2015年5月26日火曜日

El Escorial 10

土日は久しぶりにあちこち筋肉痛。
先週までまあまあ忙しかったのをいいことに、思い切りごろごろした。
で、日曜日の夕方家を出て、また単身El Escorialへ。
今回はこれまでとちょっと違う。寝袋持参で1泊コースです。
一人きりでのナイトは心細いけど、こうやってチャンスを作っていかないと。

エリアに着いたのは10時過ぎ。既にうす暗い。
当然ながら誰もいない。
今回はSetaceosにまず行ってアップしてからLa Puertaに移動しようかと思っていたのだけど、
実際Setaceosに行ったら予想以上に暗い上になんだかやる気も出ないので、
真っ暗になる前に急いでLa Puertaへ。
だって、近くにErmita(墓地)があるんだもん、怖いじゃないですか。

アップを始めた時点でもうほとんど真っ暗。
静かなEl Escorialの森に一人、明かりもヘッドランプひとつだけで登る。
冬に来た時に登った課題とか低めのやつをいろいろやった。
一手ものとは言ってもEl Monstruo...は要保持力なので、カチっぽい課題もやった。
そうしたら指皮が思いのほかぼろぼろになってきたので適当に切り上げ。
El Filoをまた2回くらい登って、アップ終了。
今になってやっとEl Filoのムーヴが定まった気がする。

やっと涼しい風が吹いてきたので、El Monstruo...にトライ。
動く範囲が小さい、というか1手目がそもそも出来ないので、
ヘッドランプ一個でも案外やれることが判明。
前回使ってみたスタンスは明らかに点で立つタイプなので、
そのつもりでシューズを変えてみたら結構いい感じ。
右足で少し推進力が得られるようになったので、前回却下した左手出しムーヴに戻す。
マシなコンディションも手伝って、前回より飛距離が出る気がした。
やがてポケットに指が入るようになり、これはいいぞということで、
とにかくこの一手を止めることに集中して気合を入れたら、初めてポケットが止まった。
左足のトウフックをずらして、右足を上げて、
ここからクロス・・・というところで右手がすっぽ抜けて落ちた。
思わず頭を抱えたけど、左手の入りは浅かったし、動きも浮ついていたし、
そのまま行ってもダメだっただろうな。

感触を忘れないうちにとそれからしばらく打ったものの、止められず。
あまり遅くまでやるつもりはなかったので、やりすぎない程度でやめて就寝。
El Monstruo...の岩小屋の寝心地はあまりよくなかった。

浅い眠りを繰り返して、6時半くらいに起きた。
気温は、まあそれなりに涼しかった。
易しい課題でアップして、トライ再開。
同じムーヴばかりやっているので、指皮は同じところが減るし、
右肩が重くなってくるし、ソールも同じところがえぐれていく。
トライを再開してすぐはまだよかったけれど、1時間くらいやったらぐだぐだになった。
撮ったビデオを観てみたら、明らかに体が上がらなくなっていて笑えた。
結局10時過ぎまでやったけれど、二度目はなかった。

帰り道、森の入り口あたりに小学生の集団がわいわいと群れていた。
最近、来るたびにどこぞの学校の遠足に出くわしている。そういう季節なのか。


今回はずっと止まらなかった一手目が止まって、
前回までの微妙な進み方からすれば大きな進歩なのかもしれない。
やっとこさムーヴが定まったのでジムでやることの方向性も見えた気がする。
ただ、その進展よりも二回目がなかったことの方がショックというか、しんどいところ。
トライの質を上げる方向で考えた方がよさそうだな。

次回で、El Monstruo...は7日目になります。
既にOvniの倍の日数かかってるんだな・・・

2015年5月24日日曜日

La Pedriza 13

木曜日、ついに最後のテストが終わり、こちらでの授業は完全に終了。
「時が経つのは早いものだ」なんて感傷的になりつつ、
授業でのことを思い返してみると、それはまあいろいろなことがあったので、
結局のところ長かったなという感想になる。

最近毎週何かしらの発表や試験があったので、生活のリズムが崩れ、
トレーニングのペースが維持できなかったので、
木曜日にジムでこれまでのメニューをやったらくたくたになった。
少しでも間が空くとすぐこれだ。
でも、パブロが「明日登りに行こうぜ」と言うので、一も二もなく乗った。
El Escorialに行こうかとも思ったのだけど、
折角車があるのでLa Pedrizaに行くことに。

