2025年10月1日水曜日

(岩を)登れない夏

前回からまた随分と日が経ってしまった。気づけば遠征まで1か月を切っている。
今年は夏前からトレーニング量を増やした関係で平日が一気に忙しなくなり、
クライミングの量自体は減っていないもののブログはまるで書けずにいる。
いよいよ遠征が迫って、体の疲労を抜く調整期間に入ったので、少しずつ書いていきたい。

話は1か月ちょっと前、盆休みまで遡りまして...

8/9 不動沢 メルヘン岩
ヴィーナス(5.12c)をやっているあさこさんに付き合って、久しぶりにメルヘン岩へ行った。
関東が死にそうな暑さなのに、ここは曇ると肌寒いほど。
完全に服装を間違えて、あさこさんのジャケットを借りて羽織る始末。
あまりの暑さに感覚がおかしくなったのだと思いたいが、そもそもその「感覚」って何だ。
予報の割には天気がもってくれて、1日登れた。
僕はもっぱらビレイヤーで、1回だけヴィーナスをトップロープで登った。


8/15 瑞牆山麓 レッド&イエローエリア
お盆期間中は雨ばかりでろくに登りに行けず、やっと晴れたこの日は一人だったのでTRソロが出来そうな場所を探した。
そういえばトポに載っていたけれど行ったことのないエリアがあったな、とここを選んでみた。
エリアがこじんまりしていて、一部を除いては壁の上に回りやすいおかげで結構登れた。
10b→10b→11d→10d→10c→12c→12a→12a→11b→12aと、計10ピッチ。すべて落ちずに登った。
さすがにTRソロで、しかもフェース系となると緊張感はほぼないが、
そこそこの負荷でマイルを稼いだと思えば、ほどよいトレーニングになった。


8/23 不動沢 トライアングルフェース
あさこさんと二人、遠征本番並みに重い荷上げをやってみようぜということになった。
いろいろ考えて、トライアングルフェースの未来の舞1P目でやることに。
ホールバッグふたつに川で汲んだ水と拾った石を詰め込んで、合計100kg超えの荷物をこしらえた。

エイド交じりで1P目の終了点にフィックスを張り、あとはひたすら荷上げ。
ざらざらのスラブの割に、二人でスペースホーリングしたら案外すんなり上がってきた。
続いて荷物を減らし、70kg少々を一人で上げるパターンも試してみる。
自重よりちょっと重いので、さすがにただのボディホールではびくともせず。
2:1システム(Zシステム)を組んだら一応は上がった。
更に使う道具の組み合わせをいろいろ変えてみて、最後は僕よりも軽いあさこさんが70kgをグイグイ上げられるまでになった。
2:1システムには改良の余地ありだが、今の自分たちで荷上げできる重さの最大値はおおよそ分かった気がする。
荷物を枕に寝る


8/24 不動沢 
一人だったので、岩探しを兼ねて不動沢へ。
以前あさこさんが掃除してトライしていた某クラックを見に行ってみた。
当然のように誰もトライしていないようで、湿気の籠りやすい下部は早くも苔が再生していた。
ということで、ぶら下がって掃除。
初めは「掃除が一段落したら、TRソロでちょっとトライするか」と考えていたが、
見るからに悪そうな核心のセクションも掃除しながら眺めまわして、
「どうもこれはリハーサルなしでトライする方が面白そうだ」と思い至った。
それからは、辺りの散策。
立ち入ったことのない谷間に入って行き止まりまで詰めてみたりした。
一応、気になる壁や気になるラインがいくつか見つかったので、そこそこ収穫あり。
最後にもう一度某クラックにぶら下がって掃除していたところ、雨が降り出したので撤収した。
こんな洞窟もあった(以外に奥行きはなかった)


8/30 瑞牆山 おいぼれランド
新トポに載っていて少し気になっていたおいぼれランドに行った。
初見の5.12~5.13が数本あるので、量を登ろうというつもりでいた。
が、どうも今年の夏はダメな夏らしい。

下の段には先客がワイワイしていたので、人が居なさそうな奥の岩へ。
アップでサバティカル(5.11c)に取り付いてみると、下部のクラックが予想外に悪くプルプルした。
行きつ戻りつして苦しいパートを抜け、壁の傾斜が落ちて易しくなってくる。
ここからラインは左上のスラブへ続くのだけれど、ふと右上を見たら5メートル先にスズメバチの巣が。
咄嗟に「うわヤバイ!」と声を上げたのが良くなかったのか、先兵が数匹飛んできた。
前に取ったカムは足下よりも下だったので、決死のクライムダウン。
が、流石に空を飛ぶ相手では分が悪く、腕を一か所刺された。
それ以上襲われる前にどうにかロワーダウンして、あさこさんが持っていたポイズンリムーバーで吸い出し。
見る見るうちに腕が腫れ上がっていき、クライミングは諦めるしかなかった。
あさこさんにエイドダウンで回収してもらい、あとはすごすごと退散。
スズメバチは初めてだったのでショック症状はなかったものの、それから数日は腕の腫れがひかず。
やっと秋の気配がし始めた週末だったのに、1本目を登れずにまるまる棒に振ってしまいましたとさ。
よく見ると、地面からでも巣が見えていたのに...

