2025年8月12日火曜日

研鑚

梅雨らしくない割にはあまり登れない6月が過ぎ、7月以降は秋のヨセミテに向けての準備をしている。
4年目となる今年は、再びあさこさんがパートナーとして行ってくれることになったので、
昨年までの記憶を呼び起こしながら荷上げのシステムやらなにやらを試している。


6/28~29 瑞牆で継続
(太陽の登 6P→ビバーク→フリーウェイ 7P→アレアレア 5P目で時間切れ)
まずは1泊でマルチピッチの継続を、とホールバッグ1つを荷上げしながら登った。
シュラフ、火器と鍋、2日分の水、食料で、だいたい20キロくらいか。
荷物がそもそもあまり重くないので、リードはタグラインで荷上げして、フォローはその間にTRソロで登る。
もともとの予定では、初日にカンマンボロン→大面→十一面まで継続して、二日目は十一面周辺で数本、と考えていた。
が、初日は装備のパッキングから始めたのでスタートが少しゆっくりになり、
さらに太陽の登であまりの日差しの強さに2人とも熱中症寸前。
全ピッチ僕がリードでノーフォールで抜けたものの、頭は朦朧とするし足はむくんでパンパン。
ラペルで取りつきに戻ったら5時前だったので、予定を相当変更して、大面の取り付きで寝ることにした。
あさこさんはG7、僕は地べた

2日目は涼しいうちにフリーウェイの核心ピッチを登り、昼過ぎにはトップアウト。
いくら荷物が軽いとはいえ、瑞牆の長いルートは蛇行もブッシュも多く、荷上げしながらは登りにくい。
大面の頂上から裏に降りて十一面へ移動。何を登るか悩んだけれど、より厳しいものにしようとアレアレアに取り付いた。
数年に一度くらいでしかトライしていないので、結局未だにちゃんと登れていないこのルート。
今回も1ピッチ目からしっかり難しかった。
相変わらず軽いながらも荷上げは続け、4ピッチ目までは落ちずに抜けた。
ここで既に4時過ぎ。頂上まで登ると日が暮れるので、5時までと決めて5P目にトライした。
過去数回で、ルート自体の核心にもなるこのピッチだけがまだRPできていなかった。
前回から数年で多少強くなっているはず、という自負もないではないけれど、今回も登れず。
2日目の最後かつカンカン照りの中ですんなり登れる強さは、僕にはまだないらしい。
ということで今回は時間切れにて終了。

そもそもマルチの継続自体が久しぶりで、基本的なシステムもいろいろと忘れ気味のところがあった。
そこを思い出したことが一先ずの収穫(...それでいいのか)。
とはいえ、ビッグウォールではチーム全体でシステムそのものを理解して、補い合うために呼吸を合わせることが最重要。
3年かけて、勘の鈍い僕にもそのことがやっとこさ分かってきたので、出発までその擦り合わせを続けたいと思う。


7/19~20 瑞牆でポータレッジ泊
カンマンボロンでショートルート→太陽の登 1P目→ビバーク→太陽の登

今回はポータレッジ泊の装備で登ってみた。
まずは初日に1泊分の装備とポータレッジ(フライ付き)をカンマンボロンまで担ぎ上げる。
測っていないけれど、アプローチの荷物は35キロくらいだろうか。久々の歩荷は足腰にきた。
大きな荷物は太陽の登の取り付きに置いて、とりあえずこの日はショートルートを数本だけ登った。
「日陰が多いかも」と砂のエリアへ行って、ボロンボロン(5.11c)と砂の塔(5.12a)。
砂の塔はホールドが欠けたという噂があったけれど、核心が日向になって暑すぎたのでよく分からない。
取り付きはアブ、登れば中間部から日向という八方ふさがり状態。夏の瑞牆ってこんな感じだったっけ。
それから荷物のところに戻って、ショートサーキット(5.11b?)も登った。
そして太陽の登の1P目を登り、レッジでポータレッジを張ってみた。
昨年のSalatheでは毎日のように張っていたのに、久しぶりにやったら四苦八苦。
とはいえ、かなり快適なビバークになった。

起きてみると、雲海

2日目は太陽の登の続きを荷上げしながら登った。
リードがタグラインを引いていって、ビレイ点で荷上げ用のロープを引き上げ、それから荷上げ、という本番と同じ手順。
今回も本番よりはずっと荷物が軽く、全部合わせても40キロないくらい。1人のボディホールで軽く上がった。
荷上げを含めたシステムはだんだんと馴染んできて、手間を削ることができている。
が、暑い。前回にも増して暑すぎる。
今回も太陽の登をトップアウトしたところで熱中症気味になり、継続はせずに終了した。



8/2 カサメリ沢
もう日差しに焼かれ続けて目が眩むのは懲り懲りなので、涼しさを求めてカサメリ沢へ。
やはりここは日陰が多く、取り付きにいるだけなら結構快適だった。

