2025年5月19日月曜日

今年の五月はどうも

ホームエリアのベストシーズンのはずなのに、雨ばかりでろくに登りに行けない。
狙い撃ちするように毎週末雨で、いやな周期にハマってしまったなと思う。
嘆いてばかりいても仕方ないので、忘れないうちにゴールデンウィーク中のことを書いておきます。

4月29日 大ザルの庭
大ザルが「庭に行くぞ」と言うので、岩場に興味を持ってくれていたコミネムを誘った。
林道の終点からのアプローチは小川沿いで、この日はコゴミがたくさん顔を出していた。

岩場に着いて、初めてのコミネムを一番奥まで案内。
1時間ほどぶらぶら散策して、入り口周辺で既成ルートを何本か登ってみた。
思えばここでは掃除と自分のルートの初登ばかりで、他の人のルートはやったことがなかった。
大学の後輩Kくんのアフタヌーンティー(5.9)がいきなりワイルド、というか脆い上にランナウトでひやひやした。
やはりこういうルートを楽しめなくてはこの岩場は...と思いかけるが、それはそれで適度にどうかしている気もする。
ともあれ、登って楽しいルートなのはたしかだった。春の風も気持ちよい。
大ザルは掃除とリハーサルの後、プロジェクトだったラインを初登。
僕はビレイしたついでにフォローで回収させてもらった。
ミツバツツジ 5.11aだそうです

それから奥の方にあるピラー状の壁をコミネムがグラウンドアップでやりたいそうなので、そちらに移動。
僕も以前から気になっていた壁だったけれど、コミネムが登るのは少し違うラインのようだったので、先に行ってもらう。
が、これがどうしようもなく脆かったようで、岩の脆さと濡れへの耐性に定評があるコミネムが敗退してきた。
これはまずいぞと考え直し、とりあえず左にある岩質がマシそうなチムニーを登ってみた。
こちらは見た目どおり岩がそこそこ硬く、ものすごく埃まみれになったものの、問題なく登れた。
フォローしてきたコミネム曰く、「沢でよくある垂直のブッシュが、干からびた感じ」とのこと。
まあ、グラウンドアップだし、充実感はあったので良しとしておく。
ルート名は、わたしはたわし。5.9くらいだろう。



5月3日 小川山
連休後半の初日、あさこさんがローリングストーンに行くので付き合う。
近くにあるボルトルートでもやろうかと思ったものの、どれも濡れていたのでやめ。
ローリングストーンも出だしが濡れていたので、トップロープでのトライのみになった。
改めて見てみると、見事なクラックだなと思う。数年前、オンサイトを呆気なく逃したのが口惜しくなる。
翌日からの乾きに期待して、早めに下山。長坂のカフェとかに出かけて帰った。


5月4日 瑞牆
この春の目標のひとつ、サル左衛門が昨秋に初登した巨人の肩(5.13c R?)をやりに出かけた。
零の谷のボルダーで軽く登ってアップ。二ノ谷あたりは賑わっていたが、ここは誰もいなくて快適。
アレテー(2級)とか千年王国(2級)を登った。千年王国は隠れた良作。
それから、巨人の肩へ。一応ボルダーマットを持っていったので、アプローチの急登がしんどかった。
取り付きのテラスに行ってみると、知り合いのA川さんがいた。
この類のルートにやってくる人といえば、大抵知り合いになってきている気がする。

このルートはまず、リハーサルなしのグラウンドアップでトライすることにしていた。
理由はいろいろとある。
ランナウトする(リスクが伴う)ルートに対してリハーサルが前提になってしまっていることに疑問を感じた、というのがひとつ。
昨年夏に登った魅惑のキューピー(5.12c)以降、自分が踏み込める領域がどこまでなのかを測ってみたかった、というのもひとつ。
他にも諸々あるが、要は今までできなかった挑戦をしておこう、ということだった。
強い風に吹かれながら散々双眼鏡で眺めまわし、意を決してトライすることに。
前半の核心手前のフレークにカムを固め取りして、いつもの倍くらいテストした。
そこから数手伸ばして、最後のカムが足下を過ぎるところまで頑張ったけれど、
結局そこから上に行くか横へ行くかの判断も、突っ込む踏ん切りもつかずに泣く泣くクライムダウン。
見ていたA川さんは「見てるこっちもしんどい」と言って苦笑い。ですよね。
しばらく迷い、最後は負けを認めて裏から歩いて壁の上へ。
ラペルで残置したカムを回収し、できなかったパートのムーヴだけをやってみた。
ムーヴ自体は数回でできたものの、多分これを初見では止められなかった。
そして、そこから落ちたらロープの伸びでグラウンドだったかもしれない。
後半のセクションは次回以降に回し、今回は終了、すごすご退散した。

5.13のRつきをオンサイトのグラウンドアップで勝負できるほど、強くはなかった。
ただ、これはこれでひとつの経験ということにしておく。
出来ることと出来ないことの境界線を見極めるには、挑んでみないといけない。
5.12cはできて、5.13cはできなかった。
この数字ひとつ分のどこかに、今の自分の限界がある。


