2023年3月18日土曜日

Fontainebleau 23-1

前回から1か月、最近は例年の10倍とかいう花粉が飛んでいますが、その間に2週間ほどFontainebleauに行ってきました。
よくある言い方をすると、8年ぶり3回目、です。
旅のパートナーは今回もあさこさん。こちらも3回目だそうです。


2/18~19 移動日
朝に自宅を出て、車で成田へ。車を預けてバスに乗って、SIMを買ったりしていたらあっという間に搭乗。
今回はマットを現地調達する予定だったので、かなり身軽。
乗ったのはアシアナ航空で、トランジットは当然インチョン。しかも15時間。
が、このインチョン国際空港、とにかく快適。
無料のシャワーがあり、程よく暗いごろ寝スペースがあり、wifiもさくさく。
コロナの影響か、飲食店がやけに少ないことを覗けば、時間のわりにえらく楽チンな乗り換えだった。
翌朝の便に乗り、14時間近いフライトでシャルルドゴールに着いたのは夕暮れの後。
空港からはRoissy Bus(ロワシーバス)というのに乗り、パリ市外へ。
このバス、空港からパリ中心地のオペラ前まで直通で40分くらいなのだけれど、
バス停で待っていてもいつ来るのか誰にも分からないし、乗ったら乗ったで超満員であまり快適ではなかった。
オペラ前からメトロに乗ってリヨン駅、そこで乗り換えてフォンテーヌブロー・アヴォン駅を目指す。
が、ひとつ手前の駅で何やら乗っていた若者が喧嘩を始めたらしく、鉄道警察まで呼ばれて一時騒然。
結局30分以上電車が止まり、アヴォン駅に着いたのは23時近くだった。
駅に着くと、あさこさんの友だちのセフリンが迎えてきてくれた。これから2週間お世話になります。
セフリンのアパートに案内してもらって、簡単に荷物を整理して就寝。

2/20  Franchard Isatis & Cuisiniere
フランスは日本よりも少し日の出が遅く、その分日没も少し遅い。
8時くらいに起きると、セフリンのパパのエチェンがパンを片手にやってきていた。お世話になります。
あさこさんがフォンテーヌブローに住むこの一家とずっと付き合いがあり、今回のツアーは最初から最後まで、なにからなにまでお世話になった。滞在はもちろんマットもずっと貸してくれた。
ちなみにセフリンは結婚して実家を出てアパートを借りて住んでいるけれど、実家までは歩いてすぐ、という。こういうのもいいですよね。
買ってきてくれたパンは実家のすぐ近くで、セフリン曰く「この町でいちばん美味しいお店」とのこと。
それなら毎日でも行きたかったけれど、生憎21日からしばらく休みに入るらしい。残念。

この日はエチェンの車に乗せてもらってFranchardへ行った。懐かしいぞ!
駐車場から近いIsatisのPlan1で、サーキットの課題をあれこれ登ってアップ。
この季節にしては気温が高く、かなり湿度が高かったけれど、これでもう楽しい。
アップの仕上げにとトライしたLittle Karma(7a+)は結構はまってギリギリ登った。
Coup de Pompe 6a

ちょっと奥に移動して7aくらいまで登り、Angle Bens(7a+)も危なっかしくリピートして、さらに奥のCuisiniereへ移動。
ブローに来たら必ず1回はトライするようにしているKarmaに挨拶しに行った。
8年ぶりにトライして何か違ったものを感じるか、という期待も空しく、右手の距離が伸びない。
足は滑るし、取りに行くスローパーは悪いし、ほとんど見えないし。これではまるで変わらん。
なんとか8年前と同じくらいの距離を稼げたところで、この日のトライは終わりにした。

セフリン邸に帰ると、セフリンがウェルカムディナーを作ってくれた。
そういえば、フランスはチーズ大国だということをすっかり忘れていた。
作ってくれた料理の名前がどうしても覚えられなかったのだけれど、とにかく美味しかった。

2/21  Rocher d'Avon
レンタルサイクルを借りる予定だったけれど、翌日の予報が雨なので、その分が勿体ないということで歩いて行けるRocher d'Avonに行くことに。
アヴォンの住宅地をマットを背負ってぶらぶら歩き、途中パン屋によってお昼ご飯を調達。
パン屋に寄ってから岩に行くのが、この後だんだんと定番になっていく。
セフリン邸から1時間弱で、エリアに到着。ここには8年前きょーやくんと来たことがある。
エリアを一通り見て回って、日当たりのいい当たりでゆっくり登った。
la Diagonale 6a+

