2017年2月24日金曜日

Joshua Tree 2017 その3

ツアーも残り数日になり、いよいよ切迫してきました。

2月20日 「4回」
今日はレスト日。2人に付き合う。
福ちゃんがHot Rocksをやりたいと言うので今日もOutback。
それにしてもStingrayの負担は大きい。今朝は起きるのが一番最後だった。

さて、まずアップでアラカワくん希望のThe Flake(5.8)を登りにIntersection Rockへ。
The Flake

それからHot Rocksに移動。
福ちゃんは、今日こそは一発で仕留めた。お見事。
ほいほいと最高グレードを更新していって羨ましい。
Hot Rocks

続いて、アラカワくんがHobit Roof(5.10d)をやりに行き、
「OSしたら飯奢ったる」と言ったら本当にOSしてしまった。
うぬぬ、やられた。抜けるときに「どうよーぉぉぉ!」とか言ってたし。
Hobit Roof

その後Real Hidden Valleyに移動して、福ちゃんがLeave it to Beaver(5.12a)を探り、
アラカワくんが気持ちよさそうにSail Away (5.8)を登って早めに撤収。
Sail Away

今日はシャワーを浴びたかったが、洗濯をしたり、
福ちゃんの忘れ物を取りにキャンプ場に戻ったりしていたら、閉まってしまった。不覚。
Crossroads Cafeで夕飯を食べ、スタバに行って通信。
ここでやっと、サル左衛門がLucid Dreamingを登ったという報告を受けた。
やるだろうと思っていた。というよりも、そう祈って待っていた。
そうなるという気がしていた。
さて今度はこちらの番。

今日は2人のクライミングを眺めながら、頭の中で4回登った。
あと何回これを繰り返せば、現実になるのだろうか。
まずは明日、全力でぶつかるとしよう。


2月21日 「3ラウンド目」
昨日は遅い時間にスタバでコーヒーを飲んでしまったためか、いやに眠りが浅かった。
それよりなによりStingrayのトライのことが頭に浮かんでは消え、浮かんでは消え、
もはや消えてくれないまま眠りを妨げていた。
今朝はまた一番に起きて、ギアの整理をしていた。

今日は丸一日使えたので、アップのためにEcho Coveに行ってみた。
5.9から5.11cまでフェースを5本登って、丁度いいアップになった。
アラカワくんもちょびちょび登り、福ちゃんは明日に備えてレスト。
最後にアラカワくんの希望でEcho RockのTS Special(5.9)に行った。
キレイなスカイラインだが、どランナウト。
アラカワくんはJoshua Treeの厳しさに改めて慄いていた。

それから、Stingrayへ。
今日はトップロープを短めで切り上げ、長くレストしてからリードでトライ。
今日はじっくりジャムを決めていった。
核心の数手をほとんど無呼吸でねじ伏せ、最高到達点を更新。
が、その上の、いつも嫌なセクションで左足がスリップして呆気なく落ちた。
ここはいつも足下が悪い。嫌なイメージが現実になってしまった。
そもそもパンプした状態かであのまま押し切れたのだろうか。
とにかくワンテンで抜け、指はほぼ無事。
核心の感触は明らかに前よりもよくなった。
明日はフルレストで、明後日に勝負をかけたい。

トライできるのはあと2日。胃が痛くなりそうな日々はもう少し続く。


2月22日 「合流」
今日もまた、起きるのが遅かった。
起きるとテントの中でアラカワくんが玉ねぎを切っていた。
Stingrayをやった翌日は疲れが出るらしい。

今日はフルレストということで、二人に付いていった。
Real Hidden Valleyに行って、福ちゃんがLeave it to Beaverをやるので、
上からぶら下がって写真を撮ることにした。
2人がアップでSphincter Quits(5.9)を登っている間、
日向でゴロゴロとして、ギアを整理して、音楽を聴いてと、
レスト日を絵にかいたような状態だった。
おもむろに跪く人(ジャミング練習中)

福ちゃんはしつこくトップロープでリハーサルをして、
焦らずゆっくりと時間を使ってLeave it to BeaverをRP。
Leave it to Beaver

最後にアラカワくんがClean and Jerk(5.10c)に返り討ちにされ、本日は早めに撤収。
Coyote Cornerに行って、今日こそはシャワーを浴びてすっきり。
それからスタバでBishop組と合流。
今年のBishopは天候と道路状況が過酷だったらしい。
話ははずみ、明日の予定を立ててから2人のモーテルに行って、近くで外食。
これで毎晩シャワーが浴びられそう。
Bishopから来た御二方