5月5日 瑞牆 カサメリ沢
あさこさんはローリングストーンへ出かけていき、僕はカサメリ沢へ。
少し前から連絡をとって一緒に登る約束をしていた、rhimくんとお父さんに会いに行った。
そういえば、この時期のカサメリ沢に来るのは随分久しぶり。
夏から秋にかけてくることが多かったせいか、空気の乾いたカサメリ沢はなんだか新鮮だった。

コロッセオでrhimくんがダークスター(5.13d)をやるというので、とりあえず観戦。
僕もパートナーがいなかったのでお父さんのビレイでアップさせてもらう。
と、rhimくんが2回目のトライでダークスターを片付けてしまった。仕事が速すぎる。
後から参戦させてもらおうかと思っていたのに、あてが外れた。
泣き言を言わずに食らいつかなくては、と思い直して、僕もヌンチャクを掛けつつダークスター。
核心のムーヴの強度は思っていたより高かった。ただ、手数は意外に少ないし、案外得意系。
「これはいいかも」とムーヴがバラせてからしばらくレスト。
お父さんのナイトディジィダンスのビレイなどなどして、2回目のトライ。
核心の前半を安定してこなし、クリップを挟んで、後半の数手でかなり声が出た。
正直、叫びすぎてしまった。「このトライで登る」という気持ちが前に出ていた気がする。
トップガンに合流して長めに休み、続くランジ2発はこれまでにないくらい緊張したけれど無事に止まって、RP。
このグレードが2トライで登れるとは思っていなかったのでびっくり。
ホールドのタイプやひんやりしたコンディションが諸々噛み合っていた。

rhimくんが「次は鳳凰」というので、オランジュ岩へ移動。こちらは一転して暑かった。
鳳凰(5.13b)は日に焼かれてかなりヌメりそう。
オンサイトを狙っていったrhimくんが核心を抜けられずに降りてきたので、
「どれどれ、拙僧が見てやろう」と残りのヌンチャクを借りて手を出してみた。
核心までは調子よく登っていったものの、じわじわしたムーヴの連続に耐えきれずフォール。岩がかなり熱かった。
「やっぱりフラッシュ出来るほど易しくはないか」と思ってホールドを探ったところ、見落としていたキーホールドをひとつ発見。
これでムーヴを考えて試してみたら、結構すんなり核心を解決。その後も数テンションで抜けた。
その後、チョーク跡を頼りにrhimくんが2回目でRP。またも仕事が速い。
そこそこの時間になっていたので、僕は遠慮しておいた。次回マスターで勝負してみようか。
鳳凰(ダークスターの写真は撮り忘れた)

いい加減、オンサイトないしフラッシュを狙える5.13が少なくなってきた。
ホームエリアゆえに、それはまあ仕方のないことなのだけれど、そろそろ本気で狙っていかないといけない気がしている。

2025年5月7日水曜日

カチを握りに

野猿谷のシーズンが終わってしまい、一気に気温が上がった。
まだ乾燥した春の気候とはいえ、汁手もといヌメり手の僕には悲しい季節になってくる。
ところで、汁手という言葉をほぼ聞かなくなったけれど、死語なのだろうか。

4月10日、所用があり平日休みを取ったものの、昼からなので朝活でなんとなく名栗へ。
このところ週末ごとに雨だったり、長野県大会(手伝い)があったりでなかなか登れず、とにかく岩を触りたかった。
若干寝坊して、盆栽ボルダーと呼ばれている岩に着くと、既に空気が生暖かかった。
ともあれ朝の空気だからかそこそこ気持ちよかった。
よく分からない課題を1本だけ登り、噂では「奥多摩イチ面白い初段」だというカンテの課題をやったらハマりかけた。
この課題、名前はクラスターというらしい。なんだかそんな言葉もあったな、という印象。
ガチャついたカチの保持が結構痛く、目が覚めた。
すでにホールドはヌメり始めていたものの、数回で登った。マントルまで気が抜けず、名作の香り。
次に本題の四段。ピューマとか、ピューマLowと呼ばれているらしい。
Lowの方はとりあえず後回しで、立ちスタートをやったら出来そうでできないトライを連発。
これは実質ランジ一発。
スタートの持ち方と、距離が出せるフットホールドの選択が噛み合ったら、ランジが止まって登れた。
それでLowもやってみると、スタートからもろに苦手系。
両手縦気味のアンダーからオーバーヘッドで1手。これは高速離陸→高速タッチが限界だった。
アンダーからの強度の高いムーヴへの苦手意識がもろに出てしまった。
最後に裏面にある三/四段も少しだけやってみたけれど、これも実質3手のうち1手しかバラせず。
なんだか、花崗岩以外の保持の感覚を忘れている気もする。
そして、体の左右差を埋めていくためにも、全体的な筋力アップをはかるタイミングなのかもしれない。