しばらく夏の暑さが続いていたけど、今週はそれが少し落ち着いて涼しくなった。
パブロ曰く、これくらいが普通らしい。あー、よかった。
平日で人が少ないので、週末は混みすぎて入れないCanto Coshinoの駐車場へ。
風は涼しいけど日向は結局暑くなるので、
日陰の多いCancho Islazoで登ることになった。
アップで登った6a

二人して前日のトレーニングで筋肉痛があったけど、とりあえずアップ。
なんだかLa Pedrizaに来るのは久しぶりな気がするし、
コンディションが前回より格段にいいので、ここ特有の粒子の粗い岩が気持ちいい。
易しい課題がまとまってある岩で登り始めて、
仕上げにPlaca del Dado(7a)をやったらどハマり。
パブロは前に登ったことがあるそうで、後ろでずっとにやにやしていた。
「俺もこれかなりハマったよ」とのこと。
体感は7a+でした。

ちょっと移動して、Cámbiala Ahora(7b)へ。
スタンドは6cくらいで、SDにすると7bらしい。
ホールドはそれなりに大きいけど、遠いし向きも悪い。
ここにしては珍しく、保持力系ではなくフィジカル系だった。
ムーヴが解るまで「どうすんだコレ」という感じだったけど、
筋肉痛の肩に頼るガストンムーヴで解決。
核心のデッドが止まったトライでそのまま登れた。
スタートのクラックにフットジャムする右足がとにかく痛かった。
Cámbiala Ahora

少し奥のスポートルートのあるハングを見学して、上の方にある岩へ。
この岩は他の岩より粒子が細かいようで、瑞牆の岩にちょっと似ていた。
見た目が一番カッコいいDiedro Verde(6c)を一撃。
まだ慣れてない新品のシューズでやったら足で上手く立てないせいで汚いムーヴになった。
核心でぷるぷるしてなんだかえらく悪く感じたけど、これはすごくいい課題。

Diedro Verde
パブロはこれも前に登っているらしいけど、リピートできず。
「やべえ、弱くなってる」とか言っていた。

同じ岩に面白そうな7台がいくつかあったけど、さらに上の方にいいのを見つけたのでそっちへ。
薄い

La Pedrizaのトポではプロジェクトとなっているけど、
その後登られてAnsiedad Crónica(7a+)となったらしい。
ハングの中にあるガバカチからスタートして、ちょっと右上気味に出てくる。
一撃を狙ったけど、滑らかなリップのスローパーがヌメるのでビビッて降りた。
2回目でゲット。これはなんのひねりもない滅茶苦茶素直な課題だった。でもいい課題。
パブロは故障中の指が痛くて敗退。
暑くなってきたし、疲れてるからいいか、ということで終了。
あまりハードに登ったわけじゃないけど、気持ちのいい日でした。
帰りはマドリッド市街の渋滞が酷かった。

先週末Hoya Morosに行ってからというもの、
頭の中はEl Monstruo...とHoya Morosでぎゅうぎゅうになっていたのだけど、
改めて来てみるとLa Pedrizaの花崗岩は、それらとはまた違った顔をしていて面白い。
やっぱり自分はこの岩場が好きだな、と思う。
それはもはや、僕が「瑞牆が好き」と言うのと似たような感じになりつつある。
残り一カ月にして、誘惑が多すぎて困るのです。

2015年5月20日水曜日

Hoya Moros 1 その2

2日目、夜明け前まだ真っ暗な時間に鼻血がでて起きた。
こっちには杉林がないので「今年は楽だなー」なんて思ってたのに、
なんだかよく分からない植物の花粉に反応している模様。
おかげで今月の初めくらいからくしゃみは出るし目はかゆいし、粘膜も弱っている。
二人を起こさないように荷物の中をごそごそしてティッシュを取り出し、
血が止まってからまた寝た。