この辺りで7aまで登り、あさこさんのスポットなどして、日が傾いてきた頃に本命のCalamity Jame(7b+)にトライ。
かなり高めのスラブフェースで、ブローによくあるうすーいカチが連続する。
指にきそうなので長期戦に持ち込むと大変そう、ということでOSを狙ったけれど、上部でスリップして落ちた。結構滞空時間があった。
それでおおよそ感覚は分かったので、2回目はもう少し安定して前半をこなし、上部もプルプルしつつ押し切って登れた。
この課題はトポ7+8で「ブローを代表する課題」という評価の★がついていた。うん、たしかに良い課題だった。ひたすら指が痛かったけど。
真ん中を登るのがCalamity Jane

この日は早めに撤収して、フォンテーヌブローの町で買い物をして帰った。

2/22  レスト Paris
雨、ということで電車でパリに出かけた。
パリに着いてみると、雨は大したことなく、十分に歩いて回れる天気だった。
思えば10年前、初めてのブローツアーでは結局一度もパリ観光はしなかった。
8年前は、半日くらいひとりでぶらぶら回ってみたけれどノートルダムくらいしか見ていない。
大人になったものだなぁ。
リヨン駅からノートルダム方面へ向けてセーヌ川沿いを歩き、オルセー美術館に行ってみた。
が、ここがものすごい人で、当日券は何時間も待たないと買えそうになかったので諦めた。
残念だったけれど、第2候補のオランジェリー美術館へ。
こちらは比較的規模が小さく、混雑もそれほどでなくて助かった。
ここにはモネの『睡蓮』をはじめ、ポストモダン派の作品が展示されている、とのこと。
美術に造詣が深い人間ではないけれど、『睡蓮』はとても大きく、なにかしみじみと感じるものがあった。
それからはアウトドアショップAu Vieux Campeurへ行ってトポを買い、あちこちの店を見て回って夕方まで楽しんだ。

リヨン駅

フォンテーヌブローに帰ってから、セフリンの一家と食事に出かけた。
ママのマチルダと、妹のオリビアにはここで初めて会った。
「エネルギーの塊だからね」とセフリンが言っていたとおり、元気ハツラツを絵に描いたような人たちだった。
明るく愉快な一家と、本場のチーズフォンデュをいただいた。

2/23  Mont Ussy
雨は上がったけれど、曇天模様。岩が乾いているか微妙なのでゆっくり出発。
とりあえず、マウンテンバイクが借りられるらしい街中の自転車屋へ行くことに。
ここで詳しく話を聞いて、1日15ユーロで借りられることが分かった。
レンタルには身分証が必要、とのことだったので翌日から借りることにして、この日は歩いて行けるエリアに切り替えた。
自転車屋から歩いて30分くらいのところにあるMont Ussyというエリアが良さそうなので行ってみる。
街を行くぬりかべ

Mont Ussyは街のすぐ裏にある比較的小さなエリアで、驚いたことに岩は結構乾いていた。
易しい課題でアップして、穴ぼこだらけのSous Vent(6a)を登り、あさこさんの応援。
Sous Vent 6a

あさこさんがSous Ventを登ったので、少し難しいのもやりたいと、すぐ裏のl'Etre Have(7c)をやってみた。
キノコのような前傾カンテで、ホールドがはっきりしているのでしっかり狙ってみたら、OSできた。
呆気なくできてしまったけれど、一応ブローでのOSグレードを更新したらしい。
ともかく、これも良い課題だった。SDの7c+はスタート付近がびしょ濡れだったのでやめた。
あとは易しい課題を数本登って終了。
帰り道、駅の近くのカルフールに寄ったら、店内でマットを背負っているクライマーがいた。僕にその度胸は、ない。

2/24 Apremont
パスポートを携え、朝一で自転車屋へ。
と、街の広場でマルシェが開かれていた。フォンテーヌブローのマルシェは火・金・日らしい。
チーズ屋さんや!

しばらくマルシェを見学。マカロンが美味しそうだったのでいくつか買った。
マカロン屋のおじさんはフランス語しか話さなかったけれど、1つおまけで入れてくれた。

自転車をレンタルし、この日はApremontへ行ってみた。
Franchard、Cuvierと並ぶ、ブローで最大のエリアのひとつだと思うが、
1回目、2回目とここは見に行っただけで、登ることなく帰ってしまった。
細かいエリアがあちこち分かれていてややこしい。
自転車でそれらしいところまで行って、近くにあったApremont Portes du Desertというところで登ることに。
エリアで行き会ったローカルっぽいお兄さんが連れていた犬が、あまりフレンドリーな子ではなく、めちゃくちゃ吠えられた。犬好きとしては、悲しい。
アップで6台を数本登り、7aも一本加えて、Elementary(7c+)をやってみた。
いかにもブローらしいサラサラのスローパーを叩き続ける課題。指の皮が減らなくていい。
核心のムーヴがかなり遠く感じたものの、フットワークでなんとか誤魔化して登れた。
Elementary 7c+

