2016年3月27日日曜日

新しくなる

先日、大学の卒業式があった。
僕はまだ卒業しないけれど、学部から大学院まで一緒だった同期の人々が卒業になり、
だから今年の卒業式はちょっと特別だった。
これまでこの時期のこの行事に何かを感じることはほとんどなかったけれど、
今年はなんだかいつもより感傷的になりました。
バイト先の卒業生の送別会もあったし、今更、別れのキセツなんて言葉を思い浮かべたり。
エッジのホールド替えを手伝ったりしつつ、今週はずっとそんな感じでした。


で、昨日はハルキさんとフジサワさん(a.k.a.ダミアン)に誘われて恵那へ。
二人は「坂の上の雲」(初段)をやりたいそうなので、「パッション」(四段)をやることに。
「ナナメ」(3級)をアップで何度か登ったけど、毎回手順が違った。
どれが正解とも言えない微妙な感じ。
手数があるので、まあいいアップにはなるかな。
「坂の上の雲」もアップの仕上げにやったら、核心で落ちて2回目でリピート。
二人のトライをしばらく眺めて、合間を縫って「パッション」をやる。
前回来たときに8割くらいバラしたつもりだったのだけど、もう忘れていた。
中間からやって、あれ、ここどうやったっけ?となった。
オリジナルのムーヴでもやってみて、コンディションがいいのでこれでも出来そうだった。
でも、折角前に作った感触のいいムーヴがある(はず)わけだし、
と思ってもうしばらくやったら、やっとこさ思い出した。
やっぱりこういうハードな課題は短期間に集中してやらないとダメだなぁ。
指のサイドがゴリゴリ削れて痛いけど、そういう痛みならジョシュアで慣れた。
でも結局皮は一緒なので、スタンドスタートで登れたトライでごっそり抉れて流血。
とりあえず次回は繋げに入れそうかな。
二人はジムでの軽妙なノリそのままにやっていたけど、二人とも登れず。


ちょっと移動して、アプローチの途中にある「ジュワワ」(初/二段)をやってみたら、
拍子抜けするくらいあっけなくOSできた。
内容はまあそれなりに面白いけど、グレードのわりにやけに登りやすかった。
これはフジサワさんもゲット。釈然としない様子だったけど。


最後に、レッドブルの岩で「レッドブル」(三段)にトライ。
「こんなの持つの?」という感じのエッジをなんとか誤魔化してつなぐのが面白い。
ムーヴの目途はだいたいついたけれど、実行には至らず。ヨレるの早いなー。
指皮も、主に右手がなくなっていたので、核心に入るあたりの処理ができなかった。
コンディションがよかっただけに、残念。
これは元気な時真っ先にやるべき課題な気がする。
次回はまずこれに来ようかな。
ハルキさんが「赤牛」(二/三段)を今期の目標(仮)に設定して、今回は終了。

それにしても、恵那はやるものが多すぎてキリがないな。
もっと来ないと。

2016年3月14日月曜日

還ってくる

昨日は大ザルと遠山川へ。
長野を出た時は雪が舞っているくらいで寒かったけど、エリアは晴れて暖か。
そろそろ春の陽気になってきたか。

やっと水位が下がって、対岸に渡れるようになったので、
岩盤でアップしてアンバマイカの岩へ。
アップしていたら、中流の方から呼ぶ声が。
がちおさんがジムの人たちを連れて現れた。
おかげで一気に賑やかくなった。

増水していた間にまた下地が少し下がってしまい、
アンバマイカの岩は余計に周りのスペースが狭くなっていた。
「天照」の下地も、シーズン初めに作った下地が半分くらいなくなっていたので、
「今日は半分土木工事かなあ」と石を運んでいたら、
岐阜勢の皆さんが手伝ってくれて、おかげで凄い早さで下地ができた。
ありがとうございます。
アップの仕上げにアンバマイカを登って、リップも掃除。
リップの上から見ると、下は川しか見えない。そりゃそうか。
下地が出来たとはいえ、3手目を取り損ねると結局水没しそう。
リップはやっぱり上から見るとまったいらだけど、下から持てばちょっとはいいだろう、と判断。

