2023年4月3日月曜日

ホームにて

ツアーから帰国後は、梅雨かと見紛う天気図にヤキモキする週もあったけれど、そこそこで登っている。

帰国した翌週は、単身で久しぶりに小川山に行ってみた。
特にやることは決めず、完全に気分。花崗岩に触るのも久しぶりな気がした。
朝、信州峠を越えて川上村に下りると、ナナーズの隣にコンビニができていた。びっくりしすぎて立ち寄ってしまった。

日陰は雪が融けずに残っているので、日の当たる屋根岩方面へ。
なんとなく気になって、以前友人から「これ知ってる?」と教えてもらったミッドナイトランブラー(二段)をやることにした。
手近な課題でアップして、15年くらい前にトライした気がする皐月(初段)と花豆(初段)も登った。
皐月はポケットの保持が皮にくるので、気合を入れてゴリ押し数回でなんとか登った。
花豆はハングから出て左に行っていそうな見た目だったけれど、そちらはさっぱりできず、ほぼ直登で解決。すぐ右のカンテは限定っぽいので使わず。

で、本題のミッドナイトランブラーへ。
コロンビア豆ボルダーの左端にある鋭利なカンテ。どうもラインはカンテの右のフェースを登っている。
が、右手でカンテを持って離陸しようとすると、浮けない。浮けません。
登った話すらほとんど聞かない課題なので、これはどうやってみてもいいだろうと、ホールドを探して右往左往。
最終的にカンテを挟む形でスタートできることが分かり、出だしの数手が止まったトライでそのまま登れた。
中間部のガバを取ってしまえばあとは見た目よりも簡単だったけれど、落ちられない下地だしひとりぼっちなので、緊張感があってよかった。
同じ岩のラウンドミッドナイト(二段)も相当気になったけれど、流石にこれはふらっと来てトライするような課題ではなさそうなので、次回に回した。

その後は不可能スラブへ。誰かいるかと思いきや、人の気配すらなかった。
貸し切りだぜラッキー、ということで、これもまた数年ぶりの伴奏者をやってみた。
ひとつめの核心だと噂の出だしで指もソールも結構すり減った。
出だしを突破できたトライで中間部をこなし、後半の核心に何度か入ったものの、これができず。
これもふらっと来てできるほど易しくないか。

冬の日をやりたかったけれど、行ってみると雪解け水でびしょびしょだったのでやめ。
時間が余ったので、2年ほど前にヨレて敗退して翌日風邪まで引いた、因縁の小川山ジャンプへ。
足の組み合わせを何通りか試して、「これだ」というのが見つかって、その後数回で一気に距離が伸びた。
最後は気持ちよくスパーンと止まって登れた。あー、すっきり。

それにしても日中の日向はやけに暖かかった。ボルダーのシーズンは早くも終了か...


その次の週、今度はあさこさんとふたりで小川山。
あさこさんがトライ中のマナ(5.13a)をやりたいので、屋根岩5峰へ。
平日に雨が降っていたけれど、日陰の雪はまだまだ残っていた。
午前中は日が当たって暖かくかなり快適。が、昼を過ぎると途端に曇って寒々としてきた。
この時期はまだまだ油断がならない。防寒着を多めに持って行って助かった。

ギャオスでアップして、あさこさんがマナを1回トライして、僕はこんにちはおっぱい(5.12b)。
前回は1年半ほど前の秋だった。そのときに1回だけトライして、OSできずに敗退した。
今回もやたらと悪い出だしに行きつ戻りつした。これで12bか...
そこを鼻息荒くこなして、あとは10台後半くらいのフェースを登って終了。
名前の由来にあたるホールドが、ルートを登らないと見えないというのが良い。

お昼を挟んで、曇り空の下で冷たい風が強くなり始めた頃、あさこさんが2回目のトライ。
出だしのムーヴでプルっとしたけれど、スラブに這い上がって仕切りなおす。
数メートルの空間を横切って、ゆっくりした呼吸の音が力強く聞こえてくる。
1年半前に一緒に来てビレイしたときには、細切れにしかできていなかったムーヴが、今回はどんどんと繋がっていった。
手の先、足の先まで力が漲っているのが、ビレイグラス越しでもよく分かった。
4本目までクリップして少しレスト、それから核心が始まる。
一手一手、ゆっくりだが淀みないムーヴで捕えていく。こちらの応援も次第に大きくなった。
5本目のクリップ、そして直後に一番の核心が待っている。
ここのムーヴは、1年半前はそこだけやっても解決できていなかった。
「この前久しぶりにトライしたら、ムーヴができてん」と話を聞いてきた今回、それは「やっとこさできた」というものではなく「ずっと前からできていた」という動きに見えた。
向きも掛かりも微妙なホールドにじっくりと指を収めて、力強く核心の一手を止め、上部のスラブへと抜けていった。

素晴らしい瞬間だった。
登った本人よりも、ビレイヤーの方が泣いていたかもしれない。

あさこさんの登りに俄然やる気をもらい、指よ皮よ(5.13a)もやってみた。
こんにちはおっぱいと同じ出だしをこなして、そのまま丸いカンテを押さえながらダイレクトに登る。
実際やってみると、カンテに出るまでが悪くて、あとは11あるかないかくらいだった。
なんどやっても緊張する出だしを突破し、初めて触るオリジナルのセクションは慎重に時間をかけたら一撃ですべてこなすことができた。
どうだろう、コンディションがいいからなのか、おっぱいとグレード1つくらいしか違わないように感じた。
出だしが共通なのでOSでもFLでもない。むしろ出だしが最大の核心のような気もする。
指よ皮よ

とにかく、この傾斜の13が少ないトライ数で登れたことで十分満足だった。

お互いにやりたいことが早めに終わったので、当然早めに撤収して温泉に入り、夜はフォンテーヌブローで買ってきたビールで乾杯した。
グレードが書いてある(当然、7Aがいちばん濃かった)

薪ストーブで焼いた焼き芋が美味い!


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