4月12日、この日は予定外の出来事が重なり、弾丸で小川山へ突撃した。
午前中にバタバタとトラブルがあったため、動けるのは午後の数時間のみ。
うーん、どうするかと考えて、「それでもせめて」と小川山へハンドルを切った。
移動時間を含めると、登れる時間は実質1時間とちょっと。
駐車場に着いてダッシュで林の中へ。ウイスキーボトルに直行。
どうせ時間が短いなら指にくる課題をやろう、と冬の日(四段)をやることにした。
かなり昔、それこそ高校生とか大学生の頃からたまにトライはしていたけれど、カチがろくに持てず登れていない。
この冬のトレーニングの成果を今こそ!と意気込んだわけではなく、今どれくらいできるようになったのかを確かめてみたかった。
ストレッチもそこそこに、ウイスキーボトルの2級くらいまでの課題でアップして、急いでトライ。
日向はTシャツでも暑いくらいだったけれど、ここは日陰で風もあり、ほどよいコンディション。
やはり核心の2つのガストンが、それこそ泣きたくなるくらい痛い。指の収まりもイマイチ良くない。
いろいろ試して、結局は最初にやっていた左トウフックを採用。
両手ガストンまでは割とすぐにできたものの、そこからのフックの解除はやはり負荷が高く、指皮がガンガン抉れる。
そろそろ穴が開くぞ、というところで解除がこれまでになくスムーズにいき、
続くハイステップがやっとこさ上がって、そのまま跳んだらランジが止まった。
なんと、15年来くらいの宿題が思いの外短時間で登れてしまった。
フックを解除するときの上体を、上げるのか下げるのか、その加減が絶妙。
出来た時は、なんだか不思議な感覚だった。
極小エッジを握ることに耐性がついたのだろうか、それとも単にコンディションに恵まれただけなのだろうか。
ともあれ、進歩は進歩だ。

4月16日、また朝活。この日は仕事前に御岳へ行ってみた。
4月中は微妙な忙しさがあったので、とにかく岩に触りたい欲も強かった。
絶対に誰もいないだろうと踏んでいったら、in Tokyo!に先客がいてびっくり。
川の方の面で適当にアップして、チョー遥(三/四段)を触ってみたら1手目が止まらず。
どうもこの1手目で取るサイドが欠けたようで、残ったエッジもカチャカチャと動く。
これはあまり触らない方がいいか、と断念。
黙々とやっている先客さんに「お邪魔します」と頭を下げて、in Tokyo!直上(三段)をやることに。
右のフレークを使う方は数年前に登ったので、今さらFLもなにもないのだけれど、1回目から気合を入れてやってみる。
流石に一撃はできず、それでも感触は意外に悪くない。ヌメりもそれほど気にならない。
核心になる3手目と、それを止めた状態からリップまでをバラして、
「さてやるぞ」と改めて繋げたら、1トライで登れてしまった。
御岳の三段では一番難しかった、という評価も聞いたことがあるが、得意にはまったのかやけに易しく感じた。
まあそれについては深く考えない。
冬の日に続き、現地到着から撤収までほぼ1時間。
呆気なさすぎるくらいだけれど、気分はよかった。


4月19日、今シーズン初の瑞牆で単身ボルダーを回った。しかしこの日は暑すぎた。
天鳥川南沢周辺で登ることにして、橋の下からあれこれ触る。
アップで何本かやったものの、午前中の時点で既に夏のように暑く、1級以上の保持がまるで出来ない。
先行きが怪しいなと思いつつ、ずっと宿題になっているほうとう(五段)にも久しぶりにトライ。
が、あっという間に人差し指の爪の際が裂けて強制終了。ヌメるときに握りすぎるとこうなる。
やはり寒くないと何もさせてもらえなかった。

次に、左岸のちょっと奥にある女王蜂に行ってみた。独立したハイボルダーで見栄えよし。
易しい課題を登って上部のスラブに積もった枯葉をどかして、蜂の巣城(二段)をやったらOSできてしまった。
ポケットの保持とか高い位置での立ち込みとか、悪さはあるものの体感はもはや2級。
なんだかよく分からないけれど、良い課題ではあった。
蜂の巣城

すぐ左にある女王蜂(二段)は、やはり暑すぎてまるで持てずダメ。

更に上流へと移動して、以前室井さんから勧められたオラクル(三段)へ。
ランディングが斜めでちょっと嫌な感じだったけれど、トライするとあまり気にならない。
が、これも結局ヌメりが止まらず、勝負させてもらえなかった。
オラクル

暑さでなんだか朦朧としてきたけれど、ここから大移動してシシガミの森まで行ってみた。
原生林の中で日陰が多いことを期待したものの、暑さはあまり変わらなかった。残念。
ダイダラボッチに通っていたときに見て気になった、淡き星影(三段)をやってみたものの、
これは清々しいくらいに真っ向の保持課題で、冬の日よりも鋭いカチに数トライで指皮を裂かれて撃沈。
淡き星影

その代償

最後、苦し紛れに感謝のランジ(1級)をやって、これは登れた。
ただ、マントルで一度盛大にズリ落ちて危なかった。


いい加減、ボルダーはシーズンオフで、ルートに移行する時期だろうか。
思いがけない成果もあったけれど、もうひと粘りしたかった気もして、手放しには喜べないなと思ってしまう。