ツアー直後で、気合もあまり入っていなかったので、
「次回勝負する感じかな」と思いつつトライ開始。
と、初っ端から1手目が止まる。
2手目のランジで落ちたけど、なにやら感触がやたらとよかった。
1回握っただけでスタートのカチに皮を取られるので、トライの間隔は長めにして続行。
2回目はまた2手目を外して落ちて、3回目に止まった。
スタートまで足を上げたら思ったよりも狭く、3手目を出すかどうかで一瞬迷ってしまい、
その一瞬で一気に心が折れたので、出さずに下りた。
そりゃあ、迷いますって。

感触の良さに、「今日登っちまえ!」とレストして腹を括って4回目。
よく見えない2手目が完全に命中して、
今度は覚悟が出来ていたので迷わずに3手目を出したら、止まった。
いざ取ってみたら、リップは予想した通り結構よくかかるスローパーで、
あとは慎重にマッチしてマントルを返して、岩の上に立った。
毎回心配だったけど、水遊びはせずに済んだ。よかったよかった。
数年前に初めて触った時は1手目の悪さに「なんじゃこりゃ」となったのに、
やっているとこなれるものですね。

その後はしばらく岐阜勢と大ザルの応援。
大ザルは調子が上がってきているらしく、シーズンベストの高度をマーク。
そろそろ勝負できるのか?頑張ってほしいところ。
岐阜勢はアンバマイカで遠山川の岩質の洗礼を受けていた。
登れたり、登れなかったり、下降で衝撃を受けたり。
これが遠山川ですよ、皆さん、とか思ってにやにや。
だんだん惜しくなってきている大ザル

「イザナギ」に行こうかなとも思ったけど、神楽ケイヴへいって「骸」(四段)をやってみることに。
後半の二段パートは一応登れているので、スタートからバラす。
まず1手目が苦手な感じ。アンダーで体を張って出るのは相変わらず苦手だなぁ。
ちょっと手元を調整してからの2手目が遠い。取る先はガバだけど、ほぼフルスパン。
で、多分一番の核心になる3手目。
これはフックとか腰の位置で誤魔化して出る感覚が面白かったけど、止まらなかった。
1手1手はそれなりに出来そうな感触を得たので、試しにスタートからつなげてみた。
流石にそれでぱっと出来てしまうほど生易しくはないけれど、
最終的に2手目を止めて3手目に入るところまでは繋がった。
初登されるよりも前に1回だけやって、もろに苦手な1手目と遠い2手目以降に、
「これはとんでもないなあ」とだけ思ってそれ以来避けている節があったので、
今回のこの感触は驚きだったし、それでいて、必然でもあった。
シーズンの終わりは近いけれど、やっていったら面白くなりそう。
頑張ってみよう。

というところで今回は終了。
岐阜勢は泊まりだったらしい。どうだったかな。

ツアーから帰ってきて、登り始めるまで少し時間をおこうかとも思ったけれど、
自分が落ち着く岩場に行ったら、そんなのどうでもよくなってしまいました。
いや、どうでもよくなったわけではないけど。
どんな状況でも、自分は外に出掛けてなんぼなんだな、と思う。
案外簡単にリスタートが切れそうなことに、なんだか呆れてしまうけれど、
これでもいいかな、なんてことも思う。

おまけ
恩師の体をいじるがちおさん(真面目)

2016年3月11日金曜日

Joshua Tree 総括

1か月のツアーが終わり、昨夜帰ってきました。

スペイン留学中はひたすらボルダ―だったので、
今度はルートを、出来ることならトラッドを、と思ったのが今ツアーの発端でした。
そのきっかけから、徐々に場所を絞り、メンバーを集めていくうちに、
行先がJoshua Treeに決まり、具体的な目標も定まっていきました。
そうして決めたのが、「ハードなクラックに打ち込む」ということでした。
思い返してみると、僕は普段瑞牆などでクラックの出てくるルートを登っていますが、
クラックそのものに通ったことはなく、最高グレードは11台でした。
つまり、たまたま一撃出来たり、数回のトライで登れたものしかなかったわけです。
だから、12を越えるクラックがそもそもどんなものか知らずにいたし、
それにフェースやボルダ―をメインでやってきた自分がどれだけ太刀打ちできるのか、
それを試してみたかった、というのが当初考えていたツアーの目的でした。

