2013年9月15日日曜日

秋の陣 その2

11日、この日は弁天に行く予定だったのだが、朝からガスで真っ白。
時には50メートル先もぼやける始末。
仕方がないので昼前まで待機して、カサメリ沢に行くことに。
朝食の時に撮りためた写真をチェックしていた社長が一言、
「似たような顔した奴しか写ってなくて、花がない」
たしかに僕と黒ヒゲさんの写真は多いがとにかく女性陣の写真がない。
そうしたところにちひろさんが知人と一緒に登りにくるよということになり、
手軽に行けるカサメリ沢に即決となった。

僕は福田さん、カメラマンのハギさんと3人で一足先にコロッセオへ。
本日のメインアクターは福田さんで、「ナイトディジィダンス」(5.12c)をやる。
ひたすらガバでトラバースする「トレビの泉」(5.10a)でアップして、
僕はまだ登っていなかった「トップガン」(5.13a)をやることにした。
数年前にムーヴをバラしたところで雨に降られて帰ったきりになっていた。
久しぶりにやったらえらく登り易く、マスターでそのままRP。
ムーヴが得意系だからかな。
ハギさんから「動きが速すぎて上手く撮れなかった」と言われたので、後でもう一度登った。
うーん、今回が初めてだったらOSできてたな。

中学生の時に通ったナイトディジィダンスを初登者が登るのを見ていて、
なんだか不思議と感慨深かった。
ちなみにルート名は「夜の盆踊り」ということらしい。

目的のルートの撮影が終わったので、ぼちぼちコセロックに引き挙げて、
コンディションは最悪だったけど「ギャラクシイ」(5.12a)をOSトライすることにした。
もう明らかにシケシケで、垂壁じわじわみじかしい系なので相性最悪なのだけど、
こんなときでもない限りやることがなさそうだったので。
下部の微妙なハイステップはずるずるしながらもなんとか越え、
黒ヒゲさんに「あそこがね~」と言われた上部の核心でポロっと落ちた。
結晶が立ったところを微妙なホールディングで押さえて登るので、
どうにもこのコンディションでは歯が立たなかった。
何度もハングドッグしてやっても指皮がなくなるだけだったのでエイドで抜けた。
「この条件でよくそこまで行ったよ」とは言われたけど、
いざやってムーヴが出来ないと悔しい。
次に行ったら瞬殺してやる。覚えてろよ。

その夜、夕飯は大量のパスタ。
社長がこの日のために買ってきた、パスタが横倒しで入る大鍋が登場。
が、そもそもお湯が沸かない。
結局幾つかの小鍋に分けて沸かしてから大鍋に入れる作戦で茹でた。
6人で1キロちょっと、僕は勧められるままに300gは軽く食べていた気がする。
食べ過ぎでうーうー言っている僕に、酒が入って一層陽気になった社長と足場さんの矛先が向く。
おそろしやおそろしや。
そのうち本気でお見合いの話かなにかを持ってこられそうで怖い。
僕が食べ過ぎを理由に早めに退場すると、
その後二人の矛先は黒ヒゲさんに向いたらしかった。
黒ヒゲさんごめんなさい。


12日、やっとすっきり晴れたので弁天に行った。
アプローチは割とゆっくり行ったにも関わらず1時間半。
この日は健脚揃いだったので、そりゃそうか。
初めに黒ヒゲさん・長門さんが「グリーンベレー」を登り、
その撮影が終わってから僕が「二十億光年の孤独」を登る番。
流石にアップ無しは無理なので、トップロープでリハーサルさせてもらった。
登ってまだ1カ月しか経っていないのでムーヴは完璧に覚えていたけど。
パンプが抜けるまで待って、いざ本番。
実は核心と同じくらい緊張するルーフ越えをこなし、
レストポイントまでのフェースは一気に繋げた。
あくまで撮影なのでハーケンで一度テンションして、
核心を初登のときと全く同じ緊張感で登って無事終了。
フォローで回収がてらトライしてくれた黒ヒゲさんによると、「5.13bは辛い」らしい。
「核心は阿修羅と同じくらいはあるよ」とも言っていた。
そんなものかな。

トラッドとなると感じ方が微妙なので、なんとも言えないところだけど、
こうして他の人に査定してもらえて嬉しかった。

天気が崩れてきて怪しげだったけど、摩天岩に移動。
長門さんの「不動の拳」(5.12b)の撮影を見物。
実は初めて行ったのだけど、凄いルートだった。
ルーフ自体は意外と短いものの、出口のワイド部分は物凄く威圧的。
多分どう登ってもしんどいんだろうな。
この日はコンディションが悪過ぎて長門さんは登れず。
秋の乾いた涼しい日にやるべきなんだろう。
「キミはオンサイト狙ったら?」と半ば当然のように言われてしまったけど、
そりゃちょっと要求が高すぎやしませんか?
まぁ、来春にでも。


最後に摩天岩上部の壁を見に行って終了。


今回の合宿では、自分にとって思い入れのあるルートへ行くことになった。
「ユグドラシル」「ナイトディジィダンス」「二十億光年の孤独」
内藤さんや福田さんの言葉を借りれば、
「昔の恋人に再会する」のような感じだった(実際のところは知りません)。
何年か前の自分が、そのときそのとき打ち込んでいたルートに足を運んで、
その当時のことを思い出すと妙な気分になる。
懐かしいような、ちょっと切ないような、
多分今と大して変わらない自分を思い出すような、そんな気分。

もしタイムマシンがあったら、僕は何年か前に行ってみたい。
それらのルートに取り組んでいる自分に会って話をしてみたい。
一体何と言うのだろう。


内藤合宿はまだまだ続くようです。
内藤さんはじめ合宿に参加したクライマーの皆さん、今回もお世話になりました。
また次回もよろしくお願いします。

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