次に起きたら、山頂あたりに日が当たっていた。
アルパインルートもありそうな壁

折角起きたので前日見に行かなかったあたりへ散歩に行った。
カールの真ん中あたりは下地がいいけれど、ちょっと上に上がるとやっぱりカオス。
岩が折り重なっていて下地が絶望的に悪かったり、ものすごく深いケイヴがあったりといろいろ。
Indartsuというルーフの8b+を探してみたのだけど、見つけられず。
見た目が美しい課題はやっぱりカールの中央部に集中しているようだけど、
カオスの部分にも見方を変えればそれこそ恐ろしいほどの可能性があるようで、
この先どんどん開拓されていくんだろうな。

散歩から帰ると、案の定パブロは起きていて、エドゥはまだお休み中。
なかなか出てこない兄貴

日向は既に暑くなってきていた。
エドゥ曰く、ここの問題点はコンディションが極端なことらしい。
日向は暑過ぎるし、そうでなければ大抵寒すぎる。
ちょうど快適な気温というのはなかなかないのだそうで。
それでも真夏の日本よりはマシな気がするけど。
ということで、日陰の課題を探して登ることに。

最初に行ったのは、Kinkal Crack(7a)のあるハング。
Kinkal Crack

またアップなしなのでちょっと危なかったけど、Kinkal Crackはぷるぷるしながら一撃。
マントルを返したところにでっかい石英がぼっこり突き出していて驚いた。
次に同じスタートから左の棚をトラバースするMorenita(7a+)。
これはムーヴがちょっとトリッキーで数回かかってゲット。
どっちもいい課題。
パブロがMorenitaを頑張っていたものの、惜しいところで核心が止まらず。
エドゥは終始のんびりペース。
Morenitaのトライが一段落したところで、次の岩に移動。

次に行ったのが、カールの少し上にあるすっきりしたフェースの岩。
ここに7台が数本あるようなので、右端のShinaloa(7a)からトライ。
Shinaloa

二人がやるのをしばらく見守って、それからトライしたら一撃出来た。
リップの真下にあるカチを取るのが核心で、ちょうどよく怖くていい感じ。こういうの、好きです。
隣りの岩から移ってきたアイルランド人のパーティに交じって、
左カンテのTrepariscos(7b+)もやってみたらこれも一撃出来た。
核心がハイステップだったので、これは特異系だったかも。
Hoya Morosは個人的に好きなタイプのムーヴが多くて楽しい。
アイルランドの皆さまはTrepariscosを一時中断してShinaloaに参戦。
3人が「こえー」とか言いながらも危なげなく一撃して、
続いてパブロがランジ気味のムーヴで核心のカチを止めて登った。
「よくあんな怖いムーヴで登るね」と苦笑するアイルランドチーム。
最後に残ったエドゥが「よーし俺の番だ」と張り切って取りついて、見事にそのトライで登った。
みんな登ってみんな幸せ。いいことです。

一度ベースに戻ってお昼を食べることになった。
エドゥがアイルランドチームに「この時間にランチを食べて、昼寝するのがスペイン流」と説明しているので、
「え、寝るの!?」と聞いたら「いや、さすがにここでシエスタはしないけど・・・」とのこと。
つまり、スペイン人の昼休みは長いのです。
そういえばいつだったか、「お前は食ってからすぐ動くよな」と言われたことがあった。
日本人は、なんというか、せっかちなんだよ。


で、ベースでお昼を食べてから二人は完全に昼休みモード。
近くの日陰になっている課題をエドゥに薦められたので、一人でそれをやる。
鋭いカチが連続して、4日目の指には辛かったけど、4回目でなんとか登れた。
とにかく痛みに耐える「これ持てますか」系の課題なので、グレードがよく分からん。
帰ってから調べたら、ところによってCaptain Radon(7a+)と書かれていたり、
Maestro Sifu(7c)となっていたり、どうもはっきりしない。
まあいいけど。

食休みが終わったエドゥがクラックだらけのハングをやり始めたので、それに参戦。
落ちてる

ラインがいろいろありそうだけど、エドゥがやっていたのはまっすぐ抜けるライン。
舳みたいに突き出て部分に入ってからが悪そう。
実際やってみると、見た目よりも悪くて苦戦。
もういい加減疲れていたので、多少ぐだぐだになりつつムーヴをバラしにかかる。
フックがいまいち上手くいかないので、思い切ってリップ下のガバにランジしたら止まりそうだった。
ということでスタートからつなげたら、1回目でランジがギリギリ止まって登れた。
足を戻すのに失敗して振られたときに下の手が外れて、ほとんど片手で耐える荒れっぷり。