到着が遅く、これでそこそこいい時間だったので、Apremont Enversに移動。
有名なl'Apparemment(8a)に行ったら、スイスの代表チームがいたけれど、すぐに帰ってしまった。
とりあえず近くにあってイカす見た目のla Fissure de l'Envers(6c+)を登っておいた。
la Fissure de l'Envers 6c+

で、本題のl'Apparemmentをやってみたものの、これが全くできなかった。
トポには「リーチが必要」という意味のmorphoの表記があるのだけれど、問題はそこではない気がする。
カンテのフックは十分にかかっているし、単にスローパーや微妙なエッジが十分に持てていないだけのような。
どんよりした寒い日だったけれど、まだ湿度が下がっていないのかな、ということで諦めた。無念。
l'Apparemment 8a

自転車屋の営業時間が7時までだったので、暗くなる前に撤収。
フォンテーヌブローの街の北東にある大きな交差点が一番高いらしく、そこまで上ればあとは下り坂だった。

2023年2月15日水曜日

南岸低気圧と白川

年始の投稿からずいぶん経ちました。
1月から2月の初めにかけては、どうにも天気やタイミングが合わず、あまり岩では登れなかった。
城ケ崎に行ってみたけれど週末が2日とも雨で帰ったりとか。
恵那に行ってみたけれどエリアが雪の下だったりとか。
そんな中、年末に登りそびれた野猿谷の百日紅(三段)だけは回収。
繊細なバランスでマントルを八割五分返したところで、足がすっぽ抜けて吹っ飛ばされたりしたものの、
その次のトライできちんと修正して返し切った。
ここ半年くらいで登った課題の中では断トツで面白かった。
爪先でホールドを捕らえるときに、エントリーの仕方にも気を配るべきだということも学んだ。

祝日が土曜日に重なって3連休になり損ねたこの週末は、長野県チームと白川に行った。
前日に南岸低気圧が襲来して、太平洋側はどこも大雪、交通網もあちこちで麻痺。
当然、前泊するどころではなく、当日も集合時間をかなり遅らせてのスタートとなった。
中央道もずっと通行止めなので、ひたすら下道で移動して、エリアに着いたのは15時前。
日が当たって乾いていそうなミューズエリアに行ってみる。
結構コンパクトにまとまっているエリアだった。
アップでやった3級が思ったよりも悪く、全員苦戦。敗退した者がいたとか、いなかったとか。
あとでトポを確認したら、スタートホールドが違っていたので、多分違うラインになったのだろう。
それから汗をかく案山子(1級)やドロシー(初段)でセッション。


ほどほどに皆登ったところで、すぐ下の暖色(1級)が見るからにポップで面白そうなのでやってみた。
メンバー5人でOS権をかけてじゃんけんして、年始の死闘に続きここでも勝てず一番最後になった。
前の4人分のムーヴを見たので落ちることは許されず、妙な緊張感の中きっちりFLした。


岩から下りたところで濡れた苔で滑って転び、膝を強打。
更にその10秒後にダメ押しにもう一度転んで同じところをまた強打。
ちょっとげんなりするくらいに腫れたので、この日のクライミングは終了してカメラマンに専念した。
全員めでたく暖色を登ったところでちょうど暗くなったので撤収。
この日は美濃加茂市街でホテルで1泊。
真夜中まで大富豪をやって、体だけでなく頭にまで追い込みをかける徹底ぶり。
これが合宿である。

日曜日、エリアに向かうと、どうも夜の間に雨が降ったらしくあちこちびしょ濡れ。
ピアチェーレエリアに行って、乾きを待ちつつ登ることに。
やってみたかったアカシャグマとかアンタゴニストの岩は結局丸一日乾かず。残念。
アップを済ませて、お嬢ことRyoちゃんが選んだゴールデンバット(二段)でセッション開始。



ティーンエイジャーコンビのトキが一抜け。最後のマントル周辺の現場処理はもはや熟練の技だった。
これに続いて全員もれなく登って満足。あまり人気がないようだけれど、これは良い課題。
近くに手ごろなサイズの同グレードがたくさんあるので致し方ない気もするけれど、
やっぱり岩の存在感がある課題は登って得られる充実感が違う、と言いたいところ。

次にすぐ下流の課題たくさん岩で各自課題をトライ。
大人チームはジオス(二段)をかなり頑張ったものの、誰も登れず。
キーとなるホールドがずっと染み出しているのか果てしなくヌメり、ムーヴはバラせたものの繋がらず。
これはできなかったムーヴ

ティーンチームはレッドオクトーバー(二段)やアリダバ(三段)を登っていた。

大富豪のやりすぎで寝不足な人もいた

最後に、絶壁(初段)とツルツルリ(二段)の岩へ。
絶壁はホールドが濡れていてもかなり易しく感じた。全員危なげなく一撃。
ツルツルリも、トキといまし監督が一撃、残された僕らも登って、
最後は微細な技でリーチを120%に伸ばしたお嬢が華麗に登って優勝をきめた。
ツルツルリ

