2021年10月25日月曜日

突然来るシーズン

先週は雨が降るのと同時にいきなり寒くなった。
南アルプスの稜線も白くなっていたし、下界に近いところにも着々と冬の足音が。
ついこの前まで夏みたいな暑さだったのに。年々秋が短くなっていく。

土曜日は今週も瑞牆でボルダー。天気はいいけれど風が吹いて寒かった。
体感としてはもう12月のそれ。急すぎやしませんか。

混みあう駐車場にギリギリ停めて、アップがてら皇帝岩下エリアに行ってみた。
花畑とかラフレシアを登ったことはあるけれど、その周りの課題はよく知らず。
一通り見て回って、スプリットエッジ(3級)の辺りで登った。
スプリットエッジを登って、エッジオブトゥモロー(1級)も登って、
すぐ近くの葛の葉(初段)も冷え冷えのコンディションに助けられて登れた。
エッジオブトゥモローというのは、オールユーニードイズキルという映画の原題だった気がする。
紅葉と緑が混じる

皇帝岩に移動して、本題の高き御座。
前回できなかったスタンドへの合流の一手は、これもコンディションのおかげで案外すぐにできた。
「こ、これは!」と気を良くしてスタンドをやっていくも、昔のムーヴでは当然できず、
今主流になっているらしいムーヴにするとヒールがちょっとシビアになった。
これは股関節の柔軟性が相当にものを言いそう。
太ももの裏がバキッといいそうになりながら頑張ったら、なんとかムーヴの目処は立った。
これにSDからの数手を足すとなると、出来るイメージはまだ湧かない。
そもそもスタンドもまだ登り直せていないわけだし。
ムーヴは8割がた出来たので、あとはコンディションが良い時にどれだけ通えるか、というところか。

ほどほどに疲れを感じたところで、ほうとうに移動。
皇帝岩は寒かったけれど、こっちは沢沿いに風が抜けてさらに寒かった。
前回細切れにしかできなかったムーヴをそれぞれやっていく。
恐らく単体での強度が一番高い2手目は高速タッチが限界。
足の使い方は何通りかあるものの、どれも十分に飛距離が出せず。
これを解決しないことには可能性が見えてこないな...
ヒールがぶっ壊れた中間の数手は別のシークエンスを見つけてなんとか解決。
なんだかブローのBig Islandが思い出される(トライしてないけど)。
リップを取るところまでバラしたところで日が暮れてきたので撤収した。

最後に山形県エリアにちょっと寄り道して、トラツグミ(3級)と鳥馬(5級)を登った。
どちらもグレードはあまり変わらない気がした。

日曜日はあさこさんに付き合って小川山で屋根岩5峰に行った。
この日は前日と違って日差しが強く、日向はちょっと汗ばむくらい。
それなのに日陰には最近降った初雪が残っていて、なんだか感覚がマヒする。
ビレイの合間にこんにちはおっぱい(5.12c)をやったら見事に落とされた。
コンディションはいいので、これは単純に難しいということじゃないか...?


五段クラスのムーヴが少しずつできるようになってきたこと自体は嬉しいし、収穫だった。
でも問題はここからだよな、きっと。

2021年10月18日月曜日

しとしとした秋のつづき

やっと寒気が流れ込んできて、数日でいきなり秋めいてきた。
秋めいたというか、冬の気配すら感じる寒さ。
つい先週まで日中30度の中で仕事をしていたのに。

土曜日、久しぶりに瑞牆でボルダー。
駐車場で前泊して起きたら、山はガスの中。十一面も見えない。
千日の瑠璃に行く某ペアに出会ったけれど、そちらも行くかどうか迷っていた。
ガスの中ではコンディションが整わないとのこと。
周りが真っ白でもそれなりに登れた弁天のハングは、一体なんだったのだろう。

