2022年4月27日水曜日

4月中のこと

パチンコゲームを登ってからだいぶ経ってしまいました。
書くことがなかったわけではないですが、落ち着いて書く時間がなかなか取れず。
目覚ましい成果があったわけでもないので、端折ってまとめて投稿。

4/2 野猿谷
瑞牆はまだ寒そうだったので、単身野猿谷へ。
今回は初めてのエリア2に行ってみた。日当たりも乾きも良好。
モンキーウォーク(2級)やピッチドロップ(2級)あたりでアップして、
本題のコバ(初段)、シーザー(二段)は首尾よくフラッシュ。
それぞれ2級、1級くらいに感じたけれど、いい課題だったので気にしない。

それから上流に戻って、ばったり会ったホサカ兄弟と独舞台(初段)で盛り上がった。
対岸から見て「いかすラインがあるなー」と思っていた課題。
リップまでは見た目よりも問題ないけれど、マントルが結構悪く、
何度か挫けて飛び降りたり、すぐ背後に伸びている木を掴んだりした。
最後は「結局これを信じるしかないのね」という感じの立ち込みで返して登った。
その後、百日紅(三段)もやってみたけれど、これはヌメって全くダメ。
流石にヌメり手には辛い気候になってきた。

最後に、twist(初段)とshout(初段)でハサマってみた。
twistはフラッシュ出来てびっくりした一方、shoutは全くできず。
体のサイズがおおいに関係している、ということにしたい。

4/6 二子山西岳
コミネム、トニーさん、北からの刺客ゆーだいくんと西岳。
晴れて風もあったけれど、前日までの雨で岩は濡れているところが多かった。
びしょ濡れのローソク北面を眺めつつ、乾きの良さそうな本峰下部で登ることに。
コミネムが先輩の某氏から勧められたという祈り(8a+)をやってみた。
OSトライは当然のように跳ね返されて、ヌンチャクをかけながら本気でバラした。
コルネからの染み出しが気になるところもあるが、なんとか誤魔化せそう。
ということで2回目から繋げてトライしたものの、核心のピンポイントデッドを外して落ちた。
日当たりが良くどんどん暑くなってきた頃に3回目。
今度はデッドをギリギリ止めて、その後も震える足でなんとか押し切ってRP。
その後、夕暮れが迫る中、ビッグバン(8a+)もやってみた。
途中までコミネムがかけたヌンチャクが残っていたのでフラッシュを狙ったものの、
核心の手足の繊細さ(というか薄さ)に負けてテンション。
ワンテンで抜けて、もう1トライしたかったけれど時間切れ。

4/9 太刀岡
あさこさんの希望で太刀岡。オーブさんも一緒。
前回に比べてかなり暖かくなっていて、北面でも手が悴まないくらいだった。
アップで北風小僧(5.11b)をやったら、なかなか悪く落ちかけた。体感12a。
続いて本題のVOGEL(5.12c/d)をやる。
OSは呆気なく逃して、核心で少しハマりつつ、ムーヴをバラして抜けた。
2回目で気合を入れてRP。
カリスマよりもムーヴの強度は高いが、その分手数も少なくストレ二要素は少なめ。
トータルでは同じくらいに感じた。
同じ岩で比較すると、カリスマ ≒ VOGEL < スティングレイという感じ。
最後にパンクスインザダーク(5.11c)をやったら、また落ちそうになった。体感12b。
どうも、下部の大きなホールドが壊れてなくなったらしい。

4/10,13,17  小川山
この頃は、小川山でNinjaにトライしていた。
ちょうど1年前に3日ほどトライして、1テンに持ち込んだところでシーズンが終わってしまった。
今シーズンこそは、と思っていたのだけれど、今年の春は急激に暑くなってしまい、
思うような結果が出ずに日数だけが嵩んでしまっている。

初日にトップロープでムーヴをやり直したところ、核心を繋げるのに相当時間がかかった。
キーとなるポケットの保持が、この日はかなり悪く感じた。
核心になる2,3手以外のムーヴはそれなりの精度でできただけに、1年ぶりとはいえちょっとショック。
2日目は良いコンディションを期待して朝一の涼しい時間にトライ。
もう一度トップロープでムーヴを確認して、岩が温まる前にリード。
結果、核心で足がスリップ落ちた。
ヌメりはほぼなかったけれど、今度は繊細さが問題になる。これが本題なんだよな。
夕方、日が陰った頃にもう1トライしたものの、今度は湿度が上がってヌメりに負けた。
実際、その直後に雨が降ってきて、不本意ながらヌンチャクを残置して撤退。
更に3日目、前の2日よりも明らかに気温が下がって期待を膨らませつつトライ。
が、今度は気温が下がった分、先シーズン悩まされた指の悴みでやられた。
前日までの疲れか、足も妙に踏ん張れなくなったので、深追いせずに降りた。
そうして次のトライのタイミングを待っていると、また雨が降ってきて撤退。

乾燥して暑すぎず寒すぎない春のコンディションを期待していただけに、これはちょっと残念。
ただそれを差し引いても、Ninjaを登るには何か決定的なものが足りていない気がする。
パチンコゲームを登って少しいい気になっていたのかもしれない。


4/23 瑞牆 十一面
最近、少し疲れが溜まってきた気がしたので、あさこさんとゆったりマルチ。
ロクスノの最新号に出ていた黄金の風(5.10b 10P)を登りに行った。
クラック、というかワイドとチムニーが主体のルートで、
全体を平均するとベルジュエールよりも難しいルートだとの噂。
登ってみると、ラインはほぼ秋一番(5.10c 8P)を辿っていた。
3P目までは秋一番で、そこから左のルンゼを少し詰めて、
秋一番の核心であるルーフのひとつ左にあるスクイズチムニーを登る。
さらにもう1ピッチオリジナルのラインを繋いで秋一番に合流、
最後はクレセントクラックを登ってベルジュエールへ、という感じ。
3P目(5.9)

