授業が始まって2週目が終わった先週末、
Boulder Zoneでインストラクターをしてるイバンに誘われてCuencaに行ってきました。
こちらは朝が遅く夕方が長いので、土曜日の朝10時にマドリッドの闘牛場に集合。
前日に地図で見て「あ、駅から近いじゃん」とか思っていたら、
実際行ってみると3キロくらいあって遅刻。すみません。
が、そこを全く気にしないのがスペイン気質らしい。
イバンのでっかいバンで彼の友人らと出発。
後部座席の窓は塞がっているので、隣に座ったマヌとちょっと話してあとは寝た。
2時間くらいでCuencaに到着。
Cuencaは狭い谷にある町で、谷の両岸がずーっと壁。とにかく全部茶色い石灰岩の壁。
その壁にくっつくように石造りの建物がならんで町をつくっている。
ウォーキングやらツーリングやら、川でカヌーに乗っている人もいて、
単に観光できても楽しそうな場所だった。
で、こんなところで、しかも道路からすぐのところにある壁で登れる。
ちょっと経験したことのない環境だった。
着いたのが12時くらいで、それから川の対岸にあるエリアで登る。
9月とはいってもスペインは日差しが強い。
乾燥しているから日陰はそれなりに涼しいけど、日向は恐ろしく暑い。でも意外にぬめらない。
僕はずっとイバンと回った。
フレンチグレードはなじみがないけど、とりあえず6台から初めて、7aまでOSしてアップ。
ホールドはポケットが多い。7aとかでも普通に一本指が出てきた。
だんだん太陽が傾いていってこちらのエリアにも日が当たってくる。
最後に☆のついている7cをOS。
2本指が連続する下部から大きなポケットをダイナミックにつなぐ上部と、結構面白かった。
デシマルにすると12dで、個人的にはOSの最高グレードだけど、得意系だったからか易しく感じた。
というか、日本のグレードが辛い。
イバンが「お前のためのルートがある」と言ってハードルートのある影のエリアに移動。
こっちのエリアはひたすらどっかぶり。しかも長い。
薦めてもらったのはOndanadas de Hostiasという8a+。
「一撃狙う?狙う?」とイバンが期待の眼差しでいうので、
直前にトライしていたイバンの友人ホルヘに教えてもらうことに。
「今ここで全部聞くのか、登ってる時に聞くのかどっちだ」とホルヘが言うので、
「今ここで」と答えたら「全部覚えられんのか?」と言いつつ教えてくれた。
一通り解説して「以上、俺はもうなにも言わんぞ」と言っていたけど、
登り始めると後ろで「次それ」とか「それ違う」とかワイワイ言っていた。
スペイン人はどんな形であれ賑やかに応援するのが好きらしい。
ルートはどっかぶりの壁に走ったクラック沿いにずっと登ってそれからルーフ。
それを抜けるところに核心があって、その初めのランジまでは止めたけど、すぐパンプ落ち。
降りるとホルヘが「一回目にしてはいいだろ」と言った。
ギャラリーから「もう一回!もう一回!」とリクエストが入ったけど、
さすがにパンプが抜けないので「ちょっと待って」と頼む羽目に。こんなのも初めて。
で、時間を見ると8時過ぎ。
でもこんなに明るい
が、待っていたらどんどん暗くなってきたので終了。
食べ物は用意してきたけど、イバンが「バルに行くか作るかどっちにする?」と言うので、
迷わず「バルに行こう!」ということで決定。
(バルというのは、Barのスペイン語読み、つまりバーのこと)
イバンとダニー、ロベール、僕の四人で飲みに行く。
ロベールはイバンの教え子(?)らしい。
こちらはビールがやたらと安く、しかも一杯ごとにでっかいタパス(つまみ)がついてくる。
つまり、ビールを頼めばそれでご飯も食べられる、ということ。
美味しいので、どんどん飲む。
ダニーとロベールはほぼスペイン語しか話さないのでイバンがひたすら通訳してくれたが、
話の内容は岩のこと以外全部下ネタだった。
酒が入ると下ネタに走るのは万国共通なんだな。
スペイン語は分からないけれど、ゲスなことを言っていることはよーく分かった。
楽しいからいいけど。
夜中になるとさすがにちょっと寒かった。
キャンプ地に行って、イバンの車で車中泊。
来るときに一緒に乗ってきたメンバーはそれぞれの友人とどこかに行ってしまった。
こちらではそれが普通らしい。
翌朝、二人して寝坊して11時起床。
でも、夕方が遅いのでどちらにせよ十分登れる。
町に出てゆっくり朝ごはんを食べて、岩場に戻る。
こんなゆったりした一日のスタート、ツアーでもちょっとない。
この日はキャンプ地の近くのエリアで登った。
イバンの持っているトポには載っていないエリアなので、人づてに聞いて登る。
ガバガバの6台を何本か登って、隣の被ったラインに取りついてみたらプロジェクトだったらしく、
岩は脆いしホールドは汚いし、しかも悪いのでクライムダウンで戻った。
7aを登るイバン
アップが終わった、というか易しいルートが混んでいるので、Din Don Dollyという7c+をやることに。
OSを狙ったけれど下部のボルダ―ムーヴで手順をミスって落ちた。
しかも核心は上部のカチカチの垂壁パートだった。駄目だったなこりゃ。
2回目で登れた。
Din Don Dolly
他の人たちが来るのを待って、前日のエリアに移動。
Ondanadas de Hostiasをもう一度やる。
ロベールがなぜか張り切って写真を撮ってくれた。
ムーヴそれぞれは簡単だけどいまいち休めないストレニ系。苦手だなー。
35メートルくらいあるんだろうか。
持久トレをして次回、ということで今回は終了。
8時過ぎにCuencaを出て、Madridに着いたのが10時過ぎ。
Chamartinの駅から電車を乗り継いで、大学の寮に帰ったのが0時半くらいだった。
スペインでの初めての外岩は、思いがけず石灰岩のスポートルートでした。
でも、これが日本で知られているスペインなんですけどね。
連れて行ってくれたイバンもそうだけど、
スペイン人クライマーは「岩場で会えばみんなアミーゴ」という感じだった。
そりゃ知り合いも多いし、立ち話も長いわけだ。
スペイン語ができないのは正直しんどいし、英語でも自由に会話できるわけではないけど、
それでもみんな気さくで賑やかで、そして楽しい。
イバンは特にそういう気質らしく、ひたすらテンションが高い。
登りだす時も、降りてきたときも必ずハイタッチをする。登れなくてもする。
他の人たちとも、どんなときでもハイタッチして、握手して、ハグする。
さすが情熱の国だと思う。
普段は瑞牆の静かな森に潜んでいる僕ですが、この熱気は癖になりそうだ。
ガンバという名前のわんちゃん
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