2022年8月1日月曜日

測るⅡ

 梅雨はいい加減明けたようで、地獄のような暑さが続きます。ピークはまだだろうか。

先週と今週、週末に瑞牆でマルチの継続をした。
しっかりと本数を稼ぐのは、実に久しぶり。

先週はアリカワくんをパートナーに、土曜日に十一面で3本継続した。
ベルジュエール(11b, 10P)→黄金の風(10b, 10P)→Joyful Moment(10a, 4P)。
「とりあえず2本登って、余裕があったらおかわりでもう1本登ろうか」と、
結構緩めのルート選びで行ってみた。
ルートごとの強度が低いせいか、終わった時にはまだ登れそうに思えた。
ただ、黄金の風を登り終えてからJoyful Momentの取りつきへ移動するときには、
なかなか足が重く感じた。
クライミングの体力はよくても、ベースになる馬力がまだ足りていないのかもしれない。

翌日はそこそこの疲労感を覚えつつ、アレアレアをやってみた。
前夜遅くに山はまとまった雨が降ったらしく、ルートはシケシケ。
1P目はホールドが欠けたらしく、1か所明らかに難しくなっていた。
状態は悪いし、このピッチは前にOSしているのでとりあえず次回に回した。
6P目のクラックは中がジメジメで、テン山で抜けるのがやっとだった。
ムーヴはできたので、日をあまり空けずに確実に登っておきたい。
7P目のスラブの出だしで数回落とされながらトップまで抜け、この日は終了。
自分の成長をもうちょっとは感じられるかと思っていたが、
そうするには条件が悪かった、ということにしたい。

今週はもうちょっとハードめの継続をした。
パートナーは通称ハカセことカドノくん。何のハカセなのかは教えてくれない。
金曜日に前泊して仮眠、土曜日の3時に起きて行動開始。
昼過ぎに通り雨で一時待機、一旦回復したものの、17時ごろに本降りとなって撤退。
この季節の天気はなかなか安定してくれずヤキモキしたが、
この日の天気の中でできることは十分にやったようにも思う。
登ったルートと順番は以下のとおり。
①ワイルドアットホーム(5.11b 7P 160m)
②フリーウェイ(5.11c 9P 235m)
③左稜線(5.10c 10P 245m)
④一刀(5.11b 8P 185m)                      計825m (行動時間は約12時間)



予定ではこの後さらに十一面で3本ほど登るはずだったのだけれど、
小面の頭で「これはどうあがいても登れんだろ」という雨に降られたので帰るしかなかった。
暑さに加えて湿気もあり、水も2リットル担いでいたので、
フォローでもフリーウェイの後半のスラブや左稜線のワイドはなかなかしんどかった。
左稜線の中ほどで雨に降られて一時待機したものの、
それからはまた太陽が顔を出してカンカン照りになり、さらに蒸し暑さが増した。
そんな中で日に焼かれながら登った一刀のクラックは、正直堪えた。
ただ、今回もまた終わった後の疲労度は思ったほどではなく、
あとは気力次第で続けられそうにも感じた。
難しいピッチがほぼハカセに当たったことも、もちろんあったと思う。



諸々思うことはあるが、一つ確かなのは、今の自分は体力的にもこの10年で最も充実しているということだ。
尊敬する大先輩のジャンボさんに初めての継続でボコボコにされたのは、今から9年前。
当時の僕は大学生、まだ21歳だった。
この時は、ほとんどのルートが初見だったことを差し引いても、相当なダメージを感じていた。
翌朝は、それこそ身を起こすのも辛いくらいの疲労と筋肉痛に襲われた。
そしてその頃から、自分の中で花崗岩に対する苦手意識やそもそもの考え方が変わり始め、
10年近い月日が経った今、自分はこうして登っている。
その後の自分を変える大きなきっかけになったのだと言えるし、
今回そのことを実地で確認できたことは本当に良かったと思う。
学生の頃のように、40キロ近い荷物でラッセルをするような力は、今の自分にはないだろうと思っていた。
それはたしかにそのとおりなのかもしれない。
しかし思うに、「体力」というものにはいろいろな種類がある。
今の自分にとってなによりも大切な類の体力は、
この10年でゆっくりでも確実に伸びてきていたのだ。

今回の結果に満足するわけではない。
ただし、目標に向けての中継地点という意味で、
今回のクライミングには十分に価値があったことは間違いないだろう。
そう思うと、なんだか嬉しい。