5P目(5.9)

10台のクラックの登攀能力が問われるいいルートだった。
長く登れることも、それでいて難しすぎないことも良い。
シーズン初の瑞牆のマルチは、毎年ホームに帰ってきたような感触がある。
先シーズンはやたら天気が悪かったこともあって意外と登れずに終わった。
今年は新しいものも混ぜつつ、もっと根本的な部分を鍛えられるように通い詰めたいと思う。

2022年4月1日金曜日

歴史的なルート

一昨日、御前岩でパチンコゲーム(8b+)を登ることができた。

事の起こりは一月ほど前、カドノくんに「今度Miuちゃんと御前岩行くよ」と誘われた。
LJCのファイナリストと外で登ることは刺激になりそうだし、
デイドリームを登って次の目標が欲しかったこともあり、乗ることにした。

初日はなかなかに寒く、平日に行ったのもあって御前岩は完全に貸し切り。
6台のルートでアップするとあっという間に指の感覚はなくなった。冷たい。
しばらく前から通っているカドノくんが早速ヌンチャクをかけたので、
アップもそこそこにパチンコゲームに移った。
先にトライしたLJCファイナリストの様子をじ---っと見て、FL狙いで取りついた。
そのトライは、核心の一手を出すところまで行って落ちた。
ムーヴもその後すぐにできて、「これは得意系!ワンデイする!」と色めき立った。
が、その後2トライして高度はどんどん下がり、結局ワンデイはできず。
核心手前までは特に問題ないけれど、そこから突入するとどこかしらがスリップして落とされる。
鋭くフリクションもないエッジを握る指先もピンポイントでやられていき、最後は関節が痛かった。
得意系だなんだと息巻いていたのが恥ずかしい。ちょっとしょんぼりして撤退。
この日は3人でひたすらパチンコをローテーションして、
おじさんたちが根を上げる中、Miuちゃんは怒涛の5トライ。
そしてトライごとに高度を上げていき、その数日後、「登れました」という連絡が来た。
代表選手はダテではない。

こちらはなんやかんやで数週間空いてしまい、一昨日改めてトライするに至った。
今回はカドノくんとその知人数人、あとは冬山シーズンを終えたMCコミネムと大所帯。
また平日に行ったのに、今度は週末かというくらい賑わっていた。
季節も変わってかなり暖かく、湿度も少し高め。
今回もまたアップ1本でカドノくんがトライを始めたので、自分もそれに続く。
前回よりも暖かいはずなのに、体も指もイマイチ目覚めていないのか、当然核心で落ちた。
テンションをかけながらムーヴをやっても、前回ほど感触は良くない。
更に2トライ目も同じように核心で落ちた。
どうにも核心のムーヴに入っていくところで足が滑っている。
そこの動きをどうにか確実にしようと別のムーヴもあれこれ試して、若干迷走した。
結局はもとのムーヴに戻り、出た結論は「これは死ぬ気で握るしかない」。
いや、もうちょっと理屈っぽい部分はあるけれど、言葉にすればその程度。
FLを狙ったトライの高度をずっと越えられないことには、さすがに焦りを感じていたし、
この日の感触がイマイチなことを気温や湿度のせいにもしたくなってきた。

その心中のごちゃごちゃを見透かしたカドノくんの「いけるよ」の一言に押されて3トライ目。
午前中は乾いた風が吹いていたが、夕方になると少し湿って雨の気配がしてきた。
それでも岩はまだ湿っていなかったのか、あまりヌメりは気にならずに高度が伸びていった。
手前の小レストもほどほどにして、核心に突入。
「死ぬ気で握る」ということだけを考えて入ったのが良かったのか、足は滑らなかった。
そのまま核心のムーヴに入っていき、FLトライの高度を越えた。
最大の核心を抜け、あとは叫びながら多少強引に押し切った。

このルートの難しさは、核心のシークエンスにおけるマージンの少なさにあったと思う。
手も足もフリクションがない上に、岩質ゆえのがちゃがちゃした形で、
少しでもポイントを外すと感触は大きく変わってしまう。
それはムーヴにも言えることで、なにかしらのミスがあると次の一手に相当響く。
雑になっても誤魔化せる部分が非常に少なく隙がない、と言えばいいのか。

マルク・ル・メネストレルによる初登が1987年。自分が生まれるよりも前だ。
終わってみれば2日、6トライで、比較的早く登れた方なのだろう。
それだけでは、30年前にこの壁を登った人に思いを馳せるには短すぎるかもしれない。
到底、付き合いが浅すぎるというものだ。
しかしそれでも、その人の強さは十分身に染みたし、身につまされるものがあったと思う。

14のルートは自身では3本目。スポートルートとしては、実は初めてだ。
グレードの更新は実に12年ぶり。干支が一周してしまった。
自分のクライミングの趣向の変化が一番の要因だろうが、
それに加えてここ数年、クライミングに充てられる時間が増えたことが大きい。
時間が増えたことで、やることの優先順位を一旦脇に置いて、衝動のままに登ることもできるようになった。
それがそのまま自分のベースアップにもなっているのは間違いない。


デイドリームを登って、一気に気が抜けてしまうかと思っていた。
ところが、これがそうでもなかったらしい。
火はまだ燃えている。