2016年9月19日月曜日

変わり目

季節が秋に向かっていて、早くもっと涼しくならないかな、と思う一方、
瑞牆の奥の方でもっと遊びまわっていたい、という気持ちもある。
要は、季節の変わり目に応じて欲が出てくるというわけ。

折角の三連休なのに、天気は悪かった。
どこに行こうか少し悩んで、海谷に行くことに決まった。
ここの開拓は3シーズン目になる。

まだ辛うじて天気がもってくれそうな土曜日に、大ザルと二人で海谷渓谷へ。
安曇野は晴れていたのに、糸魚川に近づくにつれて案の定曇天に。
ここはいつ来ても天気がすっきりしない。
いままですっきり晴れたのは一度しかなかった気がする。
ここひと月くらいの雨の影響か、三峡パークからの道は荒れていた。
途中の沢を渡る橋が完全に崩壊していて、恐ろしかった。渡るのは問題なし。

谷の中も水が多かったので、繰越のところから下流に向かうのがちょっと大変だった。
荷物を背負っていると怖いくらいの飛び石が何度かあった。
勇ましく(?)谷川に飛び込んでいく大ザル

相変わらず難儀なアプローチをこなして、なめ滝下に到着。
まだ登っていなかった小さい垂壁から初めて、何本か新しいラインを登った。
ここの下地は、おそらく遠山川以上に変化しやすい。
昨年登ったラインのところに岩が転がり込んで登れなくなっていたりした。
とりあえず、5~2級くらいまで登ったけど、来シーズンにはどうなっていることやら。

しばらく登ったところで、昨年掃除したハングをやってみることにした。
岩の上の藪は濃くなっていたけれど、ライン自体はあまり汚れていなかった。
ラッペルして少しだけ掃除しなおして、それからすぐにトライできる状態だった。
P

やってみると、思っていたよりホールドが遠い。あと、下地が悪くて怖い。
核心は一目瞭然なデッドで、これを外すと吹っ飛んでいきそう。
とかなんとか考えてしまって、なかなか思い切った動きができなかった。
小さいポケットを見つけて、それを使うムーヴを試してみたら、
ポケットの縁にあった礫がボッコリ欠けて、危ない落ち方をした。
未踏のラインはこういうリスクもあるんだよなあ。
「これはもう根性だろ」と、少しずつ思い切った動きができるようになってきたところで、雨。
こうなっては仕方ないので、即撤収。
体感的に初段か二段くらいだろうけど、宿題になった。

幸い雨は大したことなく、あまり濡れずに済んだ。


海谷のシーズンはもう少し先という感じだった。今回は結構蒸し暑かった。
雨が予想より早く降ってきてしまったので、あまり登れなかったのが残念。
早く台風の季節が終わらないかなあ。


ところで、エリアに着いて荷物を広げていたら、スズメバチが二匹飛んできて震えあがった。
襲ってはこないものの、ずっと近くをうろうろされたらそりゃあ怖い。
なにしろ、羽ばたきで風を感じるくらい近くまでくるんだもの。
最近、サル左衛門も被害に遭ったようなので、これから季節皆さんもお気を付けて。

2016年9月12日月曜日

実りを待つ

やっと過ごしやすいし登りやすい季節になってきました。
で、この週末は、結構動きました。

土曜日は例によって、大ザルと弁天岩。今回はいまし監督も一緒。
天気はいいし、行ってみたら岩もちゃんと乾いているし、期待大。
が、大ザルはちょっとお疲れの模様。
リハーサルの時点で体が攣ったりしている。
それでも「ここまでやったら、大事なのはリハーサルよりリードすること」らしいので、
しばらくレストしてから今回もリードでトライ。
下部は比較的スムーズにいっているなー、と思っていたら、
「シルクロード」の核心部分でスリップ落ち。
リードでの最低高度だったけれど、このトライでもう疲れ切ってしまったようで、本日終了。
うーん、なかなかつながりません。

カムの回収もあるので、余った時間で僕が「シルクロード」をやってみることになった。
核心部までのカムはそのままにロープを抜いて、「半ピンクポイント」みたいな状態でトライ。
アップなしだったので、ちょっと緊張した。
出だしのワイドは思っていたよりずっと簡単で、問題なし。
そこから一気にクラックが細くなって、ジャミングしにくくなった数メートルが核心。
大ザルのプロジェクトでも、ムーヴで言えばここが一番難しいらしい。
瑞牆らしい(?)、すっきり割れていないガタガタのクラックなので、
どこにジャミングするかを探し出すのが問題だった。
効きの微妙なタイトハンドと痛いフィンガーで体を逃がして、何とか抜けた。
プロテクションのセットがあっても、落ちずに抜けられただろうか。ちょっと微妙なところ。
とにかく核心を抜けて、バチ効きのナッツを突っ込んで、
レストポイントから左にトラバースしてレッジヘ。
このトラバースの部分も行く先のホールドが見えず躊躇したけれど、
ホールドが見つかったら案外易しかった。


