2021年8月30日月曜日

長雨のあと

今年の夏はほぼ全滅だったと言ってもいい。
7月の初めにあおろら徘徊記を登った次の週から毎週雨で、登れたとしても半日が限界。
岩探しに行ってみても駐車場から一番遠いところで雷雨に遭った(成果も特になし)。
というわけでジム通いが加速したわけだが、先日深いヒールフックで足首がバキッとなった。
あまり大事にはならなかったけれど、なんだかいやな感じ。

先週はやっと、やーっとまともな天気になったので、マルチを登りに出かけた。
奥秩父の山の中にいても暑いので、シビアなクライミングはそもそもできんのです。

まずは先週の木曜日に平日切符で、大ザルと鷹見岩南山稜(5.10b 9P)へ。
これは大ザルのリクエストで初めて知った。ロクスノに発表されていたのに見逃していた。
そもそも鷹見岩はどこにあるのか、というと、瑞牆山と金峰山のちょうど間くらい。
瑞牆山荘から入山して富士見平小屋から大日方面に向かうと、展望台のようにある。
岩の上までは道がついていて、ご丁寧に看板もある。
瑞牆山荘から1時間ちょっとで鷹見岩の分岐に着き、そこからアプローチの踏み跡に分かれる。
この踏み跡が岩を北側から南側まで大きく回り込んでいて、なかなか長かった。
道ができるまで時間がかかっただろうな。
1P目のチムニーの出口

2P目は長いクラック~スラブの10b

4P目を登ると現れるヘッドウォール

後半のハイライトとなる5P目10aの大ザル

ヘッドウォールのあとは岩稜歩き

石塔岩方面がよく見える

最後のビレイはこんな感じ

長さも内容もあり、グレードに対してかなり充実感のあるルートだった。
ボルトがしっかり打たれたルートだが、ラインをしっかり読む必要があって、
グレードは10台でも必要な実力は11台、という感じ。
そういうルートこそ素晴らしいと思う。
今年登ったマルチピッチで五本の指に入りそうな名作だった。

大ザルが口にした「全然知らない山に来たなあ」という言葉に、
この日したクライミングの魅力のすべてが詰まっていた気がする。


この週末は長野が生んだタンクトッパーことヲカモトくんと登った。
「と登った」というよりも「を引きずりまわした」という方が正しいか。
土曜日は僕がリクエストしていい日だったので、久しぶりに不動沢クラシック。
今回は〇友ルート(5.10b 3P)→コズミックサーフィン(5.10d 2P)→果てありの岩稜(5.7)の順に継続した。
〇友のスクイズは今回もそれなりに苦しく、それなりに頑張って登った。
コズミックサーフィンは5年以上ぶりで、また自然に還っていた。
どう見てもボルトは生きていないけれどホールドは埃と砂まみれ。
リピートなのに相当ピリピリした。
こういう見直されるべきクラシックをリボルトしたい気もする。
最後に果てありの岩稜をヲカモトくんにリードしてもらって終了。

日に焼かれたスラブはほとんど鉄板のようで、シューズが融けるかと思った。

日曜日はヲカモトくんのリクエストで、十一面周辺へ。
初めにJoyful Moment(4P 5.10a)で、それから蒼天攀路(3P 12a)を2P目まで登って、
テラスを歩いて回り込んで花唄小道(5.8)を登るという継続。
Joyful Momentはツルベで、小ヤスリでは僕がリードで登った。
昨年弁天岩で思いがけずマルチの世界に引きずり込まれてえらい目に遭ったヲカモトくんも、
今回ついにマルチのリードデビューを果たし、勉強になったとのこと。
しかし前日の不動沢スラブの洗礼が効いたのか、気の毒なくらい疲れた顔をしていた。
どうもタンクトッパーは肩を出さないと力も出ないらしい。


ほとんど外で登れないうちにもう9月になってしまうことに、ちょっと焦る。