明日は再トライの日。
今日もまた、頭の中で4回登った。
前よりも少しばかり現実に近づいているけれど、
それでも「登れなかったらどうしよう」という恐れが顔を出し続ける。
ここからが勝負、最終局面だ。

2017年2月21日火曜日

Joshua Tree 2017 その2

2月16日 「お腹が幸せな日」
レスト日。しかし丸々つぶしてしまうのは勿体ないので、
アラカワくんの希望でReal Hidden ValleyのThin Wallで半日登った。
Thin Wallは易しいルートが何本か並んでいて、手ごろな感じ。
とりあえず右端から順にソロで登っていって、7本くらいでやめた。
Thin Wall

昼過ぎに街へ出て行って、洗濯⇒シャワー⇒昼食という流れに。
お昼は去年何度も行ったタイ料理店に行った。
店員のおばちゃんが僕と福ちゃんの顔を覚えていてビックリ。日本人は珍しいのか?
料理はやはりおいしかった。セットで出てくるスープが美味いったらない。

その後はスタバでまったりして、買い出しをして帰った。
夜は福ちゃんが日本から持ってきたカレーを作った。安心の日本の味。
これでまた数日頑張れる。


2月17日 「風雨」
朝起きたときはいつも通り穏やかだった。
今日はOutbackに行って、まずは福ちゃんリクエストのSidewinder(5.10b)。
福ちゃんは去年フォローで登っただけだったので、今年はリード。
とくに危なげなく登っていったけれど、上部のトラバースは慎重だった。
Sidewinder


その後アラカワくんとDeflowered(5.7)を登って、Sidewinderも登っているうちに、
どんどん風が強くなってきて、岩の上に立つと飛ばされそうなくらいになった。
福ちゃんの希望でHot Rocks(5.11c)に行ったものの、弱まる気配なし。
折角なのでリードでリピートしようとしたら、核心手前でスリップして落ちた。
なんだか空模様も怪しい。それになにより寒すぎる。
登っていると風に煽られて落ちそうなくらいになった。
もうエリアにいるのも辛いくらいになってしまったので、午後のStingrayは諦めて撤退。
街に下りてスタバで時間をつぶした。

夜には雨粒が当たるようになり、予報では明日は雨。
まさかここにきて天気に阻まれるとは思っていなかった。
というかそもそも雨が降るんだな、この土地は。

2月18日 「沈殿」
まさかJoshua Treeでこの言葉を使うことになるとは。

朝から雨。湿った土のにおいに、日本の山を登っているような気分になる。
雨が降ってしまってはどうしようもないので、強制レスト。で、不貞寝。
朝食後にしばらく読書をしてから昼寝して、
あとからやってきたフランス人グループに起こされたりしたけれど、
ほとんど丸一日テントから出ないで過ごすことになった。
もう絵にかいたような沈殿っぷり。
今回のツアーそもそも時間がない。ここで2日のロスは痛い。

夜には雨が上がり、またいつものようにプラネタリウム。
しかしテントの入り口がなぜだか泥沼化してしまって、どうにも出入りが不快。


2月19日 「2ラウンド目」
朝から晴れ模様。カリフォルニアさんが機嫌を直してくれた。
地面はまだ湿っていたものの、丸一日登りに出かけた。

午前中は福ちゃんの希望でまたOutbackへ。
Hot Rocksの左の5.9をソロで登って、Hot Rocksはトップロープで登ってアップ。
それから、上からロープを垂らしてカメラを構えてみたものの、
福ちゃんは核心手前でスリップしてあえなく撃沈。
とりあえず写真はばしゃばしゃとそれなりに撮っておいた。
Hot Rocks

それからアラカワくん希望のHobit Roof(5.10d)に行ったものの先客がいたので、
Outhouse RockのStrawberry Jam(5.9)を登りに行った。これもソロで登った。
アラカワくんは核心でビビりまくっていたものの、手堅くゲット。
おっそろしいほどハンドジャムがよく効く快適なルートだった。
Strawberry Jam