EquinoxやAcid Crackなど、やってみたいルートはいくつもリストアップしていましたが、
その中でStingrayはちょっと別格と言うか、特別視していました。
理由は単純で、グレードが飛びぬけているからです。
白髪鬼をトライした感じでは、13dというグレードは決して不可能なものではなく、
おそらくやって出来ないムーヴはないだろうと踏んでいました。
しかし白髪鬼はほとんどフェイスムーヴでジャミングはほぼしないし、
「強傾斜、浅いジャミングでのキャンパ」だとかいう噂もあったので、その厳しさは未知数。
一方で、自分が生れるよりも前に一人の日本人が初登し、
その後20年再登されることなかったこのルートのことは、ずっと前から知っていました。
だからこそ、気になっていました。
ということで、まずは行って実物を見て、トップロープでトライして、
打ち込むかどうかはそれから決めよう、そう考えながらツアーに出発しました。

現地について二日目に、まずは偵察に行き、その後体調を崩したりしましたが、
とにかくトップロープでトライ。
そしてすぐに、このツアーの目標をこれ一本に絞ることを決めました。
なにか特別な理由があるのかというと、そうではなく、
単純に「このルートが登れたら凄い」「でも生半可なことでは登れない」と感じたのです。
この日から、このツアーのテーマは「ハードなクラックを登る」ではなく、
「Stingrayを登る」に変わっていきました。

幸い12以上と言われる後半部分は思いのほかあっさり解決し、
初日はさっぱりできなかった核心のムーヴも、数日かけてなんとかバラせました。
指が引きちぎれるかと思うくらい痛かったジャミングにも、日を重ねるごとに慣れていきました。
しかし問題だったのはやはり指の皮の問題。
これまで本気でクラックに取り組んでこなかった僕の指は、所謂クラック使用のそれではなく、
逆剥けから血が流れ、指の側面の皮は剥がれ、マメができました。
核心の強烈なフィンガーロックをねじ込んでいると、
いつしか両手の人さし指の側面の感覚が痺れるように鈍くなり、皮も硬くなり、
段々とStingrayになじんだ体になっていっているように感じました。

5日目にはリードでのトライに移行。
しかしここでプロテクションを取りながら登ることの厳しさが改めて見えてきました。
トップロープでは流れるムーヴでも、そのどこかで一度止まらなければならない。
ムーヴを詰め直す必要に迫られ、この日の結果はボロボロでした。
それにもう一つ、クラックの場合、一度上まで抜けないと回収が出来ないため、
1回1回のトライに思った以上に時間がかかることが判明。
当たり前と言えば当たり前なのですが。
指の皮もごっそり取られてしまい、もうそんなに数は打てないと感じました。

6日目にはなんとか核心に突入して一番難しい一手を出すまでに至りました。
そのトライはもうギリギリすぎて、ほぼ捨身のデッドになってしまったし、
正直惜しくもなんともないトライでした。
しかしやっとこさまともに勝負できるところまで持ち込めたことに、
僕は喜びと楽しさを感じていました。

そして迎えた最終日、結果は僕の負けでした。

Stingrayに打ち込んでいる間、本当にいろんな考えや迷いが浮かんできました。
「こんなに沢山の面白そうなルートがあるのに、一本に費やすなんてもったいない」
「12のクラックを登ったことがない自分が、13なんてとんでもない」
「きっと後悔する」
そんなことをくだくだと考えては振り払い、深呼吸して、腹を括ろうと努力しました。

