2023年12月8日金曜日

Yosemite23 その②

10/27(金) Lostarrow Chimney
3時起き、ハカセの腹痛により出発は4:20ほどになった。
Yosemite villageのちょっと奥、消防車の車庫(?)らしきところの裏手からトレイルに入り、
すぐに現れるガレ沢を上がって、ブッシュの濃いバンドをトラバース。
このバンドの先でまず迷ってしまい、辺りが明るくなってくるのを待った。

視界が得られてからアプローチを辿り、そこから1時間ほどでYosemite Fallsの取りつきに着いた。
Lostarrow Chimneyは、見るからに大きくて暗く、威圧的。
そして登ってみると、それ以上だった。
スパイヤーから左下に落ちている何よりも顕著なチムニーに入っていく

3P目のハカセ

4P目

5P目をフォローする

核心になる7P目をフォローする

ツルベでノーフォールだったものの、次々に現れる5.9~5.10aの手ごわいオフウィズスにやられる。
そうやってもがいている時間はどんどん過ぎ、スパイヤーの肩のthe notchに抜けた頃には真っ暗だった。
スパイヤーの頂上までは残り2ピッチあったけれど、これは危ないと思い、下降ルートで降りることに。
しかし嫌な予感は当たり、いきなりルートどりを誤って全く違う方向へ降りてしまい、
ハカセは完全な空中で途方に暮れて60m以上の登り返し、
こちらは強風が吹きつけるテラスで震えて、「このまま朝を待つのは無理だ!」と確信。
すがる思いでネット検索してみると、壁に向かって右下のガリーへ入るということが分かり、
そちらに降りなおしてみると、ずっとボルトアンカーが続いていた。
しかしそれでも、夜の闇の中ひたすら長いラペルを繰り返すのは、応えるものがある。
とにかく無事地面に降り立って、分かりにくいアプローチを歩いて戻り、
迎えに来てくれたBW氏と合流したのは、日付が変わるころだった。
下にはYosemite Villageの灯りが見えているが、ここから長かった。

クライミングの充実度はものすごく高かったが、ルートとしては敗退。そしてとても恐ろしい思いをした1日だった。
もはや魂が抜けかけの二人

10/28(土) レスト
起きると、体が痛かった。
ワイドとスクイズの連続は、股関節周りに効いていた。
ゆっくりと起き出し、車の給油等のためにEl Portalへ。
それから公園内に戻り、ギアショップ、スーパーなどを回って、Camp4で水を汲んだ。
夕方、El Capの前を通ると、the Earの辺りにホールバッグがぶら下がっているのが見えた。
大和撫子パーティが奮闘していたらしい。地面から視線でエールを送るしかなかった。

10/29(日) レスト
体の痛みはもうほぼなかった。
大和撫子たちは、昨夜どうにかAlcoveに上がってビバークしたようだった。一安心。
買い物がてら、この日はSonoraの街へ出かけた。
Walmartなどがあり、今回のキャンプ場からならMariposaなどよりも近いので、今後利用したいところ。
翌日の昼間に、Swan Slabでフィックスを張ってBW氏の足首の状態を確かめ、次の日に再度ゴーアップすることになった。
このバーガーのセットだけで2000円以上するが、円安だとかを気にしてはいけない。

10/30(月) レスト→Swan Slab
朝イチで公園へ行って、パーミッションを出して、買い物とシャワー、洗濯。
それからSwan SlabでBW氏の足首がどれだけ動かせるか様子見。
Camp4ではノミカシペアや、倉上さんらと会って話もした。
Swan Slabでユマールしてみた感じ、一先ずは大丈夫そうだったので、
予定どおり3人そろってゴーアップすることになった。
昼食はCamp4向かいのYosemite Lodgeのフードコートに行ってみた。
が、ここは高い割に味はそれほど良くなかったので、もういいかな、という感じ。
帰り道、またEl Capの前を通りかかって見上げると、El Cap Spireの上あたりに大和撫子たちらしき姿が見えた。

仕切り直しに6日かかってしまったが、明日から改めて壁に入る。
昨年から数えて三度目の正直となるか。
回数のことはもうどうでもよいので、この壁を登り切ることをできる限り前向きに、カジュアルな心持ちで叶えたい。

10/31(火) Freeblast
2時起き、3時前発。4:30頃に取り付いた。
月明かりの下、冷え込みも緩み、手が悴まないくらいで快適に登り始めた。
2P目まで登ったところで便意が我慢できなくなり、ロープにぶら下がって袋にするという得難い経験もした。
が、この袋に小さい穴が開いて...結果は小々の惨事。OMG。
さて気を取り直して、と思ったところで、下のピッチのビレイ点でクラックに流れ込んだスタティックロープがスタック。
回収を試みたハカセの奮闘も空しく、ロープを切ることになった。
荷揚げ用のスタティックロープの長さが足りなくなるのは致命的に思えた。
狭いビレイ点では残ったロープの長さを確認することもできず、一度撤収することにした。
地面に戻ったのは、核心のスラブに日が当たり始めるよりも前だった。
それからギアショップに行ってみたものの、売っているのは60mのみ。
その後あちこちで調べてみて、どうやらFreeriderは60mあれば足りそうだ、ということが分かった。
残ったスタティックロープを手持ちの70mロープと比較してみて、おおよその長さを把握し、これで行くことにした。
あとはキャンプ場で暇な午後を過ごした。

焦ろうが苛立とうが結果は変わらないので、努めて前向きでいたいが、
Heart Ledgeのデポ品がネズミやカラスに荒らされているという情報を日本人パーティからもらったり、
来週には一度ストームが来そうだとかいうことを見聞きしたりすると、
どうにも気持ちがぐらつきそうになる。
この1年間は、いったい何だったのか、と。
しかしBW氏は着いて早々に捻挫をして、その後はユマールしか出来ていない。
登った量で言えば、ハカセも自分と大差ない。
後がなくなっているのは皆同じだった。
細かいミスで思うように進まないことにやりきれなさを感じるが、それは誰のせいでもない。
上を向いて、もう一度向かうしかない。


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