2024年7月8日月曜日

水有月

忙しさ(自称)にかまけている間に6月が終わってしまいました。

6月、水無月というのは、梅雨になり雨がよく降ることで「天上の水が無くなる」という由来なのだそうです。
今年は結局7月になってもあまり梅雨らしくならず、水無月らしさはなかったようです。
気候が変わると、月の呼び名も変わるのでしょうか。

6月は案外天気が悪くなかった割に、あまり外には行かずに終わってしまった。
もともとの予定があったりなんだりで仕方ないのだけれど、少し腑抜けている感じもする。

6月の初め、週末2日間コミネムと瑞牆で登った。
土曜日には不動沢に行き、千両岩の新ルートを登ってみることに。
いぶし銀(5.12c 4P)と守破離(5.11b 3P)をハシゴするつもりだったのだけれど、
いぶし銀の1P目の12cでいきなりやられた。
湿っぽいクラックから左のスラブに抜け出したところから、突然世界が変わる。
一気に細かいバランスクライミングになり、呆気なくOSは逃してしまった。
が、実際の核心は落ちたところよりもさらに先で、ここは1回では解決できず。結局ボルトを踏んで抜けた。
交代したコミネムもめでたくやられ、2回目のトライで僕がどうやらムーヴを解決。
これは相当にコンディション次第だぞ、ということで、何度見上げてもびしょ濡れの2P目と考え併せて撤退。
大人しく隠し金探しの左にある守破離に移った。
こちらは1・3P目をコミネム、2P目を僕がリードして、気持ちよく登った。
1P目の形容詞グレードがつきそうでつかないくらいのプロテクションの悪さはなかなか攻めている。

流石はマルボーさんとクロヒゲさん(勝手に通称ヒゲおやじズ)。
ルートの内容は、隠し金探しに一歩譲るもののどのピッチも濃く面白かった。

千両岩の上から歩いて下りてきたところでまだ時間があったので、浸食の造形(5.11c)をやることに。
先日登ったノミーが「あの近辺ではイチバンっす」と評しているので、期待が高まる。
結果、落ちそうになりながらOSした。
出だしからずっと悪いスラブムーヴが続くが、核心はやはり象徴的な凹角に入り込むところから。
ちょっと他ではやったことがない類のムーヴが印象的だった。
1本目のボルトでハンギングビレイしているコミネムと交代して、コミネムもFL。
その後をフォローで登っても、やっぱり面白い。ムーヴが分かると、やはり11cらしい。
スラブ嫌いを自称するコミネムも「これは初めて面白かった」とのことでした。

次の日はクラックをたくさん登ろうということで、最近空いている末端壁へ。
少し曇り気味で、暑すぎずに快適。
春うらら1P目(5.11b)を気分よく登ってアップした。
ちなみに、中学生だか高校生の頃に一度トップロープでやっているのでOSではありません。
その頃に比べれば、ずっと快適に登れた。そりゃ当然だけど。
当日出くわしたスダさんが写真を撮ってくれた。ありがとうございます。

が、2本目にやった鷲(5.11c 2P)でまたやられかけた。
出だしのボルトがある核心をおっかなびっくりこなした時点で相当湿気っぽかったのだが、
それを越えて長いコーナーに入ると、ずっと上までクラックが苔むしている。しかもびしょ濡れ。
海苔の佃煮にひたすら手を突っ込んでいるような状態で必死に登り、なんとかOSした。
フォローで上がってきたコミネムが「いやー、よくやるわ」とか言っている。
いつだったか「ジャムなら濡れていても頑張れる」と言われて呆れた記憶があるけれど、
このときは少しだけそれが理解できた気がした。
鷲の2P目はコミネムがリードして僕はフォロー。お昼寝テラスを経由して取りつきまでラペルで戻った。

