2015年10月6日火曜日

会う

この週末は、ちょっとミーハーになってみました。

土曜日、かなり早めに出て小川山へ。
何故か夜明け前にやってきていた寝不足のイケダくんと合流して、
金峰山荘の前で待つこと1時間ほど。
ジャンボさんらと一緒に、背の高いカナダ人がやってきた。
スコーミッシュでCobra Crackを初登したソニー・トロッター。
DVD「First Ascent」を当時夢中になった僕としては、
この人が来日するからには見に来ずにはいられないわけで、
そりゃあ柄にもなくミーハーにもなります。
息子のティタムくんを抱いていたので、パッと見たら観光客に見えたけど。

イベントの説明があって、短い挨拶があって、
ジャンボさんが「こいつがガイドだから」と紹介してくれたので、
Ambrosiaがどうだったとか、最近どんなルートを登ったのとか、ちょいちょい話しながら林の中へ。
折角ソニーが来ているし、イベントで人数も多いので、
普段あまり登られていない高さのある課題をやろうということで、
クジラ岩の裏面(人気のない面)の課題をメインにセッション。
ソニーに「これ、シュテファン・グロヴァッツが初登した課題だよ」と教えたら、
「おー、スゲーな」と感心して、10台のスラブでも登るみたいに登って見せていた。
ソニー on グロヴァッツスラブ

同じくイケダくん

懐かしいなーとか思いながら周辺の課題を数年ぶりにリピートして、
マットが積まれはじめた「ピノキオ」(3級)をやってみたら、
上部のクラックがえらく汚くて、あんまり恐ろしいので一度クライムダウン。
チョークバッグをつけて2回目でひーひー言いながら登った。
クラックの中までコケが生えていたら、そりゃ誰だってビビりますよ。
その後、完全に人気課題となったピノキオ

さらに、その右の「穴フェース」(初段)も抜けのカンテ周辺を掃除してからトライ。
最初のトライで「ヘヴンズゲート」(二段)の方にちょっと突っ込んでみたら、
ホールドが全く見えない上に探っても触るのはコケばかりなので、飛び降りた。
ソニーが先陣を切って「穴フェース」の方に抜けていったけど、上部はさすがに結構迷っていた。
降りてきて「掃除ありがとう」と言われた。
そのまま僕も、ソニーのムーヴをマネして突っ込んだら登れた。
カンテを乗り越すまでずっと気が抜けなくて緊張した。
「シークエンスありがとう」とお礼を言ったら、「Team effortだ」とのこと。
あまり登られていなくて上部は自然に還りかけていたけど、いい課題だった。
ジャンボさん on 穴フェース


その後は「ミダラ」(二段)を登って、「真夜中まで」(三段)をバラして、
繋げてみたけど「ミダラ」の核心をヨレてこなせず。
スパイアーの右の4級も久しぶりにやったけど、相変わらずやたら悪かった。
過去に登ったかどうか覚えていない「田嶋ハング」(初段)を登って、
イベントスタッフとソニーたちは夜の部のために、早めに引き上げていった。
こちらはまだ時間がありそうだったので、水晶スラブ下に移動。
これも相変わらず進展しない「頭痛」をやっていたら、
女の子が周りの大人を寄せ付けない強さで「静かの海」を登るところを目撃して、しばし唖然。
まだ小6だと聞いてさらに仰天。
「これからが楽しみ」とか偉そうに言える立場じゃないので、
とりあえず静かに燃えていようかな。

夜はナナーズの駐車場でアンバサダー2人のスライドショー。

ジャンボさんの奥秩父サーキットの話と、ソニーのこれまでのクライミングライフの話。
特に近年日本ではあまりニュースを聞かなかったソニーのクライミングのことを聞けてよかった。
スライドショーが盛況に終わった後も、たき火を囲んでジャミングのコツなんかを教えてもらった。

その日のうちに瑞牆に移動して、数年ぶりにコビッキーと再会。
時間が過ぎるのを忘れて話していたら半分くらいの月が十一面の左から昇ってきた。
気づいたら体が冷え切ってしまっていて、もうぶるぶる。
冬用のシュラフを持って行ってよかった。


日曜日は10時にゆっくり瑞牆の駐車場に集合して、末端壁に行った。
クラックマスターソニーとクラックを登ろうということらしかった。
そういえば駐車場を出る前に未来にも会った。
なんだかD-16メンバーの同窓会みたいだったな。

ソニーが水のしたたる「ワイルドカントリー」のコーナーから「T&T」(5.10d)を登って、
続いて「トワイライト」(5.11c)も余裕でオンサイトして、周りを沸かせていた。
「トワイライト」中間部のワイドで「おー、なんだこりゃ」とおどけていたけど、まあ余裕だった模様。
それまでビレイヤーに徹していた僕もなんだか登れそうな気になって、
アップのつもりで「アストロドーム」(5.11a)をやったら落ちかけた。
混んでるからとか文句言わずに、ここにも通わなきゃダメかな。

スタートがゆっくりだったのであまり時間がなかったし、日がガンガン当たって暑かったけど、
折角来たのだからということで「フリーダム」(5.13a)もやってみた。
下部のボルト3本分が核心で、ここでやられてあっけなくオンサイトは逃した。
幸いその核心は割と得意系らしく、ムーヴはすぐに解決して中間部の長いコーナーへ。
ここは精々11台なのだけど、持ってきたプロテクションが少なかったのでランナウト。
既に疲れてしまっていたので、コーナーの中で一度テンションして、
コーナーの終わりの怖いセクションを必死でこなして、
最後のちょっと悪いセクションも読み間違えて一回落ちてから抜けた。
ソニーは時間がなくてトライしないということなので、そのまま降りたら、70mのロープでぴったり。
充実感も緊張感もあって、なによりラインが綺麗で素晴らしいルートだった。
出来るだけ間をあけずに、今度はRP狙いで来よう。

下山して、その後は川上のお店でイベントの打ち上げ。
ウーロン茶が気に入ったらしいティタム

ジャンボJr.と遊ぶソニー父さん

運よくソニーの隣に座ったので、クライミング以外のことも含めていろいろ話した。
カナダ人は晩婚な人が多いんだ、とか、
クライミングがオリンピック種目になったよね、とか。
そうやってソニー一家と話をしたり、ジャンボJr.と戯れたりしていたら、
楽しい時間はあっという間に過ぎて、お開きになった。
別れ際、ソニーに「じゃあ、勉強頑張れよ」と言われた。はい、頑張りマス。


楽しい二日間でした。こんなにただただ楽しんだのも久しぶり。
言わずもがな、ソニーと一緒に登って、話をする機会を持てて本当に良かった。
自分にとってのヒーローだった人が、ある時突然目の前に現れたりする。
いつ、どこで、どうつながるか、分からないものです。
ソニーは聞いていた通り、非常に気さくで、ひょうきんで、そして強かった。
それに加えて印象的だったのは、夫となり、父となった後も精力的にルートを拓いていること。
北米にはDaddy Strengthという言葉があるらしい。
冗談めかして使われるこの言葉を、ソニーは信じているのだそうだ。
父親になって改めて得た強さもあるのだとか。
「子どもが生れると確かに時間は限られてしまうけど、その分集中力は上がってるし、
いずれ息子とクライミングで僕が得られた喜びを共有出来たら嬉しいね」
彼は近年Family Manという14bのクラックを初登したそうで、
その名前が彼の考えをそのまま表しているようだった。

ソニーに限らず、イベントではいろいろなコネクションが出来た。
それも含めて、本当にいい週末でした。

0 件のコメント:

コメントを投稿