それに苛立っている一方で、春から続いてきたもう一つの勝負が一段落ついた。
これで当分は、自分がしたいことに集中できる、はず。
昨日は、やっと天気が安定して、大ザルの勝負に付き合ってきた。
いましさんが来られないので、そのさんにビレイヤーとして同行してもらって、僕は撮影。
アプローチにある岩たちが乾いているのが、久しぶりのように思える。
弁天岩はよく乾いていたけれど、プロジェクトのクラック部分は少し湿気っていた模様。
大ザルがユマールして行って、アップを兼ねて掃除とリハーサルをしている間、
谷間にはずっとガスが立ち込めて、対岸の摩天岩まで見えなくなる始末。
おいおい、今日はいい天気なんじゃないのか。
「これでまた雨とか、笑えないぞ」と話していたら、思い出したように晴れた。
「やべっ、今日は晴れる日だった」とか言うみたいに、白々しいまでの青空。
気まぐれというか、ふざけてるというか。
まあ、コンディションは悪くないから、これ以上文句もないけど。
リハーサルが終わったところで僕がカメラを背負って一度フィックスを登り、
どの位置で撮影するかあちこち確認して、それから大ザルの本気トライ。
多少ポジション取りを失敗していたせいでなかなかしんどい。いましさんの苦労が伝わってくる。
大ザルは安定した動きで「シルクロード」の核心を越えて、
続く微妙なホールドからのデッドも止めて、フレークに入った。
動きの一つ一つは安定しているように見えたけれど、
最後のカムをセットしたところでクリップできずに掴んでテンション。
もう限界までパンプしていたらしい。
「今回登る」と意気込んで望んだトライだっただけに、悔しそうだった。
このルートも、そう簡単には登らせてくれないルートみたいだ。
シーズンの終わりはもうすぐ。
この勝負、果たしてどうなるか。
まだ時間があったので、大ハングに張ってあるフィックスを張り替えに行った。
最上部に行くまで壁に手が届かない。物凄い傾斜だ。
岩は固いし、プロテクションも確実に入るし、ボルトを打つ必要はなさそう。
ただ、見た目の印象は、登れるか登れないかの瀬戸際、という感じ。
とんでもなく難しそうに見える。
今はまだ、そもそもこれがフリークライミングとして可能なのかどうかのイメージができない。
でも、この大前傾壁を貫く一本のラインを、オールナチュラルで登れるという事実それだけで、
十分すぎるくらいに魅力があるし、価値がある。
今か、次か、その更に次か、いつの時代の課題になるのか分からないけれど、
それが自分の時代であると信じていたい。
岩は逃げない、とは言っても、時間は過ぎていくし、人それぞれに思うことだってある。
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