助けてもらったお礼に、みずがき食事処でアイス

2025年8月12日火曜日

研鑚

梅雨らしくない割にはあまり登れない6月が過ぎ、7月以降は秋のヨセミテに向けての準備をしている。
4年目となる今年は、再びあさこさんがパートナーとして行ってくれることになったので、
昨年までの記憶を呼び起こしながら荷上げのシステムやらなにやらを試している。


6/28~29 瑞牆で継続
(太陽の登 6P→ビバーク→フリーウェイ 7P→アレアレア 5P目で時間切れ)
まずは1泊でマルチピッチの継続を、とホールバッグ1つを荷上げしながら登った。
シュラフ、火器と鍋、2日分の水、食料で、だいたい20キロくらいか。
荷物がそもそもあまり重くないので、リードはタグラインで荷上げして、フォローはその間にTRソロで登る。
もともとの予定では、初日にカンマンボロン→大面→十一面まで継続して、二日目は十一面周辺で数本、と考えていた。
が、初日は装備のパッキングから始めたのでスタートが少しゆっくりになり、
さらに太陽の登であまりの日差しの強さに2人とも熱中症寸前。
全ピッチ僕がリードでノーフォールで抜けたものの、頭は朦朧とするし足はむくんでパンパン。
ラペルで取りつきに戻ったら5時前だったので、予定を相当変更して、大面の取り付きで寝ることにした。
あさこさんはG7、僕は地べた

2日目は涼しいうちにフリーウェイの核心ピッチを登り、昼過ぎにはトップアウト。
いくら荷物が軽いとはいえ、瑞牆の長いルートは蛇行もブッシュも多く、荷上げしながらは登りにくい。
大面の頂上から裏に降りて十一面へ移動。何を登るか悩んだけれど、より厳しいものにしようとアレアレアに取り付いた。
数年に一度くらいでしかトライしていないので、結局未だにちゃんと登れていないこのルート。
今回も1ピッチ目からしっかり難しかった。
相変わらず軽いながらも荷上げは続け、4ピッチ目までは落ちずに抜けた。
ここで既に4時過ぎ。頂上まで登ると日が暮れるので、5時までと決めて5P目にトライした。
過去数回で、ルート自体の核心にもなるこのピッチだけがまだRPできていなかった。
前回から数年で多少強くなっているはず、という自負もないではないけれど、今回も登れず。
2日目の最後かつカンカン照りの中ですんなり登れる強さは、僕にはまだないらしい。
ということで今回は時間切れにて終了。

そもそもマルチの継続自体が久しぶりで、基本的なシステムもいろいろと忘れ気味のところがあった。
そこを思い出したことが一先ずの収穫(...それでいいのか)。
とはいえ、ビッグウォールではチーム全体でシステムそのものを理解して、補い合うために呼吸を合わせることが最重要。
3年かけて、勘の鈍い僕にもそのことがやっとこさ分かってきたので、出発までその擦り合わせを続けたいと思う。


7/19~20 瑞牆でポータレッジ泊
カンマンボロンでショートルート→太陽の登 1P目→ビバーク→太陽の登

今回はポータレッジ泊の装備で登ってみた。
まずは初日に1泊分の装備とポータレッジ(フライ付き)をカンマンボロンまで担ぎ上げる。
測っていないけれど、アプローチの荷物は35キロくらいだろうか。久々の歩荷は足腰にきた。
大きな荷物は太陽の登の取り付きに置いて、とりあえずこの日はショートルートを数本だけ登った。
「日陰が多いかも」と砂のエリアへ行って、ボロンボロン(5.11c)と砂の塔(5.12a)。
砂の塔はホールドが欠けたという噂があったけれど、核心が日向になって暑すぎたのでよく分からない。
取り付きはアブ、登れば中間部から日向という八方ふさがり状態。夏の瑞牆ってこんな感じだったっけ。
それから荷物のところに戻って、ショートサーキット(5.11b?)も登った。
そして太陽の登の1P目を登り、レッジでポータレッジを張ってみた。
昨年のSalatheでは毎日のように張っていたのに、久しぶりにやったら四苦八苦。
とはいえ、かなり快適なビバークになった。

起きてみると、雲海

2日目は太陽の登の続きを荷上げしながら登った。
リードがタグラインを引いていって、ビレイ点で荷上げ用のロープを引き上げ、それから荷上げ、という本番と同じ手順。
今回も本番よりはずっと荷物が軽く、全部合わせても40キロないくらい。1人のボディホールで軽く上がった。
荷上げを含めたシステムはだんだんと馴染んできて、手間を削ることができている。
が、暑い。前回にも増して暑すぎる。
今回も太陽の登をトップアウトしたところで熱中症気味になり、継続はせずに終了した。



8/2 カサメリ沢
もう日差しに焼かれ続けて目が眩むのは懲り懲りなので、涼しさを求めてカサメリ沢へ。
やはりここは日陰が多く、取り付きにいるだけなら結構快適だった。

5.12以上のルートをやりたかったので、コロッセオ奥の三ツ星エリアへ行ってみた。
猿の巣(5.11a)を登ってアップすると、暑さなのかヌメりなのか寝不足なのか、体が重かった。
うーん、テンション上がらんなぁ。
文句を言ってみても気温は下がらないので、ブラッドライン(5.12d)にトライ。
と、出だしの階段状を登った後のライン取りでいきなり迷ってテンション。
どうも左の指切りげんまん(5.11d)と数メートルは共通らしいけれど、前傾カンテ沿いに古いカットアンカーの跡がある。
そのボルトにクリップするならカンテ沿いに登るのかな...と思い、一応そちらで登った。
ここがなかなか難しく、上部までのトータルで軽く5.13はありそう。
テンションをかけながら抜けたけれど、最上部が日向になっていて繋がる気がしないので2トライ目はナシ。
この辺り、どうにも意志が弱い。

気を取り直して、コロッセオでミスト(5.13c?)をやる。
と、出だしからいきなりホールドが濡れている。そもそも乾きが悪い場所だし、そりゃそうか。
とにかくOSを狙って頑張ってみたけれど、濡れたホールドでスリップして呆気なく落ちた。
それから核心のセクションで数テンションしながら抜けて、これはきちんと2トライ目を出すことに。
濡れていて緊張する下部をだましだまし突破して、上部の繊細な核心を終始プルプルしながらこなしてRP。
繊細なホールディングでの立ち込み系がこの時期に登れたことは少し嬉しい。
でも多分、グレードは5.13aくらいだろう。
突き出したカンテの右側の面がミスト