5.12以上のルートをやりたかったので、コロッセオ奥の三ツ星エリアへ行ってみた。
猿の巣(5.11a)を登ってアップすると、暑さなのかヌメりなのか寝不足なのか、体が重かった。
うーん、テンション上がらんなぁ。
文句を言ってみても気温は下がらないので、ブラッドライン(5.12d)にトライ。
と、出だしの階段状を登った後のライン取りでいきなり迷ってテンション。
どうも左の指切りげんまん(5.11d)と数メートルは共通らしいけれど、前傾カンテ沿いに古いカットアンカーの跡がある。
そのボルトにクリップするならカンテ沿いに登るのかな...と思い、一応そちらで登った。
ここがなかなか難しく、上部までのトータルで軽く5.13はありそう。
テンションをかけながら抜けたけれど、最上部が日向になっていて繋がる気がしないので2トライ目はナシ。
この辺り、どうにも意志が弱い。

気を取り直して、コロッセオでミスト(5.13c?)をやる。
と、出だしからいきなりホールドが濡れている。そもそも乾きが悪い場所だし、そりゃそうか。
とにかくOSを狙って頑張ってみたけれど、濡れたホールドでスリップして呆気なく落ちた。
それから核心のセクションで数テンションしながら抜けて、これはきちんと2トライ目を出すことに。
濡れていて緊張する下部をだましだまし突破して、上部の繊細な核心を終始プルプルしながらこなしてRP。
繊細なホールディングでの立ち込み系がこの時期に登れたことは少し嬉しい。
でも多分、グレードは5.13aくらいだろう。
突き出したカンテの右側の面がミスト

最後に、核心のボルダームーヴがやたら悪いキングオブモンキー(5.11d)をOSして終了。
荷物をまとめていたら雨が降り出し、濡れながら帰った。

2025年8月7日木曜日

空梅雨と言いつつも

GW明けからまるでブログを更新できていなかった。
事情は様々で、仕事なりコーチングなり天気なり、まあそれぞれにある。
が、結局はそれらを差し置いてでもブログを書くほどの会心のクライミングが出来ていない、というのもある。
とはいえ、毎年この時期はこうなりがちのような...言い訳はこれくらいに。

6/7 不動沢
天気の悪さと都合の悪さが重なり、ほぼ1か月ぶりの岩だった。
コミネムと不動沢へ、昨年敗退したいぶし銀をやりに出かけた。
が、また昨年同様に2P目付近からの染み出しで、問題の1P目までジメジメ。
ということで、最近活気ある20代たちが拓いた新ルートを登ってみるか、と滝の辺りへ移動。
実は大学の後輩のカワチくん初登のLightning Guides Me(5.10c)を登ってアップ。
なんだか湿気が立ち込めているが、ほどよい難しさで楽しい。
続いて本題のトトロ(5.11d)。初登はH大学随一の逸材と名高いナカガワくん。
コミネム先輩が気合の入った登りで右往左往しながらOSし、プレッシャーをかけてくる。
こちらもやったろうやないかい、と勇んで取り付いたら、出だしで手がすっぽ抜けて着地。
真っ平な下地にドスンと着地して、呆気なくOSは消えた。というかこれはもはやグラウンドフォール。
念入りにチョークアップして登った次のトライで危なげなく登れた。
上部でカムが尽きかけたけれど、危なげないということにしておく。
その後、左からトラバースして入るトトロにダイレクトスタートの可能性を感じたので、ちょいとやってみた。
トトロの最初のプロテクションを入れる辺りから真下に伸びるシワというか溝というか、そこに右下から入れそう。
しばらくノーマットで二人、わいわいとセッションして、トトロに合流するところまでは登れた。
ここだけで2級くらいのボルダー。正解かどうかは怪しいけれど、ムーヴも面白かった。

本題が登れたので屏風岩まで戻って、不動の日々(5.12a?)をやってみることに。
これも実は大学の先輩のたびとさんが初登。なにやら今までと違う意味で知り合い率が高い。
コミネムにOSトライを譲ってもらったので、やったろうやないかい、とテーピングも巻いて突撃。
核心のルーフはそこそこ乾いていて、拳のサイズと腕の長さで得をしたのか、インバージョンせずに登ってOSできた。
ワイドで5.11以上がついているものをOSするのは初めてだけれど、こうなるともうよく分からない。
が、まあそれはいいことにする。
核心に挟まって苦しそうな(楽しそうな)声を上げ続けるコミネムと交代で、こちらはすぐ右の地上の星(5.11d)をやってみた。
かなり短い薄被りフィンガーで、やってみると意外にジャム要素が強かった。
で、こちらは見事に湿っていて、最後の数手で血管が切れそうなくらい粘った末に落ちた。無念。
日没寸前にコミネムが不動の日々を無事に登ったので、この日は終了となった。