きっと、Stingrayは触るだけにして、もっと他のルートをあれこれ登って回っていれば、
純粋にJoshua Treeという岩場を満喫し、楽しいツアーにできたことでしょう。
でも、僕がここに来たのは、楽しいクライミングをするためじゃない。
もしクライミングが楽しいだけのものなら、やる価値はない。
体に傷をつくって、血を流して、関節の痛みに呻いてまで、やる価値はない。
僕はそう考えます。

出来るかどうか分からないものにも立ち向かっていくと決めた今年。
目の前にあるものが出来るかどうか分からなくても、
何も賭さずに「これは無理」と決めつけてしまうのは、あまりに早計であまりに情けない。
その結果として、Stingrayはなんとか勝負できるところまで持ち込めた程度でした。
核心をこなせても、その後で落ちてしまった。それが今の実力です。
13dのクラックでも、出来ないことはないんだと、それだけは分かりました。
しかし結果は結果、甘んじて受け入れるつもりです。

これらは総合して、「いい経験になった」と言えるほど、僕は大人ではありません。
今はただ、悔しいです。
クライミングをしていて、こんなに悔しいは初めてです。

Stingrayを後にするとき、つい「待ってろよコノヤロー」なんて思いかけましたが、
考えてみれば、ルートがクライマーを待っているなんてことはないのです。
Stingrayは、広大なWonderlandの東端にあるIguana Domeの北面を、
蜘蛛の糸のように細く断ち割って、ただそこにひっそりと在るだけです。
だから僕は、自分の意思であの場所に戻らなければいけないのです。

2016年3月10日木曜日

Joshua Tree 10

3/6 『最終ラウンド』
Stingray7日目。泣いても笑っても最後の日。
幸いなことに天気が良く、たしかに風は今ツアーで一番強かったけれど、
気温がぐっと下がり、今ツアーで一番のコンディションだった。
かっしーがHot Rocks(5.11c)に行きたいそうなので、
近くにあるHobbit Holeのワイドクラック(V0)とHot Rocksを登ってアップした。

ワイドクラックを観音開きで登るこーめい

Hot Rocksはフラッシュ。これも流石4つ星という内容とスケールのあるルートだった。

Stingray周辺は案外風が強くなく、予想したようなやりにくさはなかった。
トップロープで流れを確認し、コンディションの良さを実感。
ムーヴの感触もこれまでで一番良かった。
最後の日なので時間をゆっくり使わせてもらった。
リード1回目は核心の左手が上手く入らず、次のデッドを外して落ちた。
時間的に最後のトライとなった2回目はテーピングをすべて外して臨んだ。
もう指がどうなってしまったっていい、ベストなトライにしよう。
そう思ったのがよかったのか、核心の左手が完璧にきまり、
右手でのデッドが初めて止まった。
更にその次の掛りのいいフィンガーロックをなんとかねじ込んで、
その瞬間、「ああ、不可能なんかじゃなかったんだ」と感じた。
初めは全く繋がるイメージが持てなかったこの核心が、こなせたんだ。
そう思った直後、「あ、やばい」と思った。指が吐き出されかけているのを感じた。
そして、ずっと嫌だと思っていた、核心直後のデッドで落ちた。
ジャムが抜けたのか、足が滑ったのか、なんだか分からなかったけれど、落ちていた。
光明は一瞬、現実は変わらず。
何度も叫び、唸り、頭を抱え、髪をかきむしった。
そうしてもStingrayは何も変わらず聳えているだけなので、
負けを認めて、ギアを回収し、自分がチョークで汚してしまった部分を掃除して終わった。
誰も、何も言わなかった。
一人ぼっちで、ただ「負けた」と思った。

最後に、道の途中にあるケルンの横に、石を7つ積んでおいた。
次の機会はいつだろう。来年か、2年後か、もっと先か。
出来うる限り早くここに戻ってきて、あの積んだ石を蹴飛ばしたい。
積み重ねった日数分の痛みやなんかを、全部蹴飛ばしてしまいたい。