最後に、核心のボルダームーヴがやたら悪いキングオブモンキー(5.11d)をOSして終了。
荷物をまとめていたら雨が降り出し、濡れながら帰った。

2025年8月7日木曜日

空梅雨と言いつつも

GW明けからまるでブログを更新できていなかった。
事情は様々で、仕事なりコーチングなり天気なり、まあそれぞれにある。
が、結局はそれらを差し置いてでもブログを書くほどの会心のクライミングが出来ていない、というのもある。
とはいえ、毎年この時期はこうなりがちのような...言い訳はこれくらいに。

6/7 不動沢
天気の悪さと都合の悪さが重なり、ほぼ1か月ぶりの岩だった。
コミネムと不動沢へ、昨年敗退したいぶし銀をやりに出かけた。
が、また昨年同様に2P目付近からの染み出しで、問題の1P目までジメジメ。
ということで、最近活気ある20代たちが拓いた新ルートを登ってみるか、と滝の辺りへ移動。
実は大学の後輩のカワチくん初登のLightning Guides Me(5.10c)を登ってアップ。
なんだか湿気が立ち込めているが、ほどよい難しさで楽しい。
続いて本題のトトロ(5.11d)。初登はH大学随一の逸材と名高いナカガワくん。
コミネム先輩が気合の入った登りで右往左往しながらOSし、プレッシャーをかけてくる。
こちらもやったろうやないかい、と勇んで取り付いたら、出だしで手がすっぽ抜けて着地。
真っ平な下地にドスンと着地して、呆気なくOSは消えた。というかこれはもはやグラウンドフォール。
念入りにチョークアップして登った次のトライで危なげなく登れた。
上部でカムが尽きかけたけれど、危なげないということにしておく。
その後、左からトラバースして入るトトロにダイレクトスタートの可能性を感じたので、ちょいとやってみた。
トトロの最初のプロテクションを入れる辺りから真下に伸びるシワというか溝というか、そこに右下から入れそう。
しばらくノーマットで二人、わいわいとセッションして、トトロに合流するところまでは登れた。
ここだけで2級くらいのボルダー。正解かどうかは怪しいけれど、ムーヴも面白かった。

本題が登れたので屏風岩まで戻って、不動の日々(5.12a?)をやってみることに。
これも実は大学の先輩のたびとさんが初登。なにやら今までと違う意味で知り合い率が高い。
コミネムにOSトライを譲ってもらったので、やったろうやないかい、とテーピングも巻いて突撃。
核心のルーフはそこそこ乾いていて、拳のサイズと腕の長さで得をしたのか、インバージョンせずに登ってOSできた。
ワイドで5.11以上がついているものをOSするのは初めてだけれど、こうなるともうよく分からない。
が、まあそれはいいことにする。
核心に挟まって苦しそうな(楽しそうな)声を上げ続けるコミネムと交代で、こちらはすぐ右の地上の星(5.11d)をやってみた。
かなり短い薄被りフィンガーで、やってみると意外にジャム要素が強かった。
で、こちらは見事に湿っていて、最後の数手で血管が切れそうなくらい粘った末に落ちた。無念。
日没寸前にコミネムが不動の日々を無事に登ったので、この日は終了となった。

なぜか桃色のテープを巻く男


6/22 コッシーランド(ボルダーサーキット)
パートナーが居なかったので、今季初のサーキットに出かけた。
ボルダーの新トポが出た際に、室井さんに「サーキットならコッシーランドの辺りがいい」と勧められたので、行ってみることに。
10時前くらいに畑の脇の駐車場に着いて、少し外れたところにある大地岩からスタート。
まだ瑞牆のボルダー自体が公開されるよりもずっと前、この岩は畑岩と呼ばれていた。
ここにある3級の課題で敗退した思い出もある。当時は中学生とかだったんじゃないかな。

大地岩の課題を一周すべて登って、本題のコッシーランドへ下る。
ここから先は全課題初めてなので、これまでのサーキットよりもグレードを下げて、8級くらいから登ることにした。
以下、登った課題とトライ数だけ、記録として残しておく。各課題、最大5トライまでという条件付き。

〈大地岩〉
種まく人 8級 1トライ
オータムリーブス 8級 1トライ
落ち葉拾い 6級 1トライ
ヒミズ 4級 1トライ
ルッキングフォーロマンス 4級 1トライ
空の鏡 3級 1トライ
マイスモールランド 2級 1トライ
いずれ菖蒲か杜若 5級 1トライ
不射の射 3級 1トライ
春の調べ 7級 1トライ [10]

〈コッシーランド〉
プルシアンブルー 4級 2トライ(1トライ目で猫パンチして流血)
ペリュトン 3級 1トライ
加羅木 7級 1トライ
モシリ 5級 1トライ
女心と秋の空 8級 1トライ
忘れられた旅人 4級 3トライ(下地が微妙な上にかなり悪かった)
隼人瓜 8級 1トライ
赤隼 2級 2トライ (隣のファルコニア初段はビビってトライせず)
上を見ぬ鷲 4級 1トライ
サイレントイーグル 3級 1トライ [20]

