2014年6月4日水曜日

再訪

ここ数日やたらと暑くて、これからの季節が恐ろしいです。

先週、天鳥岩の「ホシガラス」(5.12c 5P)へ行ってきました。開拓した時以来だから、4年ぶり。
木曜日の深夜に瑞牆入りして、翌朝早くに出発。
メンバーは社長、足場さん、福田さん、大西さん、ゆかりさん、それと僕の6人。
結構な所帯ですが、全員健脚なのでアプローチはサクサクだった。

パノラマコースから大ヤスリに行くのは初めてで、まだまだ岩があるのを確認。
どこも1時間以上かかるけど、大ヤスリとか矢立とか、天鳥のことを思えば近い。
実際のところ、瑞牆の山全体で見たら登られている岩は半分に満たないんだろうな。

大ヤスリから先が問題。
既におぼろげな記憶を頼りに登山道から分かれて藪に入って行くと、
急に記憶がはっきりしてきてただの藪ですら見覚えがある景色に思えた。
「そうそうこんな感じだわ」とぶつぶつ言いながら進んでいく。
踏み跡も所によっては微妙に残っていて、完全に自然に還ってはいない様子。
思いの外スムーズに行って、駐車場から3時間かからずに天鳥岩に着いた。
速い。速すぎる。全員びっくり。

足場さんを撮影スポットに案内してから、準備してクライミング部隊が出発。
僕がひたすらリードして、あとの4人がフォローしてくる数珠つなぎ作戦。
1P目(5.10c)は社長曰く「運動靴でも登れそう」な観た目なのにやっぱり10cだった。
2P目は台座の上を歩いてトラバースし、3P目はながーいクラック。
当然凄まじい岩タケの海だったけど、快適に登れた。35mくらいあるかな。

社長が上がってきたところで核心のビレイ点までクライムダウンして、スタンバイ。
この先の4P目が4年前は登れなかった5.12c。
トップロープで結構試行錯誤したけど時間切れになって、泣く泣くユマールした。
もうその時のムーヴも一切覚えていないので、オンサイト気分で取りついた。
で、出だしのセクションでいきなり落とされる。おい、記憶と違うぞ。
ここはぴんぴんに背伸びすることで解決。リーチ万歳。
一段上のテラスに上がって、そこからちょっと右上して真っ白いスラブに突入。
最後のボルトにクリップした後が核心だけど、ずーっと悪い感じ。
4年前の掃除もあまり時間がない中でやったので、かなり岩タケが残っていて汚い。
立ちこみ→岩タケ剥がす→ホールド発見→立ちこみ、みたいなサイクルで登る。
核心で一度落ちたけど、割といい感触で抜けることが出来た。
が、後からフォローしてきた社長がキーホールドを粉砕してしまった。がびーん。

カムで作ったビレイ点がちょっと怖かったので、5P目(5.11a)を登り始める。
このピッチは俗に言うPDなので、結構緊張したけど、
久しぶりにやってみると案外簡単で大して怖くもなかった。麻痺してるな。
そのまま歩いて頂上まで行って、社長と福田さんが上がってきたらあとは昼寝。
日差しが結構キツイけど風が吹いて快適。
足場さんも隣の岩の上で仏のように眠っていた。


大西さんとゆかりさんも上がってきたので、社長と降りて4P目のRPトライ。
昼を過ぎて日陰になっていたので、もう涼しい。標高2000近くですし。
核心手前まではスムーズに行って、ちょっとストップ。
社長が粉砕したキーホールドがかなり悪くなってしまったので、ちょっとムーヴを修正。
キーホールドがそのままキースタンスにもなっていたので、核心に突入してからはほぼノンストップ。
このスラブは岩質的に結晶やマイクロポケットに点で立つタイプなので、とにかく親指が痛い。
核心の最後でスタンスをひとつ見落として、慌ててムーヴを変えて強引にねじ伏せた。
久しぶりに親指がもげそうになったけど、無事にRP。
四年越しの宿題(放置してたけど)がやっと片付いた。

帰りも実にスムーズで、明るいうちに駐車場に戻れた。
全員疲れて腹ペコだったので、風呂よりも何よりもまず夕飯を食べた。
カレーでお腹が膨れると、一気に動く気がなくなったので、
社長らが風呂に行っている間足場さんと留守番。すぐに二人とも寝落ちしてしまった。


土曜日はあちこちからクライマーが集まり10人以上の大所帯で摩天岩へ。
テントの撤収やらなにやらあったので、登り始めたのは昼前。
僕はゆかりさんと上段北面にある「北斗七星」(5.9)を登った。
撮影の都合で3回登った。でも、凄く良いルートですコレ。
で、その左にある綺麗なシンクラックにロープを張って偵察。
なにやら上部のグルーブは掃除されている様子。誰かやっているのかな?
上からラッペルしてちょっとだけ磨いて、
いかにも出来そうなのでグランドアップで狙ってみる。
下部のシンハンドから要所要所で開いたシンクラック。イムジン河みたい。
ここは快適に越えて、水平クラックに当たってトラバース。
ハンドサイズのカムを固め取りしてからのハング越えが核心。
かなり効きの甘いジャミングで引き上げて越える。カムは足下よりちょっとした。
結構怖かったけど無事に越えて、そこから続くグルーブもこなしてRP。
上部で結局日本っぽい普通のクラックになっちゃうのが惜しいけど、
内容が意外に多彩で良いルートでした。
でも、初登じゃない可能性が高いな。

黒ヒゲ先生、マルボーさんらは「摩天楼」(5.10d)で壮絶なセッションを繰り広げていた。
あっちむいたりこっちむいたりひっくり返ってみたり、サーカスみたい。
登ってる本人は必死だけど、見ているこっちは面白くてしかたなかった。




そんな感じで終了。
本当は他のワイドクラックも沢山登りたかったけど、まぁそれなりに充実したからいいか。


今年の五月も瑞牆にどっぷりでした。
去年よりもマニアックなところに行っていた気がする。
あちこち調査したり偵察したりで結構歩きまわった。
でも、隠れたルートの発掘はそれはそれで面白いし、
今後の可能性もざくざく出てくるし、探検してみるもんだなと思った。
開拓をする人たちはこうやって足で稼いで、手間を惜しまずどんどん通って、
今のスタンダードを築いていったんだなと実感して、
自分もそうありたい、そうでないといけないと思ったりもしました。

夏までに、まずは一本。矢立かな。
その前にまずアプローチを整えないと・・・

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