方が難しく、こちらは5.10bかcくらいだった。
エリアの看板でもあるShooting Star(5.11d)がすでに日向になってしまったので、
ちょっと目標を変えてMorning Flight(5.12a)をやってみることに。
こちらの方はまだかろうじて日陰気味だった。
取り付きからだと絶妙にクラックが見えないので、とりあえずフィンガーサイズとオフセットカムをじゃらじゃら持ってトライ。
序盤の右上クラックからジャムの効きが浅く、プルプルしながらカムを入れていたらどんどんパンプしてきた。
クラックが直登に変わるあたりでちょっと声が出たけれど、いいフットホールドがあって助かった。
下からではよく見えなかった中間部は案外素直で、パンプを誤魔化しながらタイトなフィンガーロックでジリジリ進む。
上部で左のフェースに出てジャッジライト(5.11a)に合流、最後のセクションを慎重にこなして登りきった。
5.12のクラックのオンサイトは、なんだか久しぶりだった気がする。
左がジャッジライト、右がMorning Flight
それからあさこさんがジャッジライトで気合いのオンサイトを見せ、さらに右にある短いワイド(5.8?)に挟まってみたりして、
最後にもとえさんとミゲルピザをもう一度登った。
日差しをガンガンに浴びた1P目を登り、今回は2P目もリード。
ジャムの要素とムーヴの要素のバランスがちょうど良く、楽しいクラックだった。そして何より眺めがいい。
ほどほどに良い時間になったので下山。
だんだんとこの土地のクラックに馴染んできた感じがしていた。
8/5 屏風岩
晴れが続くので、当然レスとはなし。この日は屏風岩へ。
屏風岩も1峰から3峰まであり、全てマルチピッチ。マルボーさんらは2峰、僕らは3峰のルートを登ることになった。
3峰のルート、unnamed(5P 5.10)は、取り付きからしてかなりワイルドそうだった。
あさこさんが奇数ピッチ、僕が偶数ピッチを担当することになり、あさこさんが1P目のコーナーをリードしていく。
が、ピッチを切る場所がいまいちないので、事前に見たトポでは2P目と書いてあるトラバースまで継続。
フォローしていくと、このトラバースがとにかく怖かった。
岩にかろうじて張り付いている土の塊と、鉛筆くらいの細さの灌木を掴んで登るセクションがあった。フォローなのにヒーヒー言って登った。
1P目
続くコーナークラックを僕がリード。
このピッチはハンド〜ワイド〜フィンガーと変化があって、ワイルドだけれどそこそこ楽しめた。
2P目
気持ちの良いコルに立って、短いコーナーから歩きのピッチをあさこさんが登り、チムニーの行き止まりみたいなところでピッチを切った。
この辺りはかなり岩質が怪しく、触ると際限なくボロボロ崩れる箇所がいくつもあった。
最終ピッチの長いチムニーも、大体どこかしらはボロつくのでヒヤヒヤした。カムの効きが悪くないのがありがたかった。
ともあれ、とりあえず壁の上に立ってクライミングは終了。
下降は80mロープの折り返しでピッタリ2回のラペルだった。
なんだか、学生時代に通った北アルプスの岩場を思い出した。









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