2022年10月5日水曜日

測るⅢ

遠征が迫ってきました。
それに合わせたのか何なのか、いきなり肌寒くなってきた。

今年の9月の連休はあまり天気に恵まれず、ジムに行ったりそもそも登らなかったり。
それでも一度、瑞牆で継続ができた。
あさこさんとのペアで、左稜線(245m)→一粒の麦(190m)→ベルジュエール(290m)。
合計で725m、行動時間はアプローチ含め8時間弱というところか(時間はよく覚えていない)。
前日がそこそこ晴れたおかげか、左稜線のワイドが以外にも乾いていた。
一粒の麦で先行パーティーを1組追い越し、さらに最終ピッチにもう1組いたので、
そこは登らず頂上ブロックを左に巻き込んでみたら、下降路の途中に出られた。
内容は歩きが7割、あとの3割は折り重なったチョックストーンの隙間を抜ける、というもの。
まあこれはこれで、そこそこ楽しい。
実はこの日は夜にナナーズでトークショーがあり、それに間に合わせたかったのだけれど、
ベルジュエールを最終ピッチの下まで登った時点でもう遅刻確定の時間になってしまった。
「最終ピッチは省略して降りよう!」と言ったところ、
「折角来たし、頂上まで登りたいなぁ」とあさこさん。
何度登っていようとも、ルートはルート、最後まで登ることには間違いなくひとつの正しさがある。
トレーニングだからと軽く考えてしまっていた自分を反省した。
下山は薄暗くなる中をダッシュ、なんとか30分の遅刻に抑えた。


先週末は久しぶり、本当に久しぶりに2日とも晴れ。やっときたか。
土曜日はハカセ推薦のワイドを登りに行った。
最初に左稜線のバリエーションである時代(5.10c)。
長いフェースを登ったところから左上のブッシュに入ると、隠れたところに太い割れ目が。
じゃんけんで勝ったので、気合をいれてOSした。
実際登ってみると、思っていたよりも汚れていないし、内容も大半がスクイズチムニー。
でも、核心ではちゃんとハンドスタックを使うことになった。
直前にジムで練習していてよかった。
ロワーダウンして麻子さんも登り、さらにもう1ピッチのおまけがついて左稜線に合流。
10cはない気がするが、もっと登られていいバリエーションだと思う。

続いて悪魔の塔へ移動。すでに日が傾いてきている。
ここで登ったのは左のドルフィン(5.10d)。
いかにも体が入らなさそうなサイズの下部で、かなり奮闘して半ば強引に押し切った。
後半は一転して、苔が多少気になるだけの易しいチムニー。
瑞牆本には「プロテクションが全く取れない」とあるが、実際はハンドサイズが取れる。
ルートのスケールも35mとなっているが、30mとちょっとくらいだろうか。

日曜日は、アイムオールドファッションド(7P, 11b)を荷揚げしながら登ってみた。
最近知った荷揚げのシステムを試しつつ、自分にとっては初見のルートを登るわけで、
相応の時間がかかることが予想された。
が、後ろに別パーティーがいるところでやるのはさすがに顰蹙だからと、
内容の割にはゆっくりスタートして昼頃に取りついた。
思えば、これがよくなかった。
荷揚げのシステムに慣れてくるまで文字通り四苦八苦して、なかなか進まず。
核心になる黒ひげバリエーション(11b)をOSしても、あまり喜ぶ余裕はなし。
体力的にどうかというよりも、単に時間がかかりすぎた。
5P目の長いワイドにあさこさんが取り付いたころには日が暮れ、完全に夜になった。
それからまた長い時間荷揚げに奮闘して、頂上に抜けたのは22:30過ぎ。
這う這うの体で車に戻ったのは日付が変わって0:30だった。

日没になった時点で下降するべきだったことは明らかで、
なんだか典型的な「力量と時間のマネジメントを誤った遭難者」のようになってしまった。
本来、これは公の場で書くことではないのかもしれないが、
自戒の意味を込めて残しておくことにする。

荷揚げのシステムの感覚が多少つかめたことだけは不幸中の幸いだった。
これが本番でなくてよかったと、心から思う。