2日間、というか1日半みっちり登って楽しかった。
初めてのエリアは頭を空っぽにして楽しめるのがいい。強打した膝はまだ痛いけど。
それとは別に、時間の流れというものをなんとなく感じた。
「長野県チーム」ないし「チーム長野」という呼称がなんとなく生まれて、15年くらいになる。
当時、僕は高校生だった。
そして当時から、主に国体を見据えた錬成ということで誘い合わせて、岩に出かけていた。
どんどんと時代は流れ、技術は進歩して、今のコンペシーンで求められるものは岩場のそれとはかけ離れている。
そのことは僕だけでなく、相当に多くのクライマーが感じていることだろう。
ただ、それは岩を登らない理由にはならないのだと思っている。

10年前、僕は錬成に誘われて行く側だった。
今年、僕は錬成を企画して誘う側になった。
自分が年を取ろうが、立場が変わろうが、10年前から続くものを大事にしたい。
南岸低気圧が来て、自分が登れないことよりもこの錬成の企画自体が頓挫するかもしれないことにヤキモキしていた僕の気持ちは、
それはそれでひとつ、意味のある変化だったのかもしれない、と思う。


2023年1月16日月曜日

年末年始 その2

1/5 大堂海岸 さいはてエリア
この日は前日よりも早起きして、念願のさいはてエリア、シークレットエージェントマン(5.11a)。
ここ数日風が強く吹いていたが、この日の朝は穏やかで、磯に下りても快適だった。

あさこさんは過去にトライしたことがあるので、先にOSトライさせてもらった。感謝。
連登しているとはいえ、アップなしでやったからか、下部のフィストからもうぷるぷる。
要所要所で休めるので助かったけれど、核心のフィンガーは長く苦しかった。
そこを堪えて中間の大スタンスに上がれば、あとは爽快なクライミングが待っていた。
取り付きから壁のトップまでで実に65メートルほど。シングルピッチとしては個人史上最長。
そして当然、11aの充実感ではなかった。2セット持って行ったカムもほぼ使い切った。
その後もう一度下降してリードを交代、あさこさんも無事に宿題回収。
シークレットエージェントマン

フォローで再度登ったけれど、これも相当にしんどかった。
2人でこんなにもいいルートが登れて感無量。今年もいい年になりそうだ。
終わった時間が早かったので、宿毛まで温泉に入りに行き、夜は炊き立てのご飯と新鮮な刺身。
山田鮮魚店さんが粋な計らいで、盛り合わせとは別にウツボをつけてくれた。最高です。
うまいがな

一期一会鍋、その3『カメノテとすり身の鍋』

1/6 大堂海岸 海亀エリア
この日は海亀エリアに行ってみた。さいはてエリアから目の前に見える、あの目立つルーフのあるところだ。

4連登目で体にもきているが、まずはアニサキス(5.10d)から。
この日もまたあさこさんとのOSじゃんけんに負けた。あさこさんが強いのか、僕が弱いのか。
あさこさんはOS、僕も手堅くFL。
これもスケールは40mあるが、なんだか40mでは驚かなくなってきた。怖い。
アニサキス

続いて今回の旅のメインのひとつである、白鯨(5.13-)。
長さはないものの、見るからに悪そうなルーフクラック。
テルくんが2回で初登してみせたという話も印象的。いや、仕事が速すぎますって。
実際僕はそんなにスピーディーには解決できず、ムーヴがバラせずに時間切れ。
いじわるな形状、かつサイズのクラックでジャムがいまいち使えない。
過去に何人かがトライして登られなかったわけだ。
最後にもう1本、無名の5.9をリード&フォローで登り、撤収。
ここでもまたじゃんけんに負け、自分の弱さが決定づけられた。思わず、海に向けて叫んだ。

一期一会鍋、その4『ブリと小夏の塩鍋』←今回のベスト

1/7 大堂海岸 ハーバーエリア
予報では風が強く曇り空、とのことだったが、どうも回復してきそうだったのでハーバーエリアへ。

今回のツアーのメインのもうひとつ、大ルーフ(5.11c)とそのダイレクト(5.13a)がここにある。
すぐ右にある簡単なコーナー(5.8くらい)を登ってから、大ルーフにトライ。
5.11cのパートはOSでき、そのままダイレクトに突入しようとしたもののパンプが抜けず、あっさり挫けた。
ハングドッグしてムーヴを探ったものの正解は出せず、一度下りた。
これはダメかなと思い、トップロープでムーヴを探ることも考えたけれど、
このルートはハンドサイズ以上のカムが固め取りでき、墜落距離もそれほど長くない。
冷静に考えればリスクの少ないルートなので、「トライはあくまで下から、抜けられなければそれまで」ということに決めた。
2回目のトライは11cのパートを省エネで抜け、腹を括って1回目は試せなかったムーヴに入ってみると、これがハマった。
最後の数手を慎重にこなしてリップを取り、登ることができた。
ムーヴが分かれば12台後半にも感じる。オリジナルのパートは2級か1級くらいだろう。
それにしても、上から探らなくてよかったと思う。
惜しむらくは、テルくんが登っている写真を見てライン取りのヒントを得てしまったことか。
あさこさんも宿題だった大ルーフを登り、よい1日になった。
しかし荷物を拾おうと屈んだときにビキッときて、それから背中と腰が痛くなってしまった。
1500円で5種盛り(右上がなんとコバンザメ)