週末ということで公園内は人で溢れ返っていて、
Wall Street Stamp Millの駐車場もいっぱいだったものの、
タイミングよく出る車がいたので、なんとか停められた。
時間は少し遅くなってしまったけれど、Stingray2日目。
今日は雨で流れてしまったチョークをつけなおし、ムーヴを少しやってから、
時間をおいてリードでトライした。
結果、核心の左手のジャムを取り損ねて落ちた。
まだ、いい勝負とは言えないトライだった。
その後核心はエイドアップで回避して、抜けるまでにもう2回落ちた。
とにかく、持久力が足りない。核心をこなしても、その後どこでも落ちそうだ。
ただし、ムーヴの修正点や上部でのレストの仕方などいくつか発見もあった。
幸いなことにテーピングなしでトライしたものの指はほぼ無傷。
これで今後も攻められるだろう。


ということで、収穫ありと言えばあり。むしろそう思わないとやってられん。

2017年2月17日金曜日

Joshua Tree 2017 その1

アメリカからこんにちは。
13日に日本を出て、今年もアメリカのJoshua Treeに来ています。
今回の目的は言わずもがな、Stingrayへの再戦です。
キャンプ生活なので、書いた日記を加筆修正して載せていきます。

2月13日 「また旅のはじまり」
毎度のように前夜は眠らずに、書きものをしたり、
NalleのLappnor Projectを観たりして朝を迎えた。
9時前にタクシーが来て、学生としては最後の旅が始まった。
成田空港までのルートがいつもと違い、茨城を経由したので、
途中思いがけず牛久大仏を見ることになった。
ウルトラマンかというスケールで佇む後ろ姿だけ、車窓から見えた。

今回のメンバー

成田に着いて、福ちゃん、アラカワくんと合流。最後の飯として天丼を食べた。
今回も利用する、安さの代名詞アメリカン航空。
しかし今回は機材が一新されたようで、以前ブローに行ったときよりも快適だった。
眠ろうにもほとんど眠れず、映画を3本観ていたら、快晴のロスについた。
入国審査も非常にスムーズ。職員が気だるそうなのは相変わらずだった。
レンタカーを回収して、あとは一路Joshua Treeへ。
4時間くらいを見込んでいたものの、実際は3時間たらずで着いた。
おかげで買い出しと国立公園のパスの購入も今日中に済ませ、一気に入園できた。
機内でも勉強熱心なアラカワくん

風車の群れ

明日からいよいよ始まる。
不安と確信の両方があり、今はまだ不安が勝っている。
それを早く逆転させたい。

2月14日 「スローにスタート」
これでもかというくらい寝た。7時過ぎに福ちゃんに起こされる。
そういえば深夜に一度起きた時に、遠くで何かの遠吠えが聞こえていた。コヨーテか?
今日はReal Hidden Valleyへ。
二人がまず易しいクラックを登りたいようだったので、Locomotor Rockで数本登った。
合間に、2本ソロした。去年登ったののリピートだけど。
今回はゆっくり研ぎ澄ましていく時間はない。少し強引でも、勘を戻したかった。
5.6をリードするアラカワくん

その後Sentinelへ行って、福ちゃんがIllusion Dweller(5.10b)をリード。
去年一度トップロープで登っていたのだけど、特に問題なくリードしたようだった。

それから本日の本題、Heart of Darkness(5.11a)へ移動。
トップロープを張るためにリピートした。いいルートなんだけど、短いの残念。
二人がトップロープでトライして、プロテクションやらなにやら入念にやっている間に、
トップロープで登って下りてをやってみた。
クライムダウンは案外すんなりできた。
やっぱりしっかり割れたクラックの方が、こういうことはやりやすいみたいだ。
最後の福ちゃんがリードでトライして、最後で落ちかけたもののギリギリ耐えてRP。
早速目標ルートを1本落として幸せそう。
Heart of Darkness

今日は去年登ったルートのリピートしかしなかったものの、
ジャミングの感覚は前よりも良くなっているようなので、明日から一気に加速しよう。


2月15日 1ラウンド目(2nd シーズン)
今朝は早くに目が覚めた。
3時半くらいからひたすら浅い眠りを繰り返して、6時半には起きて散歩に出かけた。
日の出は6時半から7時の間といったところか。