Sed de Mal(7b+/c)という課題だったらしい。
登りはともかく、課題の内容は良かった。

というところで、下山する時間になったので終了。既に6時を回っていたらしい。
サマータイムが始まってから、日の傾き方で時間が判別できない。
ともあれ、荷物をパッキングして、楽園を後にした。


帰り道で疲れていても、立ち止まりたくなる

日焼け止めを忘れたので、というかそもそも持っていないので、日焼けがひどかった。
2日間、日中はずっとTシャツでいたので見事にTシャツ焼け。
スペインはただでさえ日差しがきついのに、ここが山の上であることを忘れていた。
次回はちゃんと準備していこう。
Albarracinツアーの後、アンドレスに「えーと、フィリピン人?」とか言われちゃったしな。
下りは非常にスムーズだったけど、やっぱりマットを背負って歩くと肩が擦れて痛い。

車に乗ってからはもうぐったりしていて、Canderalioを出てからすぐに寝てしまった。
気づいたらもうマドリッドにいた。
道が混んでいたようで、アルカラに着いたのは11時過ぎだった。


Hoya Morosは本当に本当に素晴らしいところだった。
間違いなく、今まで行った中で一番美しいボルダリングエリアだろう。
海外の岩場に行くと、岩の質と量に毎度毎度感動するけれど、
岩よりもまずその場所の美しさに感動したのは初めてだった。
そしてもちろん、ここの岩もまた素晴らしい。
思いがけずいろいろと成果があったけれど、
土日だけではこのエリアを堪能することは到底できない。2日間は本当に短い。
触った課題はごく一部、歩いて回った範囲もきっと半分くらい。
本当に楽しくて、それだけでもお腹いっぱいになってしまうくらいの2日間だったのに、
もっともっと凄い岩がごろごろしているのを見ると、やっぱり満足できない。
また食指が動いてしまう、お腹が鳴ってしまうのです。

エドゥは「きっとHoya Morosに夢中になるぞ」と言っていた。
行く前からもう疑わなかったけれど、やっぱりその通りだった。

「Hoya Morosへ行かずには帰れない」と、金曜日までは思っていた。
「もう一度行かずには帰れない」と、今は思っています。

2015年5月19日火曜日

Hoya Moros 1 その1

金曜日は17時ころに家に着いて、その後はほとんど何もせず、
買ってあったオレンジをもそもそ食べて過ごした。
木曜日にジムでエドゥやサラと「土日はAlbarracinかな」なんて話していたのだけど、
夕方エドゥから来た連絡は例によって予想と違っていた。
「今週末はHoya Moros行くぞー」

Hoya MorosはSalamancaにある山の上のエリア。
このエリアのことを知ったのはたしか、スペインへの留学を決める前。
Iker Arroitajauregiという人が、とんでもなくカッコいいハイボールを初登しているビデオだった。
緑色っぽい地衣類のついた岩が折り重なる、夏季限定の山岳エリア。
よく調べてみるまでそれがどこかも分からずに、ただ「いつか行ってみたい」と思った。
その後紆余曲折を経て、スペインに来ることが決まり、
それからずっとこの季節がやってくるのが待ち遠しかった。

エドゥから「行くぞー」と連絡をもらってからスーパーへ買い出しに行って、
あれこれ準備していたらあっという間に深夜。
トポはないので、ビデオをいろいろ見直そうかと思ったけど、急いで就寝。

翌朝、珍しくエドゥとパブロが時間通りに迎えに来て、いざ出発。
荷物は多いけど、培ったテトリスの技術をもってすれば問題ないのだ。
集まってみたら3人とも黄色いTシャツで丸かぶり。なんてこった。
マドリッド市街を抜け、峠を越え、アビラとかいう町をかすめて西へ。
途中で寄ったガソリンスタンドで、トイレの水道水を飲んだエドゥが
「ガソリンみたいな臭いがする」とか文句を言っていた。