壁の途中で終わってしまうのが残念だけど、いいルートだった。
見た目よりも被っていて、登りごたえがある。
それにしても、昔は5.10だと言われていたのが恐ろしい。んなわけあるか!
どう見積もっても「T&T」より難しいので、5.11台なのは間違いなさそう。体感は5.11bか。
でもそれにしたって、ジョシュアツリーの5.11bより登りにくく感じる。
これが日本の花崗岩の難しさですかね。

春にクラックを登り込んで得た感覚が、まだなんとか残っていることが分かって、少し嬉しかった。
体で覚えたことはなかなか忘れないものですね。
やっと、瑞牆でも5.11のクラックが一撃できるようになったのか、と。


日曜日は、長野県チームでBaceCampへ遠征。
せっかく行くんだし、しっかりリードしよう、とボルダーは完全に無視。
成年女子の二人がとにかく元気だった。
自分は自分で、まず前傾壁で体重に負けるのを何とかしないといけないので、数を稼いだ。
11aから初めて、ひたすら一撃を狙って15本。最後の11台でも落ちるくらいにはヨレた。
13aを初めてOSできたりもしたけど、15本中登れたのは7本。
ヨレヨレになるのが主な目的とは言っても、これで完登数をもっと増やせるスタミナが欲しい。

第一は、体重を減らせってことなんだけど。


ところで、ついに自分の部屋にフィンガーボードを拵えてしまいました。
角材を買ってきたところまではよかったものの、電動の工具がないので、
全部手回しのドライバーと錐で組み立てた。
もうクタクタですよ。
まあ、これも目標のためということで。

2016年9月4日日曜日

ここのところ

Sentimentを登ってから、登りに行こうとするたびに天気が悪く、全く外で遊べなかった。
それに苛立っている一方で、春から続いてきたもう一つの勝負が一段落ついた。
これで当分は、自分がしたいことに集中できる、はず。

昨日は、やっと天気が安定して、大ザルの勝負に付き合ってきた。
いましさんが来られないので、そのさんにビレイヤーとして同行してもらって、僕は撮影。
アプローチにある岩たちが乾いているのが、久しぶりのように思える。

弁天岩はよく乾いていたけれど、プロジェクトのクラック部分は少し湿気っていた模様。
大ザルがユマールして行って、アップを兼ねて掃除とリハーサルをしている間、
谷間にはずっとガスが立ち込めて、対岸の摩天岩まで見えなくなる始末。
おいおい、今日はいい天気なんじゃないのか。
「これでまた雨とか、笑えないぞ」と話していたら、思い出したように晴れた。
「やべっ、今日は晴れる日だった」とか言うみたいに、白々しいまでの青空。
気まぐれというか、ふざけてるというか。
まあ、コンディションは悪くないから、これ以上文句もないけど。

リハーサルが終わったところで僕がカメラを背負って一度フィックスを登り、
どの位置で撮影するかあちこち確認して、それから大ザルの本気トライ。
多少ポジション取りを失敗していたせいでなかなかしんどい。いましさんの苦労が伝わってくる。
大ザルは安定した動きで「シルクロード」の核心を越えて、
続く微妙なホールドからのデッドも止めて、フレークに入った。
動きの一つ一つは安定しているように見えたけれど、
最後のカムをセットしたところでクリップできずに掴んでテンション。
もう限界までパンプしていたらしい。
「今回登る」と意気込んで望んだトライだっただけに、悔しそうだった。
このルートも、そう簡単には登らせてくれないルートみたいだ。
シーズンの終わりはもうすぐ。
この勝負、果たしてどうなるか。

まだ時間があったので、大ハングに張ってあるフィックスを張り替えに行った。
最上部に行くまで壁に手が届かない。物凄い傾斜だ。
岩は固いし、プロテクションも確実に入るし、ボルトを打つ必要はなさそう。
ただ、見た目の印象は、登れるか登れないかの瀬戸際、という感じ。
とんでもなく難しそうに見える。
今はまだ、そもそもこれがフリークライミングとして可能なのかどうかのイメージができない。
でも、この大前傾壁を貫く一本のラインを、オールナチュラルで登れるという事実それだけで、
十分すぎるくらいに魅力があるし、価値がある。
今か、次か、その更に次か、いつの時代の課題になるのか分からないけれど、
それが自分の時代であると信じていたい。


岩は逃げない、とは言っても、時間は過ぎていくし、人それぞれに思うことだってある。