2013年8月10日土曜日

『二十億光年の孤独』

今日、弁天岩のプロジェクトが完成しました。
このラインを見出して、掃除して、トライして、3年目の夏でした。


昨日から泊まりで瑞牆へ。

昨日はサル左衛門は独りボルダーの開拓へ行ってしまったので、
大ザルと二人で弁天へ。
ササっとトップロープを張って、今回も2回トライした。
リードすることを前提にして、プロテクションのセットも含めてムーヴを修正。
核心手前にレストポイントはあるものの、やっぱり疲れるなという印象。
更に、2トライ目でルーフ部分のスタンスが欠けた。
かなり安定していただけにちょっとげんなりした。
大ザルは既成のクラック部分を練習していた。
クラックの縁が尖っていて猛烈に痛いらしい。
既成のルートは10cということらしいが、どう見ても湯川のバンパイアより悪そう。
このルートも厳しそうだなぁ。
トップロープでずりずりしてみるサル左衛門(写真は今日の)


今日は昨日よりも天気がよく、暑そうだった。事実暑かった。
スタンスが欠けた部分だけでもやっておきたかったので、
アップも兼ねてもう一度トップロープでトライ。
ルーフ部分は直ぐに修正して、それからカムのセットも確認して、
全部のカムを回収してロープを抜いた。
大ザルのビレイをしながらレストして、ぼんやりして、トイレに行って、
ロープのやりくりの手筈を確認して、さて本番。
サル左衛門が上でカメラを構えてスタンバイしてくれた。

下部に張り出し3メートルはあるルーフトラバースがあるので、
ロープドラッグを防ぐために出だしはダブルロープで登る。
「グリーンベレー」の出だしの立木をかわすために、
一度セルフを取ってロープを引き抜き、引っ掛からない方にたらす。
それから「グリーンベレー」を天井レイバックの手前まで登り、右のルーフに入る。
いきなりランナウトで怖くて声が出たが、ここは安定して抜ける。
右のフェースに出てカムを固め取りしたところで、ルーフの方に掛けてきたロープを外してポイ。
あとはシングルロープで登る。
面倒だけれど、こうしないと登れないので。


ホールドは大きいけれど動きも大きいフェースをランナウトでぐいぐい登って、
核心手前のレストポイントに入る。

全回復は出来ないけれど、かなり長くレストしていた。
それから、核心に突っ込む。


プロテクションはアゴまで入っていないハーケンだし、
落ちたら横に吹っ飛んでどうなるか分からないし、かなり怖かった。
昨日細かいところまで詰めておいてよかった。

あとはずっと易しいけれど気が抜けないスラブフェースを登って、
最後のフレークを掴むことが出来た。

このルートの開拓は大変だった。
壁が前傾している上にラインが蛇行しているので、掃除がまず大変。
開拓に着手した年は天気が悪く、行ってもろくに作業出来ない日もあった。
サル左衛門が終了点を打っていたら土砂降りになり、酷い目にあったらしい。
トップロープでのリハーサルも落ちたら戻れない箇所がいくつもあって面倒だった。

遠くて、ボールドで、トライするも一苦労。
安近短の真逆をいくこのルートだが、
それらを除いても、通い続けるだけの魅力がこのラインにはあった。
少なくとも、僕はそう感じていた。

かなり取っつきにくく、人気ルートになることはありえないだろう。
再登が出ないまま、また自然に還って埋もれてしまうかもしれない。
それでもいい。
自分がこのルートに惚れ込んで、片想いのように思い描いて、
そしてそれまでの時間からすれば呆気ないくらい一気に登れて、
達成感と形容し難いもの寂しさを感じている。
それがあればいい。
今までの自分はそれでよくて、これからの自分もそうあればいいと思う。

二十億光年の孤独 5.13b R
とします。

開拓の全てに関わってくれた大ザルとサル左衛門、ありがとうございました。


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