神聖な配列 1級 1トライ
聖櫃 2級 1トライ
回帰者 1級 2トライ
秘密の回廊 2級 1トライ
パーミンガール 4級 1トライ
賽の河原 初段 5トライ (ギリギリ登れた)
生生世世 7級 1トライ
来来世世 7級 1トライ
寄生木の空浮かぶ羊雲 3級 1トライ
忘れた記憶 5級 1トライ [30]
乙事主 1級 1トライ
白猪 2級 5トライ (これもギリギリ登れた)
十二単 5級 1トライ
野狐 3級 3トライ
八尾の狐 2級 1トライ
鉛の足枷 2級 2トライ
白狐 3級 1トライ
三足鳥 3級 1トライ
九尾の狐 1級 1トライ
漆黒の闇 1級 3トライ [40]
髪結い 3級 2トライ
手櫛 4級 2トライ
背もたれ 3級 4トライ (髪結い~背もたれはどれも離陸と1手目が核心で敗退するかと思った)
黄楊櫛 2級 2トライ
蔦の細道 1級 2トライ
苔の細道 1級 1トライ
闇射貫くひかり 2級 1トライ
悪の煌めき 初段 1トライ
鵺 1級 1トライ
チカプ 6級 1トライ [50]
水つ霊 5級 1トライ
外連味 2級 1トライ
玉兎 4級 3トライ (体感1級くらいだけれど、ヨレとヌメりでよく分からない)
憂き世の夢 6級 1トライ
星月夜 1級 3トライ
風光 5級 1トライ
まほろば 2級 1トライ
夜来香 5級 1トライ
モーニンググローリー 3級 1トライ
エーデルワイス 5級 1トライ [60] (今回の個人的ベスト課題)
フェアリーリング 6級 1トライ
先の見えない階段 4級 1トライ
ジョイライド 6級 1トライ
Dancing in the Dark 1級 1トライ
光芒 5級 2トライ
揺れ動く波動 4級 3トライ
雪庇下のフランケ 2級 1トライ (この辺りはラインの区別がよく分かっていない)
妖精の住む園 7級 1トライ
ライコサヌ 7級 1トライ
溢れ出す狂い 2級 1トライ [70]
楽園の舞 4級 1トライ
(爽快クラック初段もやったものの、まるで浮けず)
舞い昇る情熱 1級 5トライで登れず

近い位置に岩が密集しているおかげで、課題間の移動が短くて済む。たしかにFontainebleauのサーキットのようだ。
ゆっくりスタートしたものの、18時までで72本トライして、71完登。
最後は舞い昇る情熱で、ヨレとヌメりでどうしようもなくなるまで頑張って撃沈、終了。
全体的に低グレードが多いので、もう少し強度を上げたいところだけれど、1日で回った本数としては悪くない。


2025年5月19日月曜日

今年の五月はどうも

ホームエリアのベストシーズンのはずなのに、雨ばかりでろくに登りに行けない。
狙い撃ちするように毎週末雨で、いやな周期にハマってしまったなと思う。
嘆いてばかりいても仕方ないので、忘れないうちにゴールデンウィーク中のことを書いておきます。

4月29日 大ザルの庭
大ザルが「庭に行くぞ」と言うので、岩場に興味を持ってくれていたコミネムを誘った。
林道の終点からのアプローチは小川沿いで、この日はコゴミがたくさん顔を出していた。

岩場に着いて、初めてのコミネムを一番奥まで案内。
1時間ほどぶらぶら散策して、入り口周辺で既成ルートを何本か登ってみた。
思えばここでは掃除と自分のルートの初登ばかりで、他の人のルートはやったことがなかった。
大学の後輩Kくんのアフタヌーンティー(5.9)がいきなりワイルド、というか脆い上にランナウトでひやひやした。
やはりこういうルートを楽しめなくてはこの岩場は...と思いかけるが、それはそれで適度にどうかしている気もする。
ともあれ、登って楽しいルートなのはたしかだった。春の風も気持ちよい。
大ザルは掃除とリハーサルの後、プロジェクトだったラインを初登。
僕はビレイしたついでにフォローで回収させてもらった。
ミツバツツジ 5.11aだそうです

それから奥の方にあるピラー状の壁をコミネムがグラウンドアップでやりたいそうなので、そちらに移動。
僕も以前から気になっていた壁だったけれど、コミネムが登るのは少し違うラインのようだったので、先に行ってもらう。
が、これがどうしようもなく脆かったようで、岩の脆さと濡れへの耐性に定評があるコミネムが敗退してきた。
これはまずいぞと考え直し、とりあえず左にある岩質がマシそうなチムニーを登ってみた。
こちらは見た目どおり岩がそこそこ硬く、ものすごく埃まみれになったものの、問題なく登れた。
フォローしてきたコミネム曰く、「沢でよくある垂直のブッシュが、干からびた感じ」とのこと。
まあ、グラウンドアップだし、充実感はあったので良しとしておく。
ルート名は、わたしはたわし。5.9くらいだろう。



5月3日 小川山
連休後半の初日、あさこさんがローリングストーンに行くので付き合う。
近くにあるボルトルートでもやろうかと思ったものの、どれも濡れていたのでやめ。
ローリングストーンも出だしが濡れていたので、トップロープでのトライのみになった。
改めて見てみると、見事なクラックだなと思う。数年前、オンサイトを呆気なく逃したのが口惜しくなる。
翌日からの乾きに期待して、早めに下山。長坂のカフェとかに出かけて帰った。


5月4日 瑞牆
この春の目標のひとつ、サル左衛門が昨秋に初登した巨人の肩(5.13c R?)をやりに出かけた。
零の谷のボルダーで軽く登ってアップ。二ノ谷あたりは賑わっていたが、ここは誰もいなくて快適。
アレテー(2級)とか千年王国(2級)を登った。千年王国は隠れた良作。
それから、巨人の肩へ。一応ボルダーマットを持っていったので、アプローチの急登がしんどかった。
取り付きのテラスに行ってみると、知り合いのA川さんがいた。
この類のルートにやってくる人といえば、大抵知り合いになってきている気がする。

このルートはまず、リハーサルなしのグラウンドアップでトライすることにしていた。
理由はいろいろとある。
ランナウトする(リスクが伴う)ルートに対してリハーサルが前提になってしまっていることに疑問を感じた、というのがひとつ。
昨年夏に登った魅惑のキューピー(5.12c)以降、自分が踏み込める領域がどこまでなのかを測ってみたかった、というのもひとつ。
他にも諸々あるが、要は今までできなかった挑戦をしておこう、ということだった。
強い風に吹かれながら散々双眼鏡で眺めまわし、意を決してトライすることに。
前半の核心手前のフレークにカムを固め取りして、いつもの倍くらいテストした。
そこから数手伸ばして、最後のカムが足下を過ぎるところまで頑張ったけれど、
結局そこから上に行くか横へ行くかの判断も、突っ込む踏ん切りもつかずに泣く泣くクライムダウン。
見ていたA川さんは「見てるこっちもしんどい」と言って苦笑い。ですよね。
しばらく迷い、最後は負けを認めて裏から歩いて壁の上へ。
ラペルで残置したカムを回収し、できなかったパートのムーヴだけをやってみた。
ムーヴ自体は数回でできたものの、多分これを初見では止められなかった。
そして、そこから落ちたらロープの伸びでグラウンドだったかもしれない。
後半のセクションは次回以降に回し、今回は終了、すごすご退散した。

