2023年12月25日月曜日

Yosemite23 その③

 11/1(水) Freerider day1
夜明け前、4時過ぎに取りつきに着いて、同日にゴーアップするノミカシペアのすぐ後ろで登りだした。
前の2人について行くつもりだったけれど、こちらは3人。当然すぐに差が開く。
前日と変わらず、前半が僕、後半がハカセの担当。
まず核心になる4P目(5.11bc)のスラブを、日が当たり始める直前に首尾よく抜けた。
1年前に登っているので当然と言えば当然、しかし落ちられないプレッシャーはむしろ今年の方が高かった気がする。

そのまま5P目(5.11a)も無事に登って、Triangle ledgeでハカセにバトンタッチした。
ハカセはもちろんすべてOSトライなので、かなり迷いつつもノーフォールで越えていった。
ハカセ on Half Dollar

実際やってみるとなかなか恐ろしいらしいダウンクライムを終え、Heart Ledgeに到着。
心配していたデポ品は、僕の行動食が食い荒らされたのみで、とりあえずはなんとかなりそうだった。

カメラを向けられてニカニカしたら、「どこかの駐屯地に居そう」と言われた

Heart Ledge上の11cは僕がリード。日に焼かれた岩が相当暑くて焦ったけれど、落ちずに越えた。
1ピッチ分荷上げをして、最後に次のピッチにロープをフィックスして、Lung Ledgeで泊。

11/2(木) Freerider day2
朝イチ、薄明るくなる中で荷上げ。この日はハカセのHollow Flakeからスタート。
1年前、相当気合を入れておっかなびっくり登ったなぁ、と思い出しつつ応援。
ハカセは1度落ちた後、すぐに登り返してきて、2回目のトライでRPしていった。


そこからのトラバースを含む荷揚げで相当に時間を食ってしまった。
そこからのMonster Offwidth手前までのピッチはすべて僕がリード。
グレードは易しいピッチが続いたものの、荷上げの遅さに加えて、
ロープの短さによってピッチを切る位置を迷ったり、ラインを間違えてクライムダウンするなどが重なる。
最終的に、Monster Offwidthの手前までで日没。
Monsterを担当することになっていたハカセが、暗闇でこれをリードする自信はない、とのことなので、
大きな荷物は上の支点に残して1ピッチ下降、名前もない狭いレッジで泊まることに。
この日ばかりは、ポータレッジを持ち上げていて助かった。

11/3(金) Freerider day3
長いFreeriderの中で、一番初めに日が当たるのが、実はMonster Offwidthだった。
前日張ったフィックスを登り返し、朝日が当たる中、ハカセがMonsterに挑む。
が、前日荷物を背負って散々ユマールし、荷上げの手伝いまでしてくれたからか、お疲れの模様。
4トライするも、本題のワイドに入り込むことは叶わず、バトンタッチとなった。

正直、自分にMonsterが回ってくるとは思っていなかったけれど、
「これがリードできなくては、自分にこの先はない!」と強引に奮い立たせてリード。
全力で力んで10センチほどしかずり上がれないわけだが、「心を折るな」とだけ念じて、ひたすら藻掻き、
なんとか中間にあるアンカーまでたどり着いてピッチを切った。
途中の小レッジに30分くらい留まって休んだ気がする。

相変わらず重い荷上げをこなし、Monster後半は再びハカセに交代。
2トライでテン山になりつつ抜けていった。
後半もあの苦しいサイズのオフウィズスが続くのかと思うと、少し気が遠くなった。

Monsterを完全に抜けて荷上げも終えた頃には、スタートからなんと8時間が過ぎていた。
そしてハカセがもう1ピッチ登ってAlcove、さらに僕が1ピッチ伸ばしてEl Cap Spireに這い上がった。
最後の荷上げを終えて夕飯を食べつつ、天気予報をチェック。
2日後に雨が降る、との予報が出ていた。
今の自分たちのスピードでトップまで抜けるのは無理だと判断し、敗退を決めた。
トミー・コールドウェルはEl Cap Spireがお気に入りのビバーク地なのだそうだが、
真っ平なテラスから見上げる星空を楽しむほどの気持ちの余裕は、正直なところ無かった。

11/4(土) Freerider day4
ゆっくりと起き出し、荷物をパッキングしなおしてラペルを開始。
荷物が多いので、1人目と2人目の間でホールバッグをひとつ吊り下ろす作業が入った。
僕は70Lのホールバッグを腰から下げていった。
流石にこれだけ重さが加わると、長年使っているセミオートロックの下降器も、制動が弱くなって恐ろしかった。
SpireからHollow Flake Ledgeまで5ピッチ。この日も変わらず日差しが強く、暑かった。Hollow Flake Ledgeからは、真下に上がってくるBarmuda Duneのラインを下降。
初見で、行き先が見えず怖かったが、BW氏が先陣を切ってラインを探し出してくれたおかげで助かった。

実際、ラインさえ分かればほぼ直線で、Heart Ledge方面に降りるよりもスムーズだった。
Hollow Flake Ledgeから5ピッチで地面に降り立った。
壁の下でしばし呆然として、それから荷物をまとめ、車に戻り、キャンプへと帰った。


11/5(日) レスト、ベースを移す
キャンプを撤収し、Camp4に引っ越した。
午前中は使用したギアの整理と、荷上げしたけれど不要だったものの仕分けに充てた。
結果、すべて合わせて30キロ近いと思われる無駄があったことが分かった。
ポータレッジを持っていくことの是非は別としても、信じられない失敗だった。
しかし、この経験とデータはこれからの宝になるとそれだけ信じて、前を向きたい。

なくてよかったと判断されたものたち(水、食料も一部ある)


11/6(月) レスト
パートナーたちが帰国してしまったあさこさんを入れて、4人でOakharstへ出かけた。
ハンバーガーを食べ、買い物と給油。

11/7(火) レスト
3人でMariposaへ出かけた。
昨年2回も行ったクライミングミュージアムへ、今年も行った。
スタッフのお姉さん(相当な長身)が「あなた、去年も来たわね!」と迎えてくれて驚いた。
展示は、何度見ても面白いし、ショップもやっぱり楽しかった。
How to Big Wallと、ブラッド・ゴブライトの伝記を買った。

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