一期一会鍋、その5『カメノテとグレの味噌煮込み』

1/8 大堂海岸 レスト
クライミング最終日のはずだったのに、前日に出た背中から腰にかけての痛みが酷くなり、登りに行けず。
あさこさんには知人パーティーと一緒に登りに行ってもらい、僕はテントで不貞寝。
半日寝たら少し良くなったので、道の駅で売っていた「ひがしやま」(干し芋の親戚)を買ったりしてまったりと過ごした。
一期一会鍋、その6『ブリあらの味噌鍋(マロニー大量)』

『土佐大月のおいしい骨元気』...妙な日本語だが、たしかに美味しい

1/9 移動日
朝イチでキャンプ場を撤収して、丸一日かけて家に帰った。
瀬戸大橋を渡ったところで既に正午過ぎ。やっぱり四国は思っているよりも大きかった。
西への旅の定番となっている、大津SAの551にもちゃんと寄って、肉まんを食べた。
旅の最後はこれがないと締まらないのです。
レンズが油で汚れました

年末年始 その1

もう半月経ちましたが、皆さん明けましておめでとうございます。
SNS全盛の時代に逆行するかのようなこのブログですが、今年も変わらず書いていきますのでよろしくお願いします。

年末年始は珍しく実家に帰省したりしつつ、高知へも出かけた。
何回かに分けて書きます。

12/29 野猿谷
この日はなんとか滑り込みで登り納めにでかけた。今回はマットを忘れなかった。
いつも同じあたりでは面白くない、というか限界があるので、エリア7でアップ。
初登以来触られた様子のないイルミネーションゴーストとかを見て回り、結局下の方で登った。
不気味の谷(初段)は登ったけれど、隣の渓谷熱(1級)はスタートホールドがぐらついていたのでケガをする前にやめておいた。
リップの際に張り付いているフレークがもげそう

年内にひとつでも宿題を片付けたかったので、寄り道はせずに猿猴捉月図へ。
軽く掃除をして、今回は1回目のトライで登れた。
登れてしまうとあっけない気もするけれど、かなり頑張った。頑張ったはず。
その後は百日紅(三段)もトライして、リップまでは繋がるようになったのに、
結局は単身トライしている中で核心のマントルを返す根性が足りず、また宿題に。
エクトロメリア(二段)、キュリアスジョージ(三段)も少しだけ触って「???」となり、
最後はice9(初段)を気持ちよく登って終わりにした。

12/30~1/1 実家で年越し

撮るんじゃねーよ、という顔

1/2 高知へ移動
実家から丸一日走って、大堂海岸へ。
毎度のことだけれど、四国に入ってからがとにかく長い。
道中、ダイナマイト四国というキャラクターの存在を知った。

1/3 大堂海岸 東のエリア
前日キャンプ場でマルボー師匠に情報をもらい、この日は東のエリアに行ってみた。
数年前にできた崩壊地によって「黒い悦び」と「柿羊羹」のふたつに分断されている。
今回は「柿羊羹」のエリアで登った。
四国の道から分かれて急坂を下っていくと壁の上、そしてブッシュからロープを張ってラペルで取り付きへ。
このアプローチにもさすがに慣れた。


最初にトライした柿羊羹(5.10a)は、OSじゃんけんに勝ったあさこさんに続いてFL。
5.10aとは思えない細さ。#0.2以下のプロテクションを多用する10aとは如何に。
実際クライミングの内容も難しく、10bはあるように感じた。
柿羊羹

続いて壁の右端にある夢幻の壁(5.11a)。
40mある贅沢なルートで、こちらはフィンガーサイズが主体、ムーヴはフェースらしいものが多かった。
ジャムももちろんするけれど、手足ともに先端にビリビリと刺激が来る。この感じが懐かしかった。
時間をかけてこれもOSできた。あさこさんもFL。
これをグラウンドアップ、しかもOSで初登した師匠が羨ましい。
とにかく、満足のいく初登りだった。
夢幻の壁