5.13のRつきをオンサイトのグラウンドアップで勝負できるほど、強くはなかった。
ただ、これはこれでひとつの経験ということにしておく。
出来ることと出来ないことの境界線を見極めるには、挑んでみないといけない。
5.12cはできて、5.13cはできなかった。
この数字ひとつ分のどこかに、今の自分の限界がある。


5月5日 瑞牆 カサメリ沢
あさこさんはローリングストーンへ出かけていき、僕はカサメリ沢へ。
少し前から連絡をとって一緒に登る約束をしていた、rhimくんとお父さんに会いに行った。
そういえば、この時期のカサメリ沢に来るのは随分久しぶり。
夏から秋にかけてくることが多かったせいか、空気の乾いたカサメリ沢はなんだか新鮮だった。

コロッセオでrhimくんがダークスター(5.13d)をやるというので、とりあえず観戦。
僕もパートナーがいなかったのでお父さんのビレイでアップさせてもらう。
と、rhimくんが2回目のトライでダークスターを片付けてしまった。仕事が速すぎる。
後から参戦させてもらおうかと思っていたのに、あてが外れた。
泣き言を言わずに食らいつかなくては、と思い直して、僕もヌンチャクを掛けつつダークスター。
核心のムーヴの強度は思っていたより高かった。ただ、手数は意外に少ないし、案外得意系。
「これはいいかも」とムーヴがバラせてからしばらくレスト。
お父さんのナイトディジィダンスのビレイなどなどして、2回目のトライ。
核心の前半を安定してこなし、クリップを挟んで、後半の数手でかなり声が出た。
正直、叫びすぎてしまった。「このトライで登る」という気持ちが前に出ていた気がする。
トップガンに合流して長めに休み、続くランジ2発はこれまでにないくらい緊張したけれど無事に止まって、RP。
このグレードが2トライで登れるとは思っていなかったのでびっくり。
ホールドのタイプやひんやりしたコンディションが諸々噛み合っていた。

rhimくんが「次は鳳凰」というので、オランジュ岩へ移動。こちらは一転して暑かった。
鳳凰(5.13b)は日に焼かれてかなりヌメりそう。
オンサイトを狙っていったrhimくんが核心を抜けられずに降りてきたので、
「どれどれ、拙僧が見てやろう」と残りのヌンチャクを借りて手を出してみた。
核心までは調子よく登っていったものの、じわじわしたムーヴの連続に耐えきれずフォール。岩がかなり熱かった。
「やっぱりフラッシュ出来るほど易しくはないか」と思ってホールドを探ったところ、見落としていたキーホールドをひとつ発見。
これでムーヴを考えて試してみたら、結構すんなり核心を解決。その後も数テンションで抜けた。
その後、チョーク跡を頼りにrhimくんが2回目でRP。またも仕事が速い。
そこそこの時間になっていたので、僕は遠慮しておいた。次回マスターで勝負してみようか。
鳳凰(ダークスターの写真は撮り忘れた)

いい加減、オンサイトないしフラッシュを狙える5.13が少なくなってきた。
ホームエリアゆえに、それはまあ仕方のないことなのだけれど、そろそろ本気で狙っていかないといけない気がしている。

2025年5月7日水曜日

カチを握りに

野猿谷のシーズンが終わってしまい、一気に気温が上がった。
まだ乾燥した春の気候とはいえ、汁手もといヌメり手の僕には悲しい季節になってくる。
ところで、汁手という言葉をほぼ聞かなくなったけれど、死語なのだろうか。

4月10日、所用があり平日休みを取ったものの、昼からなので朝活でなんとなく名栗へ。
このところ週末ごとに雨だったり、長野県大会(手伝い)があったりでなかなか登れず、とにかく岩を触りたかった。
若干寝坊して、盆栽ボルダーと呼ばれている岩に着くと、既に空気が生暖かかった。
ともあれ朝の空気だからかそこそこ気持ちよかった。
よく分からない課題を1本だけ登り、噂では「奥多摩イチ面白い初段」だというカンテの課題をやったらハマりかけた。
この課題、名前はクラスターというらしい。なんだかそんな言葉もあったな、という印象。
ガチャついたカチの保持が結構痛く、目が覚めた。
すでにホールドはヌメり始めていたものの、数回で登った。マントルまで気が抜けず、名作の香り。
次に本題の四段。ピューマとか、ピューマLowと呼ばれているらしい。
Lowの方はとりあえず後回しで、立ちスタートをやったら出来そうでできないトライを連発。
これは実質ランジ一発。
スタートの持ち方と、距離が出せるフットホールドの選択が噛み合ったら、ランジが止まって登れた。
それでLowもやってみると、スタートからもろに苦手系。
両手縦気味のアンダーからオーバーヘッドで1手。これは高速離陸→高速タッチが限界だった。
アンダーからの強度の高いムーヴへの苦手意識がもろに出てしまった。
最後に裏面にある三/四段も少しだけやってみたけれど、これも実質3手のうち1手しかバラせず。
なんだか、花崗岩以外の保持の感覚を忘れている気もする。
そして、体の左右差を埋めていくためにも、全体的な筋力アップをはかるタイミングなのかもしれない。