最初に皇帝岩。なんだか、空気がやっぱりしっとりしている。
アップで数本登って、個人的に最強候補のSD初段もちょっとやった(リピートできず)。
で、状態は良くないけれど高き御座(五段)にちょっとトライ。
スタンドはかなり昔に登ったけれど、SDをやるのは初めて。
昔あった右手のエッジが今は欠けて、気持ち悪いガチャガチャになっている。
ここは今大分違うムーヴになっているらしいので、それを試す。
左手のカンテピンチがヌメりまくって、かなり苦労したものの目処は立った。
SDパートからスタンドへの合流点のランジは、カンテが持てず全く跳べなかった。

そこそこ皮を減らして、次にほうとう(五段)へ移動。
プロジェクトだったころに見たことはあったけれど、これもトライは初めて。
「一手ずつならできるかも」と思ったらそれほど甘くはなく、1手目から悪い。
川原のすぐ上で磨かれたホールドが、ヌメりも相まってより悪い感じに。
ホールド自体はかかるので、1手目はギリギリできて、2手目はできず。
3手目以降はキーとなるヒールのソールがべろんべろん剥がれてこれもできず。
手数で言えば半分くらいバラして、これも今日じゃないなということで昼前に撤退。
五段クラスをトライするコンディションではない、というのは言い訳か。

どこに行くか悩んで、サル左衛門が最近開拓しているエリアを見に行くことにした。
駐車場からそう遠くないのに、どれも登られていなかったらしい。
で、看板課題のあかあかや(三段)のアプローチのチムニーを登ったら、
抜けた出した先にサル左衛門がいてびっくり。
お互いに素っ頓狂な声が出た。後々冷静に考えると、なんだこの兄弟。

新ラインを掃除して登るサル左衛門を横目に、あかあかやにトライ。
ナイスな強傾斜にナイスなエッジとナイスなスタンスが繋がる、ナイスな課題。
手の掛かりはそれなりでも、足が切れると耐えられないタイプ。
見た目はシンプルなものの、繊細なムーヴが詰まっていてかなり難しい。
ここでもまたヌメりに泣かされて、大核心のムーヴができず。
これはちゃんと登りに来たい。
この顔である

新ラインを登るサル左衛門。これもカッコよかった。

最後にすぐ下の穴ぼこフェース(2級くらい)と小さい初段をやって、
穴ぼこフェースのホールドの痛さに半泣きになり(でもいい課題)、
初段はヨレと湿気りにやられて登れず、ぼろぼろで退散した。

先シーズンがリード中心で結局ほとんどボルダーをせずに終わってしまったので、
今シーズンはボルダーでちゃんとした成果を、と思って初めて五段に触った。
最近「五段を登る人たちは普段から五段をトライしているから強いんだ」と、
当たり前のようなそうでもないようなことに思い至ったので、
初日の今回がダメダメでも腐らずやっていきます。

2021年10月11日月曜日

しとしとした秋

ご無沙汰です。
もう9月が過ぎ、もう10月も半ばになろうかというのに、一向に涼しくならない。
それだけならまだしも、天気もあまりよくならない。
思う外でのクライミングができず、フラストレーション溜まり気味です。

9月も一応小川山や瑞牆に行きはしたものの、ほとんど雨かシケシケで、
以前登ったルートのリピートか、そもそも登りに行けずかという有様。
屋根岩5峰でデリウス(5.13a)を登ったりしたけれど、あまり思い出深くはないので割愛。

この週末は、N社長の呼びかけで小川山トポの撮影合宿に参加した。
合宿とは言っても、瑞牆のときと違って基本は現地集合現地解散。
キャンプ場に大きなテントが張ってあって、そこにいろいろなクライマーが出入りしている、
あの頃の合宿スタイルも山岳会出身者としては好きだったのだけど。
この情勢では難しいよな。
当時から今まで続いている縁も少なからずあるだけに、なんだか寂しい。

