2015年12月2日水曜日

試運転

月曜日、先輩のしょーへーさんから突然のお誘いがあり、
「行きます行きます!」と返事して、今日は八ヶ岳へバリエーションを登りに行ってきた。
この冬からアルパインを徐々に再開していくつもりなので、
そのためのリハビリ、足慣らしということで、
そう考えると八ヶ岳は実にいろんなことが出来てちょうどいいフィールドだと思う。

始発に乗って松本に向かい、松本駅からしょーへーさんの車で八ヶ岳へ。
遠くから見て、明らかに山が黒々としていることに不安を感じる。
「雪なさすぎだろ」
「氷、ちゃんと張ってるんですかね」
そんなことを話しながら、それでもなんとかなるでしょうと、美濃戸を出発。
赤岳鉱泉のアイスキャンディはまだ半分も出来上がっていない様子。
それにそもそも、日差しが暖かい。12月・・・ですよね?
ちょっと道を間違えながら、裏同心ルンゼに入り、詰めていくと、
まだ薄いながらも問題なく登れそうなF1が見えてきた。
とりあえず、一安心。
水流が透けて見える

雪が少ないとはいえ久しぶりの冬山、さらに久しぶりの氷で緊張したけど、
じゃんけんで勝ったしょーへーさんがリードすることになったので、
こちらはフォローで感覚を取り戻すのに徹することができた。
裏同心ルンゼはアイス初心者にちょうどいいルートだとのことで、
たしかに滝のひとつひとつは小さく、傾斜も緩く、
氷の状態が微妙なことを除けば快適なクライミングだった。
比較的長いF2を越えて、F3も越えて、
シャーベットみたいな軟らかい氷も、水をまとっている氷も越えて、
最後のF5だかF6だけリードさせてもらった。
F5だかF6

登ること自体はアックスの打ち込みと足元の蹴り込みを意識していれば、あとは何とでもなるけど、
やっぱり緊張するのはスクリューをねじ込んでいくとき。
その瞬間になると突然、手元も足元も「抜けやしないか」と不安に思えてくる。
指やつま先が直接壁面に触れていないからかな。
この感覚を磨くのにはまだ当分時間がかかりそうです。

ともあれ、最後の滝を越えて、大同心の下をトラバースして、小同心へ。
ここの岩は、雪や氷が着いていないと、石の混じった特大の泥団子にしか見えない。
小さいほうの泥団子

小同心は2年生の12月に来たけど、その時はもっと寒くて、雪もあったような・・・
エルニーニョの影響なんですかね。
とにかく、ギアを一度整理して、「小同心クラック」に取りつく。
1P目を登っていくしょーへーさん

人気ルートなだけあって、岩は割と安定しているし、ホールドは特大。
アックスは端からザックに入れてしまって、
グローブをしてアイゼンを履いて乾いた岩を登っていく。なんだか変な感覚。
ここはフリークライミングのゲレンデ?なんてことはさすがに思わないけど。
ザイルを長くのばして、2ピッチで小同心の頭に抜けた。
なぜか真剣な顔をしてみせるしょーへーさん

あとはリッジを少し歩いて、稜線直下の短い岩場を登って、横岳の山頂に出た。
「てっぺんに突き上げるって、やっぱりいいよな」という意見はふたりで一致した。
山頂で一息ついて、赤岳方面に向かい、地蔵尾根を下って行者小屋へ。
下っていくごとに雪がなくなり、最後にはほとんど夏山みたいな道を歩いて美濃戸に帰った。

ここ一カ月ほどでいろいろ揃えた装備と、それに自分自身の試運転を兼ねた今回。
暖かかったのでウェア類はあまり出番がなかったけど、
アイゼンの感触は良好、アックスは慣れが必要という印象だった。
それと自分自身は、もうちょっと経たないと分からない部分が多いけれど、
とにかく裏同心ルンゼの氷や小同心クラックを前にしたとき、
「あ、自分はまだこういうものにもワクワクできる」と実感した。
しばらくアルパインから離れていて、乾いた岩ばかり登っていて、
いざ帰ってきたときにどんな感覚がするのかな、と思っていた。少し不安でもあった。
でも結局、自分はこういうクライミングも好きなんだよな、と思う。

どうせなら、欲張らないとね。

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