2014年10月21日火曜日

Zarzalejo

この週末、日本では長崎国体でしたね。
DKとサル左衛門のチームが、ついに完全優勝したとのことで、
こちらでそのニュースを聞いて嬉しいやら、ほっとするやら。
おめでとうございます。
直接祝えないのがとても残念。

この週末、こちらはパートナー難民だったので、
土曜日友達とセゴビアにローマの水道橋を観に行って、
「明日は電車で行けそうなところを見に行ってみるか」と思ってたら、
深夜にアンドレス一家の奥さんサラから連絡が。
「明日La Pedrizaに行くよ!」
予想外の週末、再び。

というわけで、日曜日は12時にマドリッド市街にある公園のウォール前で集合。
12時集合って、日本では考えられない!
でもこちらでは12時というとまだ日が昇りきっていないくらい。完全に午前中。
この壁は日本のと違ってかなり使われている感じ。チョークべったりついてるし。
分かっていたけど、12時集合というのは目安であって、メンバーが揃ったのは13時近く。
まぁスペインに来るとだいたいこんな感じです。
普通の乗用車に5人でぎゅうぎゅう乗り込んで出発。
後部座席にパブロとハビエルと僕。なぜか一番大きいパブロが真ん中。
ハビエルはフォトグラファーなのだそうで、とにかくよく喋りひたすら冗談を言っている。
パブロ曰く、奇人変人の類らしい。「信用するなよ」だってさ。

この岩山の裏にも別のエリアがある


キノコを発見して早速採取するハビエル

ここはもともと石切り場で、スペイン内戦のときには砦になったらしい。
そのころのものと思しき石垣がたくさんあった。

La Praderaというセクターに到着。暑い。

なんとなくButtermilkを思い出す。

8aが一本あったけど、見るからにヌメったらアウトなタイプなのでやめておいて、
7aくらいまでの易しい課題をいろいろ登った。
ここの花崗岩は粒子が荒くてがびがび、豊田とか笠置みたい。
それと、人工のホールドみたいな捕獲岩がぼこぼこ出ている。
Supernenas (6b+)

Hamburguesa Fly (6b)

ランディングは平らだけど課題によっては結構高くて、トップアウトも悪いので結構緊張した。
常に日向で風も当たるので風化の進みが速いらしい。
でも石切り場跡の断面を見ると、中は白くて堅そうな岩だった。

一通り登って日が傾いて、Mundo Felizというセクターに移動。
ここはLa Praderaに比べて岩が大きくて密集している。
人気課題のUn Mundo Feliz (7b+/c)とか、国内最難の一本であるSoyuz (8c)なんかがある。
易しい課題をまた何本か登って、そろそろ難しいのがやりたいので、
パブロに薦められたEl Australiano (7b+/c)をやりに行く。

深い足を残して残して悪いホールドを繋ぐ課題。
右手のカチを握ってヒールを解除するところからがしんどい。
手はうまく引けないし、足は切れるし、次のホールドはファットなアンダー。
暑くてヌメるのもあるし、保持とボディテンションなので弱点盛りだくさん。
結構打ったけど、今回は敗退。
まぁ弱点を補うにはいい目標か。

その後駐車場近くの岩でもうちょっと遊んで、暗くなったので終了。
帰りの車の中でおしゃべりハビエル先生がちょっとだけスペイン語を教えてくれた。

マドリッドの北側はずっと花崗岩地帯らしく、ルートもボルダ―も大量にある。
まだまだ開拓が進んでいない岩が無尽蔵にあって、
この先何十年も広がっていきそうな印象だった。
そんな場所が市街から1時間足らずで行ける範囲にいくつもある。うらやましい。
スペインというとやっぱり石灰岩のルートのイメージが強いし、
実際のところそれは間違っていないのだけれど、日本に入ってくる情報は結局ごく一部で、
僕らの知らないところで世界に通用する質と量をもったエリアが拓かれて、
レベルの高いクライミングが盛んにおこなわれている。
いろいろなクライミングの情報サイトを見ても、雑誌をめくっても、
その先に想像よりもっと面白いものが転がっていて、強いクライマーが大勢いる。
井の中の蛙なんだな、自分は。

ここは電車の駅から近いので、一人でも行けそう。
近いうちにまた行きます。
早く涼しくならないかなー。

2014年10月18日土曜日

トポを買いに

行ってきました。

スペインのビザは、当然日本の大使館で発行してもらうんですが、
これがなんと3か月分しか出ないんですね。
で、どうするかというと、その有効期間内にこちらの警察署で申請をして、
NIE(Número de Identidad de Extranjero)というものを取得しないといけない。
要は外国人滞在者のための身分証明で、これがビザと同様の働きをするんだとか。
その申請のためにマドリッドに行くので、ついでに買い物もしてしまうことにしました。

なんとマドリッドにはスペインのクライミング誌Desnivelの書店があります。
場所は事前に調べておいたものの、Atocha駅からちょっと迷ってうろうろしつつ、到着。
こんな感じのお店