一期一会鍋、その1『ブリあらの味噌バター鍋』

おなじみ山田鮮魚店さんの刺身盛り合わせ


1/4 大堂海岸 洞窟エリア
さいはてエリアに行こうかと考えていたけれど、山田鮮魚店が閉まる18:00までに帰ってこられそうにないので、
この日は割と近い場所にある(ように見えた)洞窟エリアに行ってみることにした。
実際、地形の上では他よりも駐車場寄りにあるわけだけれど、
アプローチしてみるとかかった時間はそれほど変わらなかった。
四国の道に入ってすぐ、看板のあるところで海へ向けて明瞭な踏み跡を下り、入り江の一番奥に出てから海岸を東へ。
岸良を思い出すようなかっちょいいボルダーがゴロゴロしているところを越えていくと、
この日の目当てである、さあかすのざう(5.11c)のルーフが見えてきた。
さあかすのざう

エリアに着いて、迫力のある5.8のチムニーでアップ。
あさこさん曰く「日本の5.9以下百選に入る」とのこと。登った充実感はたしかにそれだった。
本題のさあかすのざうは、出だしでかなり行きつ戻りつした。
プロテクションは良いものの、地面が近いので結構怖い。
ここはクラックの形状をよく観察して仕切りなおしたら越えられた。
ジリジリとフットホールドのない天井レイバックで進み、カムのセットもほぼブラインド。
おまけに出口付近で入れようとしたカムがスカスカ。あれ、思ったよりも太かった。
この辺りが核心で、心が折れかけたけれど、コンマ数秒で奮い立たせてギリギリルーフを抜けた。
あとはそこそこ快適なジャムで登ってなんとかOS。いやはや危なかった。
精神面の研ぎが足りていないけれど、この成果は嬉しかった。
杉野さんやりましたよ。
やわらかい餅をスパサで切る

青、青、赤

一期一会鍋、その2『キントキの味噌鍋』

2022年12月26日月曜日

師走

今月に入ってからは、寒波に震えつつひっそりとボルダーに通っている。
ツアーが終わって一月経ち、やっと体の調子も戻ってきたように感じる。
直近で何か大きな目標があるわけではないけれど、調子が上がらないと気分も良くないので、鍛え直していかないと。

12/3、今年最後の瑞牆。
まだ体の調子は微妙だったけれど、リョウマくんが登ったHOLOS(三段)をやりに行った。
近くにある二段をリピートしてアップ。体は重いけれど、なんとか登れた。
本題のHOLOSは、スタートがいきなり悪い。
左のでかいアンダー両手だと浮けないので、右下のアンダーカチとセパレートでやったらスタートできたので続行。
このスタートでは1時間くらいトライして登れた。
が、後ほど確認したらやはりスタートは左のアンダー両手だったので、やりなおし。
必死で離陸→着地を高速で繰り返し、何とか1手目を出すくらいはできた。
課題の内容は、意外と数が少ない瑞牆の三段の中でも屈指のものだと思う。

12/4、今シーズン初の野猿谷。
以前からこっそり気になっていた、猿猴捉月図(二段)をやりに行ってみた。
アップでエリア5の日当たりがいいところの課題をパラパラと登った。
なんだか遠山川の課題を思い出すような水の川(初段)も登った。
本題の猿猴...は、見るからに核心っぽかった前半は案外早くできたものの、
この課題の本当の核心は明らかに後半のスラブ。
ホールドもフットホールドも割と明瞭にあるのに、これができない。
かなり頑張ったけれど、結局スラブを這い上がれなかった。
その後はエリア4→3へと下り、モンキーシャドウ(二段)、サル伝説SD(二段)を登った。
見た目には1級なさそうなサンシャインスーパーマン(初段)には完全に敗退。宿題か...
最後に猿人サークル(1級)をぷるぷるしながら登って帰った。

12/18、久しぶりにSSKでボルダー。大ザルもやってきた。
本当は野猿谷に行きたかったけれど、前日の雪をうけて「これは無理」とSSKにした。
行ってみると、雪はないもののSSKでも十分すぎるくらいに寒い。
日陰では登れる気がしなかったので、日当たりのいいパスウェイの岩へ。
この岩でまだ登っていなかった48(二段)と近くのたきちハング(初/二段)を登った。
やるものがなくなったので、少し戻って大ザルをシャークティースの周辺に案内。
ついでに、前に来た時に気づいて気になったシャークティース左の課題も登った。
両手アンダーからリップにドーン、あとはマントル。
マントルを返すところでホールドに土が詰まっていて危なかった。
帰ってから確認したところ、早春賦(二段)とのことだった。

12/24、クリスマスイブでも構わず野猿谷へ。やっぱり寒波で寒かった。
最近ブログに載せる写真を全く撮っていないことに今更気づき、登った岩の写真はできるだけ撮ることにした。
駐車場でばったり会った知人を案内してエリア9まで上がり、日当たりを求めてエリアの上の方へ。
この辺りの課題はやったことがなかったので、ちょうどよかった。
気温はかなり低いけれど、風さえなければそこそこ快適に登れた。
アップで数本易しい課題を登って、まず御神渡り(初段)を気持ちよくゲット。
それから邪宗門(1級)もやってみたら、スタートホールドで指を抉られた。
見た目が良いわりに登られている様子がないのはそういうことか?
邪宗門

