2024年5月15日水曜日

GW後半戦

屏風岩から帰って、思考が若干空中浮遊しつつ3日間の平日を過ごし、再び連休に突入。
後半は4日とも瑞牆に引きこもっていた。

5/3、あさこさんと二人、「マルチピッチでも行きますか」と出かけた。
お互いに今シーズン初だったので、易しめのルートを選んで調和の幻想(5.10a 5P)を登った。
ゆっくり出ていったのに、駐車場はまだ満車ではなく、奥の方にギリギリ停められた。
で、末端壁まで行くと、誰もいない。唯一、調和の幻想に先行が1組いるだけ。
これまでずっと、いつも混んでいるという理由で末端壁を避けてきたのに、これはどういうことだ。
「なんじゃこりゃ、クライマーはどこ行った」「滅んだんかな」となる。
まあ空いているのは良いことなので、のんびり準備して登りだした。
奇数ピッチがあさこさん、偶数ピッチが僕。
序盤のピッチのクラックが多少濡れていた以外は、春の乾燥した空気の中快適に登ることができた。
5P目の長いクラックは、フォローでもなかなか登りごたえがあった。
さくさくとこの日のクライミングを終え、早めに下山。
ボルダーエリアも、人は疎らだった。うーん。

5/4、この日は久しぶりにいましさんと登った。
初めはコスモスに行こうという話だったけれど、諸事情によりショートルートに変更。
そういうことならと、カンマンボロンの風のエリアに行くことにした。
暑くなる予報だったけれど、ここは西面なので午前中は結構涼しく登れることを再確認。
Celebrating Spring(5.10c)でアップして、オリヅル(5.13c)をやってみる。
昨年、隣のA Wish(5.13b)を登ってから、ずっとトライしてみたかった。
トポに11程度と書かれているクラックを登って、ハング下で一度レスト。
ハングの先は溝状とあったけれど、実際に来て見るとフレアしたフィンガーという感じ。
ここでクラックの奥の湿気から激しくヌメって、呆気なく心が折れてテンション。
このフィンガーが細くなって閉じるあたりがなかなか曲者で、プロテクションの効きも微妙だった。
結構苦労してムーヴを解決し、閉じたクラックから少しだけランナウトして上のボルトにクリップ。
その先がルート全体の核心になるフェースになるわけで、かなり身構えつつ突っ込む。
と、フェースのセクションは各駅停車したものの、ムーヴはすべて1回で出来てしまった。
お、これはいいぞ!
ロアーダウンしながらクラックのパートのプロテクションとムーヴをもう一度確認して、いましさんに交代した。

いましさんがA Wishをトライしている間に、昼を回って壁が完全に日向になった。日差しはかなり暑い。
しかしこれ以上待っても日没までこの状態なので、2回目のトライ。
序盤のクラックはもう分かったので手早く抜けて、ハングからフィンガーに突入。
プロテクションのセットがちょっとシビアになるので緊張した。
若干のヌメりを感じつつ、半ば強引にここのセクションをねじ伏せて、ボルト下の大穴へのムーヴも止まった。
あとはもう、ヌメろうが何しようが、このトライで登るしかない。
長めにレストを入れて、フェースの核心に入ると、やはり1トライ目よりもホールドの保持感が悪い。
一番悪い一手を出すときに、握っている結晶がすっぽ抜けそうだったが、なんとか堪えた。
あとはパンプと闘いながら、終了点まで走り切った。
このグレードがこのトライ数で登れたのは初めて。そしてとても良いルートだった。
トポでは☆☆だけれど、個人的には☆☆☆でもいいと思う。
暑さも相まって、痺れるクライミングでした。

