2015年5月19日火曜日

Hoya Moros 1 その1

金曜日は17時ころに家に着いて、その後はほとんど何もせず、
買ってあったオレンジをもそもそ食べて過ごした。
木曜日にジムでエドゥやサラと「土日はAlbarracinかな」なんて話していたのだけど、
夕方エドゥから来た連絡は例によって予想と違っていた。
「今週末はHoya Moros行くぞー」

Hoya MorosはSalamancaにある山の上のエリア。
このエリアのことを知ったのはたしか、スペインへの留学を決める前。
Iker Arroitajauregiという人が、とんでもなくカッコいいハイボールを初登しているビデオだった。
緑色っぽい地衣類のついた岩が折り重なる、夏季限定の山岳エリア。
よく調べてみるまでそれがどこかも分からずに、ただ「いつか行ってみたい」と思った。
その後紆余曲折を経て、スペインに来ることが決まり、
それからずっとこの季節がやってくるのが待ち遠しかった。

エドゥから「行くぞー」と連絡をもらってからスーパーへ買い出しに行って、
あれこれ準備していたらあっという間に深夜。
トポはないので、ビデオをいろいろ見直そうかと思ったけど、急いで就寝。

翌朝、珍しくエドゥとパブロが時間通りに迎えに来て、いざ出発。
荷物は多いけど、培ったテトリスの技術をもってすれば問題ないのだ。
集まってみたら3人とも黄色いTシャツで丸かぶり。なんてこった。
マドリッド市街を抜け、峠を越え、アビラとかいう町をかすめて西へ。
途中で寄ったガソリンスタンドで、トイレの水道水を飲んだエドゥが
「ガソリンみたいな臭いがする」とか文句を言っていた。

この山かと思って撮ったけど、違います

道中の町で買い物をして、ボカディージョをこしらえて食べて、
マドリッドから3時間くらいかけて麓のCanderalioという村に着いた。
ここはスペインの美しい村10選だかに選ばれているらしい。Albarracinもそうだったような。

それから森の中をダートを30分くらいゴトゴト走って、車のパートはおしまい。
そこら中に牛がいる

やる気満々のパブロ(なぜかスニーカー)

駐車場から急な樹林を登るとすぐに森林限界を超えて一面花畑に。これもまた黄色い。

急登を終えて尾根に出るとしばらく平坦な道になって、それから谷の中へ。
一段のっこす度に、綺麗な景色が現れる。
エリアはあの山の真下

2時間くらいかかると聞いていたのだけど、実際は1時間半くらいらしい。
弁天や矢立に開拓に行くよりも歩きは楽かも。比較的なだらかだし。
帽子がかわいい兄貴

去年の夏に北アルプスの御山谷へ開拓に行ったときは相当感動したけれど、
Hoya Morosのエリアに着いた時の衝撃と感動はその数倍だった。
これだってごく一部

驚いたのは、山岳エリアなのに芝生みたいな草地が広がっていて、下地がいい課題が多いこと。
その草原にこれまた黄色い花が咲いていて、空と、岩と、草と花とで色鮮やか。
それらの色彩の中を澄んだ小川が流れている。
とかなんとかぐだぐだ書いてますが、とにかく筆舌に尽くしがたい光景だった。
感動しすぎて写真もろくに撮らず、というかカメラすら持たず歩いてカールを一周した。
見たことのある課題もそうでない課題も、いちいち綺麗で格好良くて困った。
こんなところがあったなんて!