この山かと思って撮ったけど、違います

道中の町で買い物をして、ボカディージョをこしらえて食べて、
マドリッドから3時間くらいかけて麓のCanderalioという村に着いた。
ここはスペインの美しい村10選だかに選ばれているらしい。Albarracinもそうだったような。

それから森の中をダートを30分くらいゴトゴト走って、車のパートはおしまい。
そこら中に牛がいる

やる気満々のパブロ(なぜかスニーカー)

駐車場から急な樹林を登るとすぐに森林限界を超えて一面花畑に。これもまた黄色い。

急登を終えて尾根に出るとしばらく平坦な道になって、それから谷の中へ。
一段のっこす度に、綺麗な景色が現れる。
エリアはあの山の真下

2時間くらいかかると聞いていたのだけど、実際は1時間半くらいらしい。
弁天や矢立に開拓に行くよりも歩きは楽かも。比較的なだらかだし。
帽子がかわいい兄貴

去年の夏に北アルプスの御山谷へ開拓に行ったときは相当感動したけれど、
Hoya Morosのエリアに着いた時の衝撃と感動はその数倍だった。
これだってごく一部

驚いたのは、山岳エリアなのに芝生みたいな草地が広がっていて、下地がいい課題が多いこと。
その草原にこれまた黄色い花が咲いていて、空と、岩と、草と花とで色鮮やか。
それらの色彩の中を澄んだ小川が流れている。
とかなんとかぐだぐだ書いてますが、とにかく筆舌に尽くしがたい光景だった。
感動しすぎて写真もろくに撮らず、というかカメラすら持たず歩いてカールを一周した。
見たことのある課題もそうでない課題も、いちいち綺麗で格好良くて困った。
こんなところがあったなんて!

久しぶりに感じる浮足立ってしまうような興奮が収まってからアップ開始。
と言っても、二人も7a周辺の課題しか知らないようなので、いきなりそれくらいの課題から。
まあ前2日登っているのだからいいでしょう。
最初にEl Criptex(7a)にトライ。これはオンサイト。
ここの岩は花崗岩らしいけれど、結晶がバカでかくてガビガビ。というかトゲトゲ。
次に日ががんがん当たっている三角形のスラブ。
5月でしかもあちこち残雪があるくらいなのに、日向は真夏のように暑い。
でも、簡単そうなので気にしない。
クラックが少しじゃりじゃりしていたのでもしかしたら初登?
ついでにその左側のカンテに出るラインも登った。
こっちも中間部から上がイワタケまみれだったので初登かも。6aくらいか。
いまいちはっきりしないし確認も出来ないので別段発表もしませんが。
これだって結構高い

次に行ったのは、Aurora(8a)のある岩。
この岩はUFOが真っ二つに割れたみたいな形をしている。

二人ともスタンドバージョンのMuna(7a+)をやるようなので、まずはそれから。
リップを取るムーヴが悪かったけど、これも一撃。
岩を断ち割るクラック沿いに降りたけど、かなり恐ろしかった。
パブロが気合の入ったトライで先にゲット。
「そこのリップから飛び降りた方がいいよ」と教えたのだけど、
「だめ、怖い」と珍しく弱音を吐いて、結局僕と同じクラック沿いを大騒ぎしながら降りてきた。
そっち方が怖いんだけどなあ。
Muna

で、エドゥがレストするというので、Auroraをやってみる。
ハングの右下の方にあるアンダーから、とことん同じ向きの縦を繋いでMunaに合流する。
オリジナルのパートが、ホールドは掛かるけどスタンスが悪くてしんどい模様。
手順も足順も多少ややこしくて、セッションする相手もいないので時間がかかったけど、
30分くらいやったらなんとかバラせた。
とりあえずちょっと休んだら、エドゥがMunaを登った。やったね。

3連登目で、あまりハードにプッシュするつもりはあまりなかったので、
「2,3回やったら次に行こう」と言って、スタートからつなげ。
そうしたら、下部からムーヴがすぱすぱ決まって、
Munaのスタートを取る一番悪い一手も何とか止まってしまった。
リップ手前の中継を取ったところで体が剥がれかけたけど堪えて、そのまま押し切れた。
Aurora 8a