土曜日は雀卓スラブに行った。さて、雀卓スラブとはどこでしょうか?
場所で言うと、屋根岩2峰の東面(南東面?)。おむすび山スラブの真上あたりにある。
駐車場からの距離のわりにアプローチが少々分かりにくいので、あまり話題にも上らないらしい。
僕もこれまで行ったことがなかった。
初めに行ったおむすび山の下にある短いルート群(おにぎり岩とか言ったような)は、
どれもトポのグレードから2つくらいは上に感じた。
「グレードが辛いこともそれはそれで魅力のひとつ」とか考えていたけれど、
11cとあるルートの出だしに1級くらいのボルダームーヴが出てきたときには、
さすがに考えを改めようかと思ってしまった。
エリアの中でのグレードの整合性は必要、というところでしょうか。

雀卓スラブは全体的に黒々としていて、それなりに長さのあるフェース~スラブの壁だった。
初めに左端の宝さがし(5.11a)をやったら結構悪かった。体感は11b。
上部はチムニーに入って少し登るラインのようで、
カムを持っていかなかったせいで、下のボルトから延々ランナウトして登った。
ゆかりさんが国士夢想(5.11c)を気迫のオンサイトで登り、
「負けてられんぞ」ということで右のほうの子忍者(5.12b)もやりことに。
これはその昔、ユージさんがハマったとか、ハマっていないとか。
他のルートのグレードの辛さから恐る恐る取り付いたらやっぱり悪く、
ボルト2本目のすぐ上で呆気なく落ちてオンサイトはできず。
そのあたりがまず核心でかなりフィンガリーだった。
更にその上もデリケートなスラブが続き、もう1度落とされた。
微妙に湿気を感じるコンディションだったことを抜きにしても、12dくらいありそうだった。
個人的にはマラ岩のブラックホール(5.12c)よりも悪いと思う。
岩は硬く見た目も結構きれいなので、こういうタイプが好きな人にはオススメできるかも。

日曜日は裏烏帽子での撮影になった。
事前に見ていた予報では土曜よりも日曜の方が天気が良さそうだったのに、
直前に変わったのか、この日の方が天気も状態も悪かった。
まず初めに社長とふたりでむささびルート(5.10b 6P)を、調査を兼ねて登った。
以前ロクスノの「たまにはマルチ」でも取り上げられていたらしい。見逃してましたすみません。
ルートの内容はちょうどフリーとアルパインの中間という感じで、
フェースありスラブありクラックあり、藪っぽい歩きもありと、瑞牆のようだった。
5P目の「いたちクラック」(5.10a)は短いもののそれなりに存在感もあってよかった。
昼くらいからガスが下りてきて霧雨が吹き付けるような天気になってしまったが、
そのおかげでルートの頂上からした方にものすごく濃い虹が見えた。
なんだか珍しいものをみて、社長とふたり「ご褒美だ」と喜んだ。

取り付きに戻って、僕のこの日の担当はもうひとつ、軸(5.13a)。
天気が悪く、辺りが薄暗くなってしまったのと、あまりいいアングルがなかったため撮影はナシに。
それでもルートの内容の検証、ということで10年ぶりくらいに触ってみたら、見事にやられた。
100°くらいの前傾クラックに、なかなかカムもジャムも決まらず、
ボルトにクリップしてから始まる最上部のムーヴもこなすのでやっとだった。
アップ不足とかしけしけのコンディションとか悪い要素はいろいろあったけれど、
そもそもこのルート自体が難しいということが分かった。
パリパリに乾いたときにやれば印象も違うのかな?
このトライでの体感は13bだった。
そんな感じで天気がますます怪しくなってきたので、早めに撤収となった。

撮影なりなんなりで普段いかないところに行くのは実際楽しいのだけど、
そろそろ目標を定めて打ち込むクライミングを再開したい。
結構真面目にそう思う。なんだか物足りなくなってきた。
早く天気が安定しないものか...今年何度目だ?