Ovniを登った日、帰ってきたらエドゥから連絡があって、
「明日イバンとCampisabalosに行くぞ」ということなので、迷いなく参加決定。
余談だけど、こっちでは同じ名前の人が多くて多少混乱する。
パブロなんて、知り合いにもう3,4人いる。どうすりゃいいんだ。
前にCuencaやSomaenに行ったインストラクターのイバンと、今回のイバンは別の人。
エドゥ曰く、「髪があるイバンと、ないイバン」
兄貴、そりゃあ酷いよ。
イバンはMadridの方に住んでいるので、行く途中にあるColmenarという町で合流。
Madridから北東に伸びるハイウェイを走って、隣のGuadalajaraという県に入る。
途中、La Cabreraという花崗岩の岩場の近くを通った。この辺も凄い岩の量。
ロングルートがメインだけど、ボルダ―の開拓も進んでいるらしい。
県境を越えたら、見える景色がちょっと変わって、赤茶けた大地になった。
山のふもとにある小さい村をいくつか抜けて、一つ目のエリアGrado del Picoに到着。
3月で、まだ山の上には雪が残っているのに、日向はかなり暑い。
長さのない石灰岩の岩場が沢山あって、なんだか幕岩とか佐久志賀を思い出す。
そのうちボルダ―としてちょうどいいスケールのところを開拓しているらしい。
思いがけず、このSDを初登した。6b+くらい?
が、結局どれもフラッシュは逃した。がーん。
でもどれも少ない回数で登れた。
El Expolieitor(7c)とBola 8(7c)が2撃、真ん中のGran Torino(8a)は3撃。
El Expolieitor
Gran Torino
隣り合っているけど、全部ホールドのタイプが違って面白かった。さすが石灰岩。
このエリアの課題は割と得意系だった模様。
一通り登ったので、次のエリアに移動。
次に行ったのは、こんなところ。
牧草地みたいな気持ちのいいところにあるケイヴ。
ロケーションが素晴らしいのだけど、ケイヴの中はちょっと湿気っぽくて蜘蛛の巣だらけ。
イバンは5年くらい前にこれを見つけてちょっとずつ開拓しているらしいけど、
まだ岩が安定していないところが多い。
まぁ、この規模のケイブを隅々まで掃除するのは大変だよな。
ホールドの感じは鳳来みたいだった。
Camina o Revienta de pie 6c
ケイヴの左にある7bの右抜けがプロジェクトだというので、イバンと一緒にトライ。
2手目が時間差のダブルダイノになって結構難しい。
何か足を残すムーヴがありそうだけど、とりあえず放置して上部をやる。
抜け口にあるホールドがびしょびしょだけど、
掛りのいいピンチを大きなムーヴで繋いで最後にカチ、という感じで面白い。
傾斜が強くて足がデカいので珍しくキョンしたりなんかして、バラした。
ということで、下部のランジに戻る。
使うスタンスを変えたらギリギリまで足が残りそうなのでそれを採用。
何度かやったら、止まりそうになってきたのでスタートからつなげ。
止まったときは振られが大きくて危なかったけど、ぎりぎり押さえて上部へ。
キョンに入ろうとしたところで、キースタンスが丸々ぼろっと壊れた。
えーい、もうこのまま行ってやる、とデッドで出したらカチが止まった。
結局ゴリ押しになってしまったけど、初登出来てよかった。
FBはよく分からないのだけど、他の課題と比較して7c+だろうということになった。
名前はSlow and Steadyにしました。
最後にCampisabalosのメインエリアへ。
ここは日当たりが良すぎて日中は暑くて登れないらしい。
120~130度くらいの高さのある壁が帯状にずらっとあって、下地は真っ平。
易しい課題から、8c以上になりそうなプロジェクトまである。凄いエリアだ。
イバンの知り合いで開拓者のカルロスがいたので、いろいろ教えてもらった。
ここのハードな課題はほとんど彼が初登しているらしい。
高さのある高難度をやる元気も時間もなさそうなので、
とりあえず比較的易しそうなEl Matematico(7c)をやった。
フラッシュを狙ったけどリップへのランジが届かず。
深い足からほとんど垂直跳びのようなランジになって、思い切り跳んでも届かない。
リーチ的に厳しいような気がしたので、ハイステップでカチの保持に頼るムーヴに変えたらできた。
「それは女子ムーヴだよ」とか言われたけど、気にしない。
日本人は小さいんじゃ。
最後に右端にある8aをやったけど、時間切れ。
これはまたいずれ
いつどこへ行っても、初登することを夢見ている僕だけれど、
まさかスペインに来て石灰岩のボルダ―でそれが実現するとは思ってもみなかった。
Campisabalosなんてこちらに住んでいなければ登りにいくことはなかったし、
例によって前日の夜まで存在すら知らなかった。
ある程度慣れたつもりでいたスペインでの日々も、
まだまだいくらでも僕の予想を裏切ってくれる。
こうしてどんどん裏切られながら、自分は新しいことを知っていくんだなと思う。
イバンはここの開拓者の一人なのだけど、仕事は英語の先生なのだそう。
スペインの教師は夏に2か月の休みがあって、
彼は毎年、一月はクライミングツアー、もう一月は彼女と旅行にいくらしい。
今年のイースターはイギリスのPeak Districtへ、夏は南アフリカへ行くとのこと。
なんとも羨ましい。
仕事して、トレーニングして、休日は開拓して、休暇は海外へ。
やることをやりつつ、新しいものをどんどん生み出していく。
「俺はワガママだからさ、誰かのためとかじゃなくて、単に俺が登りたいから磨いてるんだ」
そう言って笑っていたけれど、昨日登った課題とグレードを、
あとからメールで詳しく教えてくれた。
「イバンは俺のヒーローだ」とエドゥは言う。
僕もそうだと思う。
0 件のコメント:
コメントを投稿