3/7 『ロスト』
夕べは眠る気になれず、3時くらいまで夜更かしをしていた。
そのせいもあって、今朝の目覚めは最悪。惨めな気分だった。
空は黒っぽい雲が立ち込めていて、もう降っていそうな様子。
メンバーも皆いつもよりぐったりのっそりと準備して、
いつ降ってくるか分からないし、とりあえずアプローチの近そうなボルダ―に出掛けた。
Geology Tour Roadのエリアに行って、Thin Crack(V10)のある辺りで登り始めた。
小雨が当たったりもしたが、帰るほどではなかった。
辺りには花がいろいろ咲いていて、春の訪れを告げてた。
花粉がついて、靴が黄色くなってしまった。
V3

Special K

Special K(V7)を一撃したものの、もうクライミングに気持ちが入らなかった。
敗退の事実が頭の中をぐるぐると回るし、単純な疲労もあった。
The `Peanut(V7 R)をやってみたものの、いつにも増して高さが怖く感じ、
寒さといら立ちで、早く雨が降らないかな、早く帰ってしまいたい、と思う始末。
福ちゃんが最後の最後にCap RockのPumping Monzonite(V7)を登り、
撤収したら街は雨だった。
Pumping Monzonite

ノマドで買い物をし、CROSSROADS CAFEで最後の夕食。
ノマドのお兄さんにStingrayの結果報告をしたかったし、
CROSSROADSのヒゲもじゃさんにも会いたかったけれど、どちらも不在だった。残念。
モーテルの帰ってから汚れに汚れた車を洗って、荷物をパッキング。
あとは帰るのみとなった。
惨めさはまだ尾を引いている。
燃やしてきた情熱が消え、それがまた戻ってくることは分かっているけれど、
もうしばらくはくすぶり続けるだろう。


3/8 『帰国』
3時半に起きて、4時に出発。

ロスまでの道は案の定渋滞気味だった。
管理人のおじさんの言うことを鵜呑みにしなくてよかった。
眠い目を擦りながら、想定よりはスムーズに行って、8時過ぎに空港着。
それから荷物を置いて、車を返却して、あとはもう慣れたもの。
時間を持て余すことなく、搭乗となった。
車での移動中はあんなに眠かったのに、飛行機に乗ったら目がさえてしまい、
結局ほとんど眠れず、映画を3本くらい観た。
成田は冷たい雨が降っていて、吐く息が白かった。
長野は雪だったらしい。

2016年3月7日月曜日

Joshua Tree 9

3/3 『6ラウンド目』
Stingray6日目。
今回はきちんと勝負したかったので、まず午前中はボルダ―で体を動かして、
トップロープで一度やってからリードすることにした。
Outbackのボルダ―に行って、見つけた易しい課題を2回ずつ登ってアップ。
ハイボールのWhite Rastafarian(V2)も、単純に楽しいので2回登った。
White Rastafarian

昼くらいに移動。
季節が春に向かっているとは言っても、
トライを始めたころより明らかに暖かくなってしまったように感じる。
トップロープでプロテクションを再度確認し、
核心とその直後のパートも他のシークエンスがないか再度探ってみたものの、
結局今のままという結論になった。
1時間あけて、1回目のトライは核心の1手目で落ちた。
繋げていくと、核心手前からいちいち全部のジャミングが浅くなる。
続けて2回目は少しマシになって、1手目をギリギリ止めて2手目を捨て身で出して落ちた。
1手ずつ丁寧に動けないと続けられない。

上部も嫌な感じだし、また繋げられるイメージが薄れてきたが、
しかしやっとまともに勝負させてもらえていることに楽しさも少し感じた。
もっと早くこの段階に来たかった。
とにかく、トライできるのはあと1日。最後までやっていこう。

3/4 『刺激』
午前中はかっしーのAcid Crack、午後はこーめいがAlisters Caveに行くようなので、
さてレストかもしれないなと思いつつ、一応コンタクトを入れていった。
Real Hidden Vallyのボルダ―でアップして、早々にAcidへ。
1回目、2回目と下部を越えたものの、ニーバーのセクションに入る辺りで落ちた。
日が当たって、岩が鉄板と化し始める中、
上裸になったかっしーは3回目で仕留めた。
励みになる、いいクライミングだった。