4月12日、この日は予定外の出来事が重なり、弾丸で小川山へ突撃した。
午前中にバタバタとトラブルがあったため、動けるのは午後の数時間のみ。
うーん、どうするかと考えて、「それでもせめて」と小川山へハンドルを切った。
移動時間を含めると、登れる時間は実質1時間とちょっと。
駐車場に着いてダッシュで林の中へ。ウイスキーボトルに直行。
どうせ時間が短いなら指にくる課題をやろう、と冬の日(四段)をやることにした。
かなり昔、それこそ高校生とか大学生の頃からたまにトライはしていたけれど、カチがろくに持てず登れていない。
この冬のトレーニングの成果を今こそ!と意気込んだわけではなく、今どれくらいできるようになったのかを確かめてみたかった。
ストレッチもそこそこに、ウイスキーボトルの2級くらいまでの課題でアップして、急いでトライ。
日向はTシャツでも暑いくらいだったけれど、ここは日陰で風もあり、ほどよいコンディション。
やはり核心の2つのガストンが、それこそ泣きたくなるくらい痛い。指の収まりもイマイチ良くない。
いろいろ試して、結局は最初にやっていた左トウフックを採用。
両手ガストンまでは割とすぐにできたものの、そこからのフックの解除はやはり負荷が高く、指皮がガンガン抉れる。
そろそろ穴が開くぞ、というところで解除がこれまでになくスムーズにいき、
続くハイステップがやっとこさ上がって、そのまま跳んだらランジが止まった。
なんと、15年来くらいの宿題が思いの外短時間で登れてしまった。
フックを解除するときの上体を、上げるのか下げるのか、その加減が絶妙。
出来た時は、なんだか不思議な感覚だった。
極小エッジを握ることに耐性がついたのだろうか、それとも単にコンディションに恵まれただけなのだろうか。
ともあれ、進歩は進歩だ。

4月16日、また朝活。この日は仕事前に御岳へ行ってみた。
4月中は微妙な忙しさがあったので、とにかく岩に触りたい欲も強かった。
絶対に誰もいないだろうと踏んでいったら、in Tokyo!に先客がいてびっくり。
川の方の面で適当にアップして、チョー遥(三/四段)を触ってみたら1手目が止まらず。
どうもこの1手目で取るサイドが欠けたようで、残ったエッジもカチャカチャと動く。
これはあまり触らない方がいいか、と断念。
黙々とやっている先客さんに「お邪魔します」と頭を下げて、in Tokyo!直上(三段)をやることに。
右のフレークを使う方は数年前に登ったので、今さらFLもなにもないのだけれど、1回目から気合を入れてやってみる。
流石に一撃はできず、それでも感触は意外に悪くない。ヌメりもそれほど気にならない。
核心になる3手目と、それを止めた状態からリップまでをバラして、
「さてやるぞ」と改めて繋げたら、1トライで登れてしまった。
御岳の三段では一番難しかった、という評価も聞いたことがあるが、得意にはまったのかやけに易しく感じた。
まあそれについては深く考えない。
冬の日に続き、現地到着から撤収までほぼ1時間。
呆気なさすぎるくらいだけれど、気分はよかった。


4月19日、今シーズン初の瑞牆で単身ボルダーを回った。しかしこの日は暑すぎた。
天鳥川南沢周辺で登ることにして、橋の下からあれこれ触る。
アップで何本かやったものの、午前中の時点で既に夏のように暑く、1級以上の保持がまるで出来ない。
先行きが怪しいなと思いつつ、ずっと宿題になっているほうとう(五段)にも久しぶりにトライ。
が、あっという間に人差し指の爪の際が裂けて強制終了。ヌメるときに握りすぎるとこうなる。
やはり寒くないと何もさせてもらえなかった。

次に、左岸のちょっと奥にある女王蜂に行ってみた。独立したハイボルダーで見栄えよし。
易しい課題を登って上部のスラブに積もった枯葉をどかして、蜂の巣城(二段)をやったらOSできてしまった。
ポケットの保持とか高い位置での立ち込みとか、悪さはあるものの体感はもはや2級。
なんだかよく分からないけれど、良い課題ではあった。
蜂の巣城

すぐ左にある女王蜂(二段)は、やはり暑すぎてまるで持てずダメ。

更に上流へと移動して、以前室井さんから勧められたオラクル(三段)へ。
ランディングが斜めでちょっと嫌な感じだったけれど、トライするとあまり気にならない。
が、これも結局ヌメりが止まらず、勝負させてもらえなかった。
オラクル

暑さでなんだか朦朧としてきたけれど、ここから大移動してシシガミの森まで行ってみた。
原生林の中で日陰が多いことを期待したものの、暑さはあまり変わらなかった。残念。
ダイダラボッチに通っていたときに見て気になった、淡き星影(三段)をやってみたものの、
これは清々しいくらいに真っ向の保持課題で、冬の日よりも鋭いカチに数トライで指皮を裂かれて撃沈。
淡き星影

その代償

最後、苦し紛れに感謝のランジ(1級)をやって、これは登れた。
ただ、マントルで一度盛大にズリ落ちて危なかった。


いい加減、ボルダーはシーズンオフで、ルートに移行する時期だろうか。
思いがけない成果もあったけれど、もうひと粘りしたかった気もして、手放しには喜べないなと思ってしまう。

2025年4月6日日曜日

野猿谷での冬 ③

 3月15日(土)

昼過ぎから下り坂、という予報だったけれど、野猿谷に行ってみた。
とにかくどんより、空気もしっとり。それでも雪が残る小川山とかよりはマシだったのかもしれない。

この日は04のエリアで、ハヌマーン(四段)を掃除してみた。
安間くんが登った以外にトライした話を聞かない。予想どおり、かなり苔が生えていた。
1時間くらいかけてせっせと掃除して、「さてどうかな」と温湿度計を見てみたら、なんと湿度は70%近くあった。
そんな状態でできるんかいなと思いつつ、近くの課題でアップ。
ずっと前に敗退した三猿(初段)を回収したり、猿ゴルファープロ(1級)を登ったりした。
ついでにCandy Crush(四段)も少しやってみて、スローパーがヌメりすぎるのでやめ。