続いて結構高い幻日(二段)。
なんだか見た目にはもう少し易しそうだな...でも高いな...と思いつつ届く範囲で掃除してトライ。
核心だと思われる中間部をこなして、上部も咄嗟に心臓が止まりそうなハイステップを繰り出してOSできた。
幻日

さすがに二段はない気がするけれど、とても良い課題だった。
続いて少し下って三狐神(初段)も登った。
初めは???だったけれど、ホールドの持ちどころが分かったらできた。
三狐神

で、ようやく本題の猿猴捉月図。新しく買ったキメラが威力を発揮してくれるか。
前回のハイポイントには何トライ目かで追いつけたものの、やはりそこからがもろに核心。
キメラの爪先の感覚は確かに良い気がしたけれど、単純に使用者の技量の問題らしい。
一応、ハイポイントは更新して実質あと1手というところまでは進んだ。
この1手、というか1ムーヴがサクサクできるくらいになりたいのだけどなぁ。

12/25、クリスマスだけれど、やっぱり野猿谷へ。
冬型が少しは緩んでくれることを期待したけれど、風は相変わらず冷たく吹いていた。
いつものように、エリアを一度通り過ぎてマウントピア黒平で受付し、お金を払って、エリアに戻って車を開けたところで気がついた。
「あ、マット忘れた。」
2枚もあるボルダーマットを2枚とも家に置いてきてしまい、車の後ろは空しくすっからかん。
でもお金払ったし、このまま帰るのはなぁ...となったので、とりあえず登りに行った。
これもまた気になっていた猿の王(二段)にロープを張って降りてみたけれど、
これはマットがあるときに地面からトライした方が良さそう、ということで今回は見送った。
特に目当てもなくぶらぶら上がっていって、マットを敷いても意味がなさそうなドランクモンキー(初段)は数回で登った。
次はこれかな、と思って見に行った低めの二段はリップが凍り付いていたのでやめて、
結局エリアの入り口付近までもどって猿楽(初段)をやってみた。
見るからに出だしの数歩が悪そうなので、マットがなくてもまあ大丈夫そう。
が、当然浮いては落ちるを繰り返してやきもき。
足ふきマットくらいは持ってくるんだったと反省。
指もソールも結構減った頃にやっと問題の数歩を抜けて、後半のスラブでまたぷるぷるしながら必死で這い上がって登った。
猿楽

この日は夕食を作る約束をしていたので、早めに撤収して買い物をして帰ることにした。


というところで、年の瀬が目の前に迫ってきた。
登り収めと思っていた日にマットを忘れてメンタルの弱さを痛感したわけだけれど、
それだけで1年を締めくくるのはちょっとアレなので、もう1日どうにか登りたい。

2022年12月15日木曜日

燃える心

『油断』という言葉がある。由来は諸説あるそうだ。
そのひとつは、比叡山延暦寺にある法灯で、最澄の時代から火をたやさないよう、油を継ぎ足しているという逸話から、というもの。
この話は中学生くらいの頃に、聞いたことあった。
今再び思い出してみると、ひとつの疑問が湧く。
「継ぎ足した油が違う油になったら、その火は同じ火だと言えるのだろうか?」

ヨセミテから帰った翌週、不動沢の宝島岩にあるプロジェクトを登った。
パートナー見つからなかったので大ザルに声をかけてみたら、ビレイだけしに来てくれた。
ありがとうございます。
海の向こうへ行っている間に瑞牆の季節は進んでしまい、冷たい風が吹いていた。
天気がいいので、日向に出るまでの我慢と考えて、千両滝の横を下った。
取りつきに着いてみると、なんとルンゼの側壁にある1P目まで日が差し込んでいる。
おかげで極寒の中震える羽目にはならずに済んだ。

このルートは宝島や浸食の造形をリボルトした後、ラペルして掃除とボルト打ちをした。
浮いている岩もそこそこ落とし、ここだとラインを定めたのが梅雨入り前。
壁のあちこちに生えるツツジが満開で、綺麗だった。
3ピッチの、おそらく5.11の真ん中くらいになりそうなルートに見えたので、
フィックスにぶら下がってムーヴを探ることはせず、地面から順番にトライすることにした。
それから、ヨセミテに向けたトレーニングやらなにやらに精を出しているうちに夏が来て、
何度か掃除の続きをしに足を運んだものの、登れそうな状態になったところで出発となってしまった。