実質1時間かからずに登れてしまった。突然のことに驚いた。
最近調子があまりよくない気がしていたので、この課題は帰国までに登れればいいや、
という程度に考えていたのだけど、意外と体は動いてくれるものだ。
エドゥが「2,3回って言ったじゃん!」と笑っていた。

その後はパブロがEl Criptexをもう一度トライ。
El Criptex

ちょっとリーチ差がでる核心がぎりぎり届かず、これはできず。惜しかった。

最後に、Techo Patrones(7a)の岩へ。

パブロがハングの中のアンダーから出てくるラインをやっていたので、乱入して一撃。
Techo Patronesは左の方の縦ホールドがスタートなので、これはバリエーション?
帰ってきてから調べてみたけど、結局分からず。7a+くらいかな。
次にTecho Patronesのすぐ右のアンダーふたつからリップにランジするHercules(7b+?)にトライ。
両手アンダーからフリクションばりばりのリップにどんっと一手であとはマントル。
一撃は逃して物凄く遠く感じたけど、数回でコツをつかんでランジが止まり、そのままゲット。
SDは8bらしいけど、今回はやらず。
夕焼けとHercules

三人とも成果あって満足して終了。
風が当たらないボルダ―の陰にマットを敷いて、夕飯を作った。
ここはケータイの電波がとどくらしく、二人が電波の強いところへ行っている間に寝てしまった。
月はまだ昇らず、灯りも一切ないので、
目の悪い僕でも「星ってこんなにあったのか」と思うほど、綺麗に星が見えた。
街でも見えている星々の間に、もっとたくさんの星が光っていることを僕は知らなかった。

El Escorial 9

今週末はいろいろと盛りだくさんだったので遅くなってしまいましたが、
金曜日にまたEl Escorialに行ってきました。

ここのところ日中の気温は軽く30度を超え、まるで真夏のよう。
そりゃあ夏場バカンスに行きたくもなるわな。
でも、これがずっと続くわけではなく、時々思い出したように涼しくなる。
金曜日がまさにその日で、最低気温が久しぶりに一桁になるようだったので、
今回は始発に乗って出かける作戦に出た。
アルカラの駅を出たのは、まだ東の空が白み始めたころ。
この時間の電車にも意外と人が乗っていた。

駅から歩いて修道院近くまで来ると、
昭和のヒーローが乗っていそうな車がずらっと並んでいた。
どうやらその手のイベントかなにかやっていたらしい。
イベントスタッフの人々からの視線を感じつつ、足早に通過。


エリアに着いて登り始めたのは9時ころ。まだ涼しくて気持ちがいい。
前日にジムでちょっとだけ登っておいたのだけど、思っていたより体が動かなかった。
前に登ったLa Puerta(7a)もちょっとやったけどリピートできず。うーんイマイチ。
なんて心配していてもどうなるわけではないので、
またEl Filoを数回登りなおして、El Monstruo de las Regletasのトライ開始。
どうやらずっと使っていた極悪スタンスとは少し違うスタンスがあるようなので、そっちを試す。
こっちはとにかく小さい結晶なのだけど、心なしか向きがいいので、
少し上に向かって推進力が得られる。という気がする。
前回止まりかけた左手出しムーヴは微妙な感触なので、右手出しメインに戻す。
スタンスの乗り方に慣れてきたら、少しずつ軌道をコントロールできるようになってきた。
右足だけソールががんがん削れる

また何度か右手の指が入って体重が乗ったトライがあったけれど、止まらず。
やっていると、右手の指に穴が開いてくる。
この部分が凶悪

同じムーヴばかりやっているし、だんだん暑くなってくるのが分かるし、
ハングの下に広がってくる日向に反比例して気持ちは萎えてくる。
狙い過ぎるもよくないんだろうか。
ムーヴは結局どうやっても感触は似たり寄ったりな気がしてきたし、
このMonstruo(モンスター)の穴の中で出口を見失った気分。
毎回毎回少しずつ前進している気はするのだけど、
まだ何か重要なピースが欠けているような気がしてならない。
それがムーヴなのか、ホールドなのか、単なる実力なのかはまだ分からない。

