2024年10月5日土曜日

『春夏冬』

これで「あきなし」あるいは「あきない」と読むそうで、
それを「商い」とか「飽きがこない」にかけて店名に使われるのだとか。
それはそうと、やっと暑さが治まってきたかと思えば雨ばかり。
年々パッとしなくなる秋シーズンですが、今年は例年どころではない気がする。

静寂のバルジに行って以降、8月は暑さと雨の波状攻撃で丸一日登れたのは一度くらいしかなかった。
その日はコミネムと、クラック地獄と黄金狂時代の辺りでしっとりしたクラックを登りこんだ。
実は初めて登るカヌー(5.11b)とか、隣のニーチェ(5.10d)を登り、
少し奥にあるS.I.グループ(5.11a)もついでにやったらハマりかけた。
湿ったスローパーに恐れをなして、一度クライムダウンしてから気合を入れて登った。
コミネムは若干脆いクラックに取ったカムを2つ吹き飛ばしながら降ってきた。
黄金狂の近くではクロム1P目(5.11a)をOSして、コハク(5.10c)も登った。
西に傾いた日に焼かれて、2人とも少し熱中症気味だった。
クロム1P目。奇跡的な加減で、モアイのような顔になっている。

他の日にひとりでソロシステムの練習をしたり、荷上げの練習をしたりしたものの、
クライミング的な成果があったわけではないので割愛。
このとき10年ぶりくらいに登った出合ボルダーの課題たちはどれも面白かった。
最近改めて掃除されたらしく、今が旬かも。
ボルダーで登るもよし、ロープを張るのもよしで、いろいろと楽しめる良い岩なのかもしれない。


9月に入り、まだ暑さが残るころ、コミネムと小面岩のマスターピース(5.13b)をやりに出かけた。
樹林から抜け出ているここは平日の雨の影響もほぼなく、岩はよく乾いていた。ただ、日差しが熱い。
コミネムに譲ってもらってOSを狙ったトライで、出だしの小核心をねじ伏せ、
そのままトラバース~中間部のカンテとギリギリのムーヴでこなしていったが、
上部で再びカンテを跨ぐ辺りで完全にラインを読み違えて落ちた。
既に限界までパンプしていて、まるでホールドが見えていなかった。
チョーク跡がないとはいえ、そこで冷静さを保てる実力が欲しいな...と思うところ。
その後、最後のスラブのムーヴを解決するのに時間がかかったので、OSトライは特に惜しくもなかったらしい。
2回目のトライでは、OSで落ちたところの詰めが甘くまた落とされた。
結局、ワンデイでのRPはできず。無念。
それからバベルの塔へ移動し、バビル(5.12d)をOS。
これもなかなかに持久系でパンプしたけれど、マスターピースをやってからだと数段易しく感じた。
高強度のルートに触って慣れておくことは、やはり大事。
バビルのコミネム


翌日、再びコミネムとマスターピースへ。
この日は曇って、午後から雨という予報だったけれど結局降らず。むしろちょうど良いコンディションだった。
1回目のトライは中間部で足が抜けてポロ落ちしてしまった。
またムーヴの詰めが甘くて落ちたので、核心以外のムーヴもしっかり考えた。
2回目のトライで中間部を落ち着いてこなし、最後のスラブも危なっかしく押し切ってRP。
5.12ノーマルくらいのセクションのムーヴをおざなりにしないことがカギだった。
なんだか小川山のプラズマ火球を思い出すような持久系ルートで、そういうルートにはあまり隙が無い。
コンディションのこともありそうだが、体感は限りなく5.13cに近いものがあった。

その後またバベルの塔へ移動し、10年以上ぶりくらいにロプロス(5.11c)とポセイドン(5.11a)を登った。
クラックの奥はじっとりしていたが、どちらもそこそこ安定していた。
流石にこれだけ時間が経って、少しはジャムも上達したらしい。

9月の下旬には、乾きが良さそう且つ涼しそうという理由で、ビッグサムロックへ。
トポにあったとおり、アプローチはなかなか遠かった。弁天岩と同じくらいだろうか。
長く歩いた分、期待したとおりの涼しさだった。
以前一度来たことのあるコミネムがOSトライを譲ってくれたので、ありがたく瑞牆ジャンキー(5.12c 2P)をやる。
1P目の12cはプロテクションが微妙な切れ切れのグルーヴを辿り、後半はいかにも瑞牆らしいスラブフェースに突入。
チョーク跡はないものの使うホールドははっきりしていたので、ゆっくり時間をかけてOSした。
2P目の12aは出だしから悪く、危うく落ちかけたところを耐えてOS。
2ピッチはあっという間だけれど、充実感のあるルートだった。
1P目

ラペルして、ジャンキーのすぐ左から始まるクルシフィックス(5.11c 3P)も登った。
1P目の11cが思ったよりも悪く、下手したらジャンキーの核心よりもホールドを握ったかもしれない。
1P目の11c

2P目の10bのワイドはコミネムが登り、3P目の11aを僕が登って頂上に立った。
瑞牆ジャンキー+クルシフィックスで5ピッチのルートと考えれば、かなり満足。
折角同じ岩の同じ面にあってラペルもしやすいので、同じ日にセットで登るのがおすすめです。

ビッグサムロックに行った日は、本当に久しぶりに暑さも湿気も気にせずに登った気がする。
むしろ上に一枚羽織らないと肌寒いくらいだった。
「やっといい時期になった」と喜んでいたら、今度は長雨で岩は登れず。

ツアー前の調整は最後まで岩でしたかったけれど、どうもそれは叶いそうにない。
自分の調子は悪くないだけに、どうにもじれったい。

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