それから本題のハヌマーン。既に空模様は怪しい。
離陸していきなり2手キャンパスでフリクションの乏しいスローパーを叩きにいく。
これは案外すぐに止まり、やたら悪いマッチもできるようになった。
が、当然というか、本題はここから。
リップにギリギリ足が上がるのに、そこからさっぱり腰を入れられない。
もう少し手で引けるか、足が踏めるかしたら進展する気がする。

あれこれ試行錯誤しているうちに雨が降り始め、半日での撤退となった。


3月23日(日)

気温が一気に上がり、完全に春の陽気になった。むしろ春を通り越して、甲府では夏日だった。
快適な春シーズンはどこへ行ってしまったのだろうか。

すこし遅めの時間にエリアへ行くと、地元の知り合いが大勢来ていた。なんだかエッジに帰った気分。
ワイワイとアップを済ませた一団が05エリア方面へ移動していくのを見送り、こちらはアップ後にまたハヌマーン。
湿度は前回よりも遥かに低く、岩の結晶を感じられる。が、暖かい。暖かすぎる。
リップに足は上がるものの、あれこれ使うフットホールドを変えても、どうにも腰が乗り切らず。
問題のスローパーの持ちどころが少し分かり、前回より10センチくらい上まで体が上がった以外に成果はなし。
それと、この課題でもまた胸を擦った。
何度目かの胸擦りで「アイタっ」と思ってシャツを捲ってみると、左胸から流血。
Cross Loveで半分もげてその後くっついていたホクロが、今度は完全になくなっていた。
ああ、長年の相棒との別れが突然やってきてしまった。
(今は傷口が塞がり、黒く平らなタイプのホクロになっています)

ハヌマーンのスローパーに日が当たり始めてしまったので今回は諦めて、
しばらく放置しているエリア51をダメもとでやったものの、やっぱり暖かすぎた。
リップを叩いても、スローパーがホカホカしている。こりゃ駄目だ。
さらにまだ登っていなかったファンキーモンキー(初段)もやってみた。
こちらはあまり暑さは関係ないかと思ったけれど、単純に難しくて腕がボロボロに。
チキンウィングとアームバーのやりすぎで二の腕をすり下ろされ、半泣きで敗退。

あまりにボロボロになってきたので、難しいのは諦めて、以前から少し気になっていたラインを掃除することにした。
05エリアの入り口近く、13の岩のすぐ上にある大岩の山側を向いているフェース。
比較的大きめの岩で下地も悪くないのに、トポには載ってすらいない。
見上げてみると、程よい高さに顕著なホールドがひとつあったので、ロープを張って掃除。
結果、当初想定したラインは中間部以降にほとんどホールドがなく、見た目にできる気がしなかった。
「どうにかならんかな」と左右に振ってみると、左のカンテを使うラインでホールドが繋がっているのを発見。
こちらでやってみることにして、掃除を終えた。
既に結構疲れていたけれど、どうにかムーヴはバラせた。
ただ、流石にこの日は暖かすぎて、繋げると核心がどうにもできず。
シーズン最後かなと思っていたので、少し後ろ髪をひかれる思いで終了した。

3月30日(日)

本当は別のところで登るつもりだったが、前日の雪が日差しで溶けてどこもびしょびしょ。
林道もぬかるんで車がスタックしそうだったので、諦めて野猿谷へ転戦した。
マウントピア黒平までの道にも雪が残っていたので、「これは誰もいないだろう」と思っていたら、
最近毎週のように行き会うKムロ夫妻だけはやっぱり来ていた。

ハヌマーンを見に行ったらどうしようもないくらいびしょびしょだったので、前回敗退した新ラインからやることにした。
アップで光と崖(3級)をやったら、やけに悪かった。どうもホールドが欠けたらしい。
その後に登った猿豆(1級)の方が簡単に感じた。
とはいえ光と崖のおかげで結構温まったので、本数少な目で新ラインにトライ。
左カンテに寄り添うように別の岩があり、これのせいで下地が悪いように思えるのだが、
実際やってみると意外にこの岩には接触しないし、むしろ上に立ってムーヴを練習できたり、なかなかありがたい。
核心を練習して、コンディションが前回より良いことを確認。
猫パンチで流血したりしつつ、繋げて数回のトライで登れた。
1手1手がかなり遠く、リーチや身長で体感がまるで変わってしまいそうだけれど、二段くらいだろうか。
隣にある岩にちなんで、バイスタンダーと命名しておいた。
バイスタンダー

一先ず目当ての課題は終わったので、09エリアに上がる。
インスタント猿(三段)とエレクトリック猿(三段)をやってみることにした。
インスタント猿は見た目には結構登りやすそうなのに、いざやると足下が繊細。
ムーヴが出来そうになったところで、大きく突き出ていたキーになる結晶がひとつ欠けてしまった。
別のフットホールドでなんとかできそうで、結局なんとかできず。
エレクトリック猿はスタートからの1手目が、こちらもなんとかできそうで、できず。
身近に登った人がいるのだが、「ムーヴが分かれば」と言っていたらしい。
ムーヴか...いろいろ試したんだけどな...

三段2本に敗退して、最後にまた包囲された城へ。
核心のシークエンスを確認すると、ヌメらないけれど感触もあまり良くない。疲れている気がする。
1手、2手くらいでひたすら落ちていても、案外疲労は溜まってくるものだな。
スタートから繋げて何度か核心のムーヴに入れたものの、アンダーがすっぽ抜けたり足が滑ったり、
最後にはバラしでもムーヴがこなせなくなり、ぼろぼろで終了した。
これも因縁の課題になりつつある。いや、優先順位を上げて一日の初めにやれという話なのだけど。


という感じで、いい加減今年の野猿谷通いは終了。
最後の失速感は否めなかったものの、これまでよりも成果の多いシーズンだった。
渋い課題の多いエリアなので、やることが明確な高難度課題が恋しくなったりもするが、
いろいろな意味で掴みどころのない課題たちからしか摂取できないものもある、と信じている。
花崗岩好きのクライマーとは、大なり小なりそういう生き物なのかもしれない。

2025年3月12日水曜日

野猿谷での冬 ②

 3月2日(日)

ストーンモンキー(四段)を目的に野猿谷。この日は春の陽気だった。
示し合わせたわけでもないのに、ノミーにマウントピア黒平でばったり会った。
一緒に10のエリアの課題を見に行ったりしてから、橋周辺でアップ。
くるみSD(初段)のスタートホールドがよく分からず、とりあえず右手カンテ、左手フェースのカチで離陸して登ってみた。
後でトポを見たら、どうもスタートホールドは違っていたらしい。下地が変化したとか?