なぜか桃色のテープを巻く男


6/22 コッシーランド(ボルダーサーキット)
パートナーが居なかったので、今季初のサーキットに出かけた。
ボルダーの新トポが出た際に、室井さんに「サーキットならコッシーランドの辺りがいい」と勧められたので、行ってみることに。
10時前くらいに畑の脇の駐車場に着いて、少し外れたところにある大地岩からスタート。
まだ瑞牆のボルダー自体が公開されるよりもずっと前、この岩は畑岩と呼ばれていた。
ここにある3級の課題で敗退した思い出もある。当時は中学生とかだったんじゃないかな。

大地岩の課題を一周すべて登って、本題のコッシーランドへ下る。
ここから先は全課題初めてなので、これまでのサーキットよりもグレードを下げて、8級くらいから登ることにした。
以下、登った課題とトライ数だけ、記録として残しておく。各課題、最大5トライまでという条件付き。

〈大地岩〉
種まく人 8級 1トライ
オータムリーブス 8級 1トライ
落ち葉拾い 6級 1トライ
ヒミズ 4級 1トライ
ルッキングフォーロマンス 4級 1トライ
空の鏡 3級 1トライ
マイスモールランド 2級 1トライ
いずれ菖蒲か杜若 5級 1トライ
不射の射 3級 1トライ
春の調べ 7級 1トライ [10]

〈コッシーランド〉
プルシアンブルー 4級 2トライ(1トライ目で猫パンチして流血)
ペリュトン 3級 1トライ
加羅木 7級 1トライ
モシリ 5級 1トライ
女心と秋の空 8級 1トライ
忘れられた旅人 4級 3トライ(下地が微妙な上にかなり悪かった)
隼人瓜 8級 1トライ
赤隼 2級 2トライ (隣のファルコニア初段はビビってトライせず)
上を見ぬ鷲 4級 1トライ
サイレントイーグル 3級 1トライ [20]

神聖な配列 1級 1トライ
聖櫃 2級 1トライ
回帰者 1級 2トライ
秘密の回廊 2級 1トライ
パーミンガール 4級 1トライ
賽の河原 初段 5トライ (ギリギリ登れた)
生生世世 7級 1トライ
来来世世 7級 1トライ
寄生木の空浮かぶ羊雲 3級 1トライ
忘れた記憶 5級 1トライ [30]
乙事主 1級 1トライ
白猪 2級 5トライ (これもギリギリ登れた)
十二単 5級 1トライ
野狐 3級 3トライ
八尾の狐 2級 1トライ
鉛の足枷 2級 2トライ
白狐 3級 1トライ
三足鳥 3級 1トライ
九尾の狐 1級 1トライ
漆黒の闇 1級 3トライ [40]
髪結い 3級 2トライ
手櫛 4級 2トライ
背もたれ 3級 4トライ (髪結い~背もたれはどれも離陸と1手目が核心で敗退するかと思った)
黄楊櫛 2級 2トライ
蔦の細道 1級 2トライ
苔の細道 1級 1トライ
闇射貫くひかり 2級 1トライ
悪の煌めき 初段 1トライ
鵺 1級 1トライ
チカプ 6級 1トライ [50]
水つ霊 5級 1トライ
外連味 2級 1トライ
玉兎 4級 3トライ (体感1級くらいだけれど、ヨレとヌメりでよく分からない)
憂き世の夢 6級 1トライ
星月夜 1級 3トライ
風光 5級 1トライ
まほろば 2級 1トライ
夜来香 5級 1トライ
モーニンググローリー 3級 1トライ
エーデルワイス 5級 1トライ [60] (今回の個人的ベスト課題)
フェアリーリング 6級 1トライ
先の見えない階段 4級 1トライ
ジョイライド 6級 1トライ
Dancing in the Dark 1級 1トライ
光芒 5級 2トライ
揺れ動く波動 4級 3トライ
雪庇下のフランケ 2級 1トライ (この辺りはラインの区別がよく分かっていない)
妖精の住む園 7級 1トライ
ライコサヌ 7級 1トライ
溢れ出す狂い 2級 1トライ [70]
楽園の舞 4級 1トライ
(爽快クラック初段もやったものの、まるで浮けず)
舞い昇る情熱 1級 5トライで登れず

近い位置に岩が密集しているおかげで、課題間の移動が短くて済む。たしかにFontainebleauのサーキットのようだ。
ゆっくりスタートしたものの、18時までで72本トライして、71完登。
最後は舞い昇る情熱で、ヨレとヌメりでどうしようもなくなるまで頑張って撃沈、終了。
全体的に低グレードが多いので、もう少し強度を上げたいところだけれど、1日で回った本数としては悪くない。