13時くらいには指が痛くなってダレダレになってきたので終了。

トライ回数は100回にそろそろ届くんじゃないか。いや、もう超えているかも。
5日目にして見た目としてはほとんど変わらないので、
恐らくは、これまでトライした中で最難の1手なんだろうと思う。
駅へ帰る道中、一体どうすればいいのか分からなくなって、一人弱気になる。
でも、八方塞がりな気がしても、必ずどこかに出口があるはず。
そう信じている。
次はまた何か別の策を練っていこう。

2015年5月10日日曜日

El Escorial 8

先週、後期の授業がふたつ終わりました。
残るはプレゼンがひとつと、テストがひとつ。
授業がない方が当然楽だしクライミングに集中できるけど、なんだかちょっと寂しい。

金曜日、また単身El Escorialに行った。
前回午後から行ったときは既に岩が温もってしまっていたので、
今回は早起きして気温が上がり切るまでの時間を狙うことにした。
7時の電車に乗って出発。まだ夜明け前だった。

La Puertaの易しい課題でアップして、El Filoを3回くらい登って、
今回はEl Monstruo de las Regletasにトライ。
11時前ならまだ日陰で、コンディションは思っていたより良かった。
前回1手目のムーヴを完全に見失ったので、改めて洗い直し。
とりあえず左手を出してクロスするムーヴでやる。
これだと1手増えるのだけど、このムーヴで登っている人が多いらしい。
かき込んだり蹴りだしたりするスタンスがないので、感覚としてはキャンパに近い。
手でしっかり引いて初速をつけたら思いのほか伸びることが判明。
そうやってトライしているうちに、何度かポケットを捕えかけた。
指が奥まで入って、体重もちょっとかかったけど体が吐き出され過ぎて止まらない。
そのうちまた距離が伸びなくなったので、また右手出しムーヴでやってみる。
前回までとスタートの態勢を少し変えてやってみたら、これはこれでまずますの感触。
これまでよりは少しゆっくりコントロールして出られるようになった・・・気がする。
実際ビデオで観てもよく分からない違いだけど、
ポケットに入った右手に体重が乗りかけたトライも数回あったので、一応進歩。

12時頃はまだ日陰だったけれど、それからどんどんハングの下が日向になってきて、
そのうちどのムーヴでやってもぶれぶれになってきたので終了。
どちらの手を出すにしても、要はコンディションなのか。
もっと涼しい時ならするっと止まったりするのかもしれないけど、それを嘆いても仕方ない。
今、自分がスペインでこの時期こういう状況で暮らしていて、
そして自力で行けるところにこの課題がこうしてあるのだから、それを追うしかない。
コンディションがいまいちでも、登れる人には登れる。逆もまたしかり。
いい時期を狙ったツアーとは違うからこそ、まだまだ汗臭く頑張りたいところ。
今回早朝ならまだコンディションに望みがあると分かったので、
次回はもっと早く起きて、いっそ始発に乗って行ってやろうかな。

その後はしばらく近くの岩で日光浴をしていたトカゲを観察。

結構大きいのがそこら中にちょろちょろしている。

そのまま帰ろうかとも思ったけど、前回暑さで敗退したカンテを登りに行った。
前回よりも緑が深くなって、近くに生えている木は花盛り。こりゃ登るしかない。
この前は午後でおそらく一番暑い時間帯にやってしまったので、今回はマシに感じた。
それでもカンテがずるずるとヌメってくるので、ムーヴをしっかりバラした。
下部が核心なのだけど、上部も思いのほか悪かった。
足運びにちょっと苦戦したけど、つなげて3回目でゲット。
綺麗な森

帰ってから調べたら、La Arista del Castañarという7bだった。
これはこれで、結構満足。

帰り道はカンカン照りでものすごく暑かった。
瑞牆の原生林が恋しい。

2015年5月3日日曜日

La Pedriza 11,12

5月になりました。

5月1日はメーデー、ということで、今週は3連休。
一昨日と昨日は両日ともにLa Pedrizaへ行った。
が、2日行った割にはあまり登れませんでした。

金曜日は午前中だけで帰ってくるパターン。
エドゥとパブロがCrossroadへThe Prawnを狙いにいくというので、便乗。
いつものように裏の駐車場から急坂を登ってエリアへ。
前にカッシーたちが来た時、I Want to Believeがこっちのアプローチに近いことが分かったので、
ちょっと寄り道して二人を案内しておいた。
しかし「こいつが薦めてくる課題はどれも高いな」とか思われてるんじゃないだろうか。