久しぶりに感じる浮足立ってしまうような興奮が収まってからアップ開始。
と言っても、二人も7a周辺の課題しか知らないようなので、いきなりそれくらいの課題から。
まあ前2日登っているのだからいいでしょう。
最初にEl Criptex(7a)にトライ。これはオンサイト。
ここの岩は花崗岩らしいけれど、結晶がバカでかくてガビガビ。というかトゲトゲ。
次に日ががんがん当たっている三角形のスラブ。
5月でしかもあちこち残雪があるくらいなのに、日向は真夏のように暑い。
でも、簡単そうなので気にしない。
クラックが少しじゃりじゃりしていたのでもしかしたら初登?
ついでにその左側のカンテに出るラインも登った。
こっちも中間部から上がイワタケまみれだったので初登かも。6aくらいか。
いまいちはっきりしないし確認も出来ないので別段発表もしませんが。
これだって結構高い

次に行ったのは、Aurora(8a)のある岩。
この岩はUFOが真っ二つに割れたみたいな形をしている。

二人ともスタンドバージョンのMuna(7a+)をやるようなので、まずはそれから。
リップを取るムーヴが悪かったけど、これも一撃。
岩を断ち割るクラック沿いに降りたけど、かなり恐ろしかった。
パブロが気合の入ったトライで先にゲット。
「そこのリップから飛び降りた方がいいよ」と教えたのだけど、
「だめ、怖い」と珍しく弱音を吐いて、結局僕と同じクラック沿いを大騒ぎしながら降りてきた。
そっち方が怖いんだけどなあ。
Muna

で、エドゥがレストするというので、Auroraをやってみる。
ハングの右下の方にあるアンダーから、とことん同じ向きの縦を繋いでMunaに合流する。
オリジナルのパートが、ホールドは掛かるけどスタンスが悪くてしんどい模様。
手順も足順も多少ややこしくて、セッションする相手もいないので時間がかかったけど、
30分くらいやったらなんとかバラせた。
とりあえずちょっと休んだら、エドゥがMunaを登った。やったね。

3連登目で、あまりハードにプッシュするつもりはあまりなかったので、
「2,3回やったら次に行こう」と言って、スタートからつなげ。
そうしたら、下部からムーヴがすぱすぱ決まって、
Munaのスタートを取る一番悪い一手も何とか止まってしまった。
リップ手前の中継を取ったところで体が剥がれかけたけど堪えて、そのまま押し切れた。
Aurora 8a

実質1時間かからずに登れてしまった。突然のことに驚いた。
最近調子があまりよくない気がしていたので、この課題は帰国までに登れればいいや、
という程度に考えていたのだけど、意外と体は動いてくれるものだ。
エドゥが「2,3回って言ったじゃん!」と笑っていた。

その後はパブロがEl Criptexをもう一度トライ。
El Criptex

ちょっとリーチ差がでる核心がぎりぎり届かず、これはできず。惜しかった。

最後に、Techo Patrones(7a)の岩へ。

パブロがハングの中のアンダーから出てくるラインをやっていたので、乱入して一撃。
Techo Patronesは左の方の縦ホールドがスタートなので、これはバリエーション?
帰ってきてから調べてみたけど、結局分からず。7a+くらいかな。
次にTecho Patronesのすぐ右のアンダーふたつからリップにランジするHercules(7b+?)にトライ。
両手アンダーからフリクションばりばりのリップにどんっと一手であとはマントル。
一撃は逃して物凄く遠く感じたけど、数回でコツをつかんでランジが止まり、そのままゲット。
SDは8bらしいけど、今回はやらず。
夕焼けとHercules

三人とも成果あって満足して終了。
風が当たらないボルダ―の陰にマットを敷いて、夕飯を作った。
ここはケータイの電波がとどくらしく、二人が電波の強いところへ行っている間に寝てしまった。
月はまだ昇らず、灯りも一切ないので、
目の悪い僕でも「星ってこんなにあったのか」と思うほど、綺麗に星が見えた。
街でも見えている星々の間に、もっとたくさんの星が光っていることを僕は知らなかった。

1 件のコメント:

  1. 初めまして、今現在スペイン留学中ですがHoya Morosのことをこのブログで知りました。
    仲良くなったスペイン人と行けてとても楽しかったです! criptex やTecho patronesもできました!
    また今週Abarracinに行くのでこちらのブログを参考にします!

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