今日は午前中にStingrayに行ってみた。
イグアナドームの北面は少し東を向いているらしく、取り付きに日が入っていた。
日向は暑く、日陰はひんやりといういつものパターンではあるが、
コンディションとしては午後にやった方が良さそうだった。
それにしても、アップなしでいきなりトップロープでやるのは、流石に甘かった。
指が痛いこと痛いこと。そしてジャミングがいちいち気持ち悪い。
エッジに作った核心のレプリカは、結構甘かったことが判明。本物のが悪いやん!
しかしトレーニングの効果は一応あるようで、
テーピングを替えてからのトライで核心だけは繋がった。
それでもカムのセットと後半のヨレを考えると、まだ時間はかかりそうな気がする。
今日は深追いせずにやめた。

その後は福ちゃんの希望でRusty Wallへ。どうもツアー2日目はここに来るらしい。
福ちゃんがO Kelly's Crack(5.10b)とWanger Banger(5.11c)をやって、O KellyはRP。
見てわかるくらいにビビっていたけど。

暇つぶしに登ったら5.6くらいだった

最後に暗くなる中Hidden Valleyに行ってDouble Cross(5.7)をソロで登った。
アラカワくんもヘッドランプを点けてリードして、終了。

2017年1月30日月曜日

リハビリテーションとリービテーション

響きが似てるな、というだけで、特に意味はありません。
というかちゃんとリービテーションをしたことも、実はありません。

昨日はE川さんとアラカワ、大ザルと、瑞浪に行ってきた。
岩場のことは前から知っていたけれど、行くのは初。
ツアーに行く前に花崗岩のクラックを登って、その感触を確かめておきたかったわけで。

恵那のインターを降りてしばらく行った辺りでちょっと迷った。
岩場は見えているのに、これ、どこから入るの?となる。
一昔前に通っていた大ザルの記憶は曖昧なので、近頃一度だけ来たアラカワくんのナビで探す。
同じところを2回くらいぐるぐるして、やっと道を発見。

展望台のあたりに行ったら、大ザルも徐々に思い出してきた様子。
「こっちがコレで、あっちがアレで」と解説していた。
とりあえず出来るだけたくさん登った方がいいので、「新人クラック」から始めた。
トポを見ていないのでグレードはよくわからないけど、5.10aくらいだった気がする。
見た目のわりにジャミングがしっかり効くので、案外素直。
思い切って動いたらあっけなく終わってしまうのが残念。
トップロープでアラカワを登らせたりして、次は「秀則コーナー」(5.8)。
これは見た目よりもちょっと悪かったけど、まあ快適。気持ちのいいフィンガーだった。

で、やっと本題その1、「イヴ」(5.11c)にトライ。
トライしている人がいたので、そのあとに続いて恐る恐る取り付いた。
正直、白髪鬼以外でエイリアンの青を真面目に使うとは思っていなかった。
核心手前にばっちりフィンガーが効くところがあって、
その直後でクラックが閉じてきてジャミングは一切受け付けてくれない。
なので、固め取りであとは突っ込む。そりゃそうだよね。
核心のど真ん中でちょっと行きつ戻りつしたものの、結局強引にねじ伏せてしまった。
クラックというより、ボルダーの動きだった気がする。あまりいい動きではなかったかな。
とにかく、強引さ丸出しだったもののフラッシュ。

その後、大ザルが一言、「じゃあ、次はクライムダウンだな」。
なんでも、当時トレーニングと称して登ったり下りたりまた登ったりしていたそうな。
ということで、トップロープでやってみたら、
登りはできたものの下りの最後でスリップして落ちた。
だからどうということはないんだけど、微妙に悔しかった。

大ザルがトップロープで「イヴ」を登るのをビレイして、本題その2、「アダム」(5.11b)に移動。
こっちの方がクラックは太いので、「イヴ」よりは愛想がよさそう。
ひとしきり眺めて、カムを選んでいざオンサイトトライ。
これも短しい系なので、カムを固めて一気に核心に突入。
ガビガビの岩質のせいで指が抉り取られような痛みがあるけど、ジャミングの効きはいい。
痛みで呻くような声が出たけど、足元の微妙な結晶を拾って無事オンサイト。
あと10メートルこれが続けば、本当にいいルートなんだけどな。

E川さんとアラカワがトップロープで「アダム」にトライして、最後に「ひばりチムニー」へ。
ヒールトゥから始まって、Tスタック、バックアンドニーに続くチムニーで、もちろんノープロ。
いや、ここにボルトが打たれていたら、それこそ興ざめですよ。
久しぶりにズリズリして、いい具合にあちこち擦り傷を作って、気分はすごく充実した。
大ザルは「瑞浪で一番いいルートだと思う」と評して歩くように登っていった。
E川さんがボロ雑巾になりかけながら抜け、アラカワはえらく楽しそうに登っていった。
「オレ、こういうの苦痛じゃないっす」とかなんとか言っていた。
右の岩のワレメがアダム、左の岩のワレメがひばりチムニー