それから掃除とホールドのチョークアップをして、ストーンモンキー。
日記を見返すと、前にトライしたのは23年の年末だった。
ムーヴは覚えていたので、数回のトライでリップまでは行けるようになった。
むしろ中間までの感触は前よりも良くなったのだけれど、結局はマントルが厳しい。
あれこれ試行錯誤するフリをして、踏ん切りがつかず飛び降りる、というのを繰り返した。
リップにヒールを上げてはみたものの、そこから乗り込んでいくイメージが湧かない。
リップがあまりにもダレていてビビっている。
写真を撮ってくれたノミーに「全然マントルしないじゃないっすか」と茶々を入れられた(気がする)けれど、
結局この日はリップまでのムーヴが固まった以外に収穫はなかった。
マントルをしている風

流石にちょっと暖かすぎたので、ストーンモンキーを諦めてキュリアスジョージ(三段)。
シーズン初めに見に行ったときは、上に木が倒れ掛かっていてトライできなかった。
この日はノコギリを持ってきたので、倒れた木やら絡まるツタやらをせっせと切って退ける。
しばらく働いて、トライできるようになった。
ここでもカチトレの成果か、前は浮くのがやっとだった離陸が少しだけ楽になっていた。
が、当然離陸は序の口でそこからが問題。
時間をかけてあれこれ試し、どうやらそれらしいムーヴを発見。
が、スラブに上がったところから動けず。

上の方へ移動しつつ、ノミーがやっていたアイスエイジ(初段)に寄り道。
これは2トライで登れた。良い課題。
アイスエイジ

最後に、宿題になっている包囲された城(二段)。
前回バラしたムーヴを少し練習して、繋げてみたものの、核心のデッドが止められず。
つくづく、両手アンダーからの遠い一手というのが苦手だ。
足の微妙さもあって、繋げると良いポジションまで入れない。
苦手な自覚があるだけに、これはどうにか登っておきたいところ。

3月9日(日)

前日雪が降ったので遅めに出発。が、着いてみると、そんな必要はなかったと思うくらいに乾いていた。
ストーンモンキーが最優先だったけれど、下地に湿気が籠っていそうだったので、07のエリアへ。
トライした話すら聞かないイルミネーション・ゴースト(四段)にロープを張って掃除してみた。
これはこれでかっこいいのだけれど、間近で見てもあまり可能性を感じないスラブで、トライはせず。
少し下ってリフトバレー(1級)を登り、すぐ下のライトピラー(二段)もやってみた。
これもかなり苔むしてきているが、これが結構面白く、30分くらいで登れた。幸先が良いぞ。
ライトピラー

それから橋に戻り、ストーンモンキー。
数回でリップまで行き、ヒールを上げて、4割くらい腹を括って乗り込んでみると、見事に抜けた。
足から落ちられたので無事だったけれど、若干背中落ちになってまたビビる。
やっぱりあのヒールは抜けるのか。少し嫌なイメージがついてしまった。
しかしやっているうちに、リップのホールドが胸の前まで引きつけられることが分かった。
それから改めてヒールを上げてマントルに入ってみると、いくらか腰が入る感触があった。
両手を胸より下へ引き下ろせそうなところまで上がって、怖さが勝ったので一度飛び降りた。
返せはしなかったものの、これでマントルの感触は掴めた。
しばらくレストを挟み、次のトライで再びリップへ。
今度はしっかり腹を括り、ヒールを上げてマントル。両手を引きつけたところからゆっくり粘って這い上がった。
リップのホールドをプッシュに変えられたら、後は必死で足を上げて、スラブを駆け上がった。
登った瞬間は「嬉しい」よりも「びっくりした」の方が強かった。
手の掛かりの良さで足の悪さを誤魔化す類のマントルもある、ということを学んだ。
先シーズン、初めてリップを取ったトライで「こんなもんできるかー」と諦めて飛び降りて以来、
この日までずっと返せるイメージが湧かなかったマントルだった。
仮にこれが地面から届く位置にあれば、初段もないのだろうと思う。
が、これが高いところにあるのだから難しいわけで、ロープにぶら下がって練習することも何度か考えた。
が、先日トニーさんに「課題への思い入れがなくなったら、ぶら下がったらいいんじゃない」と言われ、我に返った。
僕はマットを何枚も敷いて登ったので、マットなしで初登した室井さんには遠く及ばないが、
それでもこの課題でのことは大事な経験だったと思っている。

その後少しレストして、キュリアスジョージもやった。
前回よりもヨレていないおかげか、左手のカチはしっかりと引けた。
指皮が多少柔くなっているのか、トライするごとにゴリゴリ減っていった。
ただ、前回でムーヴの目処が立ったことが大きく、数回のトライでスラブにへばりついて足を上げ、ふらつきながら登った。
これも猿の手と同じく、シューズ選びが重要な課題だった。
キュリアスジョージ

登ったトライで左の人差し指が裂けて流血したので、早めに終了した。

保持力トレーニングが奏功したのか、それとも状態の良い日を捕らえられただけなのか。
何が要因かはよく分からないが、とにかく今シーズンはいい具合に宿題を回収できている。
春の気配がいよいよはっきりしてきたが、もう一押し、欲張りたい。