5/5、この日はあさこさんと不動沢のプロジェクトの掃除に出かけた。
不動沢も、やっぱり屏風岩が賑わっているだけで、そこを過ぎるとクライマーは皆無だった。
やっぱり滅んでしまったんだろうか。
プロジェクトは、岩の上からシャクナゲの藪を漕ぎながらトップの木まで回り込んで、フィックスを張るところから。
前に一度、大ザルと下りてみたことがあるのだけれど、今一度見てみるとかなり長さがあった。
とりあえず下まで一気にラペルして、お昼を食べつつ掃除。
2ピッチのルートになるので、まず中間のビレイ点をカムで作って、1P目から磨いた。
これがあまり良くなかったらしい。
下を済ませて2P目にユマールしていくと、ロープが鋭く突き出たダイクに当たってしまっていた。
ダイクの5メートルくらい下から見上げて、当たっている部分の外皮が完全に切れているのが目に入った。
トップからラペルしたときには、ダイクの出た部分にロープが当たらないようにおりたのだが、
1P目の掃除をしている間にロープが一度緩んで位置がずれ、尖った部分に当たってしまったらしい。
このままユマールを続けてロープがさらに擦れれば切れる。
そう感じて、「頼む、切れるなよ...」と念じながらゆっくりラペルした。
どうにか地面まで戻って一安心した。本当に危なかった。
仕方ないので泣く泣くもう一度壁の裏からトップに回り込み、ロープを手繰り上げてみると、むき出しの芯も少し毛羽立っていた。
それから2P目を半分くらい掃除したところでこの日は時間切れになった。
ロープの外皮が切れるトラブルがなければ掃除を終えられていたかも。勿体なかった。
皆さん、ローププロテクターを正しく使いましょう。僕は大反省です。

5/6、この日は大ザルと不動沢へ。
未来の舞(5.11d 3P)の支点が昨年すべて新しくなったので、下から全ピッチ登ろうということで行った。
トライアングルフェースの下に着いて荷物を広げていると、あれ、ハーネスがない。
仕方なく車までダッシュで取りに戻った。
が、結局車にも僕のハーネスはなく、大ザルが予備で持ってきてあったハーネスを借りた。
さて未来の舞は、以前1P目だけ何度か登ったことがあった。
それもしばらく前のことなので、核心がかなり苦しかったこと以外ろくに覚えていない。
ゆっくりゆっくり登っていくと、核心の手前からそこそこ悪く感じた。
あれ、ここもこんなに難しかったっけ。
そして入った核心は、やっぱり厳しかった。
細かいポケットをゴリゴリ保持して、ラストのマントルもふーふー言いながら返した。
改めて登ってみると、El Capのフリーブラストの核心ピッチよりも少し悪いくらい。
そうなると、やっぱりこれは5.11dということでいいのだろう。

大ザルがフォローしてきて、2P目(5.10d)。
トポでは3ピッチのルートなのだが、3P目のビレイ点はリボルトの際になくなり、2P目でトップまで登るようになった。
このピッチが、大ザルが長いこと「あのピッチが素晴らしんだがなぁ」と話していたピッチだ。
中間に右へトラバース個所があり、下から見上げるとボルトが3本横並びに打ってあってオリオンのベルトのように見える。
ここはこんな風にボルトを打つ必要があるのか、と思ってしまうが、登ってみると納得。
たしかに3本とも必要だし、登るラインもここで合っている。
しかもちゃんとランナウトしつつ、核心になるムーヴもそれなりにピリッとしている。
核心を越えると、ご褒美と言わんばかりに棚のような特大のダイクが突き出ていた。
ハーフドームにひとりでたたずむオノルドみたいなことができそうなくらいだ(オノルディングというらしい)。
何度もマントルを返し、最後にまた少しだけドキッとする小核心があって、トップに抜けた。
このピッチは、個人的に不動沢のスラブの中でベストワンだと思う。
登っていて本当に楽しい、驚きに満ちたスラブだった。

大ザルがフォローしてきて、コズミックサーフィンとの間のルンゼから歩いて下り、取りつきに戻った。
未来の舞は大ザルと清水さんがフリー化したルートだ。
初登者のひとりと、このルートを登ることができて、贅沢な時間だったと思う。
登って感激したことを、「これは名作!」と少し早口で褒めちぎると、大ザルは少し俯いた。
「それだけ褒めてもらえると、嬉しいな」と照れているようだった。
なんとも、この人らしいなと思った。

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