ちなみに「アダム」はリピートせず。だって痛いじゃないですか。

差し当たり、「アダムとイヴを一撃できれば」と考えていて、その目標は達成したので、
今回はこれで結構満足でした。
今日はこの前エッジに設定させてもらったジャミング課題をギリギリ登って、
少しずつ、イメージは良くなってきているようです。
弱り切った指皮はまだまだ戻ってきませんが。

2017年1月23日月曜日

break through

先週、論文を一時提出したので、やっとクライミングに復帰しました。
土曜日にエッジで2か月ぶりに登って、勿論調子は最悪だったわけだけれど、
ちょっとしたことで呼吸が荒れるのも、指がどんどん痛くなるのも、
「これはいいこと!これはいいこと!」と引きつった笑いで誤魔化したりなんかして。
あと3週間たらずで体をオーバーホールしなくてはいけないので、ちょっと焦ります。

昨日は最近下地が荒れているらしい遠山川へ。
メンバーは高校生3人組と、とやさんと、大ザル、僕。
あまり日が差さなくて、寒い一日だった。
河原の岩は、寒すぎると逆にヌメるような感覚があるのだけれど、これは何なのだろう。
黒のれお、赤のりんたろう、緑のゆーき

中流対岸で一通りアップして、不調ながらも1級くらいまでは登って、アンバマイカに移動。
なるほど、確かに下地が荒れている。
下降路だったところの下地が完全になくなって、完全に流れの中。
石が転がったか、岩盤が崩れたか。どっちにしてもここからの下降は無理。
アンバマイカのリップまでクライムダウンして、飛び降りるしかないです。
下流側の下地も狭くなってしまったので、人手を活かしてせっせと土木工事。
おかげでなんとかアンバマイカだけはトライできるようになった。

ということで、アンバマイカのトライが始まった。僕はもっぱら観戦。
りんたろうがあっさり一撃して、ゆーきとれおが続く。
ゆーきは下降でびびりまくって、10分くらい岩の上で立ち往生していた。
少年よ、キミはトラッドクライミングとかには向いていないようだ。

そして、ついに大ザルがアンバマイカを登った。

1回目のトライでマントルまで繋がったものの、スリップして派手に落ちてきた。
2回目は中間部でぽろっと落ちてしまった。
「次のトライで登れなかったら、今日は無理だろう」「次で決めなきゃだめだね」
そう言って、いつもより短いインターバルの後、3回目のトライ。
昨シーズンまで「ここはどうやっても足が切れる」と言っていた核心も、
淡々と足を切らずに止めて、一切乱れることなくリップ下のポケットを捉えた。
マントル前の数手で、少しばかり精彩を欠いて、足が切れた。
こちらまで力が入って、つい「集中!」と一発声をかけていた。
クライミングの師に喝を入れるなんて、後になって思いもしたけれど、
その瞬間はそれどころではなかった。
父親だろうが、師だろうが、目の前にいるのは限界を超えようとしているクライマー。
ついにやってきたその瞬間を自分のものにしようとしているクライマーだった。
1回目に失敗した部分を、きっと必死の形相で押し切ったことだろう。

右手がプッシュに変わって、重心が完全にリップの上に乗る。
空を掻いていた右足がゆっくりとリップの上に乗せられ、緊張が解けた。





その後、とやさんもリーチの差を見事にねじ伏せてゲット。
まさに、アンバマイカの日でした

その後は上流に移動して、高校生たちは「キラーボーイ」(初段)をトライしていた。
僕はマットを一枚持って、単身「狂骨」(三段)をやっているイガグリさんの応援にいった。
怖がりを自称するイガグリさんも、直前のアンバマイカ祭りを見て俄然燃え上がり、
このエリアの三段の中では一番高くて恐ろしい「狂骨」をばっちり仕留めた。
すんばらしい完登ラッシュでした。
キラーボーイの完登は出ず


誰かのクライミングを見ていて、驚いたり盛り上がったりすることは多々あっても、
心底感動することは滅多にない。
それに翌日にこうやって文章にしていて、どんどんとその気持ちが増してくることも、
やっぱり滅多にあるものじゃない。