その後は、ペガサスを2P目までリンクして60メートル1ピッチにして登ってみた。
1P目は数年前に登ったことがあったけれど、2P目は初めて。
出だしの快適なハンドを駆け抜けて、二股に分かれたワイドは左がオリジナルらしいのでそちらから登った。
なかなかの充実感で、これは登っておいてよかった。
更にその上にある風鈴の上部ピッチをツルベで登り、湿っぽいチムニーで大股開きをして、そこそこ満足。
雨雲が迫ってきたので「さて降りよう」とラペルしていったところ、
ペガサス1P目の終了点に降りたところでロープが2P目上部のワイドにスタック。
あわや脱出不能になりかけた。
このアンカーがあるチムニー状に入るためにディレクションでとったカムが良くなかったようで、
それを回収してロープを引く向きを少し変えたら抜けてくれた。
ああ助かった。やっぱりラペルは怖いものがある。

取りつきに戻ったところでちょうど雨が降り出し、深く反省しながら撤収した。

6月の半ばには単身、今季初のボルダーサーキットに出かけた。
今回は一応100本回り切った。
記録が長くなるので、これは後ほど別の日記としてあげます。

6月の後半、雨の翌日にまたコミネムと瑞牆へ。
「どこか乾きのいいところあるかな?」と相談していたら、ノミーから「キューピーママ」という妙案が。
曰く「瑞牆イチ乾きが早いっす」ということなので、行ってみることになった。
アプローチで少し迷いつつたどり着くと、確かに乾いている。
コミネムが「乾き良いらしいよ」と噂を流したのに釣られて同僚のツダ夫妻もやってきていた。賑やかいぜ。
キューピーママのすぐ隣にある祭のあと(5.12b)も乾いていたので、それでアップ。
小川山のイエロークラッシュを思い出すような内容で、それよりも少し難しかった。
ほどよいパンプを感じながらOS。コミネムもFL。

キューピーママの産まれる気分(5.8)をとりあえず登り(尻が抜けないかと思った)、
本日のメインである魅惑のキューピー(5.12c R)を眺めまわす。
岩はしっかり乾いているし、プロテクションは固め取りできそう、ラインも明瞭なので、これは下からやるしかない。
ということで、リハーサルなしでトライすることにした。
いつかこういうルートを、グラウンドアップで狙ってみたかった。
OSトライで相当粘ったものの、「これしかない」と思ったポケットの保持感に裏切られてフォール。
かなり派手に吹っ飛ばされたものの、地面には当たらず無事だった。プロテクションもびくともしなかった。
コミネムもグラウンドアップでトライして、どかんどかんと落ちてきた。
徐々に墜落距離を伸ばしながらなんだかニコニコしている。なんやねんその笑みは。
「もうお腹いっぱいだ!」という発言が出たので、交代して2回目のトライ。
先ほど落ちた個所でもう一度腹を括り、日に熱されたホールドの嫌なヌメりを感じつつ、
かなり吠えながらムーヴをこなして登り切った。
このルートは産まれる気分の途中からトラバースするため、ギアの回収がしにくく、
1回目のトライでセットしたプロテクションをそのままにしてロープだけ抜いてリードした。
つまりプロテクションはプリセットした状態。ピンクポイント、あるいはヨーヨーというのだろうか。
しかし、プロテクションのセットが難しいルートではないし、なによりリハーサルなしでこれだけ勝負できたことへの満足感が大きかった。
ルートの内容も面白かったので、これで二重丸だろう。
ツダ女史の旦那ヤマムラ氏が写真を撮ってくれた。ありがとうございます。

その後はしじま谷方面に移動し、コミネムが龍脈門(5.13a)をやるのに付き合いつつ、
左の方にある岩檜(5.12b?)をやってみた。
5.10のクラックを登った後、クラックに生えた木で終了せずに上まで抜ける、というようにトポには書いてあるけれど、
実際にやってみると木まで上って長いスリングでランナーを伸ばし、
木のすぐ下のダイクを2メートルほど左にトラバースして左上するグルーヴを登る、というラインだった。

クラックはジメジメ、そこから分かれてからのグルーヴは埃まみれだったけれど、強引にOS。
人気が出ないのはよく分かる。が、内容はそれほど悪くなかった。
OSできたルートは多少易しく感じるもので、12aくらいに思う。
この近辺でちょっとスパイシーな変わり種ルートを探している方は、どうぞ。

0 件のコメント:

コメントを投稿