そのトライの合間、暇を持て余したこーめいが岩場をうろつくネズミを追い回していた。
今回は食べ物をあさられずに済んだけど。

Alisters Caveにはあまり行く気がしなかったので、
かっしーと二人Coarse and Buggy(5.11b)を登りに行った。
昨日の今日だからか、アップなしでも体は動き、OS。
テクニカルなステミングの続く名作。やってよかった。
Coarse and Buggy

Barker Damで福ちゃんらを拾い、まだ時間があるのでBig Bob's Big Wedge(V5)へ行った。
物凄い長さのルーフクラックで、ルーフの中はほとんどハンドかフィスト。
が、出口のワイドのムーヴが結局バラせず。ワイド力が足りないなあ。
足先行で、上下反転?高さもあって、怖すぎる。
Big Bob's Big Wedge

明日はレストで、6日にいよいよ最後のトライとなる。
7日は雨予報。
外れることを祈るが、曇りがちな空を見ると不安しかない。

3/5 『落ち着かない』
レスト日。しかし朝から天気予報が思わしくないのを見て気が沈んだ。
こーめいの希望(かつ、誕生日だし)でRyan CampgroundのLove Machine(V10)から回った。
まあ、小さいルーフ。日本的。
こーめいは某アイドルグループのナンバーを口ずさみながらあっという間に登っていた。
Love Machineの岩

次は、Pigpen(V4)の岩。こっちはそれなりに大きな、奥行きのあるルーフ。
登らないので、撮影しながら合間合間に辺りをそわそわ歩き回って、
明日のことをぐちゃぐちゃと考え続けていた。
Pigpenの岩

予報は「windy」、明日は風がえらく強いのだという。
Bishopでも見たこの、晴れでも雨でもなく風という予報は、
風が強すぎて晴れでも雨でも関係ない、という意味だと勝手に思っていたので、
そんな状況でまともにトライできるのか、と不安になっていた。
心の奥ではもう、登れずに帰るときの言い訳すら考え始めている。

Iron Resolutionに移動して、福ちゃんがトライして、夕方早い時間に終了。
スーパーで土産を買いこみ、モーテルに帰ってこーめいの誕生日を祝った。
久しぶりに、鍋で米を炊いてみたら、一同感激。白米は偉大なり。
しかし気持ちは落ち着かないまま、夜は更けていく。
やけに赤いカップケーキ(恐ろしい甘さ)


2016年3月3日木曜日

Joshua Tree 8

2/29 『3トライのレスト日』
セイタ、トミオカ両氏が帰る日。厳密にはロスへの移動日。
昼まで登ってから帰るとのこと。
昨日ボコボコにやられて、そもそも登りに行くかも迷っていたけど、
Cap Rockに初日トライしたV5をやりに行きたいということなので、
こーめいの受け渡しもあるし、皆で同行。
時間が許せばUp 40(V3 X)かなにかやろうかと思ったけど、
V5のセッションは二人が力尽きるまで続いたので、最終的にタイムアップで行く余裕はナシ。
まあ半端な覚悟でやれば怪我は必至なので、むしろやらなくてよかったかも。
V5をリピートしたりして、合計3トライだけ体を動かした。
食に走り始めるセイタ選手

それからCROSSROADS CAFEで最後に皆で昼食。
前回いたヒゲもじゃの店員さんが、今日も武骨な見た目に反した穏やかな応対をしてくれた。
でも、見た目どおりの豪快さでコーヒーのおかわりを注ぎ足して、盛大にカップからこぼしつつ、
ふえっへっへと悪役みたいなの笑い方をするので、こちらは怒る気もおきない。
むしろ気分がいいくらい。

2人とサヨナラして、スーパーで買い物をして、その後はモーテルでぐだぐだと午後を過ごした。
ブログを書いたりしつつ、残りの日程を見直して、3/3にStingrayをやることに決めた。