大ザルが登り切ったとき、感動で体が震えるとともに、安堵を覚えた。
きっとそれは、この人とアンバマイカの5年間を知っているからだろう。
途中、ずっと一緒に通っていたわけではないし、山に行ったり海外に行ったり、
それでもずっとこの課題を「生涯の課題だ」と話していたことを、
ジムでも家でも黙々と指とフィジカルを鍛えてきたことを、
その年の天気とコンディションに一喜一憂していたことを、
そしてパートナーがいないときも一人で何枚もマットを運び、流れを渡って通ったことを。
「長かったね、よかったね」と、ただそう思っていた。

きっとこんな風に僕が書き綴っていても、まるでそれが的外れであるみたいに、
本人の中ではただただ嬉しくて、純粋な喜びとしてあるだけで、
ものすごいドラマでも、押し流されそうな感動でもないのかもしれない。
またひとつ自己の限界に打ち克ったという、気持ちがあるだけで、案外シンプルなのかも。
でも、僕には、僕らにとっては、本当に劇的で、感動的で、
誰かに語らずにはいられないくらいの出来事だった。

「生涯の課題」と語ってはいたけれど、その先はまだまだある。
「あれもやりたい」「つぎはこれ」と、すでに遠山川での次の目標は決まっているらしい。
それに、瑞牆にはもうひとつの大きな宿題が残っている。
アンバマイカの岩から降りてきて、思わず抱き合った大ザルの背中は、まだ力強かった。
まだまだこの先も進んでいってください。


前にどこかで書いたかもしれないけれど、
「アンバマイカ」という言葉は南信地方の方言で「遊ばねえか」という意味なのだそうだ。
なんていい課題名なんだ、と改めて思う。

クライミングについてああしろ、こうしろと教えられた覚えは、あまりない。
ただただ、自分の好きなものの魅力を示し、分かち合ってくれていただけだ。
だからこの先もずっと、自分がクライマーである限り、
いつもみたいに僕らに声をかけてくるのだろう。
「アンバマイカ」と。


2016年12月27日火曜日

2016年

近頃研究が佳境に入って、全く登れなくなってしまってますが、
今年はそういう年ということで、もうちょっと我慢です。
あと1か月の辛抱・・・


まだ数日ありますが、2016年の総括をば。
例年よりもかなり少ないですが、印象に残ったもの。

Joshua Treeツアー(2/8~3/8)










白髪鬼 5.13d 湯川

Sentiment 5.12c (FA) 瑞牆


王様ゲーム 三段 遠山川


天照 三段 遠山川


蝸牛の角 初段(FA)  海谷渓谷


鹿島槍ヶ岳北壁主稜


2016年は、とにかく我慢の年でした(現在も継続中)。
クライミングの時間がこんなに少なかったのも久しぶり。
それでもちまちまと、出来ることをやっていた感じです。
結果として登ることができたものは、数は多くないもののどれも結構思い入れがあります。
細々とでも、続ける意味は間違いなくあるな、なんて思ったりして。

今年一番大きな出来事は、やはり春のJoshua Treeツアー、そしてそこでの敗退でした。
Joshua Treeは本当に素晴らしい場所で、楽しくて仕方なかったのだけれど、
最後の最後までやって登ることができなかったという事実は強烈で、
それを別の思い出で飾って上書きすることはできません。
一方で、自分の身の丈を窺い知ることができたかな、と思ってもいます。
だからこそ、その身の丈を超えるためにも、Joshua Treeにはもう一度行く予定です。


これまでよりゆっくりとしたペースでクライミングを続けながら、なんとなく、
広大な土地でひとりポツポツと石拾いをしているような、そんな気分になりました。
あっちへふらふら、こっちへふらふらと歩きまわりながら、
自分にとって価値のあるものや、自分が美しいと思うものを、ひとつずつ拾い上げていく。
初めからキラキラ光っているものもあるし、磨いてみたら光ったというものもある。
ときに、歯を食いしばらないと拾い上げられないものもある。
そうやって見つけられる石は、あまり多くないのかもしれないけれど、
それでも僕はこれまでと同じように、泥や埃にまみれながら石拾いを続けていたい。

そんなことを思う年でした。
この先も少しずつ、拾って集めていきます。


話がまとまらなくなってきたのでこの辺で。
皆さん、よいお年を。