10日の朝に車で新穂高温泉へ。雪が舞っていた。
入山して2時間は林道歩き。かすかなトレースがあったけど、だるーい歩き。
実は夏に一度だけ、滝谷の出合いまで行ったことがあるのだけど、
冬は冬で景色が違うし、「こんなところだっけか」という感じ。
穂高平の小屋のところにカモシカが一頭いて、逃げもせずじっとこっちを見ていた。
尾根の末端から取り付くと、一気に雪が浅くなって、トレースがはっきりと出た。
おかげでキックステップでさくさく登れた。
急な尾根なので、高度がどんどん上がって気持ちがいい。
取り付きから4時間くらいで2400メートルくらいまで上がり、適当な場所でテン場設営。
天気はどちらかというと悪く、西穂の方から冷たい風がゴーゴー吹いていたので、防風壁も作る。
真冬並みの寒気が入っていたらしく、厳冬期と変わりない寒さ。
夜中に防風壁の一部が崩れて一緒に行った2年生の頭に直撃したらしい。
僕は全く気付かず爆睡。鈍感でよかったー。
翌日、軽い荷物でアタックを決行。
今日登らずにいつ登るんだというくらいの快晴。
今年の春はとことん天気に恵まれますな。ありがたや。
蒲田富士を越えると、雪庇の出た細い尾根が涸沢岳に向けて伸びる。
ここは雪がまだ締まっていなくてちょっと恐ろしかった。
ここから一度下り、正面に見える壁の右側にある長いルンゼを登る。
雪崩の危険性がどれくらいか気になっていたけど、ここは問題なく通過。
あとは涸沢岳の頂上まで岩の出た尾根をひたすら歩く。
左手には凍り付いた滝谷の壁が荒々しく聳えていた。
偽ピークにちょっとがっかりさせられながらも楽しく歩いて、涸沢岳のピークを踏む。
が、ここが目的地ではないので写真もろくに撮らずに穂高岳山荘。
ここで一息ついて、いよいよ奥穂のピークを目指す。
最初の岩場は見た目はイカツイものの梯子があるおかげで通過は楽。
あとは岩の混じる尾根を慎重に進めば山頂だった。
強風でカメラが倒され、この写真を撮るのにテイク3くらいかかった
さすがに今回は無風快晴なんていうとんでもないコンディションではなかったけど、
凄くいい条件で登ることができた。
爽快爽快!
下りでは一度だけ懸垂もした
下りは早いもので、あっという間に涸沢岳を越え、ルンゼを過ぎ、リッジも通過して蒲田富士。
こんなにもすんなり進むものなのかと内心びっくり。
ベースに戻るとまだ2時。「・・・下りるか」ということになった。
さっさとテントを撤収し、持ってきた荷物の8割は担ぎ下ろすことに。
実働4日、予備2日の予定だったので、なんだかバカらしくなるけどそこは考えないことにする。
急な尾根をどんどん下り、尾根の取り付きまで1時間。速い!
大喰岳の方に行っているパーティーがいるのか、林道にトレースがあったので帰りは楽ちん。
日が沈んで寒くなってきた6時ごろ、新穂高温泉に着いた。
帰りに平湯で温泉に入っていると、雪が降ってきた。
半分強引に下山してしまったよかったかもしれない。
まさか奥穂に1泊2日で行ってこられるとは思ってもみなかった。
コンディションに助けられた。
その一言に尽きますが、2日目の行動時間とこなした高低差を考えると、ちょっと自信にもなります。
ところで、個人的には今回初めて奥穂に登りました。
実は夏にも登ったことがなかったんです。
自分がいままでどれだけ偏った山行をしてきたかよくわかりますね。
普通に(というと語弊がありますが)歩いてピークを狙うことが自分にとっては珍しいことで、
そんな山岳部員ってアリ?という感じもしますが、
そんな変人がいてもいいのかな、とも感じます。
変人は変人らしく、歩いていくピークよりもうちょっと先を見ていたいです。
そう、鳥も通わぬあの谷のようなところを。
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