2022年6月13日月曜日

測る

梅雨入りですって。
しかし例年と違って、今年は雨の日にやるべきことは割とはっきりしているので、腐らずやります。

先週末は1日しか空きがなかったので、天気がいいのもお構いなく新しいルートの作業に使った。
コミネム先輩に切り売りしてもらったスタティックロープと、予備をもう一本携えて、
壁の上まで急斜面をゼーハー言いながら登った。
今年の春は、シャクナゲの生えた急斜面を登ってばかりな気がする。
と、ルートの頭に着いたらちょうどツツジが満開だった。写真は見事に撮り忘れた。

自分で新しく拓くルートに関しては、ボルトは極力手打ちすることにしている。
特に瑞牆山ではそれを守るようにしたいと思っている。
が、今回は良いハンマーがなく、P社の小さいハンマーがあるのみ。
リングボルトやRCCのように細く短いボルトならまだしも、
10mmのグージョンを打つのに腕っぷしだけではさすがに無理があった。
P社ハンマーちゃんを振って振って振りまくって、ぶら下がること数時間、
やっとこさグージョンを4本打ったところで僕のバッテリーが切れた。
肩も手首も手の皮も、あちこち痛かったので、浮石を落としつつ軽く掃除をして降りた。
下からトライできるようになるには、まだ数日必要かな。
帰りにエンペラータワーにいる仲間の様子を見に行ったら、対岸の千両岩の迫力を再確認した。


この週末は天気予報が明らかに悪く、二日ともジムかなと思っていたら、日曜日だけ案外回復。
ということで、あさこさんと久しぶりにマルチを登りにでかけた。
明け方まで雨が残り、ガスもかかっていたので、乾きを期待してカンマンボロンの太陽の登(6P 5.12c)へ。
隣のワイルドアットホームは何度も登っているけれど、こっちを登るのは初めて。
こんなしっとりした日にオンサイトトライをするのはどうかな、とも思ったけれど、
とにかく外で登れること自体に感謝しなくては、という気持ちになったので頑張ることにした。

1P目(12a)は出だしから明らかに湿っぽく、核心の微妙なポケットで早速挫けそうになりつつ抜けた。
次へ進む前に少しだけ雨がパラッとしたが、少し待ってやり過ごす。
2P目(12a)は35mの長いピッチで、トポにあったとおりこのルートのハイライト的な内容だった。これも時間をかけてOS。
3P目(12c)は一応ルート中で最難のピッチだったので気合を入れて登ったけれど、
核心となる下部のムーヴはリーチで得したらしく結構安定して越えられてしまった。
その後も比較的ホールドが分かりやすいスラブフェースで安定してOS。
個人的な体感は12bくらいで、サイドワインダーの3P目よりは登りやすい印象だった。
4P目(10a)はあさこさんがリードして、しばらくテラスでまったり。
この頃には空は完全に晴れて、風も吹いて岩はパリパリに乾いた。やったぜ。
5P目(12a)は核心を抜けた後に握ったカチがバリッともげて、「あ、落ちた」と思った瞬間、
目の前にあったカンテのガバを咄嗟に持って、足も真下のガバフレークに着地。
0.5秒くらい宙に浮いたものの、ロープにテンションはかからなかったので、続けて登ることにした。
初めての経験で、なにやら落ちたのか落ちていないのか怪しかったけれど、一応OSした。
最後にワイルドアットホームと共通の6P目を登って頂上に出た。

大面岩との間のルンゼを下降して、取り付きに戻ったのが17時半ごろ。
「追い込み足りてるー?足りてないんとちゃうー?」とあさこさんに煽られる。
まだ日は沈まないので、煽られっぱなしは悔しいので、すぐ隣にあるJoker(5.12c)をやることに。
前半にあたる短いクラックはショートサーキットと呼ばれていたルートらしく、そこだけでも11bとのこと。
0.75~0.5の嫌なサイズで、一度ぽろっと落ちかけて必死でこらえた。
その上の小レッジから続くフレークは見た目よりも易しく、ここは快適に登れた。
最後に、見るからに大核心っぽいフェースに突き当たった。やっぱりここか。
季節が季節なら全く持てそうにないホールドを押さえて、
ジャミング用に履いてきたブカブカのアスペクトの爪先を信じて、ギリギリでマントルを返して抜けた。
なんと、これもOSできた。これはしっかり難しくて12cは確実にあったと思う。
Joker

太陽の登

久しぶりに花崗岩でOSトライをした。
それに、久しぶりに花崗岩で12以上のマルチを登った。
結果として、1日で12aを3ピッチ、12cを2ピッチ登ることができた。
自分でも意外なことに、マルチピッチでここまで首尾よくOSできたのは初めてだった。

学生だった頃、大先輩の某J氏にマルチの継続に連れ出してもらって、案の定ボコボコにされた。
それから花崗岩を登りこむうち、気付けば11台のマルチがそれなりの自信を持ってOSできるようになっていた。
あのとき、翌朝布団から起き上がるのが辛いくらいに痛めつけてもらったからこそ、
それまで持ってきた花崗岩の(特に緩傾斜の)ルートに対する苦手意識が薄れていった。
その後は、それが自分の好きなタイプだとすら言えるようになったと、そう思っている。
いつの間にか、その「それなりの自信を持って」の範囲が広がって、
気づけば12台にかかるまでになったということなのだろうか。
太陽の登は、ボコボコにされたあの時から今までの自分の変化を知る、いい試金石になった気がする。

本気だけれど、気持ちのいいクライミングができたのは間違いない。
しかしこの程度ではまだ到底満足できるものではない。
もっと鍛えなくては。