坂を上り切ったところでパブロはもうお疲れの様子。
Tierra Mediaまで散歩したときのことをエドゥに話したら、
パブロは改めて「もうタバコ吸いません、約束しマス」と言っていた。

アップもそこそこに、the Prawnにトライし始める二人。
ちょっとMorfo気味なので、パブロには少々きつい様子。
下部はエドゥの倍くらい手数がありそう。
エドゥはそろそろムーヴが固まってきたようで、一度核心のカチを取ってその上で落ちた。
ここのトウフックの掛りですべて決まるらしい。
僕も暇なので、The Prawnをリピートしておいた。
前に登った時は右の方に抜けたので、今回は直登。似たようなものかな。

二人のトライが一段落ついたところで、Techo de Javiに移動。
Techo de Javi sit(8a)は10月以降来ていなかったけど、半年経ってもあまり変化なし。
スタートのアンダーはかなり持てるようになった気がするけど、
スタンスがどれも悪いので1手目のランジがどうも伸びない。
少し感触が良くなってきたところで右の中指に穴が開きそうになってきたのでやめ。
まぁ、2手加えるだけで7aが8aになるんだから、そりゃあ悪いよな。
エドゥはスタンドの7a、パブロはその右抜けの7a+をやっていたけど、
どちらも登れず時間切れ。
右抜けのパブロ

それじゃまた明日、ということで15時前にアルカラに帰った。

昨日は13時半にアンヘルが迎えに来た。
出発早々、唐突に「昨日彼女と別れた」と言い出すアンヘル。
「だから俺は今日岩に癒されにいくんだ」と張り切っている様子だったけど、
途中で2回道を間違えて、1時間以上遅れてしまった。
携帯の電池も切れていたようで、他の人らと連絡もつかず。
元気そうだけど、やっぱり内心は穏やかでなかったようです。がんばれアンヘル。
今回はCanto Cochinoの方にあるセクターに行く予定だったのだけど、
La Pedrizaのゲートのところは既に車で一杯。
アンヘルも「こんなの見たことない!」と嘆く。
ここでなんとかパブロたちと連絡がついて、El Trancoの方からLa Focaに行くことに。
「こっちからもLa Focaに行けるんだよ」とアンヘルに教えたら、
「お前、俺たちよりもこの辺に詳しいな」と感心していた。
そりゃあ、トポを読みこんでますますからね。日本人は勤勉なんだよ。

てっきりパブロたちはもうLa Focaにいるのだと思っていたら、まだ来ていないようで、
セクターについても誰もいなかった。
セクターの中を一通り見て回っても来る様子がないので、
「Laboratorioに戻るか」と歩き始めたらパブロとサラが来た。
しばらく待ったらエドゥとロザンナも来た。時間は既に五時過ぎ。あらあら。

少し上流の方に行って、易しい課題がある辺りでアップ。
6bのフェースを登るロザンナ

その後はRobinの岩に移動して登った。
男性陣三人はRobinをやっていたけど、コンディションが悪いのか、一手目が出来ない様子。
エドゥが一回だけ上部突入して飛び降りただけだった。
僕も一回リピートしたけど、前回に比べて明らかにヌメった。
ちょっと激しく動いたらやけに暑く感じるし、スペインにしては珍しく(?)蒸し暑さすら感じる。
皆さん早々に見切りをつけたので、一人で隣のMerancolia(7c)をやってみた。
Robinと違ってホールドの向きが全部悪い感じ。
一撃はあっさり逃して、その後しばらく頑張ったものの、
体はいまいち動かないし、ホールドはガビガビで痛いしで、敗退。
なんだか体調もあまり良くなかったようで、変に頭が痛かった。なんだこれ。
Merancolia

本当はLementoもやりたいところだったけど、これじゃダメだなということで諦め。
既に九時近かったので、これにて終了となった。

というわけで今週末は成果なし。シーズンもいい加減終わりそう。
いや、今週末が特別に暑かっただけだと思いたいけど・・・

Techo de JaviとMerancoliaにやられて指はズタズタですが、気持ちとしては物足りないので、
来週はもっとたくさん登れるようにしよう。