野猿谷のシーズンが終わってしまい、一気に気温が上がった。
まだ乾燥した春の気候とはいえ、汁手もといヌメり手の僕には悲しい季節になってくる。
ところで、汁手という言葉をほぼ聞かなくなったけれど、死語なのだろうか。
4月10日、所用があり平日休みを取ったものの、昼からなので朝活でなんとなく名栗へ。
このところ週末ごとに雨だったり、長野県大会(手伝い)があったりでなかなか登れず、とにかく岩を触りたかった。
若干寝坊して、盆栽ボルダーと呼ばれている岩に着くと、既に空気が生暖かかった。
ともあれ朝の空気だからかそこそこ気持ちよかった。
よく分からない課題を1本だけ登り、噂では「奥多摩イチ面白い初段」だというカンテの課題をやったらハマりかけた。
この課題、名前はクラスターというらしい。なんだかそんな言葉もあったな、という印象。
ガチャついたカチの保持が結構痛く、目が覚めた。
すでにホールドはヌメり始めていたものの、数回で登った。マントルまで気が抜けず、名作の香り。
次に本題の四段。ピューマとか、ピューマLowと呼ばれているらしい。
Lowの方はとりあえず後回しで、立ちスタートをやったら出来そうでできないトライを連発。
これは実質ランジ一発。
スタートの持ち方と、距離が出せるフットホールドの選択が噛み合ったら、ランジが止まって登れた。
それでLowもやってみると、スタートからもろに苦手系。
両手縦気味のアンダーからオーバーヘッドで1手。これは高速離陸→高速タッチが限界だった。
アンダーからの強度の高いムーヴへの苦手意識がもろに出てしまった。
最後に裏面にある三/四段も少しだけやってみたけれど、これも実質3手のうち1手しかバラせず。
なんだか、花崗岩以外の保持の感覚を忘れている気もする。
そして、体の左右差を埋めていくためにも、全体的な筋力アップをはかるタイミングなのかもしれない。
4月12日、この日は予定外の出来事が重なり、弾丸で小川山へ突撃した。
午前中にバタバタとトラブルがあったため、動けるのは午後の数時間のみ。
うーん、どうするかと考えて、「それでもせめて」と小川山へハンドルを切った。
移動時間を含めると、登れる時間は実質1時間とちょっと。
駐車場に着いてダッシュで林の中へ。ウイスキーボトルに直行。
どうせ時間が短いなら指にくる課題をやろう、と冬の日(四段)をやることにした。
かなり昔、それこそ高校生とか大学生の頃からたまにトライはしていたけれど、カチがろくに持てず登れていない。
この冬のトレーニングの成果を今こそ!と意気込んだわけではなく、今どれくらいできるようになったのかを確かめてみたかった。
ストレッチもそこそこに、ウイスキーボトルの2級くらいまでの課題でアップして、急いでトライ。
日向はTシャツでも暑いくらいだったけれど、ここは日陰で風もあり、ほどよいコンディション。
やはり核心の2つのガストンが、それこそ泣きたくなるくらい痛い。指の収まりもイマイチ良くない。
いろいろ試して、結局は最初にやっていた左トウフックを採用。
両手ガストンまでは割とすぐにできたものの、そこからのフックの解除はやはり負荷が高く、指皮がガンガン抉れる。
そろそろ穴が開くぞ、というところで解除がこれまでになくスムーズにいき、
続くハイステップがやっとこさ上がって、そのまま跳んだらランジが止まった。
なんと、15年来くらいの宿題が思いの外短時間で登れてしまった。
フックを解除するときの上体を、上げるのか下げるのか、その加減が絶妙。
出来た時は、なんだか不思議な感覚だった。
極小エッジを握ることに耐性がついたのだろうか、それとも単にコンディションに恵まれただけなのだろうか。
ともあれ、進歩は進歩だ。
4月16日、また朝活。この日は仕事前に御岳へ行ってみた。
4月中は微妙な忙しさがあったので、とにかく岩に触りたい欲も強かった。
絶対に誰もいないだろうと踏んでいったら、in Tokyo!に先客がいてびっくり。
川の方の面で適当にアップして、チョー遥(三/四段)を触ってみたら1手目が止まらず。
どうもこの1手目で取るサイドが欠けたようで、残ったエッジもカチャカチャと動く。
これはあまり触らない方がいいか、と断念。
黙々とやっている先客さんに「お邪魔します」と頭を下げて、in Tokyo!直上(三段)をやることに。
右のフレークを使う方は数年前に登ったので、今さらFLもなにもないのだけれど、1回目から気合を入れてやってみる。
流石に一撃はできず、それでも感触は意外に悪くない。ヌメりもそれほど気にならない。
核心になる3手目と、それを止めた状態からリップまでをバラして、
「さてやるぞ」と改めて繋げたら、1トライで登れてしまった。
御岳の三段では一番難しかった、という評価も聞いたことがあるが、得意にはまったのかやけに易しく感じた。
まあそれについては深く考えない。
冬の日に続き、現地到着から撤収までほぼ1時間。
呆気なさすぎるくらいだけれど、気分はよかった。
4月19日、今シーズン初の瑞牆で単身ボルダーを回った。しかしこの日は暑すぎた。
天鳥川南沢周辺で登ることにして、橋の下からあれこれ触る。
アップで何本かやったものの、午前中の時点で既に夏のように暑く、1級以上の保持がまるで出来ない。
先行きが怪しいなと思いつつ、ずっと宿題になっているほうとう(五段)にも久しぶりにトライ。
が、あっという間に人差し指の爪の際が裂けて強制終了。ヌメるときに握りすぎるとこうなる。
やはり寒くないと何もさせてもらえなかった。
次に、左岸のちょっと奥にある女王蜂に行ってみた。独立したハイボルダーで見栄えよし。
易しい課題を登って上部のスラブに積もった枯葉をどかして、蜂の巣城(二段)をやったらOSできてしまった。
ポケットの保持とか高い位置での立ち込みとか、悪さはあるものの体感はもはや2級。
なんだかよく分からないけれど、良い課題ではあった。
蜂の巣城
すぐ左にある女王蜂(二段)は、やはり暑すぎてまるで持てずダメ。
更に上流へと移動して、以前室井さんから勧められたオラクル(三段)へ。
ランディングが斜めでちょっと嫌な感じだったけれど、トライするとあまり気にならない。
が、これも結局ヌメりが止まらず、勝負させてもらえなかった。
オラクル
暑さでなんだか朦朧としてきたけれど、ここから大移動してシシガミの森まで行ってみた。
原生林の中で日陰が多いことを期待したものの、暑さはあまり変わらなかった。残念。
ダイダラボッチに通っていたときに見て気になった、淡き星影(三段)をやってみたものの、
これは清々しいくらいに真っ向の保持課題で、冬の日よりも鋭いカチに数トライで指皮を裂かれて撃沈。
淡き星影
その代償
最後、苦し紛れに感謝のランジ(1級)をやって、これは登れた。
ただ、マントルで一度盛大にズリ落ちて危なかった。
いい加減、ボルダーはシーズンオフで、ルートに移行する時期だろうか。
思いがけない成果もあったけれど、もうひと粘りしたかった気もして、手放しには喜べないなと思ってしまう。
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