1P目は千両岩と宝島岩の間のルンゼの左壁、顕著なコーナークラックに入っていく。
すぐ左にどうやら室井さんの銀竜草というルートがあるらしいが、完全に自然に還っていて詳細は分からなかった。
ヨセミテ帰りの固くない手の皮には、瑞牆のクラックはなかなか痛い。
ひんやりとした空気と岩、ジャムを決めるたびに食い込む結晶を感じつつ、懐かしさも覚えた。
コーナーを登って壁の中段のブッシュに突っ込み、2P目の取りつきまで伸ばしてピッチを切った。

2P目は宝島フェースの右端、茶色っぽい壁のコーナーを登り、後半は右上のフェースに出る。
コーナーの中は岩が脆く、クラックの中は埃っぽくてあまり快適ではない。
おまけにすぐ横に長さ2メートルほどのエクスパンディングフレークがくっついている。
これはどんなに蹴っても、鉄棒を差し込んで引いても取れなかったので、そのままになっている。
叩くと明らかにマズそうな音がするこのフレークをおっかなびっくり掴んでコーナーを抜けた。
フェースに出ると岩が固くなり、緊張も解けた。
もう少し入念に掃除をしてもよかったな、とも思うけれど、そこはあまり気にしないことにする。

3P目は宝島フェースの右側が張り出し、バットレス状になったその頭へと抜けていく。
フェースムーヴをこなすとぽろぽろと欠けそうなアンダーフレークがあり、
出来るだけ丈夫そうな奥の方へとカムを突っ込む。
フレークを抜けた先の核心が思っていたよりも長く、結構ドキッとした。
ラインを見定めて掃除したときにどんなホールドがあったか、だんだん淡くなってきた記憶を頼りに手を出していくと、
最後のマントルまでなかなかハリのあるクライミングになった。

大ザルがユマールで登ってきて、フィックスも巻き上げ、木に巻いてあった捨て縄も回収した。
これでこの壁に残ったのは自分が打ったハンガーボルトのみ。
今回は、これでいいだろう。


グラウンドアップ、それも完全にフリーでのグラウンドアップに憧れる気持ちが、今の僕にはある。
しかし当然、それはそう滅多に実現できるものではない。
よほどの幸運で、諸々の条件がそろっていない限り、手をつける前に相応の選択をすることになる。
ラペルするのか、下から登るのか。
ボルトを打つのか、打たないのか。
リハーサルをするのか、しないのか。
すべての選択が後者となるようなルートに出会えることは稀だろうと思う。

善し悪しの話をするのであれば、オールフリーでグラウンドアップ、しかもオンサイト、というのが一番いいのだろう。

この数年の出来事の中で、自分の理想について想いが揺らぐことが何度もあった。
休職と転職、新たな生活、Humbleの完成、五島でのクライミング、宝島との出会い、リボルト、そして初めてのヨセミテ。
僕の場合、揺らいだ想いが再び定まるのには時間がかかる。
単に優柔不断なのか、それとも心が未熟なのか。それは分からない。
ともかく、その揺らぎの中で僕はこのルートを登ることに決め、ラペルで掃除とボルト打ちをした。
そしてひとつまみのこだわりで、リハーサルはせず地面から登ることにした。
ラペルで掃除をした時点でルートの内容は大まかにわかるし、ホールドやプロテクションの予想もついてしまう。
だからこれはオンサイトではないし、グラウンドアップでもないのだろう。
ともすれば中途半端なやりかたに思えるし、よりよい登り方があったかもしれない。
しかし、「それでもせめて」と地面から登ることにしてよかった、と思う。
冬の足音を聞きながら、日の当たる宝島岩を登った時間は充実していた。

スタイルのことはともかく、宝島や隠し金探しのようなルートを初登したいと、よく考える。
それら名作にはまだまだ及ばないけれど、このルートは僕にとっては十分に楽しく、価値のあるものだった。


継ぎ足した油が違うものだったとしたら、もうそれは同じ火とは言えないのかもしれない。
それがもし油ですらなく、薪になってしまったら、やはり同じ火とは言えないだろう。
しかし依然、火はそこで燃えている。熱を発している。
その火がただ揺らめいているだけでなく、蒸気機関のようになにかを前に動かしていくのなら、僕は燃やし続けたいと思う。

燃える心 3P 5.11b
1P目 5.10a 30m NP
2P目 5.10c 20m NP+ボルト1本 
3P目 5.11b 20m NP+ボルト2本
使用ギア カム#0.3~#4、オフセットカム数個、アルパインドロー複数本


〈追記〉
燃える心、というのはヤマツツジの花言葉をもとにつけました。
が、この岩場に咲いていたのはヤマツツジではなくミツバツツジだった模様。
名前を変えるかどうか0.5秒くらい考えましたが、結構気に入っていたので変えないことにしました。
ちなみにミツバツツジの花言葉は、「節約」だそうです。