2月が終わる。
この果ての無い岩の楽園に来て、たった一本のルートに残りのツアーを賭けるなんて、
ナンセンスというか、勿体ないのかもしれない。
興味のあるルート、登って帰りたいルートも沢山ある。
こんな、数週間前からある葛藤が顔を出して出して出しまくり、辛い一日だったが、
それでも残り1週間を賭ける覚悟をなんとか決めた。


3/1 『プレヒート』
今日登って明日休んで、明後日勝負することにした。
何か12をやりたいと思ったので、Real Hidden Valleyへ。
こーめいをHidden Valleyで下ろし、2人の希望もあってIllusion Dweller(5.10b)から。
70メートルのロープでロアーダウンしてギリギリ足りる長さの、4つ星クラック。
これは文句なくいいルートだった。
登っても登っても、まだあるんかー、まだ楽しめるんかーという感じ。
Illusion Dweller

ジャンボさんにもらったオススメリストにあったThe Chameleon(5.12b)はOSを逃し、
ワンテンだったもののヒーヒー言いながら抜けた。
暑すぎる気もしたけど、ここは南面だし、むしろそれを前提としてのグレードなのか?
なんだか自分のグレード感覚にも自信がなくなってくる。
The Chameleon

Stingrayの結果次第で戻ってくることにして、Sports Challenge Rockに移動。
初めにやったClean and Jerk(5.10c)はまたもノープロ出だし核心だっだが、これもよかった。
福ちゃんはこれをRPしてクラックのグレードを更新。めきめきですな。
Clean and Jerk

そして、本題のLeave it to Beaver(5.12a)にトライ。
核心で足がすっぽ抜けて、落ちたと思ったら右手のハンドジャム一本で耐えた。
猛烈に痛かったけど、そこから持ち直して、
腕がバンバンになりつつなんとか振り絞ってOSできた。
Leave it to Beaver

トラッド系のルートでは自己最高か。まあ滅多にOSなんて狙えないのだけど。
心を折らずに突っ込んでいくって、大切。
こういう、いいプロテクションで豪快なフェースムーヴが続くルートは面白い。
最後にClean and Jerkをソロして終了。
リードで3人だと回転がゆっくりなので、ヨレヨレとまではいかなかったが、
まあそこそこのプレヒートになったはずだ。

3/2 『土産』
予定通り丸一日レスト。
福ちゃんが夕方Iron Resolutionに行くので、昼間は洗濯+外食。
と、その前にビジターセンターとコヨーテコーナーに土産を探しに行った。
ビジターセンターには特に面白いものはなく、コヨーテコーナーにはありすぎた。
変な虫とか売ってたし。
「ゴリラの鼻くそ」的なにおいを感じるCoyote's Poopsなんてのもあった。
とりあえず、カクタスキャンディーとコーヒーを購入。
こーめいが小さい赤ん坊(ゴム製)を4つも買い込んでいた。
ベイビーと遊ぶこーめい

それを持ってタイ料理を食べに行ったら、店員のおばさんが「あらかわいい」とやけに食いついた。
店はいつもより混んでいたけど、今日のおばちゃんはよく話した。

スーパーに寄って帰り、モーテルの管理人のおじさんとチェックアウトの日のことを相談して、
「ロスの空港まで、早朝なら2時間半でいくヨ」と言われた。
うーむ、来るときはほとんど迷わずに5時間かかったし、参考にはしないでおくか。
3時くらいに出て、福ちゃんが暗くなるまでIron Resolutionをやって終了。
ところで、Iron Resolutionの岩の下にボルトがあるのを発見。
この岩、どうやらもともとボルトルートがあったのが崩れて出来たらしい。すげー。


さて、明日は勝負。指は治ってきた。どうなるか。

2016年3月1日火曜日

Joshua Tree 7

2/26 『かけめぐる』
丸一日レストする日。午前中、かっしーがAcid Crackにトライするので同行。
Real Hidden Valleyのボルダ―でアップするのを眺め、Acidへ。
かっしーも今回からリードでトライを始めた。
暑くなってくる中、出だしのフィンガージャムのセクションで苦労しているものの、
それ以降は繋がりそうに見えた。
Acid Crack

