予報を見るたびにため息しか出てこないこの頃だったけれど、
天気に翻弄されながらもこの週末はとてもいい週末だった。
去年の秋は、ソニー・トロッターに会った。
今年の秋は、また別のヒーローに会ってきました。
金曜日に小DKと荻パンに遠征して、翌日は単身瑞牆へ。
管理棟を覗いてみると、受付のところに異国の方が。
キャロライン・シェバルディーニ。見間違えようもない。
近くにカメラマンのエディとTNFのデイヴも居て、挨拶をした。
会うなり「ゲンキ!?」とでっかい声で訪ねてくるエディ。
なるほど、これがサル左衛門のいう「エディちゃん語」か。
コーヒーを奢ってくれるというので、ごちそうになった。注文は僕がしたけど。
そんなことをしていたら、キャロラインがジェームスを呼んできてくれた。
ジェームス・ピアスン。トラッドクライミングに興味を持った頃からの、僕にとってのヒーローだ。
「いい天気だな」
「典型的な日本の天気だね、これは」
とか言って笑うしかない天気だったので、とりあえずゆっくりお茶して、
この日は不動沢のルートを案内して回ることになった。
それでも一応道具を用意するジェームス
行く前に写真を見せたらジェームスが食いついたので、弁天岩のPを見に行った。
トポにはアプローチ2時間と書いてあるので、どう思うかなと少し心配したけれど、
彼らはバリバリ歩くクライマーだったので、いつもより早く着いたくらいだった。
聞くと、数日前まで滞在していた金華山はアプローチ3時間なのだそう。そりゃ楽に感じるわ。
Pを眺めるジェームス
ジェームスはフィックスを登っていったきりなかなか降りてこない。
彼がぶら下がっている間、僕は取り付きでキャロラインと話していた。
クライミングスタイルとか、日本のクライマーのメンタリティーのこととか、突っ込んだ話もした。
こういうことを表現するのは、本当に難しい。
それでも彼女は興味深そうに聞いてくれるので、助かった。
その後は千両岩のフェースに行ったり、近くの「ハードノックライフ」を眺めたり、
エンペラータワーの5.13たちを紹介したりしたけれど、どこもシケシケ。
フェースが辛うじて乾きそうではあった。
さしあたって二人は千両岩のルートをやっているそうで、
ジェームスによると「パッセンジャー」はE8かE9になるらしい。
キャロラインにとってはアメリカ式のRとかXの表記は馴染みがないようで、
「これってつまりどういう意味?」と聞かれた。
「Rは『おっかないけど大丈夫』、R/Xは『落ちない方がいい』、Xは『落ちたらアウト』」とジェームス。
うん、分かりやすい。
管理棟に帰ってきてから、梨を食べながらエディに金華山の写真を見せてもらった。
日本にもこんな場所があるのか。ぜひ一度行ってみたい。
自分がカメラを向けられると大抵サムズアップするエディ
彼らの登りが見られなかったのは本当に残念だったけれど、
一緒に瑞牆の森を歩いて、岩を見て回って、クライミングの話ができた、
それだけでとても楽しく、僕にとっては非常に贅沢な時間だった。
自分が日本の、瑞牆山の片隅でゆっくりゆっくりやっていることが、
世界のどこかに、あるいは誰かに繋がっているんだと、そう感じた。
そしてそれが彼らだったことが、とても光栄だった。
ジェームスはPを見て、「出来るかどうかわからないけど、Super coolだ」とコメントをくれた。
それだけでも、やってみる価値がある。
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