2016年3月10日木曜日

Joshua Tree 10

3/6 『最終ラウンド』
Stingray7日目。泣いても笑っても最後の日。
幸いなことに天気が良く、たしかに風は今ツアーで一番強かったけれど、
気温がぐっと下がり、今ツアーで一番のコンディションだった。
かっしーがHot Rocks(5.11c)に行きたいそうなので、
近くにあるHobbit Holeのワイドクラック(V0)とHot Rocksを登ってアップした。

ワイドクラックを観音開きで登るこーめい

Hot Rocksはフラッシュ。これも流石4つ星という内容とスケールのあるルートだった。

Stingray周辺は案外風が強くなく、予想したようなやりにくさはなかった。
トップロープで流れを確認し、コンディションの良さを実感。
ムーヴの感触もこれまでで一番良かった。
最後の日なので時間をゆっくり使わせてもらった。
リード1回目は核心の左手が上手く入らず、次のデッドを外して落ちた。
時間的に最後のトライとなった2回目はテーピングをすべて外して臨んだ。
もう指がどうなってしまったっていい、ベストなトライにしよう。
そう思ったのがよかったのか、核心の左手が完璧にきまり、
右手でのデッドが初めて止まった。
更にその次の掛りのいいフィンガーロックをなんとかねじ込んで、
その瞬間、「ああ、不可能なんかじゃなかったんだ」と感じた。
初めは全く繋がるイメージが持てなかったこの核心が、こなせたんだ。
そう思った直後、「あ、やばい」と思った。指が吐き出されかけているのを感じた。
そして、ずっと嫌だと思っていた、核心直後のデッドで落ちた。
ジャムが抜けたのか、足が滑ったのか、なんだか分からなかったけれど、落ちていた。
光明は一瞬、現実は変わらず。
何度も叫び、唸り、頭を抱え、髪をかきむしった。
そうしてもStingrayは何も変わらず聳えているだけなので、
負けを認めて、ギアを回収し、自分がチョークで汚してしまった部分を掃除して終わった。
誰も、何も言わなかった。
一人ぼっちで、ただ「負けた」と思った。

最後に、道の途中にあるケルンの横に、石を7つ積んでおいた。
次の機会はいつだろう。来年か、2年後か、もっと先か。
出来うる限り早くここに戻ってきて、あの積んだ石を蹴飛ばしたい。
積み重ねった日数分の痛みやなんかを、全部蹴飛ばしてしまいたい。


3/7 『ロスト』
夕べは眠る気になれず、3時くらいまで夜更かしをしていた。
そのせいもあって、今朝の目覚めは最悪。惨めな気分だった。
空は黒っぽい雲が立ち込めていて、もう降っていそうな様子。
メンバーも皆いつもよりぐったりのっそりと準備して、
いつ降ってくるか分からないし、とりあえずアプローチの近そうなボルダ―に出掛けた。
Geology Tour Roadのエリアに行って、Thin Crack(V10)のある辺りで登り始めた。
小雨が当たったりもしたが、帰るほどではなかった。
辺りには花がいろいろ咲いていて、春の訪れを告げてた。
花粉がついて、靴が黄色くなってしまった。
V3

Special K

Special K(V7)を一撃したものの、もうクライミングに気持ちが入らなかった。
敗退の事実が頭の中をぐるぐると回るし、単純な疲労もあった。
The `Peanut(V7 R)をやってみたものの、いつにも増して高さが怖く感じ、
寒さといら立ちで、早く雨が降らないかな、早く帰ってしまいたい、と思う始末。
福ちゃんが最後の最後にCap RockのPumping Monzonite(V7)を登り、
撤収したら街は雨だった。
Pumping Monzonite

ノマドで買い物をし、CROSSROADS CAFEで最後の夕食。
ノマドのお兄さんにStingrayの結果報告をしたかったし、
CROSSROADSのヒゲもじゃさんにも会いたかったけれど、どちらも不在だった。残念。
モーテルの帰ってから汚れに汚れた車を洗って、荷物をパッキング。
あとは帰るのみとなった。
惨めさはまだ尾を引いている。
燃やしてきた情熱が消え、それがまた戻ってくることは分かっているけれど、
もうしばらくはくすぶり続けるだろう。


3/8 『帰国』
3時半に起きて、4時に出発。

ロスまでの道は案の定渋滞気味だった。
管理人のおじさんの言うことを鵜呑みにしなくてよかった。
眠い目を擦りながら、想定よりはスムーズに行って、8時過ぎに空港着。
それから荷物を置いて、車を返却して、あとはもう慣れたもの。
時間を持て余すことなく、搭乗となった。
車での移動中はあんなに眠かったのに、飛行機に乗ったら目がさえてしまい、
結局ほとんど眠れず、映画を3本くらい観た。
成田は冷たい雨が降っていて、吐く息が白かった。
長野は雪だったらしい。

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