写真を撮ったり、岩陰で涼んでいるとき、そしてそこで少し微睡んでいるとき、
Stingrayのイメージが呼び起こさずとも浮かんでくる。
荒い息で、小さなカムをセットしているイメージが駆け巡り、1周したら2周目がはじまる。
だんだん追い込まれてきているのか。焦り始めているのか。

そういえばまた岩場で食べ物をあさられた。今度はチビのネズミ。
素早く動く犯人

昼まででトライは終わり、洗濯をしにジョシュアツリーの街へ。
福ちゃんがついにカムを購入。
それから、前から気になっていたCROSSROADS CAFEで遅めの昼食。
少しばかり髙いけれど、いい雰囲気、料理は美味しく、店員さんの対応もよかった。
伝票の書かれたThank You!に少し感動。



モーテルに帰り、午後から出かけた後発組3人の帰りを夕飯を作りながら待った。

両手の人差し指の側面はもうだいぶ前から鈍くしびれたままだ。
残り1週間と数日。
早く登りたい気持ち、早く帰国して安心したい気持ち、いろいろあるが、
今Stingrayから逃げ出すという選択肢は、ない。

2/27 『ハイキング』
今日はマットが多くあるうちに、ということでUndergroundへ行くことになった。
アプローチ2マイル半、山をひとつ越え、少し迷いながら2時間ちょっとかけて到着。
ボルダ―のアプローチとしてはなかなか。歩き慣れててよかった。


明日のStingrayのためにV6までしかやらない誓いを立て、ほとんど他のメンバーの観戦。
皆、アプローチの長さと暑さに参っていたけれど、ぼちぼち登り始めていた。
4:20 at underground(V4)とBody and Soul(V5)を登り、
まあたしかに面白いかな、という程度だったけれど、
Bodyglove(V4)は4つ星らしい良作だった。
岩の風化って凄い。
トミオカさん on 4:20

かっしー on Body and Soul

セイタさん on Bodyglove

Nicole Face(V4)はやけに登りやすく、その後にやったEclipse(V5)は逆に登りにくいようだった。
セイタ・トミオカ両氏の総V獲得数の争いはかなりのデッドヒートになった模様。
それなりにいいアクティブレストだったかな。
トミオカさん on Nicole Face

こーめい on Dark Matter(V9)

セイタさん on Eclipse

帰りはまた長かったけど、真っ暗になる前には帰ってきた。
それから、福ちゃんの誕生日を皆で祝った。
スーパーで売っていたものすごい色のケーキは、
色の点に目を瞑れば、少し甘すぎるだけのケーキだった。



2/28 『5ラウンド目』
福ちゃんが夕方Iron Resolutionに行きたいそうで、かっしーはレストなので、
そんなこんなでいつもよりも早い時間にStingrayに行くことに。
まずアップが必要だったので、Hall of HorrorsにあるLinn Hill's Memorial Face Problem(V4)へ。
LHMFPのある岩の課題を全て一撃して、LHMFPのセッションを見守って、それからStingrayへ。
ジョン・バーカーとかリン・ヒルとか、レジェンドの名前が続々出てくるな。
LHMFP

準備を整え、いざやってみたら、核心前でテンション。
とにかくそこまでのムーヴの流れが悪かった。
カムのセットを合わせると、やはり別物。
そこからムーヴを修正して、すこしいい流れになったところで核心をやってみたら、
足を切るところから一番しんどい右のデッドまで繋がったものの、
左人差し指の皮を広く取られてしまった。
残り一週間でこの傷は、厳しく感じる。
とりあえず指は経過を見守るしかない。

しかし、心のどこかで「今日登れるかも」と思ってほくそ笑んでいた自分は、どこまでも甘かった。
このルートはそんなに甘くない。容赦なく噛みつかれた気分。
アップ不足も感じたし、次回は考えられる限りの手を尽くして1トライにかけるべきだろう。
まだその気持ちが足りていなかった。
勝負はいよいよ佳境。挑むと決めた以上、もう迷っていられない。
腹を括りなおす必要があるだろう。