中はもっとおしゃれ
クライミングに限らず山岳関係の書籍ならなんでもあるというかんじ。
ダニエル・アンドラーダのでっかい本とか、海外のトポとかもあった。
お店の一番奥に世界の高名な登山家やクライマーがずらずら描かれている壁画があった。
メスナーとかリカルド・カシンとか。
そんな中にリン・ヒルが結構大きく描かれていて、やっぱり偉大だなと今更実感。

トポ(こっちの言葉だとguia)がとにかく山のようにあるので迷ったけど、
さしあたりこの4冊を購入。
la Pedrizaのトポは二冊とも英語が併記してあるのでいい勉強になりそう。
帰りの電車ではぱらぱら見ながらにやにやしておりました。

どの岩場にどれだけ行けるか分からないけど、トポが手元にあるのは、それで結構幸せ。

2014年10月14日火曜日

Somaen

スペインに来てからそろそろ1月半になります。
先々週はジムで知り合ったアンドレス一家とAlbarracinに行く予定だったのが、
珍しく体調を崩して寝込んでしまい、部屋から一歩も出られませんでした。
原因不明の腹痛とひどい下痢、それとなぜか併発した腰痛。
幸い二日苦しんだらよくなりました。
原因がよく分からなかったのでちょっと先が心配だけど、今は大丈夫。

で、先週末は今度こそアンドレス一家とどこかに行こうと思っていたのに、予報は雨。
からからに乾いたスペインの大地にも雨季があるみたいで、今月がそうらしい。
土曜日の夜は雷まで鳴って、なんだか日本にいるみたいだった。
あまりに望みがなさそうなので「明日はマドリッドで買い物かなぁ」と思っていると、
イバンから「明日登りに行くかも」と連絡が。
夜更かししてみるもんだ。
行先はSomaenというところらしい。聞いたことのない名前だ。
とりあえず急いで準備して就寝。

日曜の朝、うす暗い時間の電車でマドリッドへ。前回と同じように闘牛場で待ち合わせ。
早く近くにあるスーパーでお昼を調達。
バナナが割引で売っていたので釣られて買うと、3本あるうち2本は潰れかけていた。
またお腹を壊さないように、これからは安いものには注意しよう。

今回は闘牛場の近くに住んでいるダビッド(David 最後のdはほとんど発音しない)のバンで出発。
マドリッドの市街を抜けてハイウェイをがんがん飛ばして東へ。
日本と違ってひたすら平らでだだっ広いので、街がないとずっと殺風景。
ちょっと山間になったところに風力発電の風車がたくさん建っていた。
ドン・キホーテは風車を巨人と思い込んで突撃したらしいが、
丘みたいな低い山の間から風力発電のあれがヌッと出てくるとそう思えなくもない。

1時間半くらいで岩場に到着。
クエンカみたいに谷の中だけど、クエンカと違って全く家がない。
おそらくバルセロナに続く線路が走っているだけ。
例によって(?)岩場の目の前に駐車場があるので、アプローチはほぼゼロ。
エリアはここだけだけど、でっかいケイヴ

ここも石灰岩だけど、クエンカとはちょっと質が違う印象。
全体的にカクカクした部分が多くて、つるつる。
岩はこっちの方が硬いらしく、グル―やセメントで固めたホールドはなかった。
小さいとはいえハードなルートも多いし、いいエリア。

エリア右端のながーいフェースでアップ。
日本から送ってもらった60メートルのロープでは足りなかった。
ケイヴのルートは気安く手を付けると大変なことになりそうなので、
どっかぶりの7c+を紹介してもらってそれをやる。
一緒に行ったホルヘ(Jorge スペイン語読みだとこうなる)が
僕のスマートを使ってビレイしてくれたが、途中でロープがロックしてちょっとあたふた。
あとで猛烈に謝られた。大丈夫!大丈夫だから!
マスターでOSを狙ったけれど、上部のスローパーが出てくる核心でパンプ落ち。
次のトライも同じところで落ちた。
うーん、どうもこういう傾斜が強くてホールドがいいタイプのルートは下手くそだ。
3回目でそれまでの半分くらいのパンプでするっと登れた。
徐々にでもそういう方向に登りを変えていかないといけないかな。
ルートは面白かったのでよし。

他の人らがものすごい傾斜のケイヴで長ーい8台をがんがん登っているのを見ると、
自分は傾斜もスケールもずっとないルートで何をじたばたやってるんだという気分になるけど、
これはこれで、良くも悪くも今まで自分がやってきたクライミングの結果なので、
とりあえず全部受け入れております。

途中で雨が降って一時ケイヴに対比する場面があったけど、
ここは雨に強い岩場らしく皆大したことなさそうにやっていた。
イバンやダビッドはケイヴの奥にある暗ーい7cを登っていた。
「ムーヴなんてなくて、ひたすらガバで筋トレするルートだ」とか言って笑っていた。
でも結構いいルートらしい。

このSomaenという岩場のことは、前日の夜中イバンに連絡をもらうまで全く知らなかった。
写真とかどこにあるのかとか以前に、そもそも名前すら知らなかった。
そうやって日本にいるときは知りもしなかった岩場で登ることができるのが、
異国に住んでクライミングをする醍醐味のひとつなのかもしれない。
ここに来なければ、この岩場のことを僕は一生知らないままだっただろう。
人との出会いの他に、岩場との思いがけない出会いもあるんだな。

今回のわんちゃん