10月31日 Salathe Wall day6 (Head Wall ~ Long Ledge)
5:30起き。が、寒さと疲れでなかなか動き出せず。
朝イチのトイレは、これまでになくエクストリームだった。
Head Wallは1P目(5.13a)からシビアで、あわよくばという期待は一瞬で粉々になった。
これまで見たことがないくらい巨大にフレアしたクラックが、最奥で極細になっているといえばいいのか。
また拙いエイドでやっとこさ越えたものの、相当に厳しかった。
フリーでのムーヴも頭の隅で組み立ててはいたが、100%は解決できず。
Head Wall 1P目
ポータレッジは畳まずそのまま荷上げして、中に収まって一休み。
2P目(5.13a)はコミネムに譲った。本当ならこのピッチが一番長くおいしいところだったけれど、相方にも登ってほしかった。
コミネムは流石のジャミング技術で半分くらいはOS、そこから始まる核心はテン山ながらエイドなしで抜けていった。
体はすでに悲鳴を上げ始めていたけれど、心強かった。
Head Wall 2P目(フィックスは別パーティーの残置)
強風に煽られぐらぐら揺れるポータレッジでまた休み、気持ちを入れなおして3P目(5.13b)。
いきなり出だしでテンションしたが、中間部の大穴レストポイントまでは入り込んだ。
が、その上の核心パートはプロテクションが細かすぎた。
多くのクライマーが使っている残置ナッツはワイヤーが切れ、波平の髪のように壁から突き出している始末。
墜落に耐えるほどのプロテクションをセットできる気がせず、フリーは諦めてまたエイド。
震えながら、三度拙いエイドで抜けた。心の底にくるクライミングだった。
しかしどうにかルート全体の核心であるHead Wallは突破。まずはそれに安心している。
宙を舞うポータレッジ
Long Ledgeに荷物を広げ、ポータレッジに収まると、先ほどまでの怖さが嘘のように平和だった。
明日はもう3ピッチ登ってトップアウト。
長かったこの壁も、いよいよ終わる。
11月1日 Salathe Wall day7 (Long Ledge ~ summit)
5:30起きで荷物をまとめる。足下にレッジがあるというだけで、ずっと楽に感じた。
アップなしで28P目のバリエーション(5.11d)を登るのは緊張したけれど、
ホールドが人工壁かのように明瞭、かつ大きく、ランナウトも適度で大丈夫だった。
かなりパンプしながら、無事にOS。
28P目
次の29P目(5.10d)はコミネムがリードして、ルーフ下トラバースのボルダームーヴでハマったらしく、エイドで抜けた。
突き出たダイクに荷物が何度も引っかかるので、途中からフリーでのフォローは諦めてユマールでのサポートに切り替えた。
ここまで登ると突然壁の傾斜が落ち、最終ピッチの5.6はほとんど歩きだった。
さっさと登り、アンカーを作り、岩のフリクションで重くなった荷上げも済ませてトップアウト。
解放感、安堵、喜びと悔しさがあった。まずはパートナーと抱き合った。
このアンカーに、もう少し違う気持ちで触れることが出来たら、という想いがずっとある。
ともあれ、長いクライミングは終わり、概ね晴れやかな気持ちで荷物を整理してパッキング。
重い重いホールバッグを担いで長い下山にかかった。
何ピッチも続くフィックスのラペルが心配だったけれど、荷物を分解してぶら下げるなどしたら大して問題なし。
こういうことも、事前に瑞牆で練習しておいてよかった。
暗くなり、Noseをワンデイで登ったという身軽なパーティに追い抜かれたりしながら、無事にピクニックエリアに下山。
荷物は一旦デポして、El Cap Meadowまで歩いて車を回収。
キャンプ4を一度回ってから荷物を回収に戻り、再びキャンプ4へ。
シャワーはひとまず諦め、あさこ・ガチオチームに夕食をごちそうになって、倒れるように寝た。
11月2日 レスト
El Capの壁の中は寒かったが、キャンプ4の朝も寒かった。
この日はレストで、シャワーを長めに浴びてからSonoraの街へ出かけた。
ピザとサラダバーが食べたかった。
その念願が叶って、第2回サラダバー選手権が開催された。Mike's Pizza最高。
誰が一番上手く盛るか、という競技だったらしい
洗濯、買い出しも済ませて、夜の帰り道の車内は誰からともなくカラオケ大会になった。
11月3日 Above the Cookies
前日降った雨の湿気を感じつつ、あさこさんと2人でTales of Powerをやりに行った。
Reed's PinnacleでLunatic Fringeを登ってアップし、Stone Grooveは先客がいたのでやめ、Talesへ移動。
ロープをフィックスして下りていくと、日本語ペラペラのハイテンションなお兄さんがいて、
Separate Realityをトライ中の仲間にやんややんやと声援を送っていた。
あさこさんが聞いた話では、神戸にいたのだとのこと。
TalesはあさこさんがOSトライをしたものの、下部のオフウィズスで行き詰って下りてきた。
選手交代して取りつくと、クラックの中はジメジメ。
ジャムがあまりにも効かないので、核心はカムエイドで抜けるしかなかった。
おまけに出口のチムニーの中は砂でじゃりじゃり。どうも雨が降ると流水溝になってしまうらしい。
アンカーに這い上がると、先ほどのハイテンションお兄さんがユマールで帰っていくところだった。
"How was it?"と聞かれ、"IT'S WET!!"と答えると、"OF COURSE!!!"と笑っていた。
知ってるなら教えてくれーい。
その後あさこさんがトップロープでするするとTalesを登っていき、僕がユマールで回収。
ビッグウォール後のアクティブレストとしては、こんなところだろうか。
11月4日 Chapel Wall
Heaven(5.12d)へ行くガチオ・コミネムペアを見送り、こちらはゆっくり歩いてChapel Wall。
森の中はまだ湿気が漂っていたけれど、Cosmic Debrisは乾いていた。
「最初はトップロープでやりたいやろ」というあさこさんの言葉に甘えて、リードしてもらう。
テンションをかけながらやってみると、右人差し指はまだテープを巻いているし、
指はジャムの感触を忘れているしで、なかなかハードに感じた。
が、すぐに指と体が温まってきて、クラックに馴染み、ムーヴが確認できた。
あさこさんのトップロープでのワークを挟んで、もう一度トップロープでやると、今度はノーフォールで抜けられた。
El Capから下山して、中2日でこの感触なら上々。
次回はリードでトライすることにして、あさこさんがもう一度トライして終了。
最後は真っ暗になり、2人ともヘッドランプを下にデポした荷物に置いてきてしまったので、スマホのライトを頼りにラペル。
明るいので怖